不機嫌な上司に困ったらアサーティブコミュニケーションで対応しよう

明らかに険悪な空気を出したり、自分勝手で理不尽な理由で攻めてくるなど、突然不機嫌になって周りを困らせる上司にお困りではありませんか。

こちらは普通に仕事をこなしたいのに、上司がいるだけで社内の空気は最悪に。一旦そのモードに入ったら簡単な確認をするのも難しく、とばっちりを受けることも。何が地雷になって不機嫌になるかもわからないため、対策も立てられない…。とはいえ、仕事を辞めて帰る分けにはいきません。

今回は、そんな「不機嫌上司」に屈せず、上手に受け流しながら、社内で仕事をまっとうするために非常に役立つ「アサーティブコミュニケーション」というコミュニケーションスキルをご紹介します。

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブ(assertive)とは、「自己主張すること」という意味します。しかし、ここでいう自己主張とは、自分の主張を一方的に述べることではありません。相手を尊重しながら適切な表現で言いたいことを伝える方法を指します。つまり、お互いを尊重しながら意見を交わすコミュニケーションのことを、アサーティブコミュニケーションと言います。アサーティブの代わりにアサーション(assertion)という言い方もありますが、同様の意味になります。

アサーティブコミュニケーションの基礎的な考え方

アサーティブコミュニケーションには5つの基礎的な考え方があります。シンプルな考え方ですが、この5つの基本さえ覚えておけば、あとは実践を繰り返してコツをつかんでいくだけです。アサーティブコミュニケーションをマスターしたいという人は、iPhoneのメモなどすぐ確認できる場所に保存しておくといいかもしれません。

  1. 相手も自分も尊重する
  2. 自分の責任と相手の責任を切り離す
  3. 同じ土台に立たたない
  4. 事実を把握することから始める
  5. 相手と私のWIN-WINポイントを探す

このように相手と自分のお互いの立場を事実に基づいて客観的に考え、お互いが衝突することなくWIN-WINになれるポイントを探す、というのがアサーティブコミュニケーションの基礎的な考え方です。

なぜ、上司は不機嫌になるのか?

そもそも、なぜ上司は不機嫌になるのでしょうか?管理職の多くは、日々強烈なプレッシャーにさらされています。中間管理職の場合は、特に上と下の板挟みに悩むことも多く、責任だけが重くのしかかってくることも少なくありません。あるいは、仕事の方は問題がなくても家庭問題やプライベートでのストレスを抱えているケースもあります。

そのようなストレスは、誰しもが多かれ少なかれ抱えており、多くの人が自分で何とか対処しています。しかし、それに対処できなかった人の一部が「不機嫌な上司」へと変貌します。

どうすれば上司の不機嫌は治るのか?

では、どうすれば上司の不機嫌は治るのでしょうか? 一つは、本人を取り巻く不機嫌になる環境要因を取り除くことです。周りからかかるストレスが減れば、不機嫌になる確率を減らすことができるかもしれません。しかし、会社の上層部のことやプライベートの話は、一部下がどうにかできることではありません。とすれば、上司にストレス耐性がつき、ストレスへの対処がうまくなってもらえばいいわけですが、不機嫌になる上司に限って、自分が不機嫌になる原因を自分ではなく他人に転嫁することが多いため、本人の意識を変えることは無理に等しいでしょう。

結局は「自分が変わる」に行き着く。

では、どうすれば良いのか?その答えは「上司に対する自分の対応や反応を変えるしかない」というところに着地せざるをえません。フロイト、ユングに続く、心理学の三大巨頭と呼ばれているアドラーも「過去と他人は変えられない。しかし、未来と自分は変えられる。」という名言を残しています。他人を変えたければ、自分の相手に対するスタンスを変えることが必要で、自分の上司に対する反応を変えられれば、上司は自分の変化に対応しなければならず、結果的に相手のを変えることができるのです。とはいえ、それは簡単なことではありません。そこで、役に立つのが「アサーティブコミュニケーション」という対話スキルなのです。

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職場で使えるアサーティブコミュニケーションの3つの具体例

ここからは、不機嫌上司に絞らず「職場でのコミュニケーション」という観点でアサーティブコミュニケーションを使った3つの具体例をみていきましょう。

事例1.上司から急ぎの仕事を頼まれた

ダメな例(×)

…了解です。(どうせ話を聞いてくれないし、めんどくさいからいいや)

良い例(〇)

お忙しいことは承知しておりますが、私も実は今、15時までに仕上げないといけないタスクに対応しております。16時まで猶予を頂ければ対応することができますが、それでもよろしいでしょうか。もしくは、ほかに対応できるものを探しましょうか?

このように自分の抱えているタスクの状況や事情を正確に伝えつつ、上司の気持ちをくみ取りながら、建設的なコミュニケーションをとることが重要です。

事例2.上司から飲み会に誘われた

ダメな例(×)

…参加します。(今日はいきたくないけど、断ったら機嫌が悪くなるかもしれない…。)

良い例(〇)

お誘い頂きありがとうございます。ただ今日は別の用事が入っておりまして、あいにく参加ができかねます。またの機会にお誘い頂ければ幸いです。

行きたくない飲み会に行っても楽しくないでしょうし、自分の気持ちを抑え込んで飲み会に参加することはストレスをためる原因にもなります。正直な理由や気持ちとともに、お誘いいただいたことへの感謝の気持ちを伝えれば、上司も気を悪くすることはないのではないでしょうか。

事例3.上司から、やたらと褒められて困る

ダメな例(×)

いやいや、そんなことないですよ~!

良い例(〇)

ありがとうございます!そう言っていただけると非常にモチベーションが上がります。

意外な悩みかもしれませんが、「君すごいね」と何度も褒められ、毎回「そんなことないですよ」と謙遜をすることはストレスにつながります。この場合は、相手の気持ちを素直に受け止めてあげることで、相手も褒めたいという目的を果たすことができるので満足してくれるのではないでしょうか。

アサーティブコミュニケーションはメリットがいっぱい。

アサーティブコミュニケーションで対応し続けると、たとえ相手が、お互いを尊重しない系の人、つまり「不機嫌上司」のような人を相手にしたとしても、自分の伝えたいことはしっかり伝え、最終的に、お互いに良い状態へ導いていくスタンスを取ることができます。具体的には「上司が不機嫌でも全く気にならなくなる」「威圧的な相手にも、怯えることなく対応できる」「不快な状況に対して我慢しなくて良くなる」など、良いことばかり。言いたいことをサラッと言って、人に好かれるコミュニケーションと表現する方もいるほどです。「言いたいことが言えない」で悩んでいる人は、アサーティブコミュニケーションのスキルを身につければ、その悩みが消えて無くなるほど。

アサーティブではないコミュニケーションはデメリットしかない。

コミュニケーションの癖は、4パターンしかないと言われています。1つは、先ほど紹介した「アサーティブ」な対応ですが、その他に3つ「攻撃的」「受動的」「作為的」な対応があります。そして、アサーティブ以外の3つは、どれも「人生に損」な、デメリットだらけのコミュニケーション手法なんです。自分はどのパターンになりやすいか、イメージしながら次の項目を読んでみてください。誰かと接する時、必ず以下の4つのうちのどれかのパターンで返答しているはずです。

攻撃的コミュニケーション

攻撃的コミュニケーションは、ちょっとしたことで腹を立てたり、相手のことを考えずに自分の意見をズケズケ言ってくるタイプになります。たとえ自分が正しくても聞き入れてもらえないことも少なくありません。不機嫌な上司も、このタイプに分類されます。もしあなたが、不機嫌な上司に対して「攻撃的」コミュニケーションで接すると、火に油を注ぐように険悪なムードが爆発して、ひどい場合は言い合いや喧嘩に発展することも。お互いが持論と感情をぶつけ合っているだけになるので、お互いに受け入れられず、根本的な解決に行き着きません。

また、攻撃的コミュニケーションタイプの人は、その場の圧力で意見を通したり、自分の思い通りな状況を作りだしますが、結果、周りから疎まれたり避けられるようになり、最終的には孤立してしまいます。

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受動的コミュニケーション

受動的コミュニケーションは「言いたいことが言えない」タイプの人になります。相手から嫌われることを恐れるあまりに、「頼まれた仕事が断れない」「他の人に手伝って欲しいと言えない」など、自分の思っていることや感じていることを言葉にできなかったり、攻撃的タイプの人から強く言われると、無理な主張でも飲んでしまうなど、周りに流されやすいのが特徴です。

受動的コミュニケーションをしがちな人は、常に何かに我慢し続けることになります。いつも損な役回りを任せられ、ストレスが溜まり続け、しまいには心が折れて無気力になったり、断れない・助けを求められないがゆえに、仕事を引き受けすぎてパンクし、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。責任感があって真面目で、いつも頑張っているのに報われない状況から抜け出せないのです。

作為的コミュニケーション

作為的コミュニケーションは「自分の不満を直接相手に言わず、陰口や態度で伝えようとする」タイプの人です。攻撃的タイプのように、直接感情を表に出さないので、周りからは冷静に見えますが、内心は穏やかではありません。相手に言えない分、周りにはけ口を求めるため「いつも他人の悪口を言っている人」「嫌みたらしい人」という印象を与えてしまいます。

作為的タイプの人は、自分が行きたくない飲み会に誘われた時なども、その場では「行きます!」と答えます。しかし、当日になって「予定が入ってしまった」「体調が悪くなった」などと理由をつけて、結局行かないのです。一件、うまくやっているように見えますが、長期的には信頼を失ってしまいます。

アサーティブコミュニケーション

では、アサーティブの人はどう対応するのかというと、言いたいことは、しっかりと言います。しかし、自分の気持ちを一方的に伝えるのではなく、相手のことを尊重しながら「私はこう考えているのですが、あなたはどう考えますか?」「この仕事をお願いしたいのですが、どのようなやり方だとやり易いですか?」という対話の仕方をします。

無理な仕事を上司から依頼された場合も「今このような状況のため、その仕事を受けるのは厳しい状況です。今抱えている〜〜を、他の人に任せられるのであれば対応できますが、その点、調整できますか?」あるいは「現在のスケジュールだと○○日までに出すには間に合わないため、○○日まで納期を伸ばせますか?」など、無理をして引き受けることはありません。無理に要求を飲むことの方が迷惑をかけると知っているからです。

言いたいことをしっかりと言っているので、作為的タイプとは違いストレスを影でまき散らすこともありません。約束を破ることもありません。言っていること、やっていること、考えていることが一致しているため、結果、周りから信頼されていくのです。

アサーティブコミュニケーションのまとめ

いかがでしたでしょうか。アサーティブコミュニケーションは、不機嫌上司はもちろん、普段の生活の様々な場面で使えるコミュニケーションスキルです。大切なことは、自分の気持ちを素直に、かつ明確に相手に伝えること。アサーティブコミュニケーションを身に着けて、円滑なコミュニケーションを図っていきましょう。

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