「ビジネスフレームワーク」と言えば、社会に出て活躍しているビジネスマンにとっては誰しも知っている常識的な概念ですよね。ではビジネスフレームワークについて説明してみてくださいと言われたら、あなたは答えられますか?
おそらく、「ビジネスをする上で必要な大枠」や「4Pとか3Cでしょ」などと曖昧に答える人が多いのではないでしょうか。
そこで今回は改めてビジネスフレームワークはどういうものなのか、また代表的なものとしてどのようなものがあるのかについて詳しく見ていきたいと思います。
ビジネスフレームワークとは?
早速ですが、ビジネスフレームワークという言葉について確認していきましょう。
ビジネスフレームワークという言葉の理解を深めるために、まずは言葉を分解して考えてみましょう。ビジネスとは仕事や業務のことをさし、フレームワークとは骨組みや構造、仕組みのことを表します。まとめてみると、仕事の骨組みという訳になります。様々な問題や状況などをビジネスフレームワークという枠に入れ込むことによって、現在の状況や課題などを簡単に見える可できるようにすることが、ビジネスフレームワークが果たす役割です。
またビジネスフレームワークは多数存在しています。そのため算数や数学の公式のように、自分にあった状況を把握して、それに対する公式を利用することによって、多くの時間をかけずとも課題や問題を解決できるヒントを得ることができます。またなにより公式の使い方が決まっているように、手順ややり方などはほとんどが公式化しているため、ビジネスフレームワークを用いて、どこまで深められるかが問題解決への鍵になると言うことができるでしょう。
また余談になりますが、フレームワークを使って問題解決に取り組む思考のことをフレームワーク思考と言います。ロジカルシンキングや左脳思考などのような考え方は大変有名だと思いますが、フレームワーク思考という言葉はまだまだ聞いたことがない人が多いかと思います。最近では徐々に浸透し始めているので、今のうちに意味などを押さえて置いて損はありません。ぜひ覚えておきましょう。
ビジネスフレームワークを使うメリット
ここからはビジネスフレームワークを使うことによって得ることのできるメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。まずはメリットから見ていきます。
課題や問題点がより客観的に見える
もちろんビジネスフレームワークを使う第1の目的としては、課題や問題点をより見えやすくすることです。主観ではなくその外側、客観的にものを見ることができるので、いつもとは違った視点を持って考えることができます。またビジネスフレームワークは図示できるものなので、プレゼンなど相手に説明をする際にも有効的に活用できます。
時間の短縮にもつながる
ビジネスフレームワークの最大の特徴と言えば、課題や問題点を可視可して思考を整理できる点です。そのため何かと考え込んでしまう前に、フレームワークを利用することで、解決へのヒントを得ると同時に、時間の短縮もつながります。
メンバーとの共通認識を作ることができる
メンバーに話を共有しても、人は自分とまったく同じ考えを持っていないので、どうしても食い違いが生まれてしまいがちです。しかしビジネスフレームワークを使った場合、必要な情報しか書かれていないので分かりやすく、全員の向かうべき方向をそろえることができ、メンバーとの共通認識を持つことができます。
ビジネスフレームワークのデメリット
続いてデメリットを見ていきましょう。
固定概念に縛られてしまう
ビジネスフレームワークを使って課題や問題点を簡単に捉えることができる一方で、ある種固定概念に縛られてしまう可能性があることを覚えておいてください。
ビジネスフレームワークのみでしか課題や問題点を捉えるこができなくなるため、周りの状況がみえづらくなってしまいます。そのためその他にも考えることのできる課題や問題点に気付く事が出来なかったり、話を深めることができない危険性もあります。
フレームワークごとに使い方を覚える
もちろん汎用的で便利なツールとして様々な人に利用されていますが、ビジネスフレームワークは一種類ではなく、多数存在しています。フレームワークを使ったことがない人ほど、全てのフレームワークにあてはめて考えようとする人がいます。そのような人ほどドツボにはまってしまい、何の解決にもつながりません。まずはどのようなケースにどのフレームワークが利用できるか、ある程度の理解が必要です。
直感やひらめきが生まれにくい
ビジネスフレームワークを利用することで固定概念に縛られてしまい、誰がやっても同じような答えが出る可能性が高いです。つまり言い換えると、フレームワークでしか考える事ができなくなるため、人が驚くようなアイデアやひらめきを生み出しにくくなります。どちらとものバランスをとりながら問題に取り組むのが最近では良いとされています。
代表的なビジネスフレームワーク5選
ここまでビジネスフレームワークとメリット・デメリットについての確認をしてきました。ここからは実際に代表的なビジネスフレームワークをいくつか紹介していこうと思います。ここで紹介をするものは、よくマーケティングのフレームワークとしても使われることが多いので、覚えておきましょう。
4P
4Pとは
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販売促進)
この4つの頭文字をとったものを4Pと呼んでおり、マーケティングミックスとも呼ばれています。企業側が顧客側にアプローチする際に、どのような手法をとることができるのかを分析することができるフレームワークです。それぞれを組み合わせて、きちんと絡み合わせることで効率的でなおかつ効果的なマーケティングができます。また4Pは売り手目線のフレームワークと呼ばれることが多く、よく4Cとセットで紹介されることが多いです。
4C
4Pでも書いた通り、4Pとあわせて使われることが多いのが4Cです。4Cは、
- Customer Value(顧客価値)
- Cost(経費)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
の4つの頭文字をとっています。4Cは売り手目線の反対、買い手目線で考えるフレームワークになっています。4Cが生まれた経緯としては時代の変化にあります。以前はものを作れば売れる時代でしたが、最近では1人1人の顧客の視点に合わせた顧客主義に変わってきたことで、4Cが提唱されるようになりました。よくどちらが大事なのかという話が上がるのですが、どちらもビジネスをする上では必要な価値観になっているため、どちらのフレームワークにもあてはめながら考えていくことが必要です。
3C分析
3C分析とは、自社のリソースや強み、外部環境・競合を分析することで、どのセグメントで事業を進めていけばいいのかを明らかにすることができるビジネスフレームワークです。3Cとは、
- Customer(市場や顧客)
- Competitor(競合他社)
- Company(自社)
の3つの頭文字を取った略称になっています。それぞれを詳細に分析することによって、新たな戦略を打ち出す事ができ、新規事業や事業展開をしたい際に使われます。またそれぞれのCは違ったビジネスフレームワークを使って分析をすることが可能です。今回は、中でもCompanyの分析ができるSWOT分析とCustomerの分析ができるPEST分析を下記2つで紹介したいと思います。
SWOT分析
SWOT分析とは、
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
の4つの頭文字を取ったものです。自社がコントロール可能な内部環境のStrength・Weaknessと自社ではコントロールすることのできない外部環境のOpportunity・Threatを組合せて分析を行なうことによって、これまで見つけることのできなかった課題や機会などを発見することにもつながります。またSWOT分析と言えば、クロスSWOT分析とあわせて聞くことも多いと思います。クロスSWOT分析はSWOT分析の結果を生かして、戦略立てていくものです。強みと機会を併せたり、弱みと脅威を併せてどのように戦略をとっていくのかを新たに考えることができます。
PEST分析
PEST分析とは、
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
の4つの頭文字を取ったものです。4つの要素を見ればお分かりになると思いますが、世の中の流れをつかむためのビジネスフレームワークです。
最近の実例では、Politics(政治)にてキャッシュレスを推奨する制度が実施される前の話をすると、Technology(技術)の面ではキャッシュレス決済における開発が進み、続々と決済のできる「○○Pay」というサービスが続々と生まれました。このように世の中の流れを知っておくことで、マーケティングやブランディングなど自社が受ける影響を知り、時代の変化に伴う対応や新規で立ち上げをするなどの対応をすることができます。ビジネスフレームワークとして数える事が多いですが、社会人としては常に考えておきたい指標の1つになります。
どのように活用していけばいいのか
これまで代表的なビジネスフレームワークについて、いくつか確認をしてきました。しかし皆さんが思うのは、果たしてそれをどのように活用していくのかということではないでしょうか。
まず前提としたいのは、全てのフレームワークを使う必要がないということを覚えておいて欲しいです。人間の心理として使える知識を得たのならすぐに使ってみたくなってしまいますよね? ですが使える知識を全て使うのではなく、目的に応じて的確に使うことが必要です。
なぜなら時間が無駄になってしまうためです。全てのビジネスフレームワークにあてはめることで、もしかしたら違う解決策などを思いつくかもしれませんが、スピード感を重視するビジネスの世界では、あまりに時間がかかり過ぎているため、役にたたない可能性もあります。そのため自分がいまどのような情報が欲しいのかを一度頭で考えてみましょう。
例えば、自分の会社の商品が売れないということであれば、まずは4Pを使ってみたり、4Cで考えることでユーザー目線の意見を知ることができるかもしれません。それでも解決できなそうということであれば、もしかしたら外的要因があるのかもしれないと仮説を立てて、3C分析をして…というような感じで、一度こうなのではないかという仮説を立てて、それをビジネスフレームワークを用いて検証を繰り返すという作業が必要になります。
このようにビジネスフレームワークを使うことで、自分が欲している解決策に近づく事ができるかもしれません。
まとめ
ここまでビジネスフレームワークについて詳しく解説をしてきましたが、あくまでビジネスフレームワークはヒントを与えてくれるツールであり、必ずしも正しい答えが得られるとは限りません。ただどうすればいいかわからないと延々と悩み続けるよりも、フレームワークなどを使って思考の整理をすることで、もしかしたら見えてくるものがあるかもしれません。上手に利用してビジネスを進めていきましょう。