緊張をときほぐすアイスブレイク実践編〜ケーススタディで学ぼう

アイスブレイクを取り入れてみたいが不安を感じる方もいるのではないでしょうか。アイスブレイクとは初対面同士の緊張をときほぐすために使われる手法のことで数々の研修や面接、教育現場、チームのスタートアップで取り入れられています。初対面同士の緊張をときほぐして和やかな雰囲気にしたいというニーズがチームリーダーや面接担当者、セミナーや教育担当者などの間であります。
しかし、アイスブレイクの概要は知っているが、あまり取り入れたことがないと導入に不安を感じるのも当然です。アイスブレイクを成功させるには場数を踏むのが一番ですが、ケーススタディを知っておくことで気をつけるところも明確になります。本記事ではアイスブレイクのケーススタディをご紹介します。

緊張をときほぐすアイスブレイクは必ず成功する訳ではない

アイスブレイクは必ず成功する訳ではありません。なぜなら相手が人だからです。アイスブレイクは緊張した人間関係をときほぐす手法ですが、人間関係は一筋縄でいきません。それぞれ育ちも考え方も個性もバックグラウンドも違います。アイスブレイクは無数の人間関係を対象とします。どれだけ上手くアイスブレイクの手法を使ったとしても時にはいまいちだったなと感じることもあるでしょう。しかし成功と失敗にはある程度、傾向もあります。ケーススタディの事例通りにいくとは限らないのですが、事前に知っておくことで心に余裕をもってアイスブレイクを取り入れることができます。

アイスブレイクが成功するときの条件とは

  • 事前準備がしっかりできている
  • 人間関係の配慮をしている
  • 段取りよくアイスブレイクのテーマを進めている
  • アイスブレイクの目的が明確になっている

これらの条件が満たされていることが多いです。例えば事前準備も出来ていないままアイスブレイクを思いつきで行っても中途半端に終わってしまいかえって逆効果になってしまいます。人間関係に配慮せずに同じアプローチをしても失敗しがちです。小学生向けのアイスブレイクを中高年の管理職にしても場がかえって「凍る」可能性すらあります。また段取りが悪いとかえって場の雰囲気が悪くなることもあります。そしてアイスブレイクそのものが目的化してしまい、本来のその先にある良い集団づくりに繋げられないこともあります。

この条件を踏まえてケーススタディをそれぞれ見てみると実際に気をつけるべきポイントが明確になります。

研修でアイスブレイクをするケーススタディ

自己紹介を少し工夫するだけでもアイスブレイクになります。研修で初対面、まあはそれに準ずる関係の人達を集めアイスブレイクをした場合のケーススタディをご紹介します。

教育現場でアイスブレイク成功

場所:タイの国立大学
人数:6人
方法:つみき式自己紹介

つみき式自己紹介とは、5人いたとすると、1番目の人は普通に自己紹介をします。2番目の人は1番目の人の名前を言ってから自己紹介します。3番目の人は1番目の人と2番目の人の名前を言って自己紹介。

少人数制の講義を新規で受けもつ時になった時に、それぞれ専攻している学科が違い初対面に近い関係だったのでオリエンテーションでつみき式の自己紹介をタイ語でしてもらいました。

「ポム チュー ワタナベ」で、私の名前はワタナベですという意味になるので日本人の私が聞いても分かります。ちなみに「カオ チュー ヤマダ」で彼の名前はヤマダですという意味になります。

このケースでは、

1番目の人が「ポム チュー タナソン」(私の名前はタナソンです。)
2番目の人が「カオ チュー タナソン」「レオコー」(それから)「ポム チュー イム」(彼女の
名前はタナソンです。そして、私の名前はイムです。」
3番目の人は・・・

このケースでは、せいぜい6人。外国語でも自己紹介はそれほど難しくはないため例えば、英語でも自己紹介のアイスブレイクは不可能ではありません。

5人目ぐらいの人が、3人目の人の名前を思い出せず苦笑いをしていましたが、それを含めてのアイスブレイクですので問題はありませんでした。

和気あいあいと、つみき式の自己紹介をした後にリラックスして講義をはじめることが出来た成功例です。

教育現場でのアイスブレイク失敗

場所:日本の小学校
人数:20人
方法:積木式自己紹介

このケースは極端な失敗例ですが3年生の小学生に積木式の自己紹介を順番にしてもらったことがあります。一度、普通の自己紹介をした後でしたが特に授業を準備しておらず、することがなかったので思いつきでしました。まだ学級が開かれて2週間も経っていない4月のことでした。

結論は・・・、児童が騒ぎ出して大変なことになってしまい失敗しました。

まず20人という数が問題です。最後に自己紹介をする児童は20人分の名前を言わなければなりません。1度は通常の自己紹介をしているとはいえ違うクラス出身の児童同士、話したことがなく名前を正確に覚えていないこともありました。

20人ですと間延びしてしまいますし、自己紹介が終わった人からお喋りをはじめます。そして、名前を思い出せずに泣き出してしまった児童が出てきたり、逆に名前を間違えられた児童が怒ったりバカにされてしまったりと雰囲気が悪くなってしまいました。

アイスブレイクを成功させるには4つの原則があります。

  • 事前準備がしっかりできている
  • 人間関係の配慮をしている
  • 段取りよくアイスブレイクのテーマを進めている
  • アイスブレイクの目的が明確になっている

このアイスブレイクを成功させるための原則が全て守られていませんでした。事前準備はできておらず思いつきでしたし、児童同士の人間関係への配慮もたりません、しかも児童にほぼ任せるような進行の仕方で段取りが悪く、しかもアイスブレイクの目的がなく単に時間が余ったから行っただけでした。

同じつみき式の自己紹介をしてもらうにしても、条件が変わると大失敗をしてしまうのです。

採用面接でアイスブレイクをするケーススタディ

私は以前、タイの大学で日本人講師の採用の担当をしていました。採用決定権は最終的にタイ人の上司がもっていたのですが面接担当者として、面接をしていたことがあります。面接で緊張して普段の態度や様子が分からないと採用した後に職場の雰囲気に馴染めなかったということもあるため私は面接中にアイスブレイクをしていました。

採用面接でアイスブレイク成功

場所:タイの大学(応接室)
人数:面接担当者4人 採用候補者1人
方法:面接で笑顔で世間話や共通の話題から導入

アメリカの大学とイギリスの大学院で言語学を学んだ日本人の女性の方を採用候補者として面接しました。このケースでは、簡単に出身地についての話題や共通の話題から面接の会話をはじめました。

面接でのアイスブレイクは特に変わったことはしません。簡単な世間話で良いのです。例えば

  • タイは暑いですよね。どうやってここまで来ましたか?
  • 好きなスポーツはサッカーなんですね。自分もなんですよ。どこのチームが好きですか?
  • こちらに来てからカオマンガイ(タイ料理)は食べましたか?
  • 福岡の空港は街中からアクセスが良くて便利ですよね。

など

採用とまったく関係のない話題から入ります。もし、いきなり怖い顔をして面接担当の私が面接で

タイの教育を君はどのように変えようと思っているのかね?

などと言おうものなら、緊張してしまう人が多いでしょう。私の隣には年配の頭の良さそうなタイ人の博士や学部長が日本語がよく分からないまま、威圧的な雰囲気で座っているように見えるので面接で普段の力を発揮できない人もいると思いました。

しかし面接で日本人の私が笑顔で世間話から入るとアイスブレイクがうまくいったのか、楽しく雑談も交えながら本当にバンコクの大学で働くことが採用候補者に合っているのかどうかを確認することができました。

採用面接でアイスブレイク失敗

場所:広告関連企業のオフィス(日本)
人数:面接担当者2人 採用候補者1人
方法:面接で笑顔で世間話や共通の話題から導入

私の元同僚は大手広告代理店のディレクターやCMプランナーをしていました。採用担当もしていたそうですが、アイズブレイクがあまりうまくいかなかった事例を自身の経験からあげていました。面接を盛りあげようと気を使って採用候補者の方に、面接と関係の話題をたくさんしたそうです。そして気づいたら面接の時間が60分オーバー。しかも、ほとんど業務の内容とは関係のないことで面接の時間を使ってしまったようです。気づけば採用候補者の方は腕時計を度々、見はじめたりしました。結局、その採用候補者の方に内定は出したのですが断られてしまったそうです。

このケースではアイスブレイクの目的である面接で本当に答えてほしいことが、できていません。
しかも段取りも悪く面接の時間が長くなっています。また人によっては面接であまり業務とは関係のない質問をされ続けるのが好きではない人もいるのではないでしょうか。

採用面接でのアイスブレイクは、あくまでもアイスブレイクです。採用のために本当に必要なことを確認する方がアイスブレイクよりも大切です。あくまでもアイスブレイクは、このケースでは脇役なのです。

チームビルディングのアイスブレイクケーススタディ

チームビルディングでもアイスブレイクはよく使われます。初対面同士で仕事のチームを組むことは少なくありません。

チームビルディングのアイスブレイク成功

場所:コワーキングスペース
人数:4人
方法:ボードゲーム

フリーランスのWebサイト制作チームの実例です。コワーキングスペースを運営している人が地方自治体とのパイプを持っており、自治体向けのWebサイト制作の案件を受注しコワーキングスペースで働いているサイト制作者を集めてチームをつくることにしました。それぞれの制作者は顔は知っている程度のつながりでしたがコミュニケーションはあまりとったことがありませんでした。

そこでアイスブレイクとして活用されたのがボードゲームです。ドイツの「カタン」という資源を集めて都市を発展させていくという戦略的な4人で対戦するボードゲームです。

ボードゲームのルールが分からない人もおり、分かる人が分からない人に教えたり、ゲームの中で駆け引きなどのコミュニケーションをとることを通して少しずつ人間関係の緊張がとけてきました。ゲームの進め方で性格や考え方なども見えてきます。

私はたまにボードゲームの人数が足りない時に数合わせで参加した程度でしたが、ボードゲームを利用したアイスブレイクは傍から見てうまくいっているようでした。
よくよく考えてみるとコワーキングスペースの中にはボードゲームが用意されているところも時々見かけますが交流用だけでなくアイスブレイクの道具としても使われているのかもしれません。

チームビルディングのアイスブレイク失敗

場所:コワーキングスペース
人数:4人
方法:ボードゲーム

ボードゲームを使ったアイスブレイクには失敗例もありました。例えば負けん気が強いプレイヤーがゲーム中に相手をにらみつけてしまったり、ゲームの勝負そのものの勝ち負けで悪い雰囲気になってしまったりという事例です。

しかもボードゲームのアイスブレイクは比較的、まとまった時間も必要で状況によってはゲームを途中で中断しなければならないこともあります。

勝敗がつくゲームによるアイスブレイクではお互いの配慮が欠かせません。

アイスブレイクは人間関係を動かすからこそ気配りが必要


アイスブレイクの形は多様で同じ方法でも参加メンバーによって全く異なる展開になることも当たり前です。アイスブレイクは初対面の人間関係をときほぐす一方で、場合によっては効果がないことや雰囲気が悪くなってしまうこともあります。人間関係を変えるからこそ、それぞれの参加者に対する気配りが欠かせません。

アイスブレイク実践編のまとめ

アイスブレイクの実践例を複数、本記事ではご紹介しました。アイスブレイクでは同じことをしても結果が異なることもあります。アイスブレイクには様々な方法がありますが成功させるための原則は、

  1. 事前準備がしっかりできている
  2. 人間関係の配慮をしている
  3. 段取りよくアイスブレイクのテーマを進めている
  4. アイスブレイクの目的が明確になっている

これらの原則を守っていないケースでは失敗する可能性が高いので、アイスブレイクをする際は
参考にしてみてください。

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