プロジェクトを成功に導く!体制図・WBSの意義とそのメリット


プロジェクトの成功には必要不可欠なものが多いですが、特にプロジェクトを進めていくうえでは必要な図が2つあります。それは、体制図とWBSです。どちらもあまり聞きなれない言葉かもしれないですが、プロジェクトを進行していくうえで気づかないうちに使っているかもしれません。

今回は、体制図・WBSの作り方とその意義について詳しく見ていこうと思います。

プロジェクトの成功のために必要な2つのアイテム

プロジェクトを成功させるために必要なことはたくさんありますが、その中でもそれぞれの役割関係者との連携誰がどのタスクを担当するのかを明確にしておくことは非常に重要です。

近年「働き方改革」を推進する機運が高まっていますが、労働政策研究・研修機構の報告書には、「自らの業務目標の明確さや進め方の裁量度の高さが労働時間を短くする(引用:http://www.jil.go.jp/institute/reports/2011/0128.html)」と報告されています。

つまり、仕事の上での役割分担はプロジェクトを進めるにおいてはもちろんのこと、「ワーク・ライフ・バランス」を推進する上でも重要なポイントとなります。

プロジェクトで仕事を進めるにあたり、役割分担を正しく実行させるために必要なものが以下の2つになります。

①体制図

体制図とは、会社の組織図に似たような図で、誰が何を担当しているのか、それぞれがどのような関係にあるのかを把握するためのものです。

WBS(Work Breakdown Structures)

WBSは、プロジェクトのスケジュール管理に使われるツールの一つです。プロジェクト全体の作業を洗い出し、どんな作業があるのか、その作業にどのくらい時間(工数)がかかるのか、作業は誰が担当するのか、がリストアップされているものです。

※WBSとは何か、基礎について確認したい方はプロジェクト管理に役立つ! WBSの使い方とツールの記事を参考にしてください。

なぜこの2つが必要になるのか、実際に体制図とWBSを導入して運営したプロジェクトを例にとり、説明していきます。

事例紹介~IT系企業A社が体制図・WBSを利用してみた

IT系企業A社のインフラ系の事業部では、企業にPCやプリンタなどを中心としたハードウエアの導入支援プロジェクトを行なうことになりました。機器調達~導入から始まり、保守~機器の廃棄まで一貫して行なう事業です。

プロジェクトは約20人の規模で、内訳はサービスマネージャー、インフラ系エンジニア、データメンテナンス(資産管理)担当、ヘルプデスク担当、Webサイト担当(コーダーに近い)等です。外部の相手はクライアントオーナー、ハードウェア・システムベンダー、リース会社などで、ハードウエア導入後は運用部隊に引継ぐことになっています。

このような作業が細かく分担されているプロジェクトチームに体制図とWBSを取り入れたところ、以下のようなことが可能になったそうです。

1. 報告、相談がスムーズにできる

メンバーが体制図を見て関係者を把握することにより、メンバーが関係者のメーリングリストを作成できます。プロジェクトメンバーに共有したところ、メンバーがメールのCCに入れるようにました。これにより、報告・相談がスムーズに行われるようになります。

2. 問題、トラブルの早期解決が可能に

体制図があることで、誰がどんな役割を担っているかが明確になります。そのため、問題・トラブルが発生した場合は、速やかに上司や関係者に伝わり、早期解決に向かうことができます。

3. 作業の事前準備ができる

WBSがあることで、自分が担当するタスク以外にもそれに関連するタスクやスケジュール感がわかります。これにより、作業着手にむけた事前準備ができるようになります。

4. 他のメンバーのフォローができる

WBSがあることで作業が遅れていることも把握できるため、他のメンバーがフォローに入りやすい状況になります。チーム内のコミュニケーションが活発になり、よい雰囲気のチームを作りあげることも可能になります。

体制図・WBSのメリットとは?

体制図を作る目的は、プロジェクトに参加するメンバーそれぞれの役割、そしてメンバー間の指揮命令系統を定義するためです。会社組織の中で定常業務を行う際は、自身の役割や上司や部下との指揮命令系統が決まっています。

それに対してプロジェクトは、普段の定常的な業務とは別に、新たな体制を構築する必要があります。プロジェクト体制が明確化されていないと、必要な指示や報告がメンバーに伝わらなかったり、意思決定に時間がかかったりと、作業ミスや効率低下の原因にもつながります。また、WBSがないと、いつまでに、誰が、何をするのかが不明確で、作業もれやスケジュール遅延等が懸念されます。

体制図やWBSを作る最大のメリットは、プロジェクトメンバーが自主的に動き出すことができるという点です。実際、上記のプロジェクトでは、この2つの図によって自主的な行動が促されました。それができたのは、体制図・WBSでメンバーの上下関係や作業の全体像が見えていることにより、いちいち上長に確認して動く必要がないという利点があったからです。自ら動いてメンバー(横のつながり)やリーダー・上長に共有・報告できる体制が整い、円滑なプロジェクト運営が可能になりました。

体制図・WBSを作る上でのポイント

それでは、体制図とWBSの作る上でのポイントをそれぞれ見ていきましょう。

プロジェクト体制図の作成

プロジェクトの体制図を作ることにより、メンバーは「誰の指示に従えばよいか」、「誰に報告すればよいか」という報告や相談ルートを定義することができます。

そのため、体制図を作る際には、プロジェクトメンバーの人数と役割を確認し、指示を与える人、受け取る人などの役割を明確にすることがポイントです。体制図があると、自分の担当以外がどのような役割をしているのかが把握できるため、メンバー間でコミュニケーションもとりやすいという副次的なメリットも生まれます。

プロジェクトマネジメント きほんのき段取りの五:体制図を作成する

WBSの作成

WBSを作る際のポイントは、細かな作業のタスクを洗い出し、担当に割り振ることです。それら作業の工程を分解して示し、それをスケジュールにしたものがWBSです。ひとりひとりがやるべきことを大まかなフレームではなく、小さなタスクにブレイクダウンすることが大切です。これにより、メンバーがタスクに取り掛かりやすくなり、ひいてはプロジェクトに対するモチベーションを保つことができます。

また、WBSを使ってプロジェクトの進捗管理をすることもできます。作業開始日、終了日、進捗のステータスなどを記入できるようにし、定期的に各メンバーに更新させます。プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーはWBSを確認すれば進捗状況を把握できるようになります。

さらに、WBSにできあがった成果物を記載しておくことで、成果物の完成までにどのようなタスクがあるのかを洗い出し、成果物・タスクの全体量を把握することも可能です。定期ミーティングなどで作業の進捗確認を行う際も、どこの作業が遅れているのか、どの作業がボトルネックになっているのか、課題が明確にわかります。

まとめ

プロジェクトは1人だけのの努力では成功しません。体制図を通じて、メンバー一人ひとりにそれぞれを意識させ、周りとの関係性をわかりやすく提示することで、関係者とスムーズにコミュニケーションをとらせることが重要になります。

また、プロジェクトマネジメントでは「期限内に目的を達成すること」も大事なことの1つとなるので、タスクの相関関係をメンバーに意識づけるためにもWBSを作成し、無理のないスケジュールを組むことが大切です。各メンバーが適材適所で役割通りの実力を発揮し、スムーズに業務を遂行できる環境を構築することは、プロジェクトマネジメントを行なう上で重要だといえるでしょう。

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