働き方に多様性を!ジョブ・シェアリングとペアワークのメリット

近年は、会社に勤務しながら副業をしたり、フリーランスなどの時間の使い方や自己裁量が求められる新しい働き方がニュースにとりあげられ、働き方の多様性にフォーカスがあたるようになりました。しかし実際のところは、すばらしい目標と大きな問題とが、並列して存在している状況が続いています。今回は働き方改革の施策や働き方の多様性についてお話していこうと思います。

働き方改革の施策その①プレミアムフライデー


プレミアムフライデーは、ビジネスパーソンを早い時間に退社させて、その時間に外食させたり買い物したりしてもらう、という消費をすすめる取り組みです。しかし、その取り組みの深い部分での目的は、長時間労働を減らすこととも言えます。にもかかわらず、当初はプレミアムフライデーのために無理矢理退社させられても、会社のIDを読み取る機械のライトをかいくぐって働いたり、近くのカフェで仕事をしていた人も多くいたと言います。とはいいつつも、プレミアムフライデーの導入により、それがなければ仕事にあてていたはずだった人も、少しずつ早く退社しようとしたり、人生を楽しんだり、家族との団らんに時間をとろうとする風潮が育まれているのではないかと拝察させられます。

参考URL https://premium-friday.com/wp-content/uploads/2018/05/b7809be9058466ab25a18167fb6d0a25.pdf

働き方改革②高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門性を持つ専門家を、時間給ではなく成果主義で働くようにする制度です。実は働き方改革法案の可決の際、野党は最後まで「高度プロフェッショナル制度」の創設について、「定額働かせ放題」 などと、強く反対し続けていました。それもそのはず、この制度の最大の問題点は1日8時間、週40時間という法定労働時間の枠組が適用されないことにあります。さらには労働時間の規制という概念自体がなくなるため、1日何時間働こうが、残業代や休日手当等を支払わなくてもよいことになります。その一方で、企業と高度プロフェッショナル人材がお互いにその制度を使うことに合意できれば、けっして悪い制度ではないとも考えられるのではないでしょうか。

それはそれとして、もし高度プロフェッショナル制度が導入され、ロールモデル的な人材が存在できれば、高度プロフェッショナルの働き方は、これまで日本人が積み上げてきた働き方と、一線を画すものになる可能性があるかもしれません。そんなときこそ働き方の多様性をもっと増やし、今働いていない人たち、働けていない人たちを働けるようにさせるしくみや、いま仕事上で活用されていない人たちを有効活用すべきタイミングがきていると言えます。

次はその多様性をもたらす働き方一部をご紹介していきます。

働き方の多様性①ジョブ・シェアリング

まず1つ目のご紹介するのが、「ジョブ・シェアリング」です。

ジョブ・シェアリングとは、通常フルタイム勤務者1人で担当する職務(ポスト)を、2人以上が組になって分担し、評価・処遇もセットで受ける働き方です。 そのことによって、フルタイムで働くことのできなかった、親の介護をしている人や主婦や学生といった人たちが、仕事と介護、育児、勉強などとの両立ができるようになるのです。このワークシェアリングの一形態であるジョブ・シェアリングは、より多くの人材に雇用機会を与える方法として注目されています。

ドイツで盛んな働き方

日本で「ジョブ・シェアリング」という言葉は聞きなじみがありません。しかしドイツでは、企業は働き手に対して、ジョブ・シェアリングをはじめパートタイム労働や、フレックスタイムの導入、、交代制労働時間モデル、などを提供しています。ジョブ・シェアリングだけでなくさまざまな柔軟な制度を取り入れているのです。

ドイツはヨーロッパの中でも少子化高齢化が進んでいる国でもあります。2016年の時点での出生率は1.50(日本は1.44 世界銀行)。ドイツ同様、少子高齢化が進み労働人口が現象している日本において、このようなドイツの柔軟な働き方に学ぶことはたくさんあるはずです。

働き方の多様性②ペアワーク

ペアワークも、仕事を共有する点で、ジョブ・シェアリングと似ています。違うのは、ジョブ・シェアリングが2人で仕事を分担する方法であるのに対し、ペアワークは、同時に2人で仕事を行う方法だという点です。

近年、学生への英語の授業でも進められてきているペアワークですが、学生の間では、苦手な人とペアになってしまったり、片方の人ばかり発言してしまいレベルがばらばらになったりと、否定的な面ばかりとらわれている人も多いようです。教師の視点からすると、生徒からの一人ひとりの発言の回数が少なくなりがちなこと、ペアをつくるときの人選が難しい問題もあります。しかし日々の授業でペアワークを経験していけば、クラスごとの授業のみを受けてきた生徒よりも、コミュニーケーション力がアップできる可能性も増えます。勉強でペアワークを経験した学生が就職し、仕事でもペアワークを体験すれば、コミュニーケーション力もそなえつつ、効率的に仕事の方法がつかめることが望めるため、大変有効性の高い業務スタイルだといえます。ペアワークは、ジョブ・シェアリング同様、コミュニーケーションが必要不可欠な業務スタイルです。ペアワークがうまく進んでいれば、業務効率の高いチームとしても、非常に評価の高い役割をはたせるでしょう。

ペアワークスタイルとその利点

ペアワークの方法としては、先輩と弟子型、または教師二人型とでも表現できるような組み合わせが考えられます。

先輩と弟子型

先輩と弟子型では、その業務に精通している人材が主導権をもち、弟子的人材がその業務を常に観察します。先輩は自分の進め方を意識的にすすめることができ、弟子も業務に経験があさいからこそ浮かぶ斬新なアイデアや、意外性のある指摘が期待されます。利点としては、一方の人が仕事をするのを見ることで、もう一方の人にさまざまな学びや仕事のこつ、すすめかたなどを知ることができ、短い時間で多くの仕事を吸収することができます。昔ながらの伝統工芸や老舗の料理屋さんなどのように、目上の先輩のすることを目で覚えるのと少々似ている部分もありますね。

教師二人型

教師二人型は、同じような技量をもった人材二人で業務を行ないます。似た技量同士ながらも、別々の人材のため、違った切り口をお互いにもっているため、気づきが生まれます。また、お互いの知識を有効に使いやすいスタイルのため、無駄な調べものの時間なども減り、時間短縮にも効果的です。

このようなペアワークスタイルは利点が大変大きいものとなります。どちらの型にしてもポイントは、同時にペアが仕事に関わることが重要なところです。片方の人が常にチェックや観察を行うことで、緊張感とモチベーションが大きくなり、業務改善やタスクの解決能力が格段にあがる可能性があります。
そしてコミュニーケーションを多大に必要とするワークスタイルなので、共通の目的やタスクをシェアしやすく、問題解決能力を増強するのにも効果的であるとも考えられます。日本企業や日本人に不足しているといわれる、チームとして案件を解決していく能力、すなわちチームビルディング能力も、養える勤務スタイルともいえるでしょう。

新しい働き方で日本を活性化させよう!

これまで、長時間労働に従事する社員のみ担当できるとみなされていた、チームワークやすぐれたチーム力が必要な重要案件を、ワークライフバランスを取りやすい、短時間労働者であるジョブ・シェアリング人材やペアワーク人材が請け負って、結果を出していけるようになれば、新しい働き方、さらには新しい日本人像を表現できるのではないでしょうか。 働き方の多様性を、増やしていくべき時期がきています。ぜひみなさんも身の回りでできることがないか、考えてみてください。

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