集中力を高めるための100ます計算入門

仕事をしていて集中力がないなと感じることはありませんか。最近はスマートフォンをすぐに弄ってしまい作業が捗らないと悩む人も多いようです。そんな時におすすめなのが100ます計算です。
もしかしたら小学生時代に学校の授業で取り組んでいた方もいるかもしれません。

100ます計算は賛否両論はありますが計算力を高めるだけでなく集中力を高めるトレーニングとして今でも有効です。集中力を高める秘訣は脳を何かに対する没頭状態に置くことです。注意散漫になりがちな環境にいる大人も子供も、没頭する環境に身を置くことで集中力が高まります。

大人にとっても子供にとっても集中力は何かを成し遂げるための土台になるものです。集中力を高めるために100ます計算をしてみませんか。子供と一緒に100ます計算に取り組んでみても楽しめるのではないでしょうか。

100ます計算とは

100ます計算とは縦10×横10の数字をランダムに並べ、それぞれのマスに書かれた数字の延長線
上で交差するマスに加法・減法・乗法・除法などの計算をしていく計算トレーニングです。例えば
下の図で足し算ならば9+6になります。

(例:加法(足し算)の場合)

昭和40年代の日本の小学校教師、岸本裕史の担当するクラスの児童の発想により生まれ、昭和60年代に「100ます計算」と命名されました。その後、立命館小学校副校長や「教育再生会議」の委員を歴任した陰山英男が授業で活用し、小学生の基礎学力向上で成果をあげたことから「100ます計算」は注目されるようになりました。

私自身も小学校で算数を専門に指導していた時期があり、児童に算数の授業のウォーミングアップや朝学習の時間に100ます計算を使った指導をしていました。子供は休み時間や朝の会が始まる前は元気の塊で、なかなか席につかないこともあります。しかし何か課題ややることがあると取り組んでくれます。

落ち着きがない子に有効な100ます計算

  • 子供が落ち着きがない
  • 大人になった自分自身の集中力が続かない

こんな悩みがある方に100ます計算は有効です。

特に小学校の低学年から中学年の児童は好奇心旺盛だったり注意力が散漫だったりと、落ち着きがないことも珍しくありません。ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断される児童が統計によっては5%〜10%程度いるとも言われています。気が散りやすいのは大人だけではなく子供も同様です。
そんな子供が内に秘めるエネルギーを一点に集中させるのに効果的な方法の一つが100ます計算です。

100ます計算のメリット・デメリット

100ます計算は有名な計算トレーニングです。その反面、批判の矢面に立たされることもありました。しかし100ます計算のもつ特性を理解して数多くある学習法の一つとして位置づけるべきです。100ます計算は万能ではありませんが、基本的な計算力と集中力をしっかり底上げするためのトレーニングとして今でも有効です。

100ます計算の3つのメリット

100ます計算の主なメリットは3つです。

  • 集中力がつく
  • 単純な計算処理能力が高まる
  • 自己肯定感が身につく

100ます計算を正しい方法論にのっとって継続して行うことで集中力が身につきます。そして繰り返し計算をこなすことで単純な計算処理能力が高まります。集中力と計算力は切っても切り離せない関係です。集中力がなければ計算速度はあがりませんしケアレスミスも増えます。

単純な計算でも量をこなすことで計算する思考回路が強化され最適化されていきます。応用問題を解く際にも単純な計算速度と正確さが土台になければ答えを導き出す前に、つまづいてしまうことも多いのです。また課題をこなし100ます計算を終えるタイムを更新していくことで自己肯定感も身につきます。

また就職を控えた学生で普段、計算をしなくなってしまった大人にも100ます計算は有効です。普段、割り算などする機会がない人も多いのではないでしょうか。しかし民間企業のテスト(SPIなど)で簡単な計算処理能力を問われることもあります。

公務員試験などでは数的処理など基本的な計算力を突然、測られることもあります。内田クレペリン検査のような延々と計算し続ける適性検査も銀行などを中心に広く導入されているため100ます計算はウォーミングアップにも最適です。

100ます計算のデメリット

  • 応用力が身につかない
  • 反射的に計算してしまう(計算問題の答えを覚えてしまう)

100ます計算は有名な計算トレーニング法のため批判もよくあります。例えば単純計算ばかりして
応用力が身につかないところや反射的に計算してしまうところです。しかし100ます計算は、そもそも応用力を高めるためのトレーニングではなく計算力と集中力の土台づくりを目標としています。そのため応用力を身につけるトレーニングは100ます計算とは別に行うべきです。

また反射的に計算してしまう弊害も指摘されています。算数には足し算、引き算をとっても答えを導く考え方があります。例えば引き算ならば減加法と減減法です。

例えば「14-5=9」という引き算がありますが両手の指を折るだけでは計算できません。考え方は
2種類あります。

  1. 14を4と10に分ける。そして4+(10-5)にすることで9 (減加法)
  2. 14から先に4だけを引いて10にする。さらに使っていない1を引く。14-4-1=9 (減減法)

大人が聞いても人によっては一瞬、戸惑ってしまう計算過程があります。

100ます計算では、このような思考過程を無視して暗記して答えを出してしまうから良くないとする批判があります。しかし100ます計算をする以前に引き算の思考過程をしっかりと身につけさせたうえで行えば問題ありません。それを踏まえて瞬間的に数字を見ただけで答えを出せるまでになれば十分でしょう。

100ます計算の取り組み方

100ます計算はトレーニングのようなものです。間違ったトレーニング法では結果が出ません。
100ます計算は取り組みやすくシンプルなものですが、正しい取り組み方をおさえたうえで活用しましょう。

毎日タイムを記録する

100ます計算をだらだらやっても意味がありません。計算トレーニングですので、しっかりと負荷をかけて取り組む必要があります。そのため毎日どれぐらい時間がかかったのかを計測します。毎回、記録をはかり常に自己ベストの更新を目指して取り組みます。タイムを記録することを通して集中力が高まります。

2週間は同じ問題で練習する

意外に100ます計算を実施している人が見落としがちなポイントが、同じ問題をしばらく継続して使うところです。2週間は同じ問題で練習します。同じ問題に取り組むことで前回の経験が頭に残りタイムが毎回、短縮されやすくなります。それによって自己肯定感も高まり同じ計算を解く過程・処理速度も伸びやすくなります。

できる限り同じ時間に行う

100ます計算は、ある種の生活リズムを整える役割もあります。夏休みに朝6時から公民館の前で強制させられるラジオ体操のようなものです。(私が子供の頃は夏休みの早朝ラジオ体操が当たり前でしたが地域・年代によってはないところもあるようですが)

できる限り同じ時間・同じ条件で行うことでタイム測定も同じような条件で行う狙いもあります。
例えば早朝6:00の寝起きで計算するのと午前10:00頃に計算するのとでは結果も大きく変わってしまうからです。

左上から順番に解いていく

100ます計算は左上から順番に解いていきます。たまに計算しやすいところから埋めていく人がいますが左上から順番に解いていくようにします。同じ条件で問題に取り組めるようにする狙いもあります。

緊張感のある場をつくる

100ます計算は集中力を身につけるために行う側面があります。そのため100ます計算中は緊張感ある場をつくりましょう。大勢でやる場合は終わった児童が騒がないようにする工夫が必要です。親子で取り組む場合も先に終わったら、まだ計算が終わっていない方を静かに待ちます。

実際に小学校でも取り入れられている100ます計算

100ます計算は実際に義務教育の場で広くとりいれられています。私自身も小学校で算数を担当していたことがあり、100ます計算を積極的に取り入れていました。

100ます計算を取り入れる前は算数の授業が始まっても最初の5分から10分は休み時間の気分が抜けない児童が多く、授業で導入をしてもあまり聞いてもらえなかったからです。しかし100ます計算を授業の最初にすることで、児童も授業に集中しやすくなりました。また計算力の土台も身につき実際にやってみて良かったと思います。

家庭でも簡単にとりくめる100ます計算

100ます計算は10×10マスの数字が書かれた紙を用意すれば簡単に取り組めます。家庭でも簡単に取り組めるのが良いところです。子供だけでなく就職試験を控えた学生や社会人でも計算力・集中力の土台が身につくためおすすめです。

小学生の子供に良かれと思って算数を教えても、筆算の方法など学校や先生ごとに決まったルールがあるため下手に保護者が教えてしまうと間違った計算法や癖がついてしまう恐れがあります。

しかし100ます計算をするだけなら間違ったことを教えてしまう心配もありません。親子で取り組むこともできます。

100ます計算だけでは応用力は身につかない

100ます計算だけでは、もちろん応用力は身につきません。そのため100ます計算は応用力や考える力を養うことができないと批判されることもあります。確かに単純な計算を続ける100ます計算だけをしていたのでは応用力を養うのは難しいでしょう。

しかし100ます計算の目的はあくまでも基礎的な計算力と集中力の向上です。応用力や考える力が身につかなくなるわけではありません。サッカーでいうなら基礎的なリフティング、野球でいうならキャッチボールのようなもの。

100ます計算では応用力が身につかないという批判は、リフティングやキャッチボールをしていると戦略的なプレーができなくなると批判するのと同じようなものです。

100ます計算だけじゃない。国語力と集中力を鍛える15分間読書


実のところ集中力を高めるためのトレーニングは計算でなくても構いません。極端な話、集中してドラムを叩いたりピアノを弾いたりしても良いのです。小学生の場合、集中力だけでなく計算力を土台に身につけられるため100ます計算がよく取り入れられています。小学校で集中力を高めるために用いられているもう1つの方法が読書の時間です。小学生の集中力ならば15分程度からはじめても良いでしょう。大人ならばスマートフォンやパソコンから離れて20分〜30分ほど読書だけに集中する時間をつくるのも集中力向上に効果的です。

国語力は全ての学習の土台

国語力は全ての学習の土台になります。算数の問題が解けない理由が文章題の文章を理解できないからということも少なくありません。そこで子供には小さい頃から紙の本を読む習慣をつけると良いでしょう。ネットの文章は残念ながら子供に読ませるには内容も文体も不適切なものが多いのです。正しい国語力を身につけるためには正しい国語に小さい頃から触れることです。正しい文章に日頃から触れることで偽物の文章が分かるようになります。

何が書いてあったのか自分の言葉にする

読書の後は何が書かれていたのかを自分の言葉にしてみる習慣をつけましょう。自分で文章を何となく読むだけではなく咀嚼して自分の言葉になおすことで理解が深まります。家庭でも子供に読書
の時間を設け感想や思ったことを聞いてあげると子供の考える力を伸ばせます。もちろん大人でも読書会を開いて読んだ本の感想を発表し合うのも考える力を伸ばすのに効果的です。

何かに集中する習慣を身につけよう

集中力を身につける方法は100ます計算に限りません。読書でも良いですし楽器を弾いても良いのです。大切なのは、すぐに集中できる状態になれる習慣をもつことです。そして、その習慣を
日々の生活に落としこむことでメリハリのある日常生活を送るきっかけにもなります。

特に習慣にできそうなものが思いつかなければ100ます計算や読書から初めてみるのが簡単です。子供の家庭教育でも気軽に取り入れることができます。

まとめ

  • 100ます計算は10×10マスの用紙に計算を続けることで集中力と計算力の土台を築くために効果的なトレーニング法です。子供にも大人にも効果的です。
  • 100ます計算は左上から順番に問題を解く、時間を測る、同じ問題を2週間続ける、できる限り同じ時間に行うなどルールを守って行うことで本来の効果が得られます。
  • 100ます計算以外にも集中力を高めるためなら読書、楽器の演奏などに代えることもできます。
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