25歳の壁ってご存知でしょうか。
新卒で社会に出ると、25歳がちょうど入社3年目になります。入社3年目という時期は、思い描いていた夢や理想と目の前にある現実との壁にぶつかり、路頭に迷う人が続出するといわれています。望んで入った会社なのに思っていたのと違う、転職を考えるのはまだ早いのだろうか、自分の人生一体どうなっていくんだろう、周りはみんな順調そうなのに…といった不安や心の迷走は、今年で社会人5年目を迎える筆者(27歳/女)もちょうど2年前(入社3年目)に経験しました。
その経験談を元に、25歳の壁をいかにして乗り越えるか、筆者なりの考えを綴ってみたいと思います。
行かなきゃよかった大学時代の同窓会
新卒で入社した上場一部メーカーの事務職として働き始めて3年目の夏でした。会社は大がつくほどの企業ではありませんが、企業名を言えば“あぁあの会社ね”と言われるくらいの知名度。
学生から社会人になったという新鮮さはすでに薄れ、仕事の内容も顔を合わせる同僚も変わり映えせず、良くいえば波はなく、悪くいえば刺激が足らず、といった時期でした。
そんな入社3年目の盆休み、大学時代のサークル同窓会で友人と再会しました。学生時代はみな同じような感じだったのに、その時は友人がみんな自分より輝いて見えたんです。キラキラどころかストロボ級の輝きを放つ彼女たちに対し、私の心はザワザワと乱れ始めるのでした。
理想と現実のギャップ萎え…モヤモヤ迷走が止まらない!
サークル内で特に仲の良かった(私も含め)5人組で、久しぶりの再会でおしゃべりが止まらず、2次会に流れ込んで楽しいひと時を過ごしたつもりでした。
が、しかし・・・、帰宅した瞬間、私は自分がひどく落ち込んでいることに気がついたんです…。私以外の4人、A子は大手出版社でファッション誌の編集をしていて、仕事も私生活も映えに映えているのがわかりました。B子は博士課程の大学院生で、自由気ままな日々を過ごしながら好きな分野に没頭。そしてC子は、働いていた銀行を3か月前に辞め、派遣で働きながら語学学校に通い、来年イタリアへ留学することが決まっていました。D子が一番驚きで、年上彼氏と婚約し、彼の北海道転勤について行くという…。
25歳女子図鑑ができそうなほど、バラエティに富んだ生き様を見せつけられたわけです。
そんな彼女らと比較し、夢ナシ目的ナシ彼氏ナシの私は途端にあせりました。そして、自分探しの旅というゴールなき迷路へ迷い込んでしまったわけです。
隣の芝生が青すぎて羨ましい!でも待って…その芝生、本当に自分に合ってる!?
単細胞ネガティブを自称している私は、悩みに対して深く潜って真理を追及するタイプではなく、思いついた解決策を片っ端からやっていくタイプです。そこで私は、ABCD子それぞれに対し羨ましく思った要素を自分に置き換えて考えてみたんです。
- A子のような仕事もプライベートも華やかな人生は?
…… いやぁ落ち着かない。あれはA子の社交性あってのもの。私は会う人や出向く場所が多過ぎると決まって体調を壊す人間。A子のようなライフスタイルは“自分に合っていない”との結論。
- B子のような自由気ままな学者ライフは?
…… ワタクシ勉強キライ、でした。興味のあることをアメーバ状に調べるのは好きだが、B子のように一つの事を掘り下げて深く追求していくのは苦手。また、浮遊した自由人が許されるのはB子のスーパー頭脳あってのもの。私の場合、「どこにも属していない」とか「肩書がない」といった状況に陥ると、それだけで自己否定が始まるので、これも“自分には合っていない”との結論。
- C子のような割り切り派遣で夢追いライフは?
…… 私の夢ってなんだっけ? 某アイドルグループのメンバーと結婚することしか思いつかず。海外留学といった響きは正直憧れるけれど、会社を辞めてまでしたいと思う情熱も自分にはない。C子はその先に夢があるけれど、私の場合は行くまでが目的になりそう。これは“動機が不十分”との結論。
- D子のような結婚して専業主婦ライフは?
……そもそも相手がいない…。にも関わらず、こちらも検討してみました。彼氏は欲しいけれど、意識はまだまだ結婚だとか家庭だとか子育てとかに向かない。もう少しじっくりと自分に向き合いたい。
ここで私は考えました。自分との正しい向き合い方ってなんだろう? 人と比べず自分について考えるって具体的に何をすればよいのだろう? そんな風に考え始めたら、心が少し軽くなったんです。人と比べながら悩むと落ち込むけれど、“自分について考えてあげよう”と自分を自分で上から目線? なイメージでしょうか。
今思うとそれは、自分自身を客観視するということだったのかもしれません。
25歳は、人生100年時代の4分の1。この壁の正体は!?
そんな頃、25歳のブレブレでモヤモヤな壁をぶち壊してくれたのが、仕事で出会った取引先の女性(40歳/既婚/1児の母)でした。その方は、図らずとも5年ごとにターニングポイントがあったと話してくれました。25-30歳は政府関連の広報を勤め、30歳で結婚退職、30-35歳は専業主婦をしながらヨガインストラクターの資格を取得し、ママ向けヨガ教室を主宰。
その後、もう一度会社勤めがしたいと再就職活動をし、35歳-40歳はデザイン制作会社で働き、今年からフリーに転身。なんたる見事な遍歴! その女性は言いました。
“25歳はまだ人生4分の1で自分のことも良くわかってない時期。一瞬見えた他人の輝きなんて、その人の人生のわずかな点でしかない。30過ぎても路頭に迷うことはあるけれど、迷って失敗した分だけやっと自分が見えてくる。25歳の頃にいかに「自分を知る」ために時間とお金を投資したかで、その後が変わってくるんじゃないかな”とその方は言っていました。
“ヨガにはまって大好きになったからその延長で教室を開いたけれど、人に教えるということを仕事にするのは性格的に向いていなかった”とのこと。その経験でさえ、自分をよく知るためのレッスンだったと彼女は捉えているそうです。私は、その女性が言っていた「自分を知る」ということこそが25歳の壁を乗り越えるための一歩だ、とその時強く思いました。
25歳の壁を目の前に、やるべきことは“自分を知る”こと。
では、「自分を知る」とはどういうことなのでしょうか。それは、自分が頻繁に繰り返す「思考」「感情」「行動」のパターンを認識し、自分が何を重要視して生きているかを知ることです。
さらに、仕事をする上での武器となるだけではなく、自分が自分らしく日々を送るためのキーワードともなっていくのです。下記図をご参考に、みなさんも自分にはどんな持ち味があって、何を重要視していけば良いのかを考えるヒントにしてみてください。
ちなみに私は、自分の「思考」「感情」「行動」でありがちなパターンをこの表で当てはめると、“考えるのが大好きな頭脳戦略重視”を主軸に “人とつながりたいコミュニケーション”の中にある「調整力」や「親和欲」も大いに持っている人間です。
その結果、私の場合は “大きすぎないチームの一員としてデータ等の分析やまとめ作業に没頭できるポジション”にあると力を発揮し、自分が生き生きと働ける、ということに気がつきました。
作業は一人でもチームで連携をとりながらプロジェクトを進めるのがそういえば好きだ、と再認識もしました。それからは、人と比べてあれもできない、これもできない、と思うのではなく、「これは〇〇さん向きだね」と上司や先輩に言われがちな仕事に燃えることにしました。不思議と、そう言われる仕事(私の場合、データ分析や資料のまとめ)は時間を忘れて没頭でき、他の仕事(プレゼンや商談)より達成感を感じ、腕を上げていく実感も感じられました。
これぞ私の仕事! と思えるくらいの自信も少しずつ芽生えていったんです。
おわりに
「自分を知る」ということは、自分に合っていないものをはっきりとさせることでもあると思います。25歳の壁以前では、私なんて考えてばかりで行動力がないし、人前に出るリーダー役の人には太刀打ちできない・・・と自己否定を繰り返していましたが、今ではそれについては得意な人に任せよう! と自分の持ち場に居座っております。
チームでする仕事は適材適所に置かれた方が、中途半端なオールマイティーよりずっと輝けるのです。もし今、入社3年目25歳の壁にぶつかっている方がいましたら、自分に不足しているスキルを身につけようとする前に、今ある自分の持ち味が何かをきちんと知ることをおすすめいたします。