長く社会人生活をしていると、突然「リーダーを任される」なんてこともあるのではないでしょうか。そして「私はリーダーという器ではない」とか「あがり症だから人前で話すのは無理」「バックヤードで作業するのが向いている」と挑戦する前から自分の能力を決めつけ、リーダーとしての業務を憂鬱に感じてしまう。そんな経験をしたことがある人もいるかと思います。
でもいくら人前で話をするのが苦手な人でも、人に注意をするのが苦手な人でも、任された仕事を投げ出すわけには行きません。今回は、なりたくないのにリーダーを任された人が、きっとうまくできるようになる3つの方法を、自身の経験をふまえながら紹介していきたいと思います。
リーダーを任されたら、はじめにするべき3つのこと
チームのリーダーを任されたら、するべき3つのことをお話します。
目標の明確化
チームのリーダーを任されたとき、1番大切なのが「目標を明確にすること」
営業部などはわかりやすいですが、ここでいう「目標」とは、すでに会社が目標としている数字のことではありません。目標を数字化するのは大切ですが、ここにたどり着くためのプロセスを考えることがさらに大事。
「XXX年の売り上げは、XX億円を目指しましょう!」という漠然とした目標を立てても、チームのメンバーもどこから何に手をつけたら良いのか、何をどう頑張れば達成できるのかが分かりません。これを考えるのがリーダーの役割です。
例えばすでに目標として「XX円」という売り上げ目標がある営業部であれば、
- 売上金が入る時期
- 商品が購入される時期
- 顧客が社内会議で購入を決定する時期
- プレゼン時期
と遡って、スケジュールを組みましょう。どのタイミングで、どれだけ買ってもらえれば目標が達成できるのかが見えていれば、予想よりも少なかった場合は対策を、予想よりも多かった場合はチームとしても余裕ができ、他の顧客や事業に投資するなどよりレベルアップすることができます。
自身の考えを共有する
上記で明確化した目標は、まず誰もがわかる簡単な言葉に翻訳して、関わるチームのメンバーに共有しましょう。
「こういった目標があり、その達成のためにこのようなスケジュールを組もうと思っているので、みんなの協力が必要だ。」と話をし、自分ひとりで考えたことではなく、みんなの意見を聞いて決定した業務であることを理解してもらうこと。
「他にもっと良いアイディアがあれば、ぜひ採用したいので聞かせてほしい」と、チームのメンバーの話をきく姿勢を大事にし、その場で「何かアイディアは?」と聞くのではなく、次のミーティングまで2〜3日時間を開けて考えさせる時間を作ることが大事です。
リーダーの自分だって、目標に達するためのプロセスやスケジュール作りに時間をかけたのだから、チームのメンバーも内容を咀嚼し、自分たちの考え方をまとめるのに時間がかかるはず。
その場で「他にアイディアはありますか?なければこれで進めます」と言ってしまうと、「リーダーが勝手に決めたこと」と思われがちです。なので、時間をとって再度質問し、それでも思い浮かばなかったのであれば、今ある最善案に従おう!と思ってもらえるのです。
できたこと、できなかったことを週の終わりに確認すること
細かく分けたスケジュールと業務ですが、リーダーが率先して行うというよりも、チームのみんなにやってもらうことが多いのではないかと思います。
リーダーがやるべきことは、月曜日に今週これだけやる、と決めたことを週の終わりに確認すること。
- できなかったことがあれば、理由を聞き、次から改善をする。量が多すぎたのであれば、メンバーの担当している業務の内容を確認し、どのように効率的に進められるかを考える
- そもそも実力的に捌き切れない量なのであれば、他のスタッフに仕事を回すなどして、チームがうまく回るように試行錯誤します。
お願いしたことは、任せっきりにせず、必ず進捗を確認し、一緒に進むことが大切です。
「目標をたて、それを細かく分けて、いつまでにやるか決め、スケジュール(習慣)とする。できたこと、できなかったことを確認し、どう改善するのかを考える」
簡単にいってしまうと、PDCAサイクルを回すという、普段の仕事でもしている当たり前のことですね。
なりたくないのにリーダーを任されたら?ついていきたくなるリーダーになるための心の持ち方
会社から任されたプロジェクトや目標を達成するため、チームと協力し合いながらひたすらPDCAサイクルを回していく日々。
仕事自体は淡々とこなしていても、プレッシャーから「精神的に辛い」と思ってしまうこともあると思います。そこで、なりたくないのにリーダーを任された人が、立派なリーダーになるための心の持ち方を3つ紹介します。
失敗しても落ち込まない
発明家のトーマスエジソンが電球を発明したあとの有名なインタビューをご存知でしょうか。インタビューアーが「一万回も失敗したそうですが、苦労しましたね」と声をかけると、エジソンは「失敗ではない。うまくいかない方法を一万通り発見しただけだ」と言ったそうです。
「失敗なくして成功はない」というように、うまくいかなかったことを何度も繰り返して、人は、チームは、事業は成長するのです。だから当たり前のような言葉になってしまいますが、失敗を恐れてはいけません。「こんな失敗をしたのは自分のせいだ」とか「どうしよう」なんて思う必要は一切ありません。会社員として、今の自分ができる限りの力を尽くして、失敗したのなら、それも会社としては想定のうちです。
失敗は誰のせいでもないですし、取り返すことはできないのだから、落ち込む時間は無駄です。目の前の問題を試行錯誤しながら乗り切るリカバリー作をまた、いくつも試してみましょう。今落ち込んでいることも、3ヶ月も経てば、取り留めのないことになっていますよ、絶対。
「もうだめだ」などの弱音を吐いたり、弱ったところを見せない
リーダーが不安そうだと、チームも不安になり、士気が下がります。スタッフが元気がないのは良いとしても、リーダーに自信がないのだけはNGです。もしスタッフが何かミスを犯してしまい、相談にきた場合、きちんと対策を練り、次は同じ失敗をしないと話をした上で、嘘でもハッタリでも良いので、「なんとかなる」「たいしたことではない」と言ってあげましょう。
「もうだめだ」なんてリーダーに言われてしまったら、スタッフはさらに落ち込んで辞めてしまいかねないです。それを見て他のスタッフにまで負の連鎖が起きる可能性もあります。
また1から人を育てるのには時間もお金もかかりますし、今側にいてくれるスタッフを励まし、良いところを伸ばしてあげたほうがよっぽど目標達成に効果的です。
リーダーはときに孤独ですが、仕方がありません。
関わる全ての人の話を目を見てしっかりときく
普段、人の目を見てしっかりと話をしていますか?
例えばスタッフが自分より先に帰るとき、「おつかれさまでした」と声をかけられたとき、きちんと目をみて「おつかれさま」と返せていますか?
例えばスタッフが「サインお願いします」と資料を渡してきたとき、「ありがとう。あとでサインして置くから机の上に置いてね」と目を見て話せていますか?
これは自分の経験からも言えることなのですが、人の目を見て話を聞くのと聞かないのでは、相手に与える印象が全く異なります。側にいて、言葉を交わしていても、相手の表情を見ていなければ、相手が悲しいのか、嬉しいのか、つまらないのか、全く分からないからです。「人」がする仕事は、多くが「きちんと相手の表情を見ながらコミュニケーションをとる」ことでスムーズに進みます。
言いづらいことも、相手の表情を見ながらゆっくりと心を込めて伝えることで、必ず理解してもらえます。少し体育会系な言い方になりますが、Face to Faceのコミュニケーションはやはり、今の時代でもチームで動くのには絶対に必要だと思います。
まとめ
今回は、なりたくないのにリーダーを任された人でも、きっとうまくいく方法を、具体的な仕事の行動面と、精神面に分けてお話しました。
「人を動かす」のは本当に難しいことなのですが、まじめに物事に取り組み、いつでも相手のことを考えて利己的にならなければ、周りの人は自分のことを信用してくれますし、時間が経つほど、うまくいくようになります。
「なりたくない」「向いていない」と思っていたことも、なんとか続けてみたら、自分の天職だった、ということもあるかもしれません。
人の可能性は無限大です。自ら自分の可能性を諦めるようなことは決してせず、とにかく挑戦してみましょう!
【参考書籍】
・やむなくリーダーになる人が結果を出すために読む本(明日香出版社)