IBM、Yahoo!における在宅勤務原則廃止は、ほんとにそれでいいのか? 徹底考察

11月はテレワーク月間です。この11月を迎える直前に驚くニュースが届きましたのでそれを考察してみました。

現在の日本は少子高齢化が進み、働き手が減少し続けています。その流れのなか、企業は、優秀な人材を流出させないためにも、働き方の多様性を模索し、勤務方法の柔軟性のなさが退職・転職のきっかけとならないように工夫をしなければなりません。テレワーク・リモートワークやフリーランスといった働き方が浸透しつつ、それについての方法論や議論も増えてきました。リモートワークやフリーランスという働き方は、正社員として会社に多くの時間を捧げる伝統的な働き方が難しい主婦層や子育て世代にとって魅力的です。主婦層、子育て世代だけでなく、これからの働き手世代は、子育てだけでなく、介護にも時間が必要になり、仕事だけに人生を捧げる働き方は不可能だと考えられてもいます。そのため日本ではリモートワークやフリーランスのような自由度と柔軟性の高い働き方をもっと推進していくべきだと言われています。

このように、日本においてはリモートワークの必要性や重要性が問われてきているわけですが、テレワーク先進国、リモートワークの先駆であるアメリカにおいて、まったく逆の動きが出てきています。これはいったいどういうことなのでしょうか。

在宅勤務禁止のショック

2017年10月22日付けフォーブス・ジャパンにて、かねてからリモートワークをもっとも推進する企業のひとつであった米IBMが数千人のリモートワーカー人員をオフィス勤務に戻したという記事がありました。

IBMは2009年、173か国38万6000人の社員のうち、40%が遠隔勤務をしていると公表していた。遠隔勤務制度の導入により、IBMは各地のオフィスビルを計20億ドル(約2250億円)近くで売却できた。賢いビジネス戦略としてもてはやされた在宅勤務は、瞬く間に本格的なトレンドとなった。

会社からみれば、従業員のリモートワークを認めることは、オフィス環境コストの経費削減というメリットがあるだけでなく、働き方に柔軟性があって従業員の自己裁量性が高い職場環境を提供している企業としてのアピールすることができるという面もありました。そのため、かつてはIBMにならってリモートワーカーを増やそうというトレンドを生むほどの影響力をもっていたのですが、そのIBMがオフィス勤務に逆戻りしたのです。同様の動きは、2013年に米Yahoo!にて最高経営責任者(CEO)であったマリッサ・メイヤー氏による、在宅勤務原則禁止の通知とも同じ動きであると言えます。

彼女は、

「最上の職場になるためには、コミュニケーションとコラボレーションが大事。ゆえに、私たちはサイド・バイ・サイドで(机をならべて)働く必要がある。社内にいることが肝要なのだ。ベストの決定や見解は、社内の廊下や社員食堂での、新たな人たちとの出会い、いや即席チームミーティングから生まれることもある。在宅勤務だと、スピードと仕事の質がしばしば損なわれる。私たちは、ひとつのヤフーにならねばならぬ。そして、それは物理的に一緒にいることから始まるのだ。」

という趣旨のメールを在宅勤務社員に送ったと報じられています。

彼女は米GoogleからスカウトされてYahoo!に入社し、その直後に妊娠。なので在宅勤務やリモートワークについて十分に理解と必要性を感じていたことでしょう。しかし、このような決断に至ったわけはどのようなものでしょうか。
リモートワークや在宅勤務を廃止し、オフィスへの復帰を促そうというこれらの動きの前に、もっと違ったアプローチができなかったのかと考えてしまいます。

日本に当てはめて考えてみると、リモートワーク導入への流れが始まったなか急にそれが廃止となったら、重要な働き手を失うリスクにつながるでしょう。
リモートワーカーを廃止した一番の原因は、コストのほか、管理のしにくさ、難しさなどがあったと推測できますが、それらをカバーできるアプリやツール、考え方などはなかったのでしょうか。

私見! いちライターの在宅勤務の場合

ライターの私自身の経験ですが、企業に所属しての正社員フルタイムではありませんが、在宅で仕事をさせていただいています。基本的に、まずその月の業務内容について打ち合わせをし、それを確認しながら進行するスタイルです。打ち合わせの時は前月の問題点などをフォローアップをすることも心がけています。いつもクライアントとお会いできるわけではないので、貴重な打ち合わせの時間をいただけた場合は、仕事のことも仕事以外の話も積極的にできるように心がけています。打ち合わせがないクライアントの場合は、月毎でなく、案件ごとに作業内容と締め切りの確認をした上で進行しています。仕事が完成するまでに疑問が生まれれば質問し、間違ってしまう可能性や疑問点を解消につとめています。

スタンプで信頼アップ?

私はクライアントによって電話や一般的なメール、チャット可能なオンラインシステムなどの連絡ツールを使い分けて利用しています。一般的なメールですと、顔文字などを使う人は少ないと思いますが、チャット会議用のアプリケーションシステムによっては、顔文字などがデフォルトで入っているものがあります。私もオンライン会議ツールを使用するときに、顔文字を使用して感情を伝えようとしたり、工夫できないか考えています。もちろん使用するさいには、時と場合をよく考えてから使用するわけですが、日本人は携帯電話で顔文字やスタンプを使用することに慣れているため、オンラインでのチャットや会議で顔文字やスタンプをつかって感情を伝えることに抵抗がないように感じています。

信頼できるかどうか、それが問題だ


私自身が在宅勤務においていつも感じていることは、仕事が完了するまでにどう進行するかを自己裁量でできることに対して、大きなやりがいを感じるということです。要は、仕事を任せていただいているという喜びが大きいのです。

このような自分の経験もあり、IBMやYahoo!のリモートワーカーが在宅業務を原則禁止されたときに、信頼されていない、もっと管理が必要な存在であると会社から思われたと感じた社員がいるのではないかと感じてしまいます。モチベーションをそぐ一因もになっていることでしょう。もちろん、在宅業務の問題点はよくわかります。企業からみれば、案件が仕上がってくるまで進捗がわかりづらい、メールや電話がいつもすぐにつながり返事があるとは限らない、仕事中に何をしているかわからない……などなど、信頼関係がなければ仕事を任せることが難しいと言えるでしょう。

だからといって、常にリモートワーカーを監視していくために、PCに監視ソフトやカメラをつけたとしたら、それを管理し続けることに大変なコストと時間が必要になって、在宅にしている意味がなくなってしまいます。ですが、生産性を高めて成長し続ける宿命をもつ企業にとって、従業員に9時から5時まで会社で過ごすことを強要することが、イノベーションや業績をあげることの絶対条件なのでしょうか? 仕事は会議室にあるのではなく、さまざまな日常にもヒントがあるものです。生産性が確認できさえすれば、どんな場所でも仕事をできると証明できるでしょう。
仕事は自分ひとりではできないものです。かならず他人の存在が必要なのであり、仕事を一人でかかえこむスタイルでは、やがて疲弊し、生産性ものぞめません。個人に仕事への権限を移譲し、自己裁量を即して信頼感を伝えることで、管理側と在宅勤務者の関係を、もっとスムースにできるのではないでしょうか。

リモートでのチームビルディングの可能性

リモートワークでもっとも難しいことは、チームビルディングでしょう。一人ひとりに仕事の案件を依頼し進行することは可能だとしても、その仕事をチームとしてまとめるとなると、リーダーや管理者はそれこそ一日パソコンにはりついていなければならないためです。こんなときリーダーは、すべきこと、期限などを細かく設定し、リマインドしつづけることで管理の難しさとリスクを減らすことができると考えられます。

メイヤー元Yahoo!CEOの言うような、対面でのコミュニケーションで得られるものの大きさや、コミュニケーションの重要さは理解できます。オフィスで一緒に時間をすごすことでわかること、生まれる仕事もあるでしょう。しかし、「対面のコミュニケーションのほうがリモートのコミュニケーションよりも優れているのでリモート勤務を禁止します」といわれたら、あなたはどう考えるでしょうか? 働き方の多様性が求められるこの時代に、違和感を覚えないでしょうか?

≫変化する働き方の中でのチームビルディングに関する記事はこちら

「IBM、Yahoo! における在宅勤務原則廃止」のニュースについてのまとめ

在宅勤務、リモートワークは、これからますます時代からのニーズが高まっていく働き方です。どんな働き手にも可能性を与え、個人個人の成長を社会全体の成長に変えていけるようにするになにをすべきか、なにができるのか、あなたもぜひ考えてみてください。
参考記事
https://forbesjapan.com/articles/detail/18195
https://www.nikkei.com/article/DGXNMSFK04008_U3A300C1000000/
http://time.com/money/2791618/telecommuting-what-marissa-mayer-got-right-and-wrong/

事例に学ぶ

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