近年わが国では、少子高齢化がますます進行しています。2008年から総人口はだんだんと減少しており、企業も人手不足に悩まされることが多くなりました。少子高齢化は簡単に止めることが出来ないので、逆に1人1人の生産性をあげてしまえばいいのではないか、そして注目されたのが「ICT」でした。
今回は、ICTというものが今の世の中にどのようにかかわっていて、生産性をなぜ上げることができるのかということについて調べていきたいと思います。
ICTってそもそも何?
まずはICTという言葉について確認をしていきたいと思います。自分もITといった言葉は聞いたことがありましたが、ICTという言葉は聞いたことがありませんでした。
今回は、総務省のサイトの情報通信白書平成30年度版を参照させていただきました。
平成30年版情報通信白書
ICTとは、Information and Communication Technologyの略称で、よく「情報通信技術」として訳されることが多いようです。ITと比較されることも多いですが、若干の違いがあります。
IT(Information Technology)は、パソコンや通信、インターネットといった情報技術のことを指し、人があまり関わらず、コンピュータだけで完結するのが特徴です。よくベンチャー企業がサービスを提供していますが、ITのケースが多いそうです。
一方ICTは、情報や知識を相手に共有する。つまりは、通信やインターネットを使って、人と人、人とコンピュータを結びつけるのがICTと言えます。つまり必ず人が関わらなくてはならならないのがICTです。また利用方法としては、主に政府が関係しているプロジェクトで用いられるケースが多く、総務省の管轄にあるようです。
また最近よく聞くIoTは、Internet of Thingsが略称で、言葉の通り、モノとインターネットがつながることを指します。どういうことかというと、例をあげると、家電とスマホを連携することでスマホからでの操作が可能になります。そうすることで帰る前に冷房をつけておけたり、洗濯機を回したりすることが出来たりと便利になります。つまりは、モノをインターネットでつなぐことで、操作や情報の蓄積が出来ます。
余談になりますが、昔からわが国ではITという言葉が使われていましたが、世界ではICTと呼ぶのが一般的になっています。それに伴ってか最近では、ITからICTへと呼び方を変える動きも見られているようです。実際に中学の社会の教材もICTという名前に変わっていたのを見つけました。
ICTの活用はなぜ必要になる?
次になぜICTの活用が必要になるかについて簡単に見ていきたいと思います。
理由は主に2つあります。
1つ目は、人口減少によるためです。リード文でも述べましたが、人口減少の勢いは止めることが出来ません。平成29年版高齢社会白書によると、15~64歳の生産年齢人口については、2016年の約7,700万人から2065年には約4,500万人になり、総人口に占める割合にして約60%から約51%に減少するそうです。また人口減少は、GDPの低下にもつながります。日本は労働生産性が低く、OECDの加盟国でのデータを見てみると21位となっていて、平均にも届いていないのが分かります。限られた人口の中で、成功をしていくためには、1人当たりのGDPを高めていくことが必要になっていきます。しかし今の状況ではGDPが下がっていく一方です。そのための打開策としてICTを利用すればいいのではないかというのが1つ目の理由です。
2つ目の理由としては、インターネットやテクノロジーの進歩により、情報というもの自体が重要なものになってきたからです。いまやネットワークを利用していない人は、ほとんどいないといってもいいほど、インターネットが世界で普及しました。普及したことにより、さまざまな情報(データ)が発信できたり、入手することが出来るようになりました。そして現在では、データを用いることによって新たな知識や情報などを得ることができるようなり、データを大量に持っているほど、マーケティングがうまくいったり、イノベーションの源へと変化していきました。なのでデータは「21世紀の石油」と呼ばれるほどに必要なものになったため、データを管理・共有できるようにするためにICTの活用が必要というのが2つ目の理由になります。
なぜICTの活用で生産性向上が可能なのか?
次になぜICTの活用で生産性向上が可能なのかということについて詳しく見ていきます。
その前に日本の生産性はどのくらいなのかということを下記の図で確認してください。
日本は、81,777となっており、平均よりも下回っていることが理解できると思います。
日本の生産性を見たので、生産性向上について見ていきましょう。
まず生産性向上をするためには、2つの考え方があります。1つ目は、一般的にみなさんが考えているであろう「実務の効率化」です。もう1つは、「モノやサービスに対して付加価値をつける」ことです。
1つ目の実務の効率化は、主に人材不足を補うこととコストパフォーマンスを下げることを目的にしています。まず人材不足ですが、先ほどから何度も述べていますが、ICTを利用することでこれまで人間がやっていた作業を機械にやらせることが出来ます。具体例でいえば、「無人レジ」などが挙げられると思います。「無人レジ」を導入することにより、少ない人数でもシフトをまわせるようになったりと同時にコストパフォーマンスを下げることにもつながることになります。このようにICTの導入により、人間がやっていた作業などを機械に処理をさせることで、それまでかかっていた人件費や人を節約することができ、機械ではできないような作業を人によって賄うことにより、人材不足も解消できるいう考え方です。
2つ目のモノやサービスに対して付加価値をつけることですが、自分もそうでしたが、われわれ日本人は実務の効率化=生産性向上と考えて重視している人が多いので、付加価値をつけて企業の売り上げを上げる考えは思いつかなかったと思います。確かに、日本の商品やサービスはどこか同じようなものが多く、価格などで決めてしまうことが多いと思います。一方、アメリカなどの海外諸国は、モノやサービスに対して付加価値をつけることにも、もちろん重点を置いているので、画期的な商品が生まれることが多いです。つまりこれからの時代は、ICTを利用して情報や価値を付与していこうという動きが大切になります。
このようにICTを利用することにより、生産性向上が実現できることになるでしょう。
既にICTをどれくらい導入しているのか
次に、企業がどれくらいICTを導入しているのかについて見ていきます。
上記の図を参考にすると、日本は他の先進国と比べて、ICTの導入が遅れているのが分かる。アメリカやドイツなど労働生産性が高い国の方がICTの導入が進んでいるのが分かります。また、下記の図では、各国の企業が導入しているICTについて示したものになりますが、
社内ネットワーク化やPCの利用の項目は、諸外国と比べて圧倒的高い数値を記録していますが、社外ネットワーク化・BYOD(従業員が所持しているデバイスを仕事でも利用すること)の許可の項目は低くなっています。
そこから考えられるのは、日本はまだまだ働き方改革が進んでいないことが予測できます。仕事をするのはオフィス内が当たり前で、海外の様にリモートや自宅で仕事をするのは普通ではない、そのような考えが生産性を下げている理由にもなっているのではないかと自分は考えました。
このように日本では、社内でのICTの利用は諸外国よりも進んでいる一方で、社外での活用は進んでいないことが分かりました。
ICTの活用事例を紹介
最後にICTを利用している事例について簡単に紹介します。
農林水産業の事例:三浦市農業協同組合
・背景
三浦市農業組合では、農業の収益安定化を目指して自動化を推進していた。というのも、各農家から出荷をする際には、事業所が取りまとめて、手作業でどこに出荷をするのか、数量などの振り分けプランを作成していた。またこの作業には8時間もの時間を要したようです。
・導入したICT
配送先と数量の割り当てや配車作業をクラウドサービス化することで、瞬時に振り分けプランを作れるようになった。
・ICTによる効果
導入前は、8時間かかっていた作業が、1秒以内に計算することができるようになったので、作業時間が8時間の短縮になり、出荷先やデータなどがクラウド上にデータとして残るようになりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。これからの時代は、生産性向上だけではなく、人手不足になっていくわれわれの生活を豊かにしていくためにもICTは欠かせない存在になっていきます。今回初めて知ったかたは、ぜひ導入の検討をしてみてはいかがでしょうか?
これからもわが国が良い方向に進むように、ICTの活用の仕方や最新技術などの紹介を続けていこうと思います。次回もぜひ楽しみにしていてください。