コロナウイルスの影響により、保守的な日本のビジネス慣習に「リモートワーク」という新しい働き方が、根づこうとしています。しかし、今までの仕事に対する考え方をアップデートすることは容易ではありません。ただ、チームを管理する立場にいるリーダーにとっては、実践的なノウハウが必要です。本記事では、明日から使えるリモートワーク下におけるチーム管理の7つの掟を解説します。
リモートワークのメリットとデメリット
ここでは、リモートワークの「メリット」と「デメリット」について考えましょう。リモートワークをチームに導入する前に、リモートワークの「メリット」と「デメリット」きちんと知っておくことは大切です。筆者は、フリーランスとしてリモートワークを数年間、経験してきました。その経験を踏まえながら、論点を整理します。
リモートワークのメリット
早速、リモートワークのメリットを見ていきましょう。社員と企業の視点から、メリットを下表にまとめました。
リモートワークのメリット | ||
社員 | ・通勤の時間と労力を節約できる・好きな時間と邪魔のない場所で働ける・仕事の成果が評価につながる | 生産性向上 |
企業 | ・コスト削減(オフィス賃貸料/通勤手当支給など)・能力を成果で判断するため優秀な人材を正しく評価できる・社員一人ひとりの生産性向上 | 業績アップ |
社員は、オフィスで働くよりも「生産性向上」を実感できるでしょう。ここでは詳細に解説はしませんが、直感的に理解できるはずです。企業も、リモートワークを導入することで「業績アップ」を実現できる可能性は高いです。固定費の削減や正しい人事評価による効果はもちろんのこと、社員の生産性が向上するのですから、当然のことです。
リモートワークのデメリット
リモートワークのメリットを述べてきましたが、もちろんリモートワークにも弱点があります。筆者がもっとも顕著だと考えるリモートワークのデメリットは次の2つです。
- オフラインのコミュニケーションが重要な局面もある
- 仕事のオン・オフの切替が難しくなり働きすぎる社員も
まず一つ目は、コミュニケーションに関することです。確かに、ITツールの進化により、オンラインでもオフラインとほとんど変わらないコミュニケーションを実現できるようになりました。しかしやはり、実際に会って目を合わせつつ話をすることは、人間関係や意思疎通において、大切であることは間違いありません。そのため、後ほど詳しく述べますが、オフラインで交流する機会を意識的に作ることが重要です。
次に二つ目は、社員の「働き過ぎ」についてです。リモートワークを導入するときにマネージャーは「部下がサボらずに仕事をするように監視しなくてはいけない」と思いがちで、PCのカメラで離席をチェックするという発想になるようです。しかしこれはナンセンスです。実際は部下が「サボる」のではなく「働き過ぎ」を注意しなくてはなりません。リモートワークに慣れていないと、オン・オフの切替が上手くできずに、働き過ぎてしまう人が実はとても多いです。そのため、自分の中でルールを設けることが大切です。
リモートワークのチーム管理7つの掟
ここまで、リモートワークのメリットとデメリットを述べてきました。リモートワークに関する理解が深まった人も多いのではないでしょうか。ここからは、チームを管理する立場にある人(以下、マネージャー)に向けて、リモートワークを成功させるための7つの掟を解説します。もちろん、マネージャー以外の方も知っていて損はありませんので、ぜひ最後までご覧ください。
①1日のうち数時間をコアタイムにする
一つ目の掟は「1日のうち数時間をコアタイムにする」ことです。リモートワークは、働く時間を自由に決められることも魅力の一つです。ところが、チームメンバーの働く時間がバラバラだと、さまざまな不都合が起きます。例えば、
- 緊急度あるいは優先度の高い問題があるときにすぐに質問できない
- メンバー全員が同時にオンラインになることがなくチームの一体感が損なわれる
- コミュニケーションをとるメンバーに偏りが生まれる
などが考えられます。
そのため、マネージャーはコアタイムを決めることで上述したような不都合が生じないように対処すべきです。実際に、フレックスタイムを導入している企業では、コアタイムを設けることは常識であり、リモートワークにおいても同様だと考えます。どの時間帯をコアタイムにするかは、不公平が生じないように、メンバーとよく相談して決めましょう。
②社員の評価に関する従来の考え方をアップデートする
二つ目の掟は「社員の評価に関する従来の考え方をアップデートする」ことです。今まで、マネージャーの多くは部下の評価に関して出勤時間を重視してきました。しかし、リモートワークでは「成果主義」を基準に部下を評価することが求められます。つまり、部下が「どのくらい働いたか」ではなく「何を生み出したか、あるいは、解決したか」を考えるということです。これによって、生産性の高い部下が正しく評価されるようになり、部下は生産性を向上させるために創意工夫するようになります。これはチームにとって大きなプラスです。マネージャーは、カメラで離席時間を監視することは止めて、部下の生産性を上げることやディレクションに注力しましょう。
③進捗の共有や連絡はこまめにとるように心がける
三つ目の掟は「進捗の共有や連絡はこまめにとるように心がける」ことです。リモートワークでは今まで以上に、チームの進捗に対する意識を高く持つことが求められます。なぜなら、部下が同じ場所・時間に集まって仕事をしなくなるので、ちょっと声をかけて進捗を確認・調整することが難しくなるからです。では具体的にどのようにすればいいかということですが、筆者のおすすめは「タスク管理ツール」を使いこなすことです。タスク管理ツールは、進捗の共有や連絡だけではなくチャットやビデオ通話など、さまざまな機能を実装しているため、非常に役に立ちます。タスク管理ツールに関しては、この章の最後に述べようと思います。
④情報を閉じ込めず社員にオープンにする
四つ目の掟は「情報を閉じ込めず社員にオープンにする」ことです。よく社内システム間でデータが孤立していて連携できないことを「サイロ化」といいます。それと同じように、チームメンバーのハードディスクにデータが孤立して保存されていて、他のメンバーがアクセスできないという状況に陥らないようにしましょう。マネージャーがするべきことは、データ管理のルールを決めて、メンバーの業務に必要な情報をオープンにしておくことです。もちろんセキュリティ上のリスクやどのユーザーに権限を持たせるかなども考えておく必要があります。データ管理に関しても「タスク管理ツール」を用いることで、安全かつ簡単にマネジメントすることができます。
⑤セキュリティ対策におけるルールを決める
五つ目の掟は「セキュリティ対策におけるルールを決める」ことです。四つ目の掟でも、セキュリティ管理に関して少し言及しました。ここでは、具体的なノウハウをまとめます。
顧客情報や機密情報、個人情報などの漏洩などのセキュリティに関するリスクは、リモートワークを語る上で無視することはできない問題です。しかし、リモートワークでもきちんとしたセキュリティ対策のルールを遵守すれば、セキュリティリスクを回避することができます。具体的には、以下のようなものが考えられるでしょう。
- ハードディスクの暗号化
- 自動ログインを使わずパスワードを設定
- ウェブブラウジングは暗号化通信(SSL)
- PC以外のデバイスにもパスワードを設定
- パスワードは長くて複雑に(使い回しはNG)
- メールクライアントは二段階認証を設定
- 公共の場所でPCを置きっぱなしにしない
ここで挙げた対策を守るだけでも十分な効果がありますが、セキュリティ対策の重要度を考えれば、ルールを決めるときに専門家に加わってもらうことも検討すべきでしょう。
⑥オフラインで交流する機会も適切に設ける
六つ目の掟は「オフラインで交流する機会も適切に設ける」ことです。オンライン・コミュニケーションは、オフライン・コミュニケーションを代替できないということは、前縦しました。
普段、オンラインで仕事をしているからこそ、オフラインでメンバー同士が交流する機会を作ることで、その効果はとても大きくなります。マネージャーは、メンバーの働きぶりを見守ることも重要な役割ですが、メンバーの精神的な側面も考慮することが必要です。
⑦リモートワークに適したタスク管理ツールを導入する
七つ目の掟は「リモートワークに適したタスク管理ツールを導入する」ことです。世の中にはさまざまなタスク管理ツールがあり、いろいろな機能・特徴があります。
では、リモートワークに向いているタスク管理ツールには、どのようなものがあるでしょうか?
個人的に、リモートワークでチームをマネジメントするときに、表面化しやすい問題はコミュニケーション不足によるものだと考えています。ここまででも、オンラインではオフラインのコミュニケーションに完全に取って代わることはできないと何度か述べました。
したがって、チームにおけるコミュニケーションを活性化させる機能を持つタスク管理ツールを導入すると良いでしょう。おすすめは、TeamHack(チームハック)です。TeamHackは、シンプルな操作性とチャット機能に優れているタスク管理ツールです。今までタスク管理ツールを使ったことがない方でも、説明を読まずにすぐに使い方を把握することができ、筆者も愛用しています。
まとめ
本記事では、リモートワークでチームを管理するときに考えるべきことを七つにまとめて解説してきました。リモートワークは素晴らしい働き方で、ウィズコロナ/アフターコロナの世界でどんどん導入されていくはずです。ただリモートワークも万能ではないので、マネージャーの力量によっては、その効果を十分発揮することができません。ITツールを駆使しながら、オフィスワークの先入観をアップデートしてリモートワークの頭に切り替えることがとても大切です。