2020年東京オリンピックが与える前後の影響を1964年や海外の五輪と比較してみると

2013年9月7日にトルコやスペインを抑えて、オリンピックが東京で開かれることになったのもまだ記憶に新しいのではないでしょうか。数年の月日が流れ、東京オリンピックも残り1年と半年ほどと開催の日が近づいて来るとともに、さまざまなところでオリンピックの影響が出始めるようになりました。オリンピックが始まる前と後では社会にどのような変化があるのか不安で仕方がないかと思います。
そこで今回は、2020年に開催される東京オリンピックが与える前後の影響について1964年次の五輪を振り返りながら詳しく見ていきたいと思います。

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2020年東京オリンピック概要

オリンピックが開催されることによる影響を見ていく前に、まずは簡単に2020年に開かれる東京オリンピックの概要についてみていこうと思います。

第32回オリンピック競技大会(以下「東京オリンピック」)は、2020年7月24日(金)~8月9日(日)の間に開かれます。競技数は33競技になっています。また東京2020パラリンピック競技大会(以下「東京パラリンピック」)も2020年8月25日(火)~9月6日(日)、22競技が行なわれることが決まっています。

すでにコンセプトも決まっており、

  • すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)、
  • 一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)、
  • そして、未来につなげよう(未来への継承)

という3つの軸をコンセプトとして大会の運営が行なわれます。

また会場についても東京ベイゾーンやヘリッテッジゾーンと呼ばれる東京近郊の会場のほかに、東日本大震災で被災した地域の宮城スタジアムや札幌スタジアムはサッカーの会場にもなっています。自転車ロードレースのスタート地点には皇居外苑など日本に住んでいる人にもなじみのあるような場所が会場になっており、その他のさまざまな会場の工事も進んでいます。

東京オリンピックを開くことによる影響

簡単に東京オリンピックの概要が確認できたところで東京オリンピックを開くことによる影響についてみていこうとおもいます。

良い影響について

会場整備のために雇用が増える

オリンピックを開くためには様々な会場の設備を整えなくてはなりません。建設中の建物と言えば、人工的に水の流れをつくりだすことができるカヌーの競技場「カヌー・スラローム」やオリンピックではバレーボール、パラリンピックでは車いすバスケットボールの会場となる「有明アリーナ」、レインボーブリッジ付近に建てられる「選手村」もまさにいま建設が進んでいます。そのような会場を整備するためには人を増やさなくてはならないため必然的に雇用が増える仕組みになっています。また、同時に道路などのインフラ整備も進めていくので雇用が増えることは間違いないでしょう。

サービス業の雇用も促進する

オリンピックを開くにあたり、日本国内の人だけではなく世界中の人たちが日本に来ます。予想では最大で92万人の観光客が訪れるようです。それだけの数の観光客が来るということは、その膨大な数に対応することができるだけの飲食店やレストラン、またホテルが必要になります。ということは、こちらのサービス業の雇用を増やさなくては対応することができないので雇用が促進します。

他国の観光客の増加する

オリンピックを日本で開いた場合、さきほども述べたように最大で92万人もの他国の観光客が訪れることになります。観光客の増加は一時的な経済効果を見込めます。バスや電車、タクシーなど様々な交通インフラでもお金を使ってくれますし、ホテルやレストランなどは言うまでもないでしょう。
このように観光客が増加することにより一時的な経済効果を生み出すことが出来ます。

オリンピックを生で見に行くことが出来る

日本でオリンピックを開かれるということは気軽に競技を見に行けることになります。もちろん日本人だけではなく海外の方も多くいらっしゃるとは思いますが、せっかく日本で開催されるから行ってみようと思う人も中にはいるはず。いつもはテレビでしか見れないオリンピックですが、生で見られるチャンスとなります。また、競技の時間も日本の時間が基準になっているので、起きて夜更かしをするということもありません。

スポーツ関連の売り上げが良くなる

もちろんオリンピックだけに限った話ではないのですが、例えば、筆者はテニスが好きなのでテニスの話を出すと、錦織選手が優勝したなど錦織選手の知名度が上がれば上がるほど、テニススクールに通い始める人が増えます。多くの人は、人気のスポーツや自分の記憶に残ったスポーツをやってみたいと思う気持ちが強いため、オリンピック後はスポーツをする人口が増え、結果的にスポーツ関連の売り上げが上がることになります。

悪い影響について

莫大な費用が必要になる

もちろん会場設備やサービス業の雇用が増えることなどは良いことではありますが、新しいことを始めるためには莫大なお金が必要になってきます。当初3000億円を見込んでいた費用も現在では2兆円を大きく上回ることがすでに明らかになっています。莫大なお金を用意するためには国が借金をしたり、一部ではわれわれの税金が使われているものもあります。確かにオリンピックを開くことによる経済効果は計り知れないものがあるかもしれませんが、どのようにしてお金を担保するのでしょうか?

人材不足が深刻化

会場設備やサービス業にも共通していえることですが人材不足が問題となっています。東京オリンピックのボランティアが一番わかりやすい例ですが、11万人ものボランティアを募集していますがまだ少ししか集まっていないようです。そのため大学生にはボランティアをすることで単位として認めたり、中・高生をボランティアに参加させる動きが進んでいます。また「1日8時間、10日以上参加できる方」というかなり仕事に近いことをするのにも関わらずボランティアなので無報酬となっています。それでは人が集まらないのも無理がないでしょう。このようにオリンピックを開く上でさまざまな場所での人材不足が問題になってきています。

治安が悪化する

日本と言えば交通網がある程度整っていて、犯罪件数も世界的にとても少ない国ですから「治安が良い」と評価することができるはず。ただ、先ほども述べたように最大92万人もの海外のお客さんが来ます。警察などの人数を増員したとしても、警察の組織だけでは対処しきれない人数になることはまちがいがありません。そのような状況では「テロ」が起きたりする可能性もなくはありません。実際に2016年のリオオリンピックでは、テロを企てた事件もあったようです。治安の保全は大丈夫でしょうか。

地方がますます見捨てられる

日本の現状と言えば、都会に人が集まりすぎて、地方には人が少なくなるという現象が起きています。東京オリンピックの会場を見ると、ほとんどが東京で、新設される会場もほとんどが東京となっています。そのためますます都会に人が集まることで地方は廃れていくことになってしまうでしょう。

このようにオリンピックを開くことでさまざまなメリットやデメリットがあるかと思います。最近進んでいる「キャッシュレス」という動きも海外の観光客が簡単に支払いができるようにする施策だと言えます。オリンピックを開くことが決まっている以上、いまから中止するという選択肢はもはや無理でしょうから、オリンピック前後の動きをアンテナを立てて情報を集めるということが必要でしょう。

次項では、実際に1964年度のオリンピックがもたらした影響について見て行こうと思います。

1964年度のオリンピックの影響はどうだったのか?

簡単に1964年のオリンピックについて説明をすると、1964年度に開かれた第18回オリンピック競技大会はアジア地域で初めて開催されたオリンピックということで大変注目を集めました。

1964年次のオリンピックは、日本が国際社会に復帰したというシンボルでもあったとも言えます。また今もわたしたちの生活の一部として活躍しているものも1964年度にむけて整備が進みました。例えば、「新幹線」や「モノレール」、「首都高速道路」などはその一例です。また「日本武道館」や「江の島のヨットハーバー」もその当時に作られ、2020年度の会場として使われることも決まっています。このように1964年度のものが遺産(レガシー)として残っているものが多いことが分かるかと思います。

簡単に確認ができたところで、1964年のオリンピックの影響について見ていくと、経済効果は目を見張るものがあり、経済効果は約1兆円と言われています。1兆円と聞くとあまりそうでもないと思われる方もいらっしゃいますが、1964年次の1兆円はいまとは比べられないくらいとてつもない金額になっています。しかし、さまざまな公共事業や雇用が増え、経済効果をもたらした1964年のオリンピック効果はそう長くは続かずに、好況や不況を繰り返すことになりました。

つまり簡単にまとめると、オリンピックが開かれた年までの経済効果は期待できるものの、その後の経済効果を期待することが出来ないという仮定を立てることが出来ます。

オリンピック終了後の各国(海外)の様子

それではオリンピックを実施した他の海外の国はオリンピック後はどのような状況になっているのかを見ていきたいと思います。

ギリシャ(アテネ)

2004年にギリシャで開かれたアテネオリンピックも経済効果は一時的なものとなりました。
それどころか直接的な原因ではないのかもしれませんが、オリンピックで様々な事業を整えていった結果、数年後に財政危機に陥ってしまったということも記憶に新しいのではないでしょうか。ギリシャではオリンピックを開催した結果はあまりなかったということが出来るでしょう。

中国(北京)

2008年に中国で開かれた北京オリンピックは約10兆以上の経済効果をもたらしたことが分かっています。
ただ北京オリンピックを開催する上で建設された競技会場は、維持費が高すぎることや主要の都市から遠いという理由で大部分は使われなくなってしまいました。オリンピック自体は成功したものの建設した会場の利用を考えていなかったため、廃墟と化してしまった会場が多かったようです。

イギリス(ロンドン)

2012年にイギリスで開催されたロンドンオリンピックはこちらも他の国と同様に経済効果は一時的に上がりました。
ただギリシャや中国とは違い、再利用できるように改修を進めていたため、サイクリングやジョギングなどができる他にも、ラグビーのワールドカップの競技場として利用されたり、選手村についてはマンションとして再活用をすることに成功しました。

ブラジル(リオデジャネイロ)

2016年に開かれたリオデジャネイロオリンピックでも経済効果は一時的なものとなり、中国と同様に大会で使われた施設が問題となりました。
メイン会場となった「マラカナンスタジアム」では、電気代や会場の運営費などを巡り、運営会社や行政、オリンピックの主催者と今でももめており、今では閉鎖され使えなくなっています。

オリンピック後の運営

他国の状況をまとめると、オリンピック後の会場利用を考えないと廃墟化してしまうことが分かったかと思います。イギリスだけはその後の会場利用も考えており、実際に成功を収めていました。日本はオリンピック後の会場利用を考えているのでしょうか?

葛西臨海公園に隣接するカヌーのスラローム会場では、競技場としての利用が終了した後は、さまざまなウォータースポーツが楽しめるレジャーとレクリエーション施設にしていくことが計画されているようです。人気のラフティングなどが都内でできる施設になるので、オリンピック終了後も来場者をあつめることができそうです。また選手村に関しても、マンションとして売り出す予定にしており、競技場などの再利用についての計画が順調に進んでいるということができます。

ロンドンオリンピックのように競技場のその後の利用の計画を考えているようなので、競技場が廃墟化してしまうことはなさそうです。とはいうもののあくまで計画なので、廃墟にするのではなく遺産にしていくことが今後のオリンピックを運営していく側に科せられた大きな課題となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
東京オリンピックを開くことによって良い・悪い影響について理解していただけたかと思います。これからのオリンピックは競技場の再利用という面も考えて進めていかなくてはなりません。
2020年の東京オリンピックまであとわずか。真の意味でのオリンピックを成功させるために、日本の判断力・行動力が求められることになるでしょう。

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