なぜ若者は3年以内に会社をやめてしまうのか? 厚生労働省によれば、2016年3月新規学卒者の3年以内の離職率は11.3%でした。傾向として離職率は事業者の規模に反比例しています。全体の平均としては10人に1人は3年以内にやめてしまうというデータですが、規模の小さな事業所においては、さらに高い割合で新入社員がやめていることになります。
会社はなんのために存在しているのか、また若者が会社に期待しているものを説明して、若者の離職率の理解を深めていきましょう。
会社の存在意義とは
ここでは歴史家、経営学者、企業の観点から会社の存在意義を多面的に見ていきます。
歴史家アルフレッドチャンドラーが考える企業の存在意義
著書『経営戦略と組織』で有名なチャンドラーは、会社の存在意義とは大きな存在であることの利点を利用するためであると説明しています。
その利点とは経験曲線効果が働くことで、会社が大きくなればなるほど、経験を蓄積することができ、コスト対パフォーマンスが改善していくことです。
つまり、個人でやるよりも、企業として働いた方が費用対効果が良いということです。
もう少し深く考えてみれば、個人も企業という集合体に属することで、一人で仕事するより個人の費用対効果を上げることができますね。それが個人の給与に繋がるので、集合体のメリットを活かすためというのは極めて本質的な回答です。
経営学者ドラッカーが考える企業の存在意義
経営学者として有名なドラッカーは企業の存在意義を「会社はマーケットを作るために存在している」と話しました。さらに利益は会社の価値を測るための尺であるのに関わらず、多くの人が利益獲得に集中しすぎて、問題やニーズが眠っているマーケットのことを忘れているとも述べています。
この“マーケット”を作るということは、これまでにはなかった需要と供給のバランスを作ると言ってもいいかもしれませんね。その結果として、消費者は新たな財を手にすることができます。同時に供給者は財を提供することで金銭的豊かさを得ることができ、両者とも幸福になることができますね。そんな環境を作ることが企業の存在意義だとドラッカーは言いたいのかもしれませんね。
企業が考える存在意義
世界をオープンで繋がった世界にするため
こちらはFacebookの存在意義です。
確かにFacebookを通じて、社会はオープンで、より周りと繋がりやすい世の中になりましたね。
世界の情報を整理して、世界中でアクセスされ、有益なものとするため
世界の情報を整理し、ユーザがアクセスできるようにしていると言ったらどこの企業の存在意義かわかりますか?はい、みなさんご存知のGoogleが掲げる存在意義です。
地球上で最もお客様を大切にする企業であること
最後にAmazonの存在意義を紹介します。我々の生活を支えているAmazonは地球上で最も顧客を大切にすることを存在意義としています。
amazonサービスは本当に痒い所に手が届くものが多く、我々はその便利さに魅了されていますよね。その背景にはこの存在意義があったんですね。
やはり歴史家、経営学者、企業では存在意義の捉え方の観点が異なりますね。
チャンドラーは集合体のメリットという観点から存在意義を捉えていますし、それに対してドラッカーはマーケットの観点から見ています。
最後に企業はそれぞれの起業家に理想が存在意義に反映されているような印象を受けます。
ミレニアル世代が会社に求めているものTOP5
企業の存在意義について考えて見ましたが、ミレニアル世代は一体会社に何を求めているのでしょうか。
「2018年卒マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況」の企業を選ぶときにあなたが特に注目するポイントを参考にし、ミレニアル世代が会社に求めているものTOP5を選びました。
あなたの会社にいる若者が以下の項目で悩んでいないか確認してみるといいかも知れませんね。
TOP1:人間関係
一番は人間関係でした。社員同士の人間関係の良好さは全体の40%の学生が求めているものです。世代関係なく人間関係がうまくいっていない職場環境で長い期間働いていくのは難しいことです。何かあった時に頼れる仲間・上司がいることはとても重要になります。
TOP2:企業経営の安定
2番目に企業経営の安定さがあります。現代の学生は、両親や親戚など周りからも安定した会社に行くように勧められることが多いように感じます。就活をするときに企業自体の安定性をリサーチする学生も少なくありません。若者にとってはそれだけ重要な項目なのです。
TOP3:福利厚生
3番目に福利厚生があります。家賃手当や自己啓発資金援助など、生活の負担を軽減してくれたり、成長のためにお金を出してくれることを求めているようですね。福利厚生の体制がしっかりしていることで自分の将来設計をしやすいこともTOP3にランクインする理由だと考えられます。
TOP4:成長できる環境
成長できる環境ということで、力をつけて社会で活躍したいという思いがある人は多いです。社員は企業に就職してただ働いているのではなく、自分から主体的に活動ができる企業を求めているようです。
TOP5:企業の成長性
最後に成長性が挙がっています。成長している企業では、個人が新しく挑戦できる環境が整っていることや仕事の幅が広がることが成長企業で働くメリットとしてあげられます。
若者が3年以内に離職してしまうのはなぜ?
若者が3年以内に離職してしまう理由としては様々なものがあげられると思いますが、1番には「仕事が自分に合わなかった」という人が多いようです。他に多くの意見としてあがっていたのは、「人間関係がうまくいかなかった」ということです。すなわち、ミレニアル世代が会社に求めているものと実際のギャップが離職に繋がる原因になるのです。
参考:https://news.mynavi.jp/article/20180620-650907/
まとめ
いかがでしたか。会社の存在意義もさまざまな観点がありました。また若者が会社に何を求めているかも本記事を通して把握できたと思います。
若者が会社に求めている事と会社の存在意義の認識はどちらも重要なものになります。会社としてのミッションを達成を1番の目的とする中で、人間関係を社内の最優先事項にするわけにはいきません。一方で、人間関係を重視する若者が離脱することで、若手が育成されないという問題もあります。企業として機能するためには、上記の2つの事項を大切にし良いバランス感を保っていく必要があるのです。