「休み方改革」とは?働き方改革を活かす休暇の過ごし方

休日や休暇、あなたは心置きなく休めていますか? 政府は、働き改革と並行して休み方改革も推進しています。

突然「休め」って言われても、何をしていいかわからない…、休んでも心の底から楽しめない…という声もよく聞きます。

休みも仕事や人生にパワーをくれる侮れない存在です。休みの取り方や捉え方を変えて、休暇、そして仕事も充実させていきませんか?

国が推進する「休み方改革」「仕事休もっ化計画」

働き方改革関連法が施行され、企業レベルの取り組みも浸透してきました。残業削減や業務フローの改善など、働き方が変わったと実感している人も多いかもしれません。

しかし、今までの働き方を変えることは簡単ではないようで…。

制度やルールが変化しても、働く人たちの「心」が伴わず、「有給休暇があっても使わない人」や「周りに遠慮して休まない人」が減らない状況でした。

いつもより短い時間で今までと同じ、もしくはそれ以上の成果が求められることもあり、働き方改革によって仕事が「より大変になった」と感じる人も少なくないようです。

そこで、政府は「仕事休もっ化計画」の推進を始めました。

仕事休もっ化計画とは

「仕事休もっ計画」とは、労使一体となって計画的に年次有給休暇を取得することを目指した厚生労働省による取り組みです。より具体的には「休暇を仕事と同じように計画することで十分に確保する」「国や企業の方針として打ち出すことで休みやすさを生み出す」など、これらの目標を実現するために生まれたものです。

仕事休もっ計画の3つのポイント

1.チームで仕事の情報共有をする

チームで各自の仕事情報を共有し、協力体制を確保することで休みやすい組織になろう。

2.計画付与制度の活用

有給休暇の一部を事前に計画する制度を導入し、有給消化を促進しよう。

3.プラスワン休暇

土日祝日や夏・冬の年次休暇などに、有給休暇1日をプラスした連休を取ろう。

仕事が心配? 休めば返って仕事は良好に回る!

国や会社が「休もう」と言っても、

休みを長く取る分、休み明けにしわ寄せがきそうで怖い、休暇が長ければ長いほど休みボケして仕事が進まなくなりそう…。

自分が休むと周りに迷惑をかけてしまいそうで不安。

など、長期休暇や休暇が増えることによって、こんな心境になる人もいるでしょう。

でも、「仕事を休むことで仕事の生産性が落ちる」というのは果たして本当でしょうか?

海外と日本の労働時間と生産性のランキング比較

統計調査をもとに、「休みの多い海外の国」と「休まない日本」の労働時間と生産性のランキングを比較してみましょう。

一人当たり労働生産性 平均労働時間 対日比(時間) 対日比(日数換算)
日本37位1680時間
ノルウェー7位1416時間(―)264時間(―)30日
フランス21位1520時間(―)160時間(―)20日
ドイツ 26位 1363時間 (―)317時間 (―)約40日

ILO推計国別ランキングOECD調査 国別ランキング(労働時間が長い順)より参照

労働生産性とは、新しく生み出された価値(粗利)を投入した人数で割って一人あたりの効率性を見るものです (国民一人あたりの労働生産性=GDP(国内総生産)÷ 就業者の数) 。

また、新しく生み出された価値(粗利)を人数×時間で割ると、一時間あたりの効率性を見ることができます。

1日8時間で計算した場合、日本より一ヶ月以上も短く働く国でも、一人あたりの生産性が日本を上回っていることがわかる統計です。これを見れば、働く時間や日数が多ければ良いとは言い切れないということがわかります。

「休みをとる」ことの6つのメリット

また、しっかり休みを取ることには、以下のようなメリットがあります。

  1. リフレッシュ(リセット)できるため仕事へのモチベーションが戻る
  2. 仕事をする日常とは異なる経験ができるため視野/発想が広がる
  3. 活動範囲が広がり体験の種類が増えることで自己発見も増える
  4. 仕事にも活かせるスキルアップも可能
  5. 普段関わらない人、出会えない人との接点が増え、人脈が広がる
  6. 他のメンバーの休暇をフォローすることで仕事力が上げられる

休む目的が、リラックスだとしても、遊びだとしても、それは決して無駄になることはありません。仕事の能力や生産性を上げて活躍することにもつながる大事な要素なのです。

みんな休暇で何をしている? 国内外の休み方事例2選 

もし、一週間の休みがとれたとしたら、あなたは何をしたいですか? もしくは、一ヶ月だったらどうでしょう?

ここで、長期休暇の週間がある海外の人や、1~2週間の休暇を取っている日本人がどんな休暇を過ごしているかをご紹介します。

<事例1> 海外の人たち(3~5週間)

EU諸国では、法律で年間4週間の休暇取得が義務付けられています。ヨーロッパの人たちにとって、一年のうち週単位の休みを取ることはごく一般的なことです。フランスでは、一度に5週間の有給休暇を取る権利まで法律に守られています。

欧州各国の雇用制度一覧を参照。

その休暇で何をするかといえば、リゾート地に出かけてのんびり過ごす人が多いです。滞在期間が長いため、自炊できるコンドミニアムや一軒家を借りることも少なくありません。そうすれば宿泊費や飲食費を抑えることができますよね。

陸続きの国が多いので、鉄道やキャンピングカーで数カ国をまたぐ旅をする人もいます。都市部に住む人の中には、休暇中は田舎に移動して非日常を満喫する選択をする人も多いです。

私も旅先でいろいろな国籍の人と出会ってきましたが、海外の人たちは「気ままでのんびり」した旅を楽しんでいる印象があります。そもそも一ヶ月丸々休んでも職をキープできる、しかも有給という点に唖然としてたんですけどね。

<事例2> 日本人の場合(1~2週間)

日本人の中にも、長い休暇を有意義に使う人たちが増えてきました。時間を自由に使えるわけですから、普段会えない友人や家族のスケジュールに自分が合わせることで会う機会を作っている人もいます。青春18きっぷを使ってじっくり国内を巡るという休暇の使い方もいいですね。

数日間のまとまった時間が必要なスキューバダイビングやヨガのリトリートなど、資格取得や講座・イベントに参加することもできるでしょう。行きたいライブやフェスと観光をセットにしてトンボ返りの必要性を無くすこともできます。最近では、休暇を使って副業を頑張っている人も増えているようです。

好きなことに仕事を挟まず没頭できるのが長期休暇のメリット。映画三昧、DIY、絵を描く、写真を取りまくる散策、読書、楽器の練習など楽しみ方は多種多様です。

2週間あれば、海外に足を伸ばしても、弾丸旅行よりは確実にじっくり現地を味わうことができそうですね。

「休む」といっても何をすればいいかわからない

休みを充実させるといっても、いったい何をすればいいの? と困る人は少なくありません。

忙しいことが習慣となり、休み慣れていないのであれば無理もないでしょう。毎日やることと考えごとに忙しくて疲れてしまい、新たに何かしようという意欲が湧かないということも考えられます。

細かいことは決めずに、環境だけでも変える休みを考えてみませんか? それだけで、行動も思考もごっそり変化させることができます。

  • いつもと違う長居できるカフェ。
  • 気になっていたホテルの一室。
  • 近くの静かな自然いっぱいの場所。
  • マッサージやリラクゼーションの長めのコースを選択
  • あれこれアクテビティを入れない小旅行・海外旅行もおすすめです。

ボーッとするためだけに移動費や宿泊費なんて…と抵抗があるかもしれません。でも、そんな休暇からも前述したようなメリットが得られるのです。海外の人たちの気ままでのんびりな休暇の過ごし方に似ています。

身体も心も思考もしっかり休めて充電できたら、スッキリした気持ちと思考で仕事に取り組むことができ、進捗も良好になります。そのサイクルが体感できるようになったら、きっと今度はあんなことがしたい、次はここに行ってみようって浮かんでくるようになると思いますよ。

仕事次第ではなく休み基準で計画しよう

忙しい仕事に追われ、今月3連休があることに当月になって気付く。そのうち仕事が暇になったら、有給で連休を取ろうと考える。

このように仕事次第で休みを考えると、その休みが計画倒れになる確率が高くなります。

休めても、充実とは程遠い時間を過ごしてしまいがちです。

休みを先に計画して、休み基準で仕事の計画を立ててみると、いろんなメリットがついてきます。

  • 事前に十分な情報収集ができる
  • 事前に決めれば早割などで安く上げることも可能
  • 事前の休暇計画に合わせて仕事の調整ができる
  • 早くに職場の人たちに知らせるので周りもそのつもりで動ける
  • その休暇を楽しみにしながら毎日の仕事も頑張れる
  • 結果、仕事から離れ、心置きなく休暇を過ごすことができる

時代は休み方が上手な人が評価される方向に動いています。あなたも年間カレンダーを広げて、元気の源になる休みの計画を立ててみてください。「休み=怠惰」という考え方をやめて、毎回楽しみになる「長めの」休暇を取っていきましょう!


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