身近なところから始める業務の効率化・改善をすすめるコツと考え方

日々仕事をする中で、定期的に発生する作業や業務はたくさんありますよね。そのなかには、「ずっと前から同じやり方で続けているけれど、本当はもっと効率的なやり方があるのではないか?」と思っている作業や、ちょっと面倒くさいと思っている業務はありませんか?

実はそういったなかには、ちょっとした効率化や改善のタネが隠れているものです。今回の記事では、日常的に行なっている業務や作業を対象に、身近なところから始められる効率化や改善の進め方を、実例を含めつつご紹介します。

1. 日常的・定期的に発生する業務を棚卸しする

業務の改善で最も重要なのは、毎日、もしくは定期的に行なっている業務や作業内容を見直すことです。「自分の仕事内容くらいちゃんと把握している」と思うかもしれませんが、実際にリストアップしてみることが大切です。

その際には、以下の点もあわせて書き出してみてください。

  • 繰り返し行っている作業・業務の内容
  • 発生頻度・発生するタイミング
  • その作業・業務にかかる時間

実際に手掛けた業務改善の書き出し方の例とタイミング、目安の時間を挙げると、以下のようになります。

  • 見積り依頼メールの作成 プロジェクト開始時 1通5分
  • 価格改定作業 3か月ごと 業者ごとに数時間~丸2日
  • 売上集計 毎日 1~2時間

「え、そんなことでいいの?」と思うかもしれませんが、今回やろうとしていることは、会社や部署を挙げての効率化・改善プロジェクトではありません。
「毎日の業務を少しでも楽にしたい」「ミスを減らしたい」と思うものがあれば、どんな些細なものでも構わないので、とにかく思いつくものは片っ端から書き出してみましょう。

2. それぞれの作業・業務における問題点を洗い出す

業務の効率化や改善を図るには、当然ですがムダやミス、問題が発生する原因がどこにあるのかをきちんと見極める必要があります。

しかし、原因を見極めると言っても、一体どこから始めればいいものか、なかなかわかりませんよね。業務や作業における問題点を洗い出す際には、以下の点に注目してみてください。

  • どのようなミスがよく起きるのか
  • 作業や業務を行う上でどのようなことで困っているのか
  • 面倒くさいな、もっと楽にできたらな、と思う点

洗い出している最中に解決策が浮かぶかもしれませんが、ひとまずどこかにメモするなどして、まずは問題点を挙げる作業に集中しましょう。

前の章で紹介した改善案件の洗い出しで実際に出てきた問題点は、それぞれ以下のようなものでした。

  • 見積り依頼メールの作成

<問題点>
― 同内容のメールを何通も書かなければならない
― メールに盛り込むべき内容を書き忘れることがある

  • 価格改定作業

<問題点>
― 既定のExcelファイルに膨大な数のデータ(数十件~数百件)を入力しなければならない
― PDFを見ながらの手入力が多いため、入力ミスが発生する
― 価格の計算表が煩雑で使いづらい

  • 売上集計

<問題点>
― 売上データを目視して手入力しているため、入力ミスが発生する
― 返品やキャンセルが発生した場合、後から誰かが売上データを手作業で修正・変更することがあり、最終的な数字と合わなくなる
― 売上の集計表が使いづらく、入力する場所を間違えたり、定期的に計算式が正しいのかどうかを確認しなければならない

今回やろうとしている効率化・改善は、会社や部署を挙げてのプロジェクトではありません。自分の業務をよりやりやすくするためのものです。ですので、できるかどうかはとにかくとして、「この部分が大変だ」「ここでミスが起きるんだよな……」という点はとりあえず全部挙げてみましょう。

3. 問題を解決するための手段を探す

問題点がわかれば、あとはそれを解決するだけ! ……と言いたいところですが、そう簡単に解決できないからこそ、効率化や改善は難しいものです。

ここでの考え方のポイントは、「どこがどうなったら楽できそうか」「何が面倒くさくて、どうなれば面倒くさくなくなるのか」を考えることです。ちょっと邪道に聞こえるかもしれませんが、身近な業務の効率化や改善は、結局のところ自分の仕事を楽にするためのもの。

ですので思いっきり開き直って、どうすれば楽に作業ができるようになるのか考えてみてください。

また、基本的に人間が手を動かして何かをすると、時間がかかってミスが発生しやすい、というのもポイントです。逆に言えば、極力自分の手を動かさずに作業が完了する方法はないだろうか、と考えてみるとヒントが見えてくるかもしれません。

ここからは実際に思いついた解決策をご紹介します。

  • 見積り依頼メールの作成

<解決策>
― 同内容のメールを何通も書かなければならない
― メールに盛り込むべき内容を書き忘れることがある
よく使うメッセージは短縮読みで単語登録する(例:よろおね→よろしくお願いします、いつおせ→いつもお世話になっております など)
必要な内容を盛り込んだ定型文を作って使いまわす

  • 価格改定作業

<解決策>
― 既定のExcelファイルに膨大な数の商品データ(数十件~数百件)を入力しなければならない
データベースから商品データ一覧を取得してコピペする
― PDFを見ながらの手入力が多いため、入力ミスが発生する
PDFの元になるExcelファイルを貰ってコピペする
― 価格の計算表が煩雑で使いづらい
使いやすくなるように表を作り直す

  • 売上集計

<解決策>
― 売上データを目視して手入力しているため、入力ミスが発生する
― 返品やキャンセルが発生した場合、後から誰かが売上データを手作業で修正・変更することがあり、最終的な数字と合わなくなる
売上データの一覧をデータベースから取得してコピペする
― 売上の集計表が使いづらく、入力する場所を間違えたり、定期的に計算式が正しいか確認しなければならない
集計表をわかりやすいものに作り直す

上記の内容は、当たり前と言えば当たり前の内容かもしれません。しかし、前任者から「こうするように」と教えられている場合、そのやり方が固定観念となってしまい意外と別のやり方が思いつかないものです。

また、メールの定型文の使い方がわからない、データベースから一覧を取得する方法がわからない、Excelに詳しくないので既存の表をいじれない、などという理由から敬遠したり躊躇していたりすることもあるかもしれません。

4. 見つけた手段を実際に試してみる

問題に対する解決策を思いついたら、まずは簡単な部分から実際に試してみましょう。

たとえば文書作成系であれば、テンプレートを作成する、短縮読みを単語登録する。Excelで使いづらい計算表がある場合は、どうすれば使いやすくなるのか・見やすくなるのかを検証する。ツールの使い方がわからなくて困っているのであれば、詳しい人に使い方を教えてもらう。

このようにして新しいやり方で業務や作業を行ってみることで、本当に効果があるのかどうかがわかりますし、更なる改善点に気づくきっかけにもなります。

ちなみに例として紹介していた改善案件ですが、前の章で挙げた解決策を適用した結果、以下の効率化を達成しています。

  • 見積り依頼メールの作成 1通5分 → 1通2~3分
  • 価格改定作業 3か月ごと 業者ごとに数時間~丸2日 → 業者ごとに30分~半日
  • 売上集計 毎日 1~2時間 → 毎週 30分(月30~60時間→月2~2.5時間)

メールについてはあまり大きな成果とは思えないかもしれませんが、必要な情報を初めに伝えておくことで、その後のメール件数が大幅に減りました。また、Excel関連の効率化については「効果がありすぎて逆にヒマになってしまった……」とうれしい悲鳴を上げるまでの結果を出すことができたのです。

5. 千里の道も一歩から!変更は少しずつ様子見しながら加えていこう

画期的な改善案を思いついたなら、すぐに全部実行してしまいたくなりますよね。しかし、急がば回れという言葉があるように、すべてを一気に変更するのはあまり良い考えではありません。

というのも、メールの書き方やExcelの入力方法を変えるなどのちょっとしたテクニックであれば、あまり周囲に大きな影響が出ないからです。

けれどExcelの表を大幅に変更する場合、一度にあれもこれも変更しようとするとエラーが大量発生する可能性が高くなり、またエラーの原因を見つけるのも難しくなります。

そのような状況を回避するためにも、急がば回れの精神で、解決策をひとつずつ確実に適用していくようにしましょう。

また、その改善案を適用することで、別の人にも影響が出る場合はどうでしょうか? 他の人の作業に影響が出るのであれば、その人に説明をして協力を依頼しなければなりませんし、そもそも、その効率化や改善を本当に実施してもいいのか、上司に相談する必要があるかもしれません。

他にも、会社によっては指定されたツールやソフトウェア以外の使用が禁止されていることがあります。便利だからと言って勝手に好きなツールやソフトを業務で使ってしまっては、後々問題になってしまう可能性もあるでしょう。

ちなみにかなり極端な例ではありますが、とあるプログラミングに長けた人が、

  • 毎日手作業で1~2時間かかっていた
  • 手作業のため恐ろしくミスが発生しやすい
  • 業務上とても重要な作業であるためミスは許されない

という作業を、数十行のプログラムでミスなく数分で完了できるようにしました。それによって、これまで作業を担当していた従業員たちが早朝に出社しなくてよくなり、とても喜ばれたようです。

しかし、その人は昔かたぎな上層部に相談なく実行してしまったがために問題となってしまい、紆余曲折の末に会社を辞めるハメになったという、なんともびっくりな実話もあります。

効率化・改善を周囲に広めるのであれば、まずは事前に最低限の根回しや説明は必須です。人によっては新しいやり方を取り入れることに難を示すことがあるため、「こんないいやり方があるよ」と伝えても、旧来の非効率的なやり方を続けたがるかもしれません。

そういった場合には「どうして教えたやり方でやらないの?」とつい思ってしまいがちですが、「この人には合わなかったんだな」と考えて、自分のやり方を押し付けないように注意しましょう。

6. Excel作業で使える便利な関数

最近ではさまざまなシステムやアプリなどが出てきていますが、やはりExcelやスプレッドシートなどといった表計算ソフトは、集計作業や統計資料作成に向いています。

表計算ソフトを活用するというと、関数やマクロという言葉が思い浮かび「私には無理だ……」となる人が少なからずいます。しかし、実はいくつかの関数や計算式を覚えるだけで、びっくりするほど使いやすくなるのです!

この章では、私がこれまでに実際に活用してきたもののなかから、特に便利な5つの関数を紹介します。

SUM(範囲1,範囲2,…)

指定した範囲の合計を出すときに使う関数です。「,」で区切ると、複数の範囲を指定することができます。

:SUM(A1:A20,C1:C20)
A1からA20の範囲とC1からC20の範囲すべての合計を出す

SUMIF(検索範囲,検索条件,合計範囲)

指定した検索範囲内で検索条件と合致するものがあった場合、合計範囲内の数字を合計してくれる関数です。

:SUMIF(A:A,”大坂”,B:B)
A列のデータに大坂という文字列が含まれる場合、B列にある該当業の数字を合計する

ちなみに検索条件は、数値の場合はそのままでも問題ありませんが、文字列の場合は「”」で囲まなければならないのでご注意ください。

IF(条件,条件が正しい時の結果,正しくない時の結果)

条件が正しいかどうかで、異なる表示をしたい際に使う変数です。

:IF(A1=B1,”OK”,”NG”)
A1の値とB1の値が等しい場合OKと表示し、等しくない場合はNGと表示する

vlookup(検索条件,検索する範囲,列番号,検索方法)

この関数は、大きな表からデータを検索し、抜き出したい場合に使います。

:売上一覧の中から、オーダー番号に対応したデータを抜き出す

この関数を使用する際の注意点は以下のとおりです。

  • 検索対象は検索範囲の一番左の列
  • 列番号は検索範囲の一番左の列を1として何番目にあるのかを指定する

:A列からG列までを検索範囲としていて、D列のデータを抜き出したい場合は4を指定する

  • 完全一致で検索したい場合は、検索方法にFalseで指定する

慣れないうちは難しく思える関数ですが、覚えるととても便利なので、ぜひ使ってみてください。

まとめ

業務の効率化や改善と聞くと、何か特別なことをしなければならないように考えてしまいがちです。ですが実際のところ、ちょっと面倒だなと思っている作業やミスが発生しやすい業務のやり方を見直してみることで解決するケースも少なくありません。

また、実際に効率化や改善の作業は予想外に大変であることが多いものです。しかし、ここをがんばって乗り越えることで、将来的に大きな実りを得られるのです。

一時の苦労で、その後ずっと楽になるんだと考えれば、うれしくなりませんか?

さらに、同じ効率化・改善のテクニックを他のものにも適用できることも意外と多くあります。ぜひ身近なところから業務の効率化・改善に取り組んでみてください。

参考記事

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