日常生活やビジネスシーンにおいて生きづらさを感じ、あれこれ調べた結果「社会不適合者」に行き着いた人は少なくないでしょう。社会不適合者に対する世間のネガティブなイメージに愕然とした人もいるかもしれません。
しかし、働き方が多様化する昨今では、社会不適合者への理解も少しずつ進み、自覚した上で、自分らしい生き方や働き方を選択できます。
この記事では、社会不適合者の特徴やこれからの生き方について、詳しく解説します。
社会不適合者とは？
社会不適合者とは、一般的に社会にうまくなじめていないと感じる人のことを言います。コミュニケーションをとることが極めて苦手、他人と協力して仕事できない、ルールを守った行動ができないなどの生きづらさを感じている人は、社会不適合者である可能性が高いとされています。
社会不適合者は集団に合わせることが困難なので、周囲に溶け込めずに職場の中で浮いた存在になるケースも少なくありません。そのため、仕事が長続きしないと悩む人もいます。
しかし、社会不適合者が悪いということでは決してありません。ひとつの個性として受け入れて、自分らしい生き方や向いている仕事を見つけることが重要なのです。
社会不適合者の性格的特徴
では社会不適合者はどのような性格の特徴を持っているでしょうか。
集団行動が苦手
社会不適合者は、集団行動を苦手とします。周りの状況を把握してTPOに合わせた行動がとれず、「空気が読めない」と捉えられがちです。
チームで分業する業務の場合、相手のスケジュールを考えずに行動したり、相談せずに進めてしまったりすることがあるでしょう。
自分本位になりがち
自分本位になりがちなところも社会不適合者の特徴です。自分の意見を主張できるという意味では、自分に正直な人ともとれるでしょう。しかし、自己中心的な行動や発言が目立つと、ただのわがままな人でしかありません。
責任感がない
社会不適合者は、責任を負うことを避ける傾向にあります。保身に走ることが多く、ミスをした時に言い訳をしたり、対峙せずに逃げてしまったりすることもあるでしょう。
プライドが高い
自信過剰でプライドが高く、常に自分は正しいと思って疑わない性格も、社会不適合者の特徴と言えます。プライドの高さゆえ、自分が持っているスキル以上の仕事を引き受けてしまいますが、能力が伴っていないため、結果として他人に迷惑をかけることになってしまいます。
協調性がない
社会不適合者は協調性がないため、チームワークを乱す人と認識されがちです。仕事をする中では複数のメンバーが協力して仕事を進めたり、話し合いをするシーンが多くありますが、チームの動きに目を向けずに突っ走ってしまったり、自分の話ばかりをして議論を妨げたりします。
他人と自分を比べてしまう
社会不適合者は、他人と自分を比べてしまい、勝手に劣等感やコンプレックスを感じてしまう傾向にあります。前述の通りプライドが高いため、失敗を極度に恐れ、消極的になったり逃げてしまったりすることもあるでしょう。
継続することが苦手
社会不適合者は、継続することが苦手だと考えられています。我慢ができないため、うまくいかないことや苦手なことに向き合えず、途中で投げ出してしまうのです。
上司や同僚、取引先の人との相性が悪いと辛抱できず、仕事を転々とする人も珍しくありません。
こだわりが強すぎる
こだわりが強すぎるため、作業が思うように進まなかったり連携がとれなかったりするのも、社会不適合者によくあることです。「こうあるべき」という思い込みが強く、周囲からのアドバイスも受け入れることができません。
イレギュラーにも弱く、自分が“これだ”と思っていたものを変えることに、強い抵抗感を持ちます。
人から指摘されることがこわい
社会不適合者は、上司やチームのメンバーから指摘をされると、例えそれが効率や品質を上げるための助言であっても、否定されたような気持ちになってしまいます。人から指摘されることを、極度にこわいと感じてしまうのです。
人に心を開くのが苦手
他人を信用できない社会不適合者は、人に心を開くのが苦手です。相手の行動も言動も信頼できないので、コミュニケーションが希薄になってしまいます。
いつまでも距離が縮まらず、相手にやりづらさを感じさせてしまうこともあるでしょう。
社会不適合者の言動の特徴
続いて、社会適合者の言動や行動をみてみましょう。
嘘をついてしまう
度々嘘をついてしまうのは、社会適合者の言動の特徴のひとつです。ミスを隠そうとするあまり嘘でごまかそうとするものの、その場しのぎになって後々発覚することも少なくありません。
ルールや時間を守れない
ルールや時間を守れないのも社会不適合者の言動によくみられます。ルールや時間を守るという意識が薄いので、罪悪感を覚えにくいのです。
仕事においては、遅刻や欠勤などが多くなったり、就業規則を破ったりするでしょう。
コミュニケーションがスムーズに取れない
コミュニケーションをスムーズに取れないことも、社会不適合者の言動の特徴として挙げられます。人とのコミュニケーションに抵抗感があり、口下手ゆえに自分の気持ちや状況を的確に伝えられません。
相手の話すことの意図を汲み取れないため、会話が成り立たず、黙ったり落ち込んだりすることもあるでしょう。
朝起きられない
意外かもしれませんが、朝起きられないことも社会適合者の行動の特徴です。決まった時間に起きられないために、余裕を持って行動できない・自己管理がなっていないという印象を与えてしまいがちです。
社会不適合者かもしれないと感じたら
では、自身が社会不適合者かもしれないと感じたら、どのような行動をとれば良いのでしょう。5つのポイントを挙げてみました。
ありのままの自分を受け止める
まず、自身の特性を否定せずに、ありのままを受け止めましょう。自分を責める必要はありません。誰しも生まれ持った特性があり、変えられないこともあるのです。
社会に適合しなければならない、という考えを手放し、ありのままの自分が何をできるか考えることが大切です。
自分の得意なことを活かす
苦手なことを考えて気に病むのではなく、自分の得意なことを活かすようにシフトチェンジします。
得意なことは何かを改めて考えて、伸ばせるように努力するといいでしょう。
環境を変えてみる
社会不適合者だと感じる要因は、おかれている環境にあるかもしれません。仕事の内容や人間関係、社風などの環境を変えてみると、状況が変わるケースもあります。
転職までいかなくとも、在宅勤務やフレックス勤務を導入できるよう交渉するのもひとつの手段です。
今までの行動を見直す
今までの自分の行動を改めて見直し、無理なく改善できるものがないかを考えてみましょう。社会不適合者の場合、どうしても変えられないものもありますが、中にはそうではない行動もあるかもしれません。
一般常識を身につける
これまで自分が常識だと思っていたものが実は非常識だったというケースも少なくありません。一般常識を改めて学び、身につけるようにしましょう。
一般的な挨拶や基本的なビジネスマナーを身につけるだけでも、ある程度周りに合わせた行動ができるようになるものです。
社会不適合者ではなく発達障害である可能性も？
中には社会不適合者ではなく、発達障害である可能性もあるかもしれません。社会に出て初めて発達障害に気づくことは、決して珍しいことではないのです。
発達障害を認めることで、社会からネガティブな評価を受けるのではないかと不安を抱くかもしれませんが、自分の特性を理解することは生きづらさを軽減することに繋がります。厚生労働省の『発達障害の理解のために』を参考に、よく耳にする発達障害について簡単に説明します。
アスペルガー症候群
「アスペルガー症候群」は、遠まわしな言い方や表情、しぐさから相手の気持ちを読み取ることが難しく、相手を傷つける言葉を悪意なく伝えてしまったり自分のことばかり話してしまったりする特性のことです。相手の気持ちがわからない、自分勝手でわがまま、空気が読めないなどと言われることがあります。
例えば、人と話している時に相手の様子を一切気にせず、自分のことばかり話してしまい、相手の人に「もう結構です」などと言われないと止まらないことが少なくありません。
しかし、興味関心のある事柄については、飛び抜けた知識や集中力を見せることがあります。
学習障害（LD）
「学習障害」とは、知的発達に遅れはないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの、学習に必要とされる基礎的な能力のどれか1つでも習得が困難な状態を指します。努力が足りない、勉強不足などと考えられてしまうことも少なくありません。
例えば、書くことが苦手な人の場合、重要なことを忘れないためにメモをとるものの、書くことが苦手ゆえ、それに気を取られてしまいかえって会議の内容が頭に入ってこなくなってしまいます。
注意欠陥多動性障害（ADHD）
「注意欠陥多動性障害」は、集中力がない、じっとしていられない、思いついたらどんな状況でもすぐに行動してしまう、などの症状がみられます。
言われたことを忘れたり、忘れ物が多かったりするので、注意を受けることが多くなりがちです。自分なりの工夫や対策を身に着けることでミスを減らすことはできますが、あまりに叱責が続くと自信を失い、次第に追い詰められることもあるでしょう。
社会不適合者のこれからの生き方・向いている仕事とは？
もし自身が社会不適合者だった場合、どのような生き方や働き方をすれば良いでしょうか。生きづらさを最小限にできるような仕事について考えてみました。
人と関わる機会が少ない仕事
人との関わりが苦手な人は、人との関わりが少ない仕事を探してみてはいかがでしょう。もちろん、一切人と関わらない仕事はありません。最低限のコミュニケーションは発生しますが、業務そのものを一人で黙々とできれば、ストレスを軽減できます。
自分の得意なことを活かした仕事
苦手なことができずに落ち込んだり苛立ったりするのであれば、自分の得意なことを仕事に繋げるといいでしょう。苦手なことを無理やり続けることは、社会不適合者にとって非効率です。
自分の強みや特技を見つけ出し、それを磨いて最大限活かす方法を考えてみましょう。得意なことや関心のあることは、無理なく頑張れるはずです。
時間に縛られない仕事
朝起きるのが苦手な人や長時間集中できない人は、時間に縛られない仕事がいいでしょう。
もちろんどんな仕事にも決められた期日やノルマのようなものは設定されているため、最低限守るべき時間はあるでしょう。それでも、それさえ守られていれば、働く時間は自由という仕事もあるのです。
起業する・フリーランスになる
社会のルールに合わせることが苦痛だというのであれば、起業したりフリーランスになったりして、自分のルールを設けるのも一案です。近年はインターネットを介したビジネスが多数あり、起業や独立のチャンスは増えています。
海外に移住して働く
生きづらさを感じる背景には、社会の在り方が関係すると言えます。社会の在り方は国によって異なるため、日本の社会に合わせられないと感じるなら、海外移住を視野に入れるのもいいかもしれません。
国が変われば価値観や働き方も異なり、日本にはなじまなかった特性も個性として受け入れられる可能性があるでしょう。
まとめ
個性を活かした働き方ができる昨今、特性に合わせた生き方を選びやすくなっていると言えるでしょう。興味や関心があること、得意なことを見つけ出し、磨くことからはじめてみてはいかがでしょう。
もちろん、楽な道ではありません。しかし生きづらさを我慢することがストレスになっても、好きなことへの努力はストレスにならないケースもあります。できないこと・苦手なことにフォーカスを当てるのをやめ、自身が活躍できる環境を模索すると、世の中は少し生きやすくなるのではないでしょうか。
