オフィスワークとリモートワーク、どちらのほうが生産的なのか?

近年、労働の生産性を高めるために、自宅やカフェなどオフィス以外の場所で仕事を行なえるようにするリモートワークの制度を採用する企業が増えてきています。一方で、一度リモートワークを実施したが、のちにそれを廃止してしまったという企業もあります。オフィスワークとリモートワーク、本当に生産性を高めてくれるのはどちらなのでしょうか? 海外での議論を紹介します。

リモートワークは生産性を高める


リモートワークが生産性を高めるという調査結果があるという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
確かにそのような研究はいくつか存在します。フォーブス誌の記事では、そのような研究のひとつとして中国で旅行サイトを運営しているCTrip社の事例が紹介されています。

この会社は2014年に自社のコールセンターで働いている一部の社員にだけリモートワークを許可し、彼らの生産性を同じコールセンターのオフィスワーカーと比較しました。その結果、リモートワークをしていた社員は、そうでない社員よりも13.5%多くの電話をかけていたという結果が出ました。この数値は、1週間あたり1日分多くの労働時間があった場合に匹敵するそうです。

リモートワーク研究の問題点

上記の研究のほかにも、リモートワークと生産性の関係について行なわれた研究はあり、そのほとんどでリモートワークは生産性を高めるという結果が出ています。

このような結果に後押しされ、リモートワークを実施し始めた企業もたくさんあります。それでは、研究結果が示しているように、生産性を高めるためにはリモートワークをどんどん実施していくべきなのでしょうか。必ずしもそうとは言い切れません。というのも、上記のような研究には、いくつか問題が指摘されているからです。

生産性の定義が不明確

仕事によって生産性の定義は変わってきます。コールセンターの業務のように、明確に成果を測ることができる仕事もあれば、デザインのような成果を明確に測ることが難しい仕事もあります。これらの多様な仕事を一緒くたに考えて生産性について語ることは無理があります。

長期にわたる研究結果が存在しない

また、リモートワークと生産性の関係について行なわれた研究は、長くても数か月の期間で実施されたものであり、長期間にわたる結果について調べた調査はいまのところ存在しません。ゆえに、経営課題としてリモートワークの是非を考えていくには、少し不安要素があると言えるでしょう。

リモートワーカーにはバイアスがかかっている

さらに、リモートワーカーにかかっているバイアスの影響についても問題が指摘されています。

そのバイアスというのは、「リモートワーカーは自らリモートで働くことを選択しているため、その結果を証明しようと無意識的に熱心に働いてしまう」というものです。結果的に生産性が高まれば良いのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、確かに現在においては生産性が高まっていますが、それは今現在リモートワークをしている人が少数派であるため、リモートワーカーは自らがある種の特権的な立場にいると感じ、それがモチベーションとなって熱心に働いているからかもしれません。

そのため、今後、リモートで働く人が増えていくなかで人々の生産性がどのように変化するのかということを検討するには、やはりこれまでの研究では頼りないと言わざるを得ないでしょう。

リモートワークを効果的に行なうために必要なもの


リモートワークについて行なわれた研究結果は、どれも決定的なものではないということがわかったと思います。

それでも、実際にリモートワークを実施している企業に目を向けると、それがうまくいっているように見える企業と、そうでない企業が存在することがわかります。つまり、問題なのは、リモートワークを実施するか否かではなく、リモートワークをどのように実施していくのかという点なのです。ハーバード・ビジネス・レビュー誌の記事では、リモートワークを効果的に実施していくうえで必要になる3つの“C”について紹介されています。

Communication(コミュニケーション)

リモートワークでは対面でのコミュニケーションを行なうことができません。

面と向かって話しているときには身振りや手振りを使ったり、あるいはホワイトボードなどを駆使したりして説明できる抽象的で複雑な概念も、リモートワークでは同じように伝えることはできません。そのため、効果的にリモートワークを行なっていくには、面と向かわなくとも難しい話題を正確に表現し、伝えることのできる高いレベルのコミュニケーション能力が必要となるのです。チャットやビデオカンファレンスなどのツールを使用することでコミュニケーションを円滑にすることもできますが、何より大切なことは、コミュニケーション能力の高い社員を採用し、育成していくことになるでしょう。

Coordination(協力、協調)

複数のリモートワーカーが1つのプロジェクトに取り組む際には、メンバーが互いに会うことのない状態でチームワークを行なわなくてはなりません。

メンバーがみな同じ空間で働いているときにはその場の雰囲気である程度把握できる各メンバーの進捗状況やプロジェクト全体のムードなども、リモートワークでは簡単には把握することはできません。このような状況下で効果的にプロジェクトを進めていくには、リーダーが詳細な計画を作成し、実行していくだけでなく、各メンバーが自分の進捗状況を事細かく報告する習慣を作っていくことが必要になります。

Culture(文化)

最後に、リモートワークを効果的に実施していくためには、各メンバーが1つの文化に属しているのだという感覚を持っていることが必要になります。

お互いに離れて仕事していると、自分の仕事に集中することができるため、短期間での生産性はすぐに高めることができます。しかし、時がたつにつれて互いのつながりが薄れてくることで、次第に生産性は落ちてしまいます。長期間にわたる生産性の向上を実現するためには、メンバーのエンゲージメントを促進することが必要となり、そこで重要になるのが共有された文化なのです。そのような文化を作っていくためには、定期的にリモートで働いているメンバーが顔を合わせ、インフォーマルな形でお互いを深く知る機会を与える施策などが効果的です。

これらの3つの“C”を備えたメンバーが適切なツールを用いてリモートワークを行なえば、必ず生産性は高まるはずです。
求められるハードルは決して低くはありませんが、現在の社会のトレンドを考えると、今後より多くの企業がリモートワークの実施を迫られることになると思われるため、早いうちからそれを可能にする職場環境や文化を作っていくことが重要になるでしょう。

「オフィスワークとリモートワーク、どちらのほうが生産的なのか?」についてのまとめ

リモートワークと生産性について行なわれた研究を紹介し、リモートワークによって生産性が高まるという結果が出ているが、その研究には問題点も指摘されているということを紹介。その上で、リモートワークを効果的に実施していく際に必要となる3つの“C”、「Communication」「Coordination」「Culture」を紹介しました。

参考文献
https://www.forbes.com/sites/larryalton/2017/03/07/are-remote-workers-more-productive-than-in-office-workers/#2e6f023031f6
https://hbr.org/2015/03/why-remote-work-thrives-in-some-companies-and-fails-in-others

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

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