元外資系社員が語る「”やりたいこと”がない人こそ大企業へ行くべき」論とは

新卒で大企業へ行くべきか、ベンチャーへ行くべきか。これはここ十数年常に話題になっているテーマです。

  • 曰く、大企業は福利厚生が豊かで安定している。しかし、裁量が小さく実力が身につかない
  • 曰く、ベンチャーは即戦力として実務経験が身につく。しかし、将来性やキャリア構築に難がある

表裏一体とも言える両者の特徴を挙げ、いまだに多くの人が持論を展開しています。最近では、「新卒でフリーランスとして働くべし!」と唱える人もいます。

厳密に議論をするなら、これらに答えは出せません。大手とベンチャーと一口に言っても、会社によって体質は全然違う上に、個人の志向や適性によっても選ぶべき選択は異なるからです。判断するには前提条件が不足していると言ってもよいでしょう。

しかし、これから社会人になろうとしてる学生、あるいは早々に転職を考えている社会人にとって、「大企業かベンチャーか論」は切実な問題です。ここであえてどちらかを選ばないといけないとするなら、私は「“やりたいこと”がない人は、大企業へ行くべき」と断言します。それが結果的に、将来の自分を助ける可能性が高いと考えるからです。

この記事では、“やりたいこと”がない人こそ大企業へ行くべきという、その理由を解説します。

“なんとなく大企業”の新卒は多い

大手に入った新卒の学生や若手社会人と話すと、「なんとなく大企業へ入った」という人が驚くほど多いことがわかります。

  • 知名度と給料で選んだ
  • ホワイト企業だと聞いた
  • 働いている人がキラキラ輝いて見えた

などなど。

就活が始まってから企業の評判を友人や先輩から聞き集め、評判をもとに良さそうな企業をリストアップ。そして、片っ端から選考を受け、総合商社や広告代理店、マスコミや外資系金融など、誰もが羨む企業から内定をもらえたら“勝ち組”。そういう発想で就活をしていた人は非常に多いです。自分の描く将来像から逆算をしていまのキャリアを選ぶという人の方が稀です。

就活時点で自分のやりたいことが見えていないというのは、決して珍しいことではありません。ほとんどの就活生は、就活が始まって初めて自己分析をします。自分を構成するエピソードを拾い上げて作った自分像と“評判の良い”企業カタログを見比べる。そうするうちに、「これぞ自分のやりたかったことだ!」と思える企業が見つかって、そこに応募する。落ちたらまた企業カタログとにらめっこをして、次に受ける企業を見つける。これが一般的な就活生のパターンです。

しかし、こうした人々は入社してから自分のキャリアに思い悩むことになります。なぜなら、企業カタログに書いてある仕事を自分の“やりたいこと”と同一視した場合、実際の業務をする中でそのギャップに嫌でも気づかされるからです。

思ったより地味。思ったよりしんどい。思った仕事をできるのはごく少数。企業PRの文言はきれいな部分しか見せていないため、そのキラキラした部分に憧れていた人は、現実とのギャップに疲弊していきます。

また、自分の適性に気づかされるということもあるでしょう。人と触れ合うのが好きだから営業に向いていると思った人が、想像以上のストレスにやられてしまう。ものづくりが好きだからと新卒でエンジニアになったものの、全然ついていけずエクセル職人になってしまう。入社前に考えていた自分の“得意”や“好き”が、現実の業務の中でそうでもないことに気づくということは、珍しくありません。

こうして大手企業に入った新卒は、入社して1~3年くらいで「本当にやりたいことはここにはない!」と転職していきます。私自身、このような人々をたくさん見てきましたし、相談を受けることもよくあります。むしろ、「今の仕事が充実しているから、このままずっとここで働きたい」と言う人の方がごく少数です。

なんとなく大手に入った新卒は、入ってから悩むことが多い。この現状を話すと、「やっぱり新卒でなんとなく大手なんて行くべきではない!」「大手に行くのは思考停止だ!」と思う人もいるかもしれません。しかし、私が言いたいのはそこにはありません。むしろ、逆です。やりたいことや適性が見えない人こそ、大手に行くべきであると考えています。

自分のやりたいこと・適性が新卒時点で見えないのは当たり前

やりたいことがない人、自分の適性が見えない人ほど大手へ行くべき。その理由は、“自分”は働く中で見えてくるものであり、まだわからない段階では大手の方が後の選択肢が広がるからです。

やりたいことや適性がわからない。それだけ聞くと「自分のこともわからないなんて」と思うかもしれません。けれど、これはいたって健全です。自分の志向性や適性など、そう簡単に見つかりません。ましてや、バイトやサークルに打ち込んでいた人ならなおさらです。

いろんな人に関わりながら、自分のできることを見つけて必死に取り組む。自分のしていることに葛藤したり、人と協力する中で自分の価値を感じられたり。そうしたリアルな経験を積み重ねる中で、初めて”自分”というものが見えてくるのです。

私自身、働いてみて自分の適性に自覚するということがありました。外資系IT企業に入ったとき、初めは将来的にプログラミングスキルを活かしていくことを視野に入れていました。ゼロから何かを作るのは好きでしたし、プログラミングにも苦手意識はなかったからです。

しかし、実際に働く中で気づいたのは、「そこまでプログラミングにハマれないな」ということでした。一方で、“いろんな人を巻き込んでプロジェクトを前に進めること”が得意であることも同時に実感しました。課題を吸い出し、必要な情報を整理し、それが解決できる人に協力してもらいながら仕事を進める。こちらの方が遥かにやりがいを感じ、自分自身のバリューも発揮できたのです。

そう自覚してからは、自分の適性に合わせてリソースを割くことを意識してきました。実際に、いまいるベンチャーではプログラミングをすることなく、知識と経験を活かしてプロジェクトマネジメントや新規事業の立案を行っています。

私のように、「実際に働いてから自分がより鮮明に見えてくる」事例は決して珍しいものではないと思います。哲学者、和辻哲郎は人間を「個人と社会の両面を持つ“間柄的存在”」であると論じました。就活マニュアル片手にいくら自己分析しても、リアルな自分は見えてきません。社会に出ていろんな人の間で揉まれながら、初めて見えてくるのです。

大手企業最大のメリットは、「選択の自由度」を高めてくれること

自分のやりたいことや適性が見えていない人でも、それは社会に出る中で段々と見えてきます。そうなると現れるのが次の段階です。それは、「これがしたい!」「この専門性を身に着けたい!」という想いが自分の中から湧き上がってくる段階です。そして、自分の進みたい道が決まったときに、選択の自由度を高めてくれるのが大手企業の最大のメリットです。

大手企業に入ると、“入社後のキャリア選択の幅が広がる”ことになります。その理由は、大きくわけて以下の3つあります。

  1. “元大手”の肩書が評価されやすい
  2. 教育カリキュラムがしっかりしている
  3. 幅広い人々とネットワークを作りやすい

もちろん、大手と一言で言っても業界や企業、採用職種によって特徴は千差万別です。けれど、上記で挙げたような一定の傾向はあります。

よく、「ベンチャーから大企業に入るのは難しいが、大企業からベンチャーに入ることは簡単だ」ということが言われます。エンジニアのように即戦力が求められる職種では実際のスキルが求められるため一概には言えませんが、評価されやすいというのは確かです。「大手に入るポテンシャルがある」「しっかりと鍛えられてきた」というシグナルとして機能するからです。

また、大手出身であることが役に立つのは転職だけではありません。フリーランスとして活動するのにもとても役立ちます。私自身、いちフリーランスとして仕事を受けることがありますが、前職が信用を得る大きな助けとなっていることをひしひしと感じます。

このように、大手に入社しておくと、転職するにしても独立するにしてもその肩書や経験を利用して選択の幅を広げやすいというメリットがあります。「どうしてもこれがやりたい!」というものが見つかったときに、その道へ進む手助けとなってくれるのです。

ただし、一つ注意点があります。それは、入社時の業種・職種は慎重に選ばなければいけないということです。大手は選択の自由が効きやすいということを述べましたが、だからといって万能ではありません。まったくの未経験業種・職種への転身にはハードルが上がります。

例えば、広告代理店からWEBマーケターに、エンジニアからコンサルタントにといった、関連性のある職種へのキャリアチェンジは比較的容易です。求められる知識・スキルセットに重なる部分が大きいからです。

けれど、例えば銀行員からWEBエンジニアのように、まったくの異業種へ移るのは簡単ではありません。仮にできたとしても、それまでの社会人経験を評価されず新卒と同様の条件からスタートするということもあります。

そのため、「一生この道で生きていく」とまでは言えなくとも、将来的な転身を見据えた企業選びが大切になります。

まとめ

この記事では、「“やりたいこと”がない人こそ大手に行くべき。自分の適性が見えないのなんて当たり前だし、それは働く中で見えてくるもの。そして、大手に入っておけば、自分の進みたい道が見つかったときに転身しやすくなる」ということを述べました。

大手大手と言うのもいやらしいようですが、ビジネスマンである以上、それまでのキャリアは無視されないというのが現実です。特に、看板を持たずに一人でビジネスをしようとしている人の場合、まずは「話を聞いてもらう」だけの信用を得なくてはなりません。皮肉にも、独立してからの方が古巣に助けられるということは珍しくないのです。

大手に入ることは、将来的な選択肢を増やすことに繋がる。あなたが大企業かベンチャーかで迷っているとき、ぜひこの考えを参考にしてください。

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