在宅勤務を開始した当初は、オンライン会議の気軽さに歓喜したものの、気が付けばオンライン化によるストレスが溜まっていた、なんてことはありませんか?
もしオンライン会議に疲弊しているなら、これ以上自分を消耗しないためにも、今回ご紹介する「疲れないオンライン会議」を意識してみましょう。
オンライン会議は定番化する!?
最初は抵抗のあったオンライン会議でも、「思った以上に便利」と手応えを感じている人は多いのではないでしょうか。オンライン会議は今だけのものなのか、それとも今後も続くのか、まずはそこから考えてみましょう。
オンライン会議のメリット
オンライン会議のメリットといえば、会議を行うための移動時間や経費がかからないことが一番にあげられます。会議で配布する資料を作成したり、お茶を出したりという会議の準備も不要です。それにより、移動や準備にかけていた時間を別の作業に充てることができ、作業効率がアップします。
さらに、外出先からの参加も可能となり、決定権のある社員の参加率が上がります。それにより、持ち帰り事項が減り、意思決定のスピードが加速します。業務効率という観点では、オンライン会議が私たちの仕事にプラスの影響をもたらしていることは確かでしょう。
対面会議の価値観の変化
急速なオンライン会議の普及により、対面会議の価値にはどのような変化が起こるでしょうか。対面会議がなくなるか・なくならないかに関しては様々な意見が飛び交っており、断言できる段階ではありません。
ですが、オンライン会議の普及によって、対面会議のセッティングのハードルは上がるでしょう。
多くの人が対面会議にかかるコストや時間を認識し、チャットでのやりとりやオンライン会議の気楽さを知りました。「実際に会って対面で話をする」という機会は今後少なくなるでしょう。そのため、対面で会って話すということ自体が「重要なこと」「貴重な時間」といった価値観に変化していくのではないでしょうか。
いわゆる「古い体質」の会社でさえ、緊急事態宣言の影響を受け、オンライン会議を導入しはじめています。それに伴いチャットや諸々の管理ができるオンラインツールを使いはじめ、オンライン化のインフラが広く普及しました。
オンライン会議が一般的なものになるにつれ、対面会議に対する価値観は変化していくことが考えられます。
オンライン会議が疲れやすい理由
導入した当初は移動時間やコストの掛からず、便利だと感じていたオンライン会議。いつの間にか「疲れ」を感じるようになってはいないでしょうか?
今後も広く普及していくオンライン会議を攻略するために、まず、自分がどのような点に疲弊しているのかを考えてみましょう。
オンライン会議をつめすぎてしまう
スケジュールを見返すと、移動時間がないからといってオンライン会議三昧になっていませんか? 5分後には別の会議に参加できるため、詰めようと思えばいくらでも会議のアポイントを取ることができます。
生産性がアップし、仕事ができる人になったような錯覚さえ覚えますが、それがオンライン会議疲れにつながっているかもしれません。
そこで気付くのが、会議の間の移動が実はリフレッシュになっていたということです。座る椅子や会議をする部屋、相手の空気感など、環境が変われば気分も変わります。
また、移動時間があれば次の会議のために頭を切り替えることができますが、次から次へとオンライン会議に参加すると、短時間で頭を切り替えねばならず、結果、疲弊してしまうのです。
パソコンの前に座りっぱなしも疲れの原因に
オンライン会議は主にパソコンやタブレットなどのIT機器を前にして行います。急速なオンライン化により、視力が落ちたように感じている人も少なくありません。画面を見続けるのは、とにかく目が疲れます。
座りっぱなしであることもオンライン会議疲れの原因です。座りっぱなしなのは対面会議も同じでは? と思いますが、実は対面会議では体を動かしています。会議室への移動、資料の配布、ホワイトボードと資料を交互に見る、手を挙げる、立ち上がるなど、ささやかな動作ですが、体が凝り固まらないためには必要な動きだったのです。
オンライン会議は移動がない分、楽ではありますが、体の動きが少ないことで逆に疲れてしまうのです。
カメラを意識しすぎてしまう
対面の会議の場合、自分に視線が集まることは少なく、せいぜい発言している間のみ会議参加者の視線が自分に集まる程度です。
オンライン会議では、常に自分の映像が参加者のパソコンに表示されているので、必要以上に見られていると意識してしまうのです。
それは、自分自身の映りの良し悪しではなく、不機嫌に見えないか、相槌や同意のリアクションは伝わっているか、万が一気を抜こうもんなら、まるで寝ているように見えないかと、とにかく気を揉むのです。
また、部屋をきれいにしておくことはもちろん、家族やペットが映りこまないかなど、カメラに映り込む背景にも気を使います。
発言するタイミングが難しい
オンライン会議の画面には全ての参加者の映像が映るため、複数名の様子を同時に見ながら発言するタイミングを見計らいます。
発言がかぶってしまう、声を発するタイミングがつかめずシーンとしてしまう、会議参加者がバランスよく発言できているか気を使うなど、対面会議と変わらないリズムやテンポで会議をしようとするのは困難をきたします。そんな中で万が一失言してしまうことがあれば、そのフォローはとても難しいといえます。
オンライン会議では、対面会議以上に空気を読みながら発言をすることになるので、対面会議以上に気疲れしてしまいます。
参加者が多い会議の場合は尚更、発言の機会は貴重で、発する言葉選びが重要となります。話す内容を整えて、会議の間中言葉を選び続けていたらオンライン会議に疲弊するのは当たり前です。
無反応やアウェイ感
画面越しの会話では言葉以外のコミュニケーションが伝わりづらく、相手の感情を読み取るのも簡単ではありません。そのため、発言に対する反応が掴みにくいという疲弊ポイントもあります。決して無反応なわけでなくとも、無反応に映ってしまいます。
自分がプレゼンをするような会議だった場合、まるで1人で話し続けているような孤独感と反応が掴めない疲弊で、会議のあとは抜け殻になるといった話も聞きます。対面会議では、言葉がなくとも場の空気からたくさんの情報を得ていたということがよくわかります。
オンライン会議の疲れを軽減させる攻略法とは?
このように、オンライン会議には体力や気力を奪う要因が積み重なっていることがわかります。これでは、テレワークに切り替わり、向上したはずの生産性が下がりかねません。
前章で挙げたオンライン会議疲れを回避するためには、どのようなことに留意すればいいのでしょうか。
スケジュールを調整する
まずは移動時間がないからといって、オンライン会議の予定を詰め込みすぎないことです。
人によってキャパシティが違うため、自分のペースでオンライン会議のスケジュールを組みます。会議と会議の間には、ゆっくりと資料に目を通したり軽く体を動かしたり、コンディションを整える時間を取りましょう。
また、パソコンの前にカチッと座っている時間を必要最小限に抑える必要があります。オンライン会議の時間に対する濃度をあげねばならないので、そのための準備はしっかり整えておきましょう。進行を工夫したり、資料を共有しておいたり、議題を事前に出し合っておくだけで時間を短縮することが可能です。
しかしながら、会議の不要な箇所を削ることと、近況報告や雑談などの日常会話を削ることは全く別の話になります。人間関係の構築や社員間のコミュニケーションにおいて会話をする機会までなくすことのないよう、ご注意ください。
テレワークの環境・設備を整える
設備や環境の充実でオンライン会議疲れは大きく軽減されます。まず、座りやすい椅子があれば身体的な疲れはいくらか軽減されるでしょうし、照明を明るくすれば顔色もカメラ映りはよくなります。また、マイクにも気を使ったほうが良いかもしれません。
話している内容が聞き取りにくかったり、ブチブチと音が途切れてしまったりすると、相手に多大なストレスを与えることになりますので、ヘッドセットなどを使い音声環境を整えておきましょう。
そこで気になるのが、会議をする空間の生活音やタイピングの音といった雑音。ノイズキャンセラーのついたマイクであればクリアな音声で会議に臨めるのですが、そうではない場合、ノイズキャンセラーソフト、Krispの使用をおすすめします。
雑音をAIが拾い、クリアな音声での会話ができるようになります。カフェなど、ざわつきのある場所でオンライン会議に参加する場合、雑音をなくすことで参加者のストレスを軽減し、疲れさせないような配慮が必要です。
リアクションアイテムの導入
発言するタイミングの取りづらさやリアクションが正しく伝わらないことはオンライン会議ではよくある話で、機能の性質上仕方ない面もあります。
もし発言のタイミングを誤ってしまったり、誰かの発言にかぶってしまったりしたとしても、気にする必要はないでしょう。オンラインで空気を読むのは大変難しく、誰しもが経験をするところです。
それでもリアクションをしっかり把握したい・伝えたいという時には、オンライン会議のツールにあるリアクション機能を活用します。
中には、クイズ番組にあるようなYes・Noのフリップを事前に共有しておき、スマホ画面に表示したものをカメラに向けて提示したり、リアクションのハンドサインを指定したりするオンライン会議もあるようです。
チャットの活用
大人数でスマートに話を進めるためにはオンライン会議ツールのチャット機能を活用してみてはいかがでしょうか。
意見や質問を吸い上げるような場面では、参加者一人ひとりに発言の場をとっていると時間がかかることや、他の参加者の発言を聞いて出てきた質問を投げかけにくいため、予めチャットを利用することを知らせておきます。
誰かが話している途中でも質問や意見をチャットに書き込めるよう整備しておけば、発言の機会を損失することなく、時間の短縮にもつながります。意見が言えないモヤモヤや質問を抱えたまま会議を終え、後追いで質問することもなくなるでしょう。
会議の必要性を再考
そもそも、「その会議は必要か」を考えるには絶好のチャンスかもしれません。
疲れる会議はひとつでも少ない方が体力・気力を消費せずに済みます。これまで惰性で行っていた会議やチャットなどを使ったテキストベースでのやりとりが可能な会議があれば、見直しのタイミングです。
そのほかに、必要に応じてこまめに電話やチャットでやりとりを重ねれば、会議が不要になるかもしれません。
本当に必要な会議だけに絞ると、全体的な会議数を減らすことができ、業務の簡略化且つ、作業効率アップや疲れの軽減につながるのではないでしょうか。
ユニークなオンライン会議の提案
オンライン会議疲れにフォーカスしていると、オンライン会議のデメリットばかりが目についてしまいますが、オンライン会議だからこそできることもあります。
対面会議の代替えという位置付けではなく、その特性を生かした使い方でより活発な会議を行い、オンライン会議そのものを楽しんでいる人もいるのです。
画面共有でロケーションを作り出すオンライン会議
例えば、バーチャルオフィスツールなどを利用し、リモートワークをしていてもオフィスに集まっているような雰囲気を作り出すことが可能になるのがオンライン会議です。
画面共有でロケーションやイメージを共有しながら会議をすれば、よりクリエイティブな会議になるかもしれません。
バーチャル背景で参加者の距離を縮める
バーチャル背景の設定もオンライン会議ならではの楽しみです。
好きな場所・出身地の風景など、参加者の人となりがわかるものにすることでオンライン会議のアイスブレイクに役立ち、参加者同士親しみを持ちやすくなります。また、会社のロゴやチーム名などにすれば、参加者の属性がわかりやすくなります。
コミュニケーションの取りにくいオンライン会議こそ、機能を駆使し参加者の距離を縮めることで、オンライン会議疲れの軽減が期待できるのです。
まとめ
今はまだ目新しさで楽しく使えているオンライン会議ですが、その新鮮な気持ちもいつか廃れていくと同時に、あって当たり前、使えて当たり前のものになると予想されています。
結局のところ、オンライン会議にはメリットが多いのも事実です。そのためにも、オンライン会議疲れを最小限に抑え、ベストなお付き合いの方法を見つけてみてはいかがでしょうか。