ナレッジマネジメントの歴史を振り返って、これからナレッジ共有を始めるためのコツを知ろう

ビジネスシーンにおける「ナレッジマネジメント」導入の動きは増加傾向を続けています。しかしながら、これが大きな成果に結びついたという事例を探してみても、なかなか見つかりません。ことほどさように「ナレッジマネジメント」は一筋縄ではいきません。

それでも、これからの企業の生き残り策としてはこれは欠かすことのできない確かに正しいものでしょう。この問題の難しさは、人事面からとその方法・手法の面からと大きく分けて考えられるのではないでしょうか。ここでは、まずその変遷を整理しながら問題解決のための糸口を探し出していきたいと思います。

ナレッジマネジメントを追求する企業経営がなぜ大事なのか:経営と人事の面から考える

各社員の知識やノウハウ(=ナレッジ:knowledge)を体系化して、会社の知的資産としてデータベース化してしまう経営手法は「ナレッジマネジメント」として、この20年来延々とその必要性が語られ続けています。経営者の発想から語れば、優れたノウハウを持つ社員に対して仮に1000万円の給与を支払うとすれば、その金額はその社員から吸収できる「ノウハウ料」も含みます。企業としては、数多くの知的ナレッジを蓄積して、それをすべての社員(パート社員も含む)へ継承できることが望ましいと発想します。

一方、その優秀な社員にとっては、自分と同じレベルのパート社員が量産化されてしまうと考えるなら、それは積極的になれるはずはありません。むしろ、そんなナレッジはない、と強弁するのが必然です。
現実的には、例えば営業のノウハウ(「ナレッジ」)を考えてみます。その標準化・マニュアル化されるその優秀な人材のノウハウはそもそも彼だからこそ価値がある無形の財産なのかもしれません。それが、文字情報をベースにコピー&ペーストが可能になったところで同じ価値が生まれるとは限りません。

いま、わかりやすい例え話をしましたが、「ナレッジマネジメント」が語られ始めた頃の誤りの多くがこうした乱暴な発想から生まれていたケースです。

ただし、さらに個人に踏み込んで検証すれば、「ナレッジワーカー」の誕生に話を進める必要があるでしょう。
これからのビジネスパーソンは「ナレッジワーカー」になることが生き残りの条件だとよく語られるようになりました。ナレッジワーカーという言葉には「プログラムされたタスクではなく、期待された成果に基づいて自分で行動できる労働者」という意味があります。

知識(ナレッジ:knowledge)というのは、プログラム化されてしまった時点で標準的なものとなって商品価値を失ってしまうことを意識すれば、経営者が構築しようとしているナレッジデータベースの中に組み込まれないだけの、高度な知識(新しい技術や顧客獲得の方法)を常に新しく生み出していく必要があるということです。

過去のロータスノーツの使われ方と、社内Wikiの活況、そしていまkintoneやあるいはトークノートがアピールしていること

Lotus Notes(ロータスノーツ、またはLotus Notes/Domino、ロータスノーツ/ドミノ)は、IBMが開発・販売しているグループウェア用ミドルウェアである。 元々はロータス社が開発・販売していた製品だったが、IBMによるロータス社の買収に伴い、現在はIBMソフトウェアのロータスブランドの中核製品になっている。

wikipediaより抜粋

NotesはLotus Development社が開発したグループウェアです。これはなにができたかというと、文書共有、電子メール、そして掲示板などの機能をユーザーが統合させて、かつセキュリティなども補強できることで、企業ユーザーを増やしました。社内情報共有というと、Notesで決まり、という時代もありました。筆者もこの Notesドミノサーバー構築のお手伝いをしていたことがあります。
ちなみに、リクルートグループでもこのNotesを使用していた時期がありました。

2010年あたりになると、いわゆる「掲示板」での情報共有に飽き足らず社内でwikiを持とう、という動きが生まれます。Googleが買収をしたJotSpot など(この買収は2007年ごろ)、ホットなニュースでした。これは、現在でも「ドキュメント共有」サービスとして、幾つもの良質なサービスが続いています。

2018年現在では、2つのキーワードがあげられるのではないでしょうか?
一つは、言うまでもなく「クラウドサービス」であること。
もう1つは、「シンプル」ということ。

社内情報共有と言っても、1週間前の社内ビジネス情報が知りたいということが重要なのではもちろんないので、ある会社が培ってきた3年間の積み重ねがそもそも共有すべき財産になります。そのためには、「続けられること」がなにをおいても大事であるということです。これをわかりやすい言葉で「シンプル」と語られているのだと思います。

「ナレッジマネジメント」はどうやるのがいいか? その答えのない疑問

企業内のナレッジマネージメントシステム導入の、大きな問題が「どうやればいいのか」ということ。
情報を何でもやたらにデータベースに取り込んで、その中から検索するだけのシステムでは、そもそも「非効率であまり意味がない」という声がたくさん聞こえてきそうです。

あたりまえではありますが、目的にかなった情報が効率的に得られ、業務への有効な活用を可能にさせる情報検索のしくみ構築が延々と考え続けられてきました。それは、いまも変わりません。情報が氾濫する現在、大手検索サイト以外にユーザーの詳細なニーズに応えることに着目して、細分化された「知識ポータル」が一般のサイトでも栄枯盛衰が続いています。

例えば、社内にて「ある製品のプレゼンテーションを急に明日しなけれなばいけなくなった。その過去の資料はあるか」
と社内DBを検索したら即座にその資料が得られたらそれほど心強いシステムはないと言えます。
つまり、その会社独自のビジネスシーンに応じて、ナレッジデータベースが構築されている必要があります。

ところで、そのナレッジ共有の方法について、まずは一般サイトを振り返ってみましょう。

参考までに、一般ナレッジサイトを触り返ってみる〜国内ナレッジサイトの先駆けであるOK WEBから急伸するクラシルまで

国内ナレッジサイトの先駆けであるOK WEB。一般ユーザーである質問者と回答者ともに無料で利用できるQ&Aコミュニティサイト「OK WEB」の誕生は2000年1月。その事業ノウハウを活かして、各専門分野の企業と提携した「OK WEBプロ」へと発展させています。現在は、OK WAVEと改名して(改名は2005年)同サービスは継続されています。

人力検索はてな」の誕生は、2001年7月。企業としてのはてなは、もはやコミュニティ運営者ではなくなっています。が、これら代表的なサービスが同じ年に始まっていたのかと思うと少し感慨がありますね。

この2社はともに、日本からGoogleに匹敵するIT企業が誕生するのではないか、などという声が上がったものでした。

選ばれた専門家が答えるサービスとしては、
All about (オールアバウト)があります。今回調べてみると、このサービスも2000年誕生でした。このAll about も現在は単純な専門家サイトビジネスではなくなっています。

専門家が答えるという点にフォーカスすると、弁護士ドットコムが浮かびます。こちらの登場は2005年です。

これまでは、単純な「掲示板」スタイルでした。(All aboutは記事+コメント型)
これが、スマホの登場をきっかけに大きくインターフェイスが変わりますし、通信環境が高速化したことで動画スタイルが生まれました。

掲示板スタイルでなく、SNS型のナレッジサービスも登場しました。
動画でのナレッジサイト(サービス)の代表として、クラシルを挙げておきます。ここではこれ以上の説明は省きます。

要となるのは、コンテンツ(=ナレッジ)収集だった

一般サイトで、その事業のカギとなるのが質の高いコンテンツを大量に揃えることです。そのコンテンツを消費されることに対して報酬を与えるというサービスも、登場しました。

会社で利用されるということに限れば、有用なノウハウ提供した社員には新たな評価を加えるという考え方もできます。最近では、人事評価のIT化も活発です。HR-Techと呼ばれるこの領域とナレッジマネジメントはそもそも関連付けもしやすいはず。

必要とされるコンテンツのポイントを以下に書き出してみました。

  • そのナレッジは誰の役に立つだろうか?
  • そのナレッジで解決できることは何か?
  • そのナレッジの場面(時と場所)は汎用化できるのか?

ビジネスで使われるということは、そもそも「目標」が定められている仕事が多いはずです。そのどんなシーンでそのナレッジが役に立つか、大きな目標に対して目の前の目標(マイルストーン)達成ができれば、所属しているチームの評価にもなることでしょう。

こうしてまとめてみると、作文のコツと説明される5W1Hみたいですね。

最後に。
今回、ナレッジマネジメントについての紹介の1回目です。
チームハッカーズでは、今後この分野にも注目して、チームとしての生産性を上げるためのナレッジであるとか、そもそもナレッジマネジメントの方法論を深掘りしてみたり、さまざまな視点で取り上げていく考えです。
どうぞご期待ください。

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