子育てママにとって、仕事を始めるタイミングは大きなターニングポイントです。仕事と子育ての両立は誰にとっても初めてのこと。家事との両立ができるか、家族は応援してくれるか、ブランクを乗り越えられるかなど不安はつきません。やってみないとわからないけれど、踏み出したら後戻りはできない責任感に押しつぶされそうなこともあります。在宅ワークにおいてもそれは同様で、始める前には不安がつきものかもしれません。家庭によってそれぞれかと思いますが、私にとっての在宅ワークの壁とその乗り越え方を振り返ってみました。
「在宅ワーク」を考えるようになったきっかけ・背景
SNSなどでもよく見かける「在宅ワーク」という言葉。見た目の通り、家を拠点とする働き方です。子育て中のママにはぴったりの働き方だと思いませんか?
保育園に入る手続きは簡単ではない
「保活」をするのは億劫だと感じていた私は、さほど調べもせずに「保育園には入れない」という名目を盾に、専業主婦でいることを選択しました。また、もともと専業主婦の家庭で育ったこともあり、子どもが小さいうちは家にいよう、「いってらっしゃい」と「おかえり」は言おう、と思っていたのも専業主婦を選んだ理由の一つです。
いくら主婦業が楽しくても子どもと共に成長せねばならない
そんなこんなで、専業主婦として子育てをスタートした私。その弊害が「家事を分担できない夫」でした。残念なことに、夫は外で仕事、私は家事と子育てという我が家の役割分担ができてしまい、のちの大きな影響を及ぼします。
それでも専業主婦は私には合っていて、ママ友との付き合いは楽しく、PTAの役員などを引き受けていると仕事をしているかのような充実した毎日。手帳は毎月ぎっしりでした。でもある時ふと気付いてしまったのです。どんどん周りのママ友はパートを始め、ランチ会の話題は扶養の話や教育費の話。忙しく働くママ友の姿を見て、専業主婦終了のチャイムがなったような気持ちでした。
子育てへのこだわりは譲れない
とはいえ、手頃なパートを見つけるという選択肢は私にはありませんでした。気分は第二の就職活動。そして変わらずこだわりたかったのが「おかえり」は言うこと。さらには、シフトを組むことへの窮屈な気持ちも後押しし、求人情報誌に手を伸ばすことはしませんでした。
求めていたのは、今後の人生につながるスキルを何かしら得られる仕事、そして子どもの時間に寄り添える仕事でした。それが、在宅ワークについて考え始めたきっかけです。
それまでなぜできなかったか、あるいはやろうと思えなかったか
パソコンを使いこなす自信がない
幼稚園に入れる前の預け先がない私、何か買いたいものができるたびに在宅ワークが頭をよぎっていました。専業主婦を楽しみながらも在宅ワークはいつも頭の片隅にあったのです。在宅ワークならシフトに縛られず、「おかえり」が言え、夏休みなどの長期休みの心配もなければ、子どもの体調不良にも対応できます。
でも文章を書くことやデザイン、パソコン操作の技術が乏しい私にできる在宅ワークは、せいぜい内職だろうと思うと重い腰が上がりません。それでも、挑戦してみよう!と思って在宅ワーカーを募集するWebサイトをのぞいてみると、知らない言葉がいっぱいでした。それだけで在宅ワークに対する心のシャッターが閉まるのです。
最近の在宅ワークにパソコンは必須と言えるでしょう。専業主婦でママ業にどっぷりだった間のコンピューターの進化は著しく、過去の知識ではとても通用しないという、ある種引け目のような気持ちがさらに私の腰を重くしたのです。
それでも、在宅ワークを始めることができたのはなぜか
そうはいっても避けては通れないのがパソコン。それは在宅ワークに限ったことではありません。ネットショッピングと年末の年賀状作り、スマホの同期にしか使われていないパソコンを満を持して開くことにしたのです。
家事育児の分担ができない我が家
私の重い重い腰を上げたのは、夫の家事育児へのスタンスでした。「もしいま私が仕事を始めたら、家事の分担はしてくれるのか?」と、ある時夫に持ちかけたのです。その答えは唖然とするもので、自分より稼げるようになったら分担する。たまには手伝うことはしても良いが、分担はしない。万が一子どもが早退することになっても、男はそうそう帰れない。ましてや子どもが学校や幼稚園を休んだからといっても自分は休めない。と、世界中のママを敵に回すのではないか、というような発言だったのです。
これには私も絶句しましたが、次に浮かんだのは家事育児に仕事を加えたらパンクするであろう自分。夫を説得し改心させるよりも、自分の生活を大切にしよう!パソコンだって使えるようになろう!と一瞬にして躊躇する気持ちが消え去ったのです。
進化していたのはコンピューターだけではない
幸いにも、パソコンの操作やシステムが進化するのと同じくらい、web上の情報量もはるかに充実しており、わからないことは検索する、いわゆるググることで解決できました。知らない専門用語も検索、操作に躓いたら動画で覚える。ついていけないと思っていたパソコンですが、同時に私のブランクをいとも簡単に埋めてくれる強い味方でもあったのです。
始めたことで変化したことはなんだろう?
夫への怒りのおかげで、在宅ワークの壁をいとも簡単に飛び越えることができた私。我が家にとって、夫婦の二人三脚、家族を含めたムカデ競争のような毎日に在宅ワークはベストな働き方だったのです。
パソコン操作は思ったより難しくない
心配だったパソコン作業はしっかりとマニュアル化されていて、さほど問題ではありませんでした。検索という強い味方のおかげで、どんどん身に付けることができます。そもそも、在宅ワークで必要とされるパソコン操作は難しいものばかりではなく、簡単な入力ができれば問題なくこなすことができます。また、こんなこと聞いても大丈夫かな?と心配なほど初歩的な疑問も、気軽に聞ける環境が整った在宅ワークの会社もあるので、安心して質問ができ、数々の操作をマスターすることができました。
自由に使えるお金の心強さ
これまでもママ友とのランチ代や必要な洋服や化粧品代は、家計から遠慮なく使っていました。でも毎月少しでも振り込まれる自分の給料は格別で、最初の給料は数千円でもまるで初任給のような気持ちでした。
家事や子育てと仕事を両立させて得たお金は私のお金!ということにして、使い道も自分次第。もちろん家族のために使うこともあれば、自分のために使うこともできる、その気持ちのゆとりを持つことで、家事や子育てへのモチベーションが生まれました。ネイルにいったり、美容院にいく頻度が増えたり、ちょっと高い買い物をしたり、自分のための贅沢ができると日々の暮らしはこれまで以上に楽しくなりました。
働いてるという気持ち
家族の予定、子どもの予定が主だった手帳に仕事のスケジュールが加わると、仕事をしている!という実感がわきます。社会の中で責任のある仕事を担っているということが、子育てに対する責任感とはまた違う、少し背筋のピシッとするようなそんな気持ちにさせてくれるのです。
在宅ワークをする中で、時には失敗をしてお叱りを受けたり、ただただ頭を下げねばならなかったりすることもあります。そんな時は、夫も同じように社会の中で家族のために頑張っているんだなと、夫に対する尊敬の気持ちが頭をよぎります。そして一時は理解のなさに呆れた夫へも、感謝の気持ちでいっぱいになるのです。
仕事をする姿は家族を変える
計画を立てて進めねばならない在宅ワーク、ついつい締め切りギリギリになってしまうことがあります。そんな時でもやらねばならない家事や子育て。でも締め切りが!!そんな時は、どうにか自力で乗り越えるか、家族を頼る他ありません。私はおのずと時短家事を習得、子ども達は料理のお手伝いや洗濯、掃除をして私をサポートしてくれるようになりました。パソコンに向かっている時間は仕事の時間と子どもも理解し始めると、自然と家族の協力を得られるようになったのです。家事分担はしないといった夫さえ、忙しそうだから、と多少の家事をするようになりました。
個人的なことというより、共有財産にできるようなノウハウってある?
身についたスキルはママ業にも生かす
いただく仕事からはたくさんのことを学びます。例えば、タスクの共有方法や仕事の組み立て方、誰でも使える便利なWeb上のツール、やり取りから学ぶ丁寧な言葉使いなど、どれも日常生活で役に立つものばかりです。ママの生活の中では、在宅ワークの他にPTA活動や地域活動もこなさねばなりません。そのすべてに経験が生かされるといっても良いくらい、在宅ワークは私に力をつけてくれるのです。それもそのはず、在宅ワークは顔を合わせずともスムーズに仕事に関してのやり取りができるよう、作業や共有の方法がしっかり組み立てられているのです。これを生かさない手はありませんね。
ママの働き方改革
ママ友との会話の中で、やはり子育てと仕事の両立に悩む話がポロポロと挙がります。そんな時に私の在宅ワークという働き方はママたちには目新しいようで、これまでの経験を話すと興味を持ってくれるママがたくさんいます。在宅ワークという新しい働き方を共有することで、私の周りのママたちも在宅ワークという働き方がリアルになるのです。
在宅ワークにも向き不向きはありますが、ママの働き方の一つとして、在宅ワークを提案できることは私にとっても喜ばしいことです。同じように在宅ワークを選び、時間をやりくりできるママ友が増えれば、私の毎日はもっと充実するような気がしています。
自分の場合、一番変わったことは
在宅ワークは全て自分次第です。うまくスケジュールを組めば、家事や子育て以外にも趣味や娯楽との両立ができます。朝早く起きてやる、夜ふかしする、予定の合間や子どもの習い事の待ち時間にカフェでやるなど、限られた時間をパズルのように組み立て、今や在宅ワークは生活の一部になりつつあります。
マルチタスクに磨きがかかる
家族全員の予定を管理し、同時にいくつもの家事をこなし、休憩中でも頭の中では夕飯のメニューや子どもの送り迎えのスケジュールを確認している、そんなマルチタスクをこなす力をどんなママでも持っていると私は思います。このマルチタスクをこなす力が自分にはある!と気付くことができると、この先どんな仕事もできるような気がしています。
私にとって在宅ワークは、社会復帰へのリハビリのような役割も担っていたのではないでしょうか。在宅ワークを通じて学ぶことはどれも身になることばかりで、子どもが成長した後の自分の将来にも不思議と不安はありません。
まとめ
お気に入りのマグカップにコーヒーやお茶をその日の気分で用意して、私の在宅ワークタイムはスタートします。ママから在宅ワーカーに変わるスイッチであるこの瞬間が大好きです。いつの間にかパソコン操作は手慣れたものですが、まだまだ学ぶ事のある毎日にやりがいを感じることもできます。長らく忘れていた「社会」を在宅ワークを通して再確認することで、自分の幅は確実に広がったと言えます。そして在宅ワーカーとして働くきっかけをくれた夫には、感謝の気持ちを込めて豪華ランチでも奢ろう!と密かに心に決めているのです。