チームメンバー全員が能動的に動くための方法のひとつとして「ホラクラシー組織マネジメント」を検討してみませんか?

プロジェクトの成功は、メンバーがいかに能動的に動けるか、にかかっている

当たり前のことですが、プロジェクトは複数名のメンバーによって構成されます。プロジェクトが成功するか否かは、プロジェクトリーダーひとりだけの力にかかっているわけでは決してありません。ひとつのプロジェクトを成功させるためには、メンバーが個々に力を発揮して能動的に動くことが重要であると同時に、それを取りまとめるリーダーはそれを可能にする環境の構築が大変重要であるといえます。
今回は「プロジェクトチームのメンバー全員が主体的で能動的に動けるようなチーム作りをどう進めたらよいのか」を考えます。

事例紹介:某企業のIT機器大規模リプレースプロジェクト(全国展開作業)の場合

全国に支社を持つとある大企業で、全国的にIT機器(PC・サーバー等)のリプレースが予定され、あるITソリューション企業に対して導入支援を依頼しました。全国の約200支社に対して、3000台を超える機器の入れ替え(リプレース)作業を行なう大規模更改プロジェクトが立ち上がりました。

経過、あるいは原因:懸案事項はメンバーの受動的な姿勢

現在使用中であるIT機器のリース満了日が決まっていることから、リプレースの時期も早くから決まっていました。しかし、クライアントの方針がなかなか定まらず、決定事項が覆るという状況に陥り、全体のスケジュールも徐々に遅延していきました。

ただでさえ急いでリカバリーをしなくてはいけない中、プロジェクト内では、新たな課題に悩まされていました。それは、プロジェクトメンバーの中に受動的なメンバーが多く、能動的に動けるメンバーが少なかったという点です。モチベーションの違いからか、遅くまで残業するメンバーと定時でさっさと帰宅してしまうメンバーに二分されてしまっていました。このままでは、残業するメンバーからは不公平感が強まり、チーム全体のモチベーションに大きな影響を及ぼしてしまいます。

知識化する:メンバーが能動的に動くために、ホラクラシー組織を導入する

ホラクラシー組織とは

このチームの問題点は、スケジュールの遅延よりもむしろ、能動的に動けないメンバーが多いことです。受動的なメンバーに「能動的に行動してください」と指導して改善されるものかというと、非常に難しいといえます。そこで、このプロジェクトではこの状況を打破するために「ホラクラシー組織マネジメント(自己組織型プロジェクト管理)」を導入しました。

ホラクラシー組織とは、トップダウンで命令が行われるヒエラルキー組織とは異なり、プロジェクト内でいくつかの小さなチームを結成し、各チームが自主的に関わりあってプロジェクトを組織するものです。ヒエラルキー組織が上から下に命令を下すのに対し、ホラクラシー組織は「自律したサークル」のように人間関係を並列の関係に置き換え、各担当に役割を果たすための責任を持たせています(参考:https://nulab-inc.com/ja/blog/nulab/project-management-and-team-building/)。ホラクラシー組織の考え方は、2007年にアメリカのソフトウェア会社の創始者であるBrian Robertson(以下ブライアン)氏により提唱されました。それが靴の通信販売会社のザッポスに取り入れられたことで注目を集め、今ではAirbnbやEvernoteといったシリコンバレーの複数の企業が導入しています。日本でも、ITベンチャーを中心に導入されている企業がいくつかあるそうです。

プロジェクトにホラクラシー組織マネジメントを導入した結果

このプロジェクトにホラクラシー組織マネジメントを導入し、上長はチームに権限を委譲しました。各作業工程の管理や決定等は基本的にチーム内で行います。上長の承認を得るのではなくチーム単位で決定していくため、メンバー間でコミュニケーションをとり調整を進めることが不可欠となります。プロジェクトチームの個々のメンバーに、その役割に応じた意思決定権が与えられたため、今まで受け身であったメンバーも自分の頭で考え、自律的に行動するきっかけとなりました。そして、上司と部下がよりフラットな階層で議論できる状況も合わせて作りました。すると、ひとりひとりの発言が活発になり、チームワークも円滑になっていきました。上長承認というステータスがなくなった分の必要な工程が減り、決定事項もよりスムーズに進み、遅延していたスケジュールを取り戻すことができました。

社会性と広がり:プロジェクトを成功に導くホラクラシー組織の特徴とは

プロジェクトメンバーにはひとりひとりに様々な考え方や価値観があるので、プロジェクトにおいて目標を達成することは決して容易ではありません。そのため、チーム全体でひとつの目標を達成するためには、共通認識と高いマインドが必要です。ホラクラシー組織の中では、メンバーは常にプロジェクトやチームの問題を意識し、その解決策を他のメンバーとともに考えています。このことが、共通認識を共有できているかを常に確認し、また常に高いマインドを保つことにつながっているのではないでしょうか。ホラクラシー型組織で重要なのは、部長や課長といった肩書きではなく「役割」そのものです。自ら考え判断する能力が問われます。

この組織上ではプロジェクトリーダーというポジションもあくまで「役割」であり、フラットな関係です。決定権のある上司がいないことによって、判断に迷うメンバーがでてくるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。それは上司がいないから迷うのではなく、判断する知識や能力をまだ備えていない、というだけだと考えられます。その場合はわからないメンバーが無理に判断せず、わかるメンバーに相談するという点に尽きるということです。従って上司という固定化された役割はここでは必要ないと考えます。

ホラクラシー組織マネジメントが全てを解決するわけではない

今回はプロジェクトの問題を解決するために「ホラクラシー型」の組織マネジメントを適用しましたが、決して「ヒエラルキー型」の組織マネジメントが悪いというわけではありません。それぞれの組織体制にはメリットもデメリットもあります。ホラクラシー型組織のデメリットを挙げるとすると、日本企業の従来の仕組み(ヒエラルキー型組織)とは全く異なるため、フラットな組織に順応できない可能性もあります。また、特に新入社員の頃は先輩から仕事を教わるという文化が根強く存在するため、仕事のノウハウや技術の継承を行ないづらい可能性も考えられます。

プロジェクトは事業内容や構成メンバーによっても状況が異なるため「こうすることが正解」と一概に言えるものではありません。会社の文化、背景、業務内容などにあわせて適用し、柔軟に対応していくことが大事です。
プロジェクト管理やチームの作り方は、必ずしもひとつのやり方が正しいわけではありません。ただ一番大切なことは、メンバーひとりひとりの個性を見極め、メンバーがモチベーションを保てる環境づくりを進めることなのではないでしょうか。

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