他人とコミュニケーションを取りながら仕事をすすめていくなかで、特に注意したいのが上司への業務進捗報告や、プロジェクト概要の説明、そして決定事項のレポートです。
基本的に、仕事は上司の指示のもとに行われます。そして、何より上司はあなたの人事評価者です。したがって、上司が求めていること何かを考えながらレポートしないと、お互い業務に支障が出てしまいます。
「言っている内容がいまいちわからない」
「私にどうして欲しいの?」
「結局、あなたはどう考えているの?」
というフィードバックが上司からあった場合、レポート内容が期待値を満たしていない可能性が高いものです。
私は多くのプロジェクトを進めるなかで、レポートスキルを自分なりに磨き続けたことで、上司からの信頼を得てどんどん大きな仕事を任せてもらえるようになりました。
今回は上司へのレポートするときのちょっとしたコツについてご紹介していきます。
1. 結論から述べる。その理由は3点まで
基本的には上司は忙しいので、多くの時間を従業員1人に割くことはできません。そのため、私は常に結論から述べて、理由も端的に説明するように心がけています。
たとえば、プロジェクトの進捗を報告をするように言われた場合、
「主なタスクが5つあるなか、4つは計画どおりに進んでいますが、1つは遅れています(結論)。その理由は、開発者のAさんがシステムトラブルで工数を確保できなかったからです(理由)。リカバリープランとしてBさんにフォローに入ってもらうことを考えています(代替え案)。そうしたら納期を守れるようになります。」
このように、結論 → 理由 → 代替え案の順番で説明します。
ここでのポイントは、プロジェクトの進捗を気にしている上司には、計画通りに進んでいるタスクの詳細説明は不要という点です。
また、タスクが遅れている場合、その理由の妥当性が高いかどうかも重要です。
2. レポートは相談・共有したいのか意識する
私は、上司へのレポートは究極的に2つのパターンに分けられると考えています。
1つは相談です。ここでいう「相談」とは上司に何かしら意思決定、およびアクションをしてほしいものと定義します。
もう1つは共有です。ここでいう「共有」とは上司に意思決定、およびアクションは不要なものを「認知」してほしいものと定義します。「相談」と「共有」とでは、上司に伝えたい内容は明確に異なります。
ある業務の課題解決策で、AかBかを決めて欲しい場合は相談になります。従って、資料もAかBのどちらが妥当かを判断できる情報を用意し、整理しておく必要があります。
一方、ある業務への課題を知って欲しい場合は共有になります。頭出し、という意味合いが強いので相談とは異なり、情報を簡単に整理して伝えるだけでいいでしょう。
この違いを知っているだけで上司に伝える内容がだいぶ変わってくるのではないでしょうか。
3. A4用紙1枚に書いてから上司にレポートしてみる
これは私が上司にレポートしていくときに心がけていたことです。重要な会議ではない場合、私はA4コピー用紙1枚にレポート内容を書いてから、上司に持っていくようにしていました。
こうするメリットは3点あります。1つは書くという行為をすることで考えがまとまっていき、A4用紙に整理していくなかで伝えたい内容も自然と整理されていくのです。
そしてその用紙を持っていくことで「きちんと自分なりに考えて私のところに報告に来ているな」と上司から思われやすくなります。
もちろん中身も大事ですが、紙にまとめることで相手にきちんと伝えようとする姿勢が伝わるのではないでしょうか?
4. 他責(自己責任ではない)一辺倒のレポートはしない
他の人のレポートを見たとき、できない理由が他責一辺倒であるとき「良くないな」と感じます。
確かに事実として他責が妥当な場合もあるかとは思いますが、なるべく自分事と捉えて、レポートすることが必要なのではないでしょうか。なぜなら、上司はその人ならできると思って任せたわけで、完遂してほしいと願っているものです。
そのタスクの進捗が芳しくないときにレポートする内容が他責ばかりだったら、いったい上司はどのように思うものでしょうか?
良い気持ちにはならないと思います。私は自分事と捉えて進捗が悪いことも伝えるものの、その理由はなるべく他責にせず、またできることも可能な限り探したレポートをするようにしています。
5. レポートの作成に事実と数字を使うくせを身につける
私は事実と意見が混じっている部下のレポートを見たときには、そのふたつをきちんと切り分けて欲しいと伝えます。感情が入っているレポートは良くありません。感情に走ったレポートからは客観的な判断ができません。
わかりやすい例を挙げましょう。「仕事が忙しいからAという業務を別の担当者にして欲しい」という相談を上司にしたとします。
そのときに「忙しい」根拠をなるべく事実と数字で提示します。そうしなければ上司はなかなか動いてくれません。
もしも私がこのレポートを上司に提出するとしたら、レポートと合わせて直近の残業時間と昨年の同月の残業時間も提示します。さらに他企業の残業状況も参考情報として提示するかもしれません。
これらの事実と数字を見てみないことには、上司は忙しいと判断できないのではないでしょうか。
6. 資料作成術のフレームワークを利用してみる
重要会議に出席する場合は、きちんと資料を作成する必要があります。
資料作成の作り方がわからない人は市販されている参考書を読んでみましょう。私はたくさんの参考書を読んできましたが、その中でも
『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』(著:山口 周)
をおすすめします。この本で特に印象的だったのが、
「わかりやすいスライドは、より早く、より正確に、より少ない労力でビジネスを進めることを可能にする。 」というフレーズです。
私がレポート作成に悩んでいたときに、本書は大変参考になりました。また、本書では「構成要素とレイアウトは万国共通」として、資料の構成要素は以下6つであることを紹介しています。
- メッセージ ― このスライドで最も言いたいこと
- グラフ/チャート・表のタイトル ― メッセージの根拠となる分析やデータ、概念図の題名
- グラフ/チャート・表のタイトル ― グラフは「数値」を視覚化したもの」、チャートは「概念や関係、構造を視覚化したもの」
- 脚注 ― 内容理解に当たって留意しておくべき点
- 出所
どの仕事でも、プライベートでも誰かに「伝える」機会は日常的に存在します。「伝える」には技術があり、その技術を磨くことで相手にきちんと伝えることができ 、結果的に物事が飛躍的に改善されることを本書で学びました。
資料作成の技術を学びたい人にとっては良本です。
まとめ
いかがでしたか? 求められたタスクやプロジェクトについて、何かしら上司に報告する場合のちょっとしたコツや参考図書を紹介しました。
本記事を読んで、少しでもレポーティング能力があがり、効率よくビジネスを進めるようになれば幸いです。