ノウハウとは?意味や使い方・ナレッジとの違いなどを紹介

ノウハウとは、企業の持続的な成長に欠かすことができない要素のひとつです。年々激しくなる企業間競争に打ち勝つためは、ノウハウをいかに活用するかが鍵を握ります。

ノウハウを蓄積・共有するためには、まず「ノウハウとは何か?」を正しく理解することが必要です。

今回は、ノウハウとは何を指す言葉なのか、ビジネスシーンにおける意味や使い方、蓄積する方法について紹介します。

ノウハウとは

ノウハウとは、英語の「know-how」に由来し、「know(知る)」と「how(どうやって)」、これら2つの英単語が組み合わされてできた言葉です。

一般的に、「特定の物事を進めるための技術・能力・知識」といった意味として使用されています。経験から得た「コツ」や「秘訣」のようなものと捉えるとわかりやすいでしょう。

「料理のノウハウ」や「学習のノウハウ」など、日常的にも使われることが多い言葉です。

ビジネスシーンにおけるノウハウの意味・使い方

ビジネスシーンにおけるノウハウと、日常的に使うノウハウとでは、意味合いが少し異なるため、正しく理解しておきましょう。

ビジネスシーンにおけるノウハウとは、「実務を通して学んだ技術や知識」を指します。特に、専門性の高い知識や技術がノウハウとして扱われています。

企業のノウハウには、試行錯誤して得た業務上の重要な情報も含まれるため、知的財産の一種でもあるといえるでしょう。

知的財産とは、アイデアやデザインなど、企業の強みとなる資産を総称する言葉です。知的財産は、企業の競争力の源泉となるため、単に蓄積するだけでなく、適切に共有し、正しく管理することが重要なのです。

ノウハウの類語について

ノウハウと類語として、「スキル」「ハウツー」「ナレッジ」があげられます。それぞれの言葉には明確な違いがありますが、密接した関係でもあります。

正しく使い分けるためにも、ノウハウの類語について理解を深めておきましょう。

スキル(Skill)

スキルとは、特別な教養や訓練を通して獲得した能力のことです。ビジネスシーンでは、より深い理解に基づいた「専門的な技術や資格」を指す言葉として使われます。

ノウハウが「やり方」や「方法」といった包括したものであるのに対し、スキルは「能力」を指します。

スキルは個人に蓄積されるため、そのものを共有することは困難です。しかし、スキルを活用してノウハウを生み出せば、社内での共有も可能となります。

ハウツー(How to)

ハウツーとは、「〜するための方法」を意味します。

スキルもノウハウも、物事を進める方法や手順を指す言葉ですが、ノウハウは専門性の高い知識や情報を指すのに対し、ハウツーは基礎的な知識や情報を指します。

ハウツーは、あくまでも初心者向けの知識であり、専門的な情報が含まれていないことを覚えておきましょう。

ナレッジ(Knowledge)

ナレッジとは、「知識・知見」を意味する言葉です。企業にとって付加価値のある知識や情報をナレッジと呼ぶため、ノウハウと混同している方も多いのではないでしょうか。

ナレッジとノウハウの大きな違いは「経験」の有無です。経験によって得た技術や知識をノウハウと呼びますが、ナレッジに経験は必要ありません。書籍やインターネットなどからでも、ナレッジの習得は可能です。

経験で得た知識がノウハウ、ノウハウを言語化したものがナレッジと考えるとわかりやすいでしょう。

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ノウハウの具体例

ビジネスシーンにおけるノウハウは、実務を通して得た知識や技術を指すため、言語化が難しいとされています。言葉や数字で明確に表せないため、ノウハウのイメージがつかめないという方も多いでしょう。

ビジネスにおけるノウハウの具体例は以下です。

・基本的な業務マニュアル
・電話対応マニュアル
・商品を生産する技術・手順
・コンサルティング技術
・自社オリジナルの営業テクニック
・特許を取得した技術的な知識
・製品開発の研究レポート

経験をもとに生み出されたノウハウには、企業にとって有益な情報が含まれています。個人のノウハウを自社のマニュアルに活かすことができれば、引き継ぎや教育が円滑に進み、生産性向上が期待できるでしょう。

ノウハウを使った例文

認識に齟齬を生じさせないためにも、ノウハウの使い方についても正しく理解しておきましょう。

ノウハウを使った例文は下記です。

・上司から営業のノウハウを教えてもらう
・マーケティングのノウハウを身につけた
・彼は商品開発に関するノウハウを持っている
・顧客対応に関するノウハウを社内で共有する
・従業員にヒアリングして、ノウハウを蓄積した

ノウハウは、営業テクニックや商品開発、コンサルティングなど、専門的な技術を身につけるシーンにおいて、他の人からやり方や知識を教えてもらう際に使われます。

企業がノウハウの蓄積・共有を行うメリット

企業がノウハウを蓄積・共有するメリットは多いため、積極的に取り組むべき課題です。

ここでは、ノウハウの蓄積・共有の具体的なメリットについて紹介します。

生産性を向上できる

過去の業務で培ったノウハウの共有は、「成果を上げるための方法を組織全体で共有すること」です。

ノウハウがあれば、担当者の経験や知識の有無にかかわらず、誰でも効率よく業務に取り組めるようになります。業務の引き継ぎや新人教育に割く時間や手間が削減でき、生産性の向上が期待できます。

社員の問題解決能力が上がる

社員が問題や課題に直面した場合でも、ノウハウが正しく蓄積されていれば、上司に頼ることなく自分で対応できるようになります。これを繰り返すことで、社員の問題解決能力は向上するでしょう。

また、社員が自ら問題解決に取り組むことで、新たな発見を得られる可能性もあり、さらなるノウハウの蓄積も期待できます。

業務の属人化を防げる

業務の属人化とは、業務が特定の社員に依存している状態を指す言葉です。業務の属人化は、担当者不在による対応の遅れや、担当者によって製品の品質に差が生じるなど、組織全体へ悪影響を及ぼす恐れがあります。

ノウハウが社内で共有されていれば、業務が人に依存してしまう状態を解消でき、品質の一貫性も確保できるでしょう。

ノウハウを蓄積する際のポイント

日々の業務を淡々とこなすだけでは、ノウハウは蓄積されません。意識してこそ、正しく蓄積されるのです。

ノウハウを効率よく蓄積するポイントをおさえておきましょう。

優先して蓄積したいノウハウを明確にする

組織には数多くの業務が存在します。その業務一つひとつのノウハウすべてを蓄積することは、現実的ではないでしょう。たとえ、膨大な情報を蓄積できたとしても、活用できなければ意味がありません。

まずは、組織内の業務を洗い出し、優先して蓄積したいノウハウを明確にすることからはじめましょう。企業の成長に欠かせない業務や、業務効率化や生産性向上に直結するノウハウを優先的に蓄積するとよいでしょう。

業務未経験の人でも理解できる内容にする

ノウハウとは専門的な情報や知識を指す言葉であると解説しました。しかし、業務未経験の人に対して、経験者向けのノウハウを伝授しても、すぐに理解することはできないでしょう。

ノウハウは、業務未経験の人でも理解できるよう情報を整理し、適切なレベルで共有する必要があります。

何事も入門から基本、基本から応用という順序があるように、ノウハウも段階的に共有するとスムーズです。マニュアルで業務内容をイメージしてから実践に移行するなど、わかりやすさを意識することで、業務未経験の人でも理解できるノウハウが蓄積できます。

改善を繰り返す

情報が目まぐるしく変化する現代社会において、数年前に蓄積されたままのノウハウでは、有効活用できない可能性があります。

蓄積したノウハウは、環境や自社の変化に合わせ、必要に応じて改善を繰り返す必要があります。定期的に情報を更新し、古い情報は削除するなど整理をすることで、より優れたノウハウを蓄積し続けることができるでしょう

言語化しにくい業務を仕組化する

経験値や勘、センスなど、個人的要素が強い業務は、マニュアル化が難しく、ノウハウの蓄積が滞りがちです。

しかし、マニュアル化が難しいからといって放置していては、業務が孤立してしまい、やがて属人化やブラックボックス化を引き起こしてしまうでしょう。

言語化しにくい業務は、可能な限りワークフローを明確にし、仕組化することでノウハウの蓄積が可能となります。

従業員ごとの業務量の最適化

思うようにノウハウが蓄積できていない場合、従業員の業務量過多や偏りが起きている可能性があります。

業務量が多い従業員にとって、ノウハウを蓄積する時間を割くことは容易ではありません。

ノウハウの蓄積には従業員の理解と協力が必要不可欠です。まずは従業員の業務負荷を把握し、業務量の最適化を行いましょう。

ノウハウが蓄積されない場合の対処法

ノウハウの蓄積に取り組んでいるものの、なかなか上手くいかずに悩んでいる企業は少なくありません。

ここでは、ノウハウが蓄積されない場合の対処法を紹介します。

アウトソーシングを活用する

ノウハウの蓄積に時間や人員を割くことができない場合は、アウトソーシングを活用するとよいでしょう。

アウトソーシングとは、専門性の高い外部組織に業務を依頼することです。専門家の知識や経験を生かしたアドバイスを受け、確実にノウハウを蓄積できるでしょう。

アウトソーシングを活用する場合は、情報を外部に渡さなくてなりません。情報漏洩のリスクがあるため、委託する企業は慎重に選びましょう。

OJTを併用する

コア業務に対して優先度の低いノウハウの蓄積は、後回しにされがちです。そのため、OJTの併用を検討するとよいでしょう。

OJTとは、「On the Job Training (オンザジョブトレーニング)」を略した言葉です。上司や先輩が新人につき、実際の仕事を通じて指導し、知識や技術などを身に付けさせる教育方法のひとつです。

OJTを併用すれば、教育とノウハウの蓄積が同時に行えるため、教育の負担も軽減できるでしょう。

まとめ

ノウハウとは、実務を通して身につけた技術や知識です。共有することで組織全体の生産性を高め、さらには競争優位性の確立にもつながるため、企業の資産として適切に管理しなければなりません。

まずは、蓄積すべきノウハウの優先順位を決め、誰でも理解できる内容でまとめましょう。また、環境や情勢の変化に合わせ、改善を繰り返すことも大切です。

ノウハウとはどのようなものなのか、意味や重要性を正しく知り、競合他社と差別化を図る自社の強みとして活用しましょう。

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