エンジニアの生産性向上に英語力は必須です。理由は単純で、エンジニアの業務のあらゆる領域に英語力が求められるからです。本記事では、元エンジニアの筆者が、生産性向上のために実際に試してコスパが良かった方法をわかりやすく解説します。ここで書かれている勉強法を3ヶ月〜半年継続すれば、エンジニアに必要な最低限の英語力は、ほぼ確実に手に入れることができるでしょう。
エンジニアが英語を勉強する3つのメリット
冒頭でエンジニアが英語を学ぶ理由は、エンジニアの業務のいたるところに英語力が求められるからだと書きました。しかし今ひとつ、エンジニアが英語を学ぶ意味があるのか疑問を抱く方に、具体的な3つのメリットを解説します。
①アクセスできる情報が圧倒的に増える
1つ目のメリットは、英語を学ぶとアクセスできる情報が圧倒的に増えることです。具体的なデータを見てみましょう。<a href=”https://www.internetworldstats.com/stats7.htm”>Internet Statistics</a>に公表されている、2019年4月時点のインターネットで利用されている言語に関する統計は、表1の通りです。
English | 25.2% |
Chinese | 19.3% |
Spanish | 7.9% |
Arabic | 5.2% |
Portuguese | 3.9% |
Indonesian / Malaysian | 3.9% |
French | 3.3% |
Japanese | 2.7% |
Russian | 2.5% |
German | 2.1% |
OTHERS | 23.7% |
表1:インターネットで利用される言語の割合
インターネットで最も利用されている英語は、全体の25.2%を占めています。これに対して、日本語は全体の2.7%に過ぎません。つまり英語を学べば、日本語の約12倍の情報にアクセスできることを示しています。
②英語圏のツール群を使いこなすことができる
2つ目のメリットは、英語圏のエンジニアリングに活用できるツール群を使いこなすことができることです。もちろん、ツールによっては、日本語の情報がすでにネット上に豊富にあり、英語が必要ない場合も多いかもしれません。しかし、マイナーなツールやツールの細かい機能は、英語のドキュメントを参照しないといけない場面もあります。
例えば、エンジニアの人なら誰もが知ってる黒い画面がありますよね?CUI(character user interface)、コマンドプロンプト、ターミナルなど名称はいくつかあります。これを使っている時に、ツール(コマンド)のドキュメントが見たい場合、”man”というコマンドで、ドキュメントをすぐに参照できてとても便利ですが、英語です。画像1は、筆者が黒い画面で”man npm”と打ち込んだ結果です。
画像1:ターミナルにて”man npm”と打ち込んだ結果
ここから更に各詳細に飛ぶことが可能ですが、それらもすべて英語です。これは単なる一例に過ぎず、英語ができるとスムーズにツールを使いこなせる場面はかなりあります。英語ができないとヤバい⋯という気分になってきませんか?実際に、英語ができるエンジニアと比べて、英語ができないエンジニアは、不利な立場にいることは明白です。
③海外エンジニアで給与UPの可能性
3つ目のメリットは、海外エンジニアとして日本を飛び出し、給与の大幅UPができる可能性があることです。2016年の経済産業省による<a href=”https://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002-8.pdf”>IT人材に関する各国比較調査</a>によると、米国のIT人材は日本のIT人材に比べて平均年収が2倍であることが明らかになりました。単純に考えると、英語を身につけ米国に渡り、IT企業でエンジニアとして働けば、給与が2倍になるということです。
コスパ最強のエンジニア英語勉強法「7選」
前章では、日本のエンジニアが英語を身につける3つのメリットについて紹介しました。英語を身につけることが、エンジニアの仕事にとってどれだけプラスになるか、異論はないはずです。しかしながら、エンジニアが多忙で英語の勉強に多くの時間を割けないということは、理解しています。したがって、コスパ(費用対効果)がいい方法を考える必要があります。ここでは、元エンジニアの筆者が、実践してコスパが良かった英語勉強法を「7つ」紹介します。
①すべての環境を日本語から英語に変える
最初に、一番手っ取り早い方法を紹介します。すべての環境を日本語から英語に変えましょう。まずは、PCとスマホからです。各端末によってやり方は異なるので、具体的な手順はここでは解説できませんが、大した手間はかかりません。ただ、バックアップはしておいた方がいいでしょう。それが終わったら、よく使うアプリやWebサービスも全部、英語設定にします。これで、日常的に実践的な英語学習ができます。最初は、戸惑うかもしれませんが、慣れれば英語にしていることを意識しなくなります。
②海外の技術メディアをサブスク(購読)する
エンジニアなら、技術メディアはよく見ると思います。TechCrunch(テッククランチ)やWired(ワイアード)などは有名ですね。ここでおすすめする方法は、海外の技術メディアをサブスク(購読)することです。筆者は、ブロックチェーンが専門ですので、MessariやThe Block, OFF THE CHAINなどのメディアをサブスクしてます。毎日、英語のニュースレターと記事一覧が届くので、英語を読むことが日課になります。また、一般的な英語の教材と違い、コンテンツが仕事に直結しますので、コスパが良いです。
③毎日25分「1対1」でオンライン英会話
マンツーマン・オンライン英会話というと敷居が高く思うかもしれません。しかし、筆者が利用する「レアジョブ英会話」(rarejob.com)は、初級者向けの教材が豊富にあり、講師(フィリピン人)も初級者に慣れているので、心配ご無用です。特筆すべきは、毎日25分「1対1」のオンライン英会話で月5,800円(2020年2月時点)という価格の安さ(187円/1レッスン)です。日本人は、スピーキングとリスニングが弱いので、それを手軽に安く補えるサービスは貴重です。
④実用的な英語の参考書を正しく選ぶ
英語の参考書は、書店に行くと山ほど積まれていますが、実用的な英語力を身につけるのに必要な知識を得るための参考書はほんの少しで構いません。たくさんの参考書を手早くこなす、ではなく、選び抜いた参考書を入念に使い込みましょう。初級者〜中級者に必要な参考書は、2種類です。「文法の基礎」と「基本的な単語」が学べる本です。参考書には好みがあるので、おすすめ書籍を挙げるのは難しいですが、『英文法レベル別問題集 1超基礎編 改訂版』(安河内哲也/東進ブックス)と『速読英単語 必修編[改訂第7版]』(風早寛/Z会)は、万人向けだと思います。
⑤小難しい文法と構文より、基本的な発音を学ぶ
日本の英語教育は、リーディングに重きを置いています。そのため、複雑な文章を読み解くための難解な文法と公文に関する知識を学ぶことが、英語の勉強だと考える人が多いです。しかし、もしエンジニアとして海外でのキャリアを考えるなら、基本的な発音は必修です。間違えないで欲しいのは、流暢な英語は必要ありません。通じれば問題ないです。ただ思っているよりも、日本人の英語の発音は海外の人に通じません。したがって、まずは日本人が苦手な発音を練習しましょう。「rとl」や「bとv」、「th」などです。ある程度、練習をしたら③の方法で実践してみましょう。
⑥TVを観る時間を減らしてTEDを観る
忙しくても一日30分くらいはTVを観る人が多いと思います。それを1日15分にして、TED(ted.com)を観ましょう。必ずしもTEDに限らなくてもいいですが、TEDの動画はクオリティが総じて高く、エンジニアに必要なクリエイティビティを高めてくれるサイトです。すべてを聞き取れなくても構いません。15分くらいのリスニングで、話の骨子を掴むコツを身につけましょう。要点を理解する能力は、日本語でも役に立ちます。
⑦国際交流系のエンジニアイベントに行く
国際交流系のエンジニアイベントはそれなりにあります。エンジニアのイベントというと、「connpass」(connpass.com)のイメージが強いですが、「meetup」(meetup.com/ja-JP)の方が国際色があります。正直、ここまで紹介した方法の中で一番敷居は高いです。でも、エンジニアとして英語を生かしていきたいのなら、英語で面と向かって初対面の人と会話をすることは、避けては通れません。オンライン英会話では、知ることのできないコツを身につけることができるでしょう。
まとめ:ブロークンイングリッシュでいい
本記事では、エンジニアが英語を学ぶ3つのメリットとコスパの良いエンジニア英語勉強法を7つ紹介してきました。筆者の経験を軸に書きましたので、少し主観的な部分も多かったと思いますが、その分リアリティは増したのかなと思います。完璧な英語を目指す必要はありません。ブロークン・イングリッシュでいいので、実用的な英語力を身につけていきましょう。