なんとなくダラダラと休日を過ごし、あっという間にサザエさんの時間。あぁ、また明日から一週間が始まる…。日曜午後から友人と飲んだり、しゃべったりして、リフレッシュしたつもりが、ついつい帰宅が遅くなり、疲れたまま月曜の朝を迎える…。そんな風にイマイチ気分がのらないまま週明け出社することになっていませんか?
月曜の朝、軽やかに出社する女子は“休日おこもりタイム”を導入中!?
お疲れ気味の働く女子のみなさんへおすすめなのは、“仕事に効く休日おこもりタイム”です。休日を使ってまで仕事に役立つ系セミナーに参加したり、スキルアップの勉強をするのはちょっと…という方でも、部屋にこもっておいしいコーヒーを片手に、また月曜から仕事を頑張ろう! と気持ちをリセットできる読書タイムや映画鑑賞はいかがですか? 働くって楽しい、カッコいい、誇り高い! と思えるような、自ら道を切り開いてきた女性たちの生き方を作品とともに紹介していきます。
【読書編】自分の道は自分で切り開く 孤高のワーキングウーマン著書5選
女性のキャリアアップが目立つようになったこの頃ですが、キャリアアップの道は決して緩やかではないはずです。これから紹介する女性たちの生き方から、何か得られることがあるかもしれません。
① デキる女が潰されないために。『上野千鶴子のサバイバル語録』上野千鶴子
2019年度の東京大学入学式の祝辞では大きな注目を集めました。SNSなどで目にした読者の方も多いでしょう。どの時代にもその時代なりの女の生きづらさが続いている、という上野さんが今の時代を生きる女性たちに送る140の言葉たち。
“組織の中で戦うか、外で戦うか/とどめを刺さずに、もてあそべ/人間の本質は、負け戦の時に表れる/(本文より抜粋)”など、仕事におけるサバイバル語録だけではなく、“友達とカップルの違い/恋愛結婚の永遠の背理/婚外恋愛とは、節度あるおとなの特権”など恋愛・結婚における歯に衣を着せぬ上野語録も綴られています。その場しのぎの心の癒しはもうたくさん! とにかく打たれ強くなりたい! 空気を読むより潔い女性になりたい! そんな働く女子におすすめの一冊です。
② 時間の使い方はいのちの使い方。『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子
ノートルダム清心学園理事長で修道女の渡辺和子さんによるベストセラー。
“どんなところに置かれても花を咲かせる心を持ち続けよう(本文より)”
自分の置かれた場所が、つらい立場、理不尽、不条理な仕打ち、憎しみの的、である時も、境遇を選ぶことはできないが生き方を選ぶことはできる、と著者は言います。現代を生きる人々は常に時間に追われ心に余裕を持つことが難しくなっています。エレベーターが閉まる直前に開くボタンを押して入ってきた人や、エスカレーターの両側を塞いでいる人に、心の中で舌打ちをしてしまう…。そんな「数秒も待てない」余裕のなさは、自分を枯らしていく一方ですよね。著者は、“時間の使い方は、そのままいのちの使い方になる(本文)”と触れ、対人関係においても“信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。(本文)” と言っています。めまぐるしい毎日でしばらく笑顔を忘れていた…という方や、心に余裕がなくなっている時に、すーっと深呼吸をする気持ちで読んでいただきたい一冊です。
③ 仕事も人生もうまくいかない時に。『仕事と人生がもっと輝くココ・シャネルの言葉』
“優しさに包まれてする仕事なんて、本当の仕事じゃない。怒りがあって、はじめて仕事が出来るのよ。(本文より)”
一生を仕事に捧げた女性、ファッションデザイナーのココ・シャネル。シャネルにとって、生きるということは仕事をすることだったそうです。シャネルが残した言葉には、仕事へのポジティブな思考や発想だけではなく、働く女性が媚びず溺れず“凛と優雅”に生きていくためのメッセージがたくさん詰まっています。シャネルの名言が「N°.01」から「N°.60」まで綴られていて、まるで言葉の香水のよう。中にはシャネルが持つとてもエレガントな言葉もあり、“自分のことを語ってはだめよ。黙って人にわからせなくては。(本文より)”といった女性としての品格に触れた言葉もあります。仕事だけではなく人生全体の美意識をあげたい、という方にもぜひ読んでいただきたいです。枕元に置いて、夜寝る前にランダムに開いたページを読んでから眠りにつく、朝起きてパッと開いたページの言葉をその日のお守りにする、といった読み方もおすすめです。
④ 朝礼が人を変え会社を変える。『サンリオピューロランドの魔法の朝礼』小巻亜矢
大卒でサンリオに入社した後、結婚退職し3児の母となり、37歳で離婚。訪問販売型の化粧品会社に再就職するが、古巣のサンリオへ新規事業の立ち上げ要員として43歳の時に復職した小巻亜矢さんは、2019年6月にサンリオエンターテイメントの社長に就任され、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2020」大賞に選ばれました。そんな小巻さんが、低迷していたサンリオピューロランドの業績を回復するために力を入れたのが「朝礼」だといいます。1日12回の朝礼とそのやり方が具体的に示され、朝礼で来場者4倍になった秘訣が綴られています。接客を仕事にされている方や、後輩や部下のやる気のなさに頭を抱えている方に読んでいただきたい一冊です。
そして本書を読んだあと、サンリオピューロランドへ遊びに行って(SNS映えする人気テーマパークです!)現場で働く方々へどのように反映されているかご自分の目で確かめるのも良いかもしれませんね。
⑤キャリアプランは一切なし。夢や展望ではなくその日を生きる。『日々香日』大橋マキ
フジテレビのアナウンサーを人気絶頂だった入社2年目に辞め、アロマテラピストとなった大橋マキさん。その後、イギリスへ留学し、アロマセラピストとして都内の病院に勤務するなど幅広く活動している大橋さんですが、将来の夢や展望を描いたり、先々の目標から逆算して今日をどのように過ごすかを考えるのは苦手、だと言います。
“未来を今日に巻き戻して、今日に思いを注ぐより、今日に思いを注ぐうちに気がついたら明日、あさって、一年後が開けているほうがわかりやすい(本文より)”と述べ、点と点で生きる毎日ほど慎重で手堅い生き方はないと言っています。大橋さんにとって二十代は、自分だけの「香り」を探し続ける旅だったそうです。ライフ・ワーク・バランスやキャリアプランといった言葉に縛られ、自分が求める本来の「香り」を見失っている方に読んでいただきたい一冊です。本の中には大橋さんによるフォトエッセイも織り込まれ、入浴中やお部屋でアロマを焚きながら読むのもおすすめです。
【映画編】ツベコベ言わずに働こう!と思える“働く女性”の映画5選
日々の仕事の中で、納得がいかないことだってあると思います。そんな時に、参考にしてみるといいかもしれません。
① 働くことは勇気です!『ドリーム』(2017)
1960年代の初頭、旧ソ連と熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていたアメリカ合衆国にはNASAの頭脳として最も重要な役割を担う優秀な3人の黒人女性がいました。白人男性ばかりの理不尽な障害にキャリアアップを阻まれども、仕事と家庭を両立させ夢と希望を追い求めた彼女たちの功績は今までほとんど語られてきませんでしたが、この映画では強く逞しいヒロインたちがいかにしてNASAを支えてきたか感動サクセス・ストーリーとして描かれています。
実力を以て差別の壁をぶち壊していく展開も実に痛快。時代を超えて、性別や人種を超えて、すべての働く人々に勇気を与えてくれます。見終わった後、「明日から目の前の仕事をとにかく頑張ろう!」そう思わせてくれる作品です。リケ女のみなさんにもおすすめです。
② 社会の闇に負けてたまるか『新聞記者』(2019)
真実に迫ろうともがき苦しむ新聞記者の女性と、国家の闇に気づいた理想に燃えるエリート官僚の男性、二人の姿を描きながら、報道メディアが権力にどう対峙すべきかを問いかけた前代未聞の社会派エンタテイメント。
映画監督の是枝裕和さんはこの映画に対し、“これは、新聞記者という職業についての映画ではない。人が、この時代に、保身を超えて持つべき矜持についての映画だ(映画『新聞記者』公式HPより)”と述べています。
忖度ばかりで事が進む職場に嫌気がさしている方や、大きな組織の中で奮闘している方々に観ていただきたい一本。フィクションの社会派エンタテイメントと謳われていますが、映画に登場する出来事は実際にあった社会問題をリアルにイメージさせるものばかり。観る側の情報リテラシーが問われ、ネットで情報を簡単に得られる今だからこそ、正しい情報を「知る」ことの大切さ、「知らない」とこへの怖さを痛感させられる作品でもあります。
③ 職場の仲間、それぞれの正論。『サンドラの週末』(2015)
過去にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを2度受賞したことのある、ベルギーのダルデンヌ兄弟による作品。
体調不良で休職していた主人公2児の母・サンドラが、復職目前にしたある日の金曜日、突然解雇を言い渡される。社員にボーナスを支給するため一人だけ解雇する必要がある、と会社はいい、週末、サンドラは夫や家族の協力を得ながら16人の同僚の家に説得して回る……といったストーリー。ともに働く仲間をとるか、それともボーナスをとるか、同僚たちそれぞれが抱え持つ様々な事情が語られる。
音楽もほぼなく長回しカットが淡々と続くため、好みが分かれる作品ではありますが、様々な事情を抱えるメンバーで職場が構成されているという方や、ずしんと心に沁みる劇薬の一本を観たいという方に是非おすすめです。女優・橋本愛さんのコメント“一人の女性の人生に徹底的に寄り添い抜いた監督型の眼差しと覚悟に感涙。誰も悪ではない。ラスト、女性の歩く後ろ姿に静かな希望を観ました。とても、優しい映画です。(映画『サンドラの週末』公式HPより)”
④ 無学無職ですが、それがなにか?『エリン・ブロコビッチ』(2000)
2度の離婚、3人の子持ち、シングルマザー、無学で無職でミスコン出身の女性が、大企業の地下水汚染の訴訟を起こし、公害賠償金としては初の巨額和解金を勝ち取るといった実話を描いた痛快サクセスストーリ。主役のエリン・ブロコビッチを演じたジュリア・ロバーツは本作でアカデミー主演女優賞をも勝ち取ります。
資格など無くとも、真摯な姿勢で仕事と人に向き合い正義を貫くその姿は、実にかっこいい女性そのもの。誰もが勇気をもらえます。観終わった後スカっとして、明日からまた楽しく働きたい! そんなバイタリティ補給を求めている方におすすめの後味爽快な作品です。
⑤ 男女平等ってなんですか?『ビリーブ 未来への大逆転』(2019)
今から50年前の1970年代アメリカ。女性が職に就くのが難しかった時代に、弁護士ルース・キングズバーグが挑んだのは、「100%負ける」と断言された史上初の男女平等裁判。歴史を変えた逆転劇を実話ベースで描いた映画です。
ルース・キングスバーグは米最高裁判所判事として85歳の今でも現役ですが、#MeToo運動のパイオニアでもあります。中でも、キングズバーグがスピーチをする法廷シーンは、「アメリカの映画史上最も長い女性によるスピーチ」といわれており、魂が揺さぶられるほど見事なシーンとなっています。時代を超えて、現代を生きるすべての女性たちに共鳴する作品です。何かあきらめたくないことを抱えている方や、翌日絶対に負けられないプレゼンを控えている方にもおすすめの一本です。
読みたい1冊、観たい1本、見つかりましたか?
今回紹介した本や映画の女性たちに共通するのは、迷いながらも自分の中でブレない軸を一本立ているということです。自ら道を切り開いてきた彼女たちの経験を心の栄養にし、また一週間の仕事を頑張りたいですね。