タイでリモートワークは可能?リアルな海外ノマド事情

最近TwitterやSNS、Youtubeを見ていると海外でリモートワークをしているフリーランスの存在が目立ちます。特に物価の安いアジアでリモートワークをして日本円を稼ぐことでコストパフォーマンスの良い生活ができるという趣旨の情報が発信されています。日本にいる大学生・会社員の方から見ると

・そんなこと本当にできるのだろうか?
・何か不都合なこともあるのではないか?
・どうやったら、そんなことできるの?

と疑問を持つ人も多いでしょう。私は元々タイの国立大学の雇われ外国人としてバンコクの都心に暮らしていた経験があり、しかも現在リモートワークを実践しているWEBライターでもあります。
タイ現地に長く生活者として暮らしていた知見と現在、WEB系リモートワークを実践している経験から良いことから都合の悪いことまで包み隠さずお伝えします。

タイがデジタルノマドの聖地になっている?


タイの大学はパワーポイントによるスライドを使った講義が主流です。私は大学のオフィスで集中できない時や休日はバンコク都心のカフェで講義用の資料をつくるのが日課でした。バンコク都心はWIFIのつながるいまどきのおしゃれなカフェが多いのです。スターバックスのような大手チェーンや一軒、構えた洗練されたカフェまであり、その日の気分で好きに選べます。

現地のカフェで講義用の資料を良く作っていた私は奇妙なことに気づきました。AppleのMac Bookで何かしている白人やアジア系の人たちを良く見かけるのです。こんなところで昼間からMacBookで何をしているのだろうと疑問に思ったものです。

もしかしたらパナソニックのLet’sNoteで妙なスライドを作っている私も傍から見ると同じように見えたのかもしれませんが、当時の私はすごく不思議に思っていました。タイには良くわからない人が多いものだと。

実は、そんなよく分からないMac Bookで何かしている人が、リモートワークをしているデジタルノマドだったわけです。IT系と名乗る日本人の知り合いも、いま思えば多くいたのですが彼らもノマドワーカーだったのかもしれません。

「外こもり」から海外ノマドワーカーへのシフト

いま、SNSなどを見るとMacBookを片方に何となくキラキラしたノマドワーカーの日本人を多く見かけます。彼らの多くはリモートワークで収入を得てタイ現地で生計を立てているようです。

実は、10年以上前から物価の安いタイでどこかに勤めに行くわけでもないのに長期滞在している日本人が大勢いました。彼らは「外こもり」や「沈没組」と当時、呼ばれました。日本で短期のアルバイトや派遣で貯金をしてタイと日本を行き来する人やオンラインの株やFXの取引で生計を立てている人も珍しくありませんでした。どちらかといえば、彼らは日本社会に適合できない生きづらい人たちとしてネガティブな存在として捉えられることも多かったように思えます。

2008年には、FXで生計を立てていたとされる「外こもりのススメ」という本を出版していた邦人が、お金目当てに殺害されるというショッキングな出来事もありました。そして「外こもり」「沈没組」の多くは貯金がなくなったり株や為替取引で損を出したりビザの関係で入国拒否になるなどのさまざまな要因で人知れず消えていきました。

しかし、現在は企業のリモートワークやクラウドソーシングが発展したことにより、日本で短期のアルバイトをして往復しながらの生活や無理なオンライントレードで資金を失うリスクを背負いながら現地で生計を立てる以外の選択肢が増えてきました。

つまり、テクノロジーの発展と働き方の多様性という時代が暗い影のあった「外こもり」や「沈没組」を現在のキラキラした海外ノマドへとシフトさせたという見方もできるのです。10年、20年前には存在し得なかったライフスタイルなので珍しいと感じるのも当たり前です。

10年時代が違えば「沈没組」「外こもり」と呼ばれる人の一部はキラキラした海外ノマドとして憧れの存在になり得た可能性もあるのです。

ノマドに最適?リモートワークの環境が整っている首都バンコク

タイの首都、バンコクはリモートワークの環境が整っています。スマートフォンも現地のSIMカードを挿入すれば日本と同じように使うことができます。首都バンコクはWIFIの利用できるカフェも多くデジタルノマド向けのコワーキングスペースも数多くあります。

例えば、バンコクの日本人街スクンビットソイ33の近くにある高級ショッピングモール「エンポリアム」の5階には年間約4000円で利用できるコワーキングスペース「TCDC」が人気です。それ以外にも数々のコワーキングスペースがあり気分次第で場所を変えることも容易です。もちろんホテルやコンドミニアムやサービスアパートなどでもWIFIがつかえるところが普通。

気分によってカフェでもコワーキングスペースでも、どこでもリモートワークできる環境がバンコクにはあります。

タイの地方都市でもネット環境はあり、リモートワーク・ノマドは可能

バンコク以外でもリモートワークは可能です。例えば、私はバンコクから車で3時間以上かかる地方都市の大学のITキャンパスに用事があり見学に行ったことがあります。そこではタイ人の学生が何百人もプログラミングやデザインを学んでおり快適な通信環境でアプリ開発やデザインをしていました。地方都市でもWIFIや通信環境は備わっています。

バンコク以外だと、北方のチェンマイもリモートワークで活動している外国人が多く都会の喧騒を離れてリラックスして仕事に打ち込んでいます。

バンコクほどコワーキングスペースや喫茶店の数はありませんが地方都市やリゾート地でも十分な通信インフラが現在のタイでは整っています。

ノマドワーカーとしてのタイ生活の魅力


タイをはじめとした東南アジア諸国はインフレになったとはいえ、まだまだ日本よりも生活費を抑えることができます。またタイ国内にはリゾート地も多く都会の喧騒を離れリラックスできるところも数多くあります。食事も現地のタイ料理をはじめ日本食や本格的なフレンチ・イタリアンまで豊富です。さらには日本の書籍なども手に入る便利なショッピング・モールもあるため買い物にもあまり困りません。

タイの生活費はどれぐらい?

よくSNSなどを見るとタイなら日本円で月に5万円で生活できるという意見もあります。一方で、インフレで日本の地方都市よりも生活が厳しいという意見もあります。どちらが正しいのでしょうか。実はどちらも正しいのです。

タイには月給1万バーツ(月に約3万円)程度で生活している人も大勢います。そのため現地の人達と同じ住居や同じ食事をすれば確かに月々5万円以下に抑えることもできます。しかし、現地のローカルアパートや毎日、現地の食事で長期間に渡って生活できる日本人はそう多くはないでしょう。

一方で毎日、高級な日本食を食べたり快適な高層コンドミニアムに住み贅沢に暮らせばお金はいくらあっても足りません。

しかし、私の肌感覚から言えば同じお金を出すなら日本よりもタイの方が豊かに暮らせると思います。例えば、日本円で家賃5万円程度の物件では東京都内で駅近で清潔なデザイナーマンションを借りるのは難しいのではないでしょうか。地方都市であっても都内よりも広い部屋は借りることができてもタイと同じレベルのコンドミニアムを借りることは難しい。

立地にもよりますがバンコクでも1万5千B〜1万7千B(4万5千〜5万円前後)のコンドミニアムならプール付きジム付きのデザイナーが設計したところを借りることができます。少し探せば日本円で3万円程度で個室で3つ星レベルクラスのところに住むこともできます。日本で月3万円の家賃で3つ星ホテルクラスの部屋に普通は住めません。

食費も日本と変わらない価格のレストランも多いのですが日系のマックスバリューのお弁当が、日本円で100円以下で買えたり、タイのフードコートでも200円以下で現地のチキンライスや焼きそばなども食べれられるため贅沢をしなければ日本以上には高くなることもありません。

タイには日本と同じぐらいの値段〜日本の1/3程度のものが混在しています。そのため個人の選択次第では日本の1/3〜半分程度の生活費で生きていくことも可能です。

タイ国内にはリラックスできるリゾートも多数

タイ国内にはリラックスできるリゾートも多数あります。例えばレオナルド・デカプリオが主演の映画『ザ・ビーチ』の舞台にもなったピピ諸島や南のプーケットは欧米人にも人気のあるリゾート地です。また王族の避暑地のホアヒンやマリン・スポーツが盛んなパタヤも、それぞれ雰囲気が異なるビーチリゾートで目的地に応じて楽しめます。

また、北方のチェンマイはタイの古都で落ち着いた雰囲気が魅力です。トレッキングなど自然が好きな人には良い環境です。

さらに、LCCで周辺諸国にも気軽に行けるためマレーシアやベトナム、ラオス、ミャンマー、シンガポールなどにも遊びに行きやすいのもタイの魅力です。バンコクはASEAN諸国のHUBでもあるため周辺諸国へのアクセスも良いのです。

タイの食生活は?

タイでも特に首都のバンコクはタイ料理から日本食、西欧料理までインターナショナルに楽しむことができます。

バンコクを少し歩けば、大戸屋やCoCo壱、丸亀うどん、モスバーガーなど日本でもお馴染みの外食チェーン店をすぐに発見できます。また欧米人向けのお洒落なお店も多く本格的なフレンチやイタリアン、スペイン料理などもお得な価格で本格的なものを楽しめます。外食についてはかなり恵まれているのではないでしょうか。

ショッピングモールやコンビニ、スーパーも街のいたるところにあり家で買って食べることもできます。安く済ませようと思えばフードコートで1食100円以下で済ますこともできます。

選択肢が豊富なので、それぞれの趣味趣向に合わせた食生活を実現できるのはバンコクの強みです。

一方で、地方都市ですとさすがにバンコクほどの選択肢はないためタイ料理が中心になってしまうかもしれません。それでも日系の外食チェーンも地方に最近は展開しているため、選択肢は増えてきました。

バンコクの恵まれた買い物事情

バンコクには日系デパートの伊勢丹や高島屋もあります。また現地の高級ショッピングモールには高級ブランドのテナントも多くバンコクはものが溢れているといっても良いぐらいです。

衣類ならユニクロ、H&M、ZARAなどのファストファッションのチェーン店はもちろん日本のセレクトショップのビームスまであります。

家電もSONYやAPPLEのテナントショップもありスマートフォンもゲーム機も買うことができます。ただし、輸入品扱いで日本で買うよりも現在は少し割高ではありますが手に入らないわけではありません。

日本の書籍も、バンコクならば紀伊国屋があるため主要な書籍はすぐに手に入ります。欲しい書籍がなければ注文することも可能です。

そもそもタイ滞在のビザはどうするのか?

タイ、特にバンコクはノマドワーカーにとって通信環境も良く物価も抑えようと思えば抑えられるし食事や買い物も便利ですが、そもそも長期滞在が可能なのかという疑問があるのではないでしょうか。特に海外でリモートワークをしている外国人の多くは現地で就労しているわけではないためどうやって滞在しているのか不思議に思われる方も多いでしょう。

そこでタイに滞在しているリモートワーカーや海外ノマドの滞在方法についても解説します。

ビザランで出入国を繰り返す

タイにビザなしで外国人が滞在する場合は普通29泊30日という期限が決められています。ちなみにイミグレーションに行けば30日間の延長することもできます。この期限内にタイに滞在して期限がきれそうになったらタイ国外に一度出て、再び再入国します。これがビザランと呼ばれる行為です。

実は、SNSで発信しているリモートワーカーや海外ノマドの多くがビザランによる滞在であることが珍しくありません。実態としては旅行者が旅先で長期間仕事をしている感じです。そのため周辺諸国のマレーシアやラオス、ベトナム、カンボジアなどを周遊したり適度に日本に帰国している人も多いようです。

また、ノービザでの滞在は年間90日以上になると滞在が厳しくなるという情報もあります。入国審査官の裁量次第では入国が難しくなってしまうこともあります。

タイも最近では長期滞在の外国人に厳しい政策をとっているためビザランによる滞在が厳しくなっているという実態があります。

SNSなどを見ると、ずっとタイに住んでいるイメージのリモートワーカーも実は年の半分は日本や他の国にいるため実質、2拠点生活、多拠点生活をしていることが珍しくありません。

EDビザで留学生になる

EDとは教育という意味です。タイでは民間の語学学校でも留学すると学生ビザを発行することができます。滞在許可の期限が30日しかないツーリストビザに比べると半年〜1年の長期間のビザを取得することができます。

しかし、EDビザは語学学校の授業に出席しなければならないなどの制約もあります。リモートワーカーが長期滞在を目当てにEDビザをとると1日の半分は語学学校の講義で終わってしまいます。中には、出席をチェックせずEDビザを実質、長期滞在用のビザとして売っているような語学学校もないわけではないのですが、政府の方針で認可が降りなくなるなどビザの主旨から外れた滞在は当然、良い扱いを受けません。

タイ語を学びながらリモートワークで生活したい人にはEDビザの選択肢もありますが、長期滞在の資格のためにEDビザを取得するのも考えものです。

タイランド・エリートカード

ビザランとか留学生用のビザではなくて、もっと安定して滞在する方法はないのかと考える人もいると思います。そんな人におすすめなのがタイランド・エリートカードです。

実は、タイの観光庁の子会社が発行しているエリートカードを購入すればビザランなどをせずに長期間、タイに滞在できます。日本に代理店があり問い合わせれば仲介手数料なしで申し込むことができます。

一番、手軽なのがイージーアクセスと呼ばれるプランで税込50万バーツで5年滞在できます。
日本円に換算すると約150万円〜170万円程度です。長期滞在で一番コストパフォーマンスが良いスペリオリティ・エクステンションだと20年の滞在で100万バーツで日本円で約300万円〜340万円ほど。

このような長期滞在プランを販売している国は、世界でも珍しくビザランによる滞在をしたくない方は知っておいても良い選択肢です。タイは観光が主要産業の一つで世界の富裕層に滞在してもらいお金をタイで使って欲しいという思惑もあり、このような制度があると言われています。

付言しておくと、ゴルフ場での割引を受けられたり空港から送迎サービスが使えたり、ラウンジを利用できるなどの特典もついています。

まとまったお金が必要にはなりますがイージーアクセスだと月間約3万円、スペリオリティ・エクステンションだと月間約1万5000円の費用でタイに長期滞在できる計算になります。

リモートワークでどれだけ稼ぐ?タイの日本人現地採用の給料相場

リモートワークで一体、どの程度、稼げば良いのかの指標になるのがタイの日本人の現地採用の給料事情です。なぜなら日本人がタイで現地で生活できる給料を現地の物価と照らし合わせた上で給料が決まっているからです。

例えば、旅行代理店やコールセンターですと3万B〜(約10万円〜)、営業職などで5〜6万B(約15万円〜18万円)、マネージャークラスで約10万バーツ(約30万円)、システムエンジニアですと6万B〜10万B(約18万円〜30万円)ぐらいが相場です。

リモートワークで日本円で20万円程度、稼げるようであればタイでの生活費は十分、賄えるでしょう。30万円を超えるようなら現地のマネージャークラスの所得ということになります。出費を抑えれば10万円前後の稼ぎでも生活はできるでしょう。

まとめ

タイは環境・インフラではリモートワークやノマドをするのに恵まれた環境にあります。十分な通信環境、住環境、コワーキングスペースやカフェも豊富です。食事も日本食から現地の食事、フレンチ、イタリアンなど多くの国のものが楽しめます。

一方で問題はどのように滞在するかです。ビザラン、EDビザ、タイランド・エリートがリモートワーカーの日本人には一般的な選択肢です。多くのSNS発信している海外ノマドワーカーはビザランで滞在していることも珍しくありません。一方でまとまったお金はかかりますがタイランド・エリートカードによる長期滞在もできます。

SNSなどでタイから発信しているリモートワーカーやフリーランスの多くはビザランを繰り返しながらタイ滞在の出入国を繰り返している人も多いため、出入国の費用や手間もかかっています。
一方でまとまったお金をかけてタイランド・エリートカードで年単位の長期滞在もできます。

どのように滞在するかはもちろん各々の事情によって異なるでしょう。ただ10年前と確実に変わったことは時代・働き方の変化でひと昔前なら「外こもり」「沈没組」と言われていた人達が、SNS上で海外ノマド・フリーランスとして脚光を浴びるようにすらなったことです。

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