「自己成長」を求めすぎると陥るワナ。もっとチームに貢献しよう!

不確実性の増す時代において、勤め先の企業だけでしか通用しない「ガラパゴス人材」にならないために、市場価値の高いスキルを身につけようと努力してる人は少なくないでしょう。確かに、このようなマインドセットは生存戦略のために必要です。しかし、「自己成長」を求めすぎることが思わぬ落とし穴になることも…。

『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子/幻冬舎文庫)が示唆するように、現在の環境で成果をあげることに全力を尽くせなければ、結果として優れた人材に成長することは難しいのです。では、私たちはどうすればいいのでしょうか?

そもそも「自己成長」とは何か?

「自己成長」という言葉だけが先行していますが、そもそも自己成長とは何なのでしょうか? もちろん、意味としてはわかりますが、どのくらい自分が成長したかを正確に測ることはできません。自己成長を表す指標は存在しないからです。

資格をとったり、スキルを身につけたりしたら、それは「自己成長した」といえるのででしょうか? 資格やスキルは、ビジネス上の目標を達成するための手段であり、ゴールではありません。さらに、資格やスキルが実戦で活かせるかどうかは、疑問です。

役職や地位を得ることは、自己成長といえるでしょうか? もう一度、よく考えてみてください。自分の役職や地位に決定権を持っているのは、自分ではなく他人です。つまり、役職や地位は、周りの人からの評価によるものであり、自分では完全にコントロールできません。

要するに「自己成長」という考え方は、非常に曖昧であるということです。だからこそ「自己成長」を第一に仕事をすることは、危険なのです。次の章では、具体的に自己成長を求めすぎる人が陥りがちなワナを3つ紹介します。自分に当てはまらないか、考えてみましょう。

自己成長を求めすぎて陥る3つのワナ

ここでは、自己成長を求めすぎることによって陥ってしまいがちなワナを3つ紹介します。全体として言えることは、ワナにはまる人は、自分の殻に閉じこもりがちであることです。では、具体的に見ていきましょう。

1. アウトプットよりもインプットばかりしている

1つ目の自己成長のワナは、「アウトプット < インプット」の状況になることです。具体例を挙げて説明します。

例えば、自社で新しく消費者向けアプリを開発することになり、新入社員でプログラミング経験のないAさんが、人材教育の意味も兼ねてアプリ開発をすることになったとします。幸いなことに、担当につくまで3ヶ月ほどありました。Aさんは、自己成長のチャンスだと思い、意気揚々とアプリ開発の書籍をいくつか購入して、ネットの情報も参考にしつつ、勉強を始めます。しかし3ヶ月後、開発担当になったAさんは、まったく戦力になりません。なぜでしょうか?

その答えは、Aさんが3ヶ月の間に実際に動くアプリを開発しなかったからです。要するに、書籍やネットの内容をインプット(勉強)するだけでアウトプット(動くアプリ)を作らなかったことが原因です。確かに、インプットをしている時は、自己成長につながっているような気持ちになります。しかしながら、アウトプットをしていないと、本当の成長にはつながりません。

自己成長を求めてインプット過多になる1つ目のワナは、勉強好きな人ほど陥りやすいので、注意しましょう。

2. 自分のキャリアプランにこだわりすぎる

自己成長を重視する若い人は、自分の将来的なキャリアプランを明確に立てていることも少なくありません。したがって、自分のキャリアプランからそれるような仕事はしたがらず、入社して1年もしないうちに転職を選ぶこともあります。

筆者は、次の3つの理由から若い人が自分のキャリアプランにこだわりすぎることはよくないと考えています。

  • 若いうちに完璧なキャリアプランは立てられない
  • 外部環境はどんどん変化→柔軟性が求められる
  • キャリアプランによって自分の可能性を狭める

昔の日本のように、年功序列・終身雇用が成立していた時は、将来的な見通しも立てやすかったかもしれません。しかし今や、大手企業でも破産寸前になるような競争の激しい時代です。さらに、情報の非対称性の減少とテクノロジーの進化により、ビジネス環境は目まぐるしく変化しています。このような状況において、将来のキャリアプランを描くことは、足かせにしかなりません。

したがって、キャリアプランは状況に合わせて柔軟に変化させ、求められるスキルは、その都度、身につけていく姿勢でいることが、結果的に自己成長につながるのではないでしょうか?

3. 他者の利益よりも自分の利益の方を優先する

自己成長はいきすぎると「利己主義」になります。人間が一番パフォーマンスを発揮できるのは、「自分のため」ではなく「他人のため」に、行動する時です。つまり、自己成長を求めている人の全員ではないでしょうが、利己主義に傾倒してビジネスをすることは、モチベーションに差が出ます。

また、利己主義者はチームプレーが苦手です。しかし、みなさんもご存知の通り、ほとんどのビジネスは、他人との協調が求められます。自己成長を求めすぎて、コミュニケーションをないがしろにしていたら、どこに行っても有用な人材にはなれないでしょう。

ただ、ここでいう成長意欲の高い利己主義者は、自分に対しては高い目標を課しているストイックな人が多いです。自分に厳しいこと自体は、素晴らしいことですので、自分の目標とチームの目標を一致させる努力をすれば、正しい方向へと成長できるのではないでしょうか。

人のためになることに全力になろう

「情けは人のためならず」ということわざは、言い得て妙です。前章でも触れましたが、他人のために行動すると、結果的に自分のためになることが多いのです。これは、筆者がフリーランスとして仕事をしてきた経験からしても、間違っていません。

今の時代は、「お金」を稼ぐよりも、「信頼」を得ることが、大事だとよくいわれていますね。例えば、クラウドファンディングの興隆は良い例です。お金を稼ぐことは利己主義者でもできます。しかし、信頼を得ることは、利他主義者にしかできません。つまり社会全体が、個人が他者に貢献することにより報酬が得られるシステムへと、移行しつつあるのではないでしょうか?

少し話が大きくなりましたが、これからの時代において「自己成長」を求めていくには、「人のためになること」をしていくことが、重要だと考えます。それは、自分の近くにいる人々だけで十分です。例えば、チームや顧客、パートナーなどです。もし、どうしても今の職場が嫌だという人は、転職・副業あるいはボランティアなど、昔より選択肢が増えています。検討してみる価値はあるでしょう。

まとめ:自己成長を求めすぎて陥るワナ

本記事では、自己成長を求めすぎて3つのワナに陥ると、返って自己成長ができなくなるという逆説的な主張をしました。社会不安の増加をきっかけに生存戦略のための「自己成長」という言葉が一人歩きする時代で、正しい道を見極めることは難しいかもしれません。本記事が最も主張したいことは、「人のためになること」を目標にビジネスをすれば、結果的に成長は後からついてくるということです。参考になれば、幸いです。

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