働き方が多様化する昨今、信頼関係の重要性を改めて実感している人は少なくないはずです。人と人との関わり方が変化する中、どうやって信頼関係を築くかは大きな課題と言えるでしょう。
そこで本稿では、信頼関係を築く方法や信頼関係を築くのが上手い人の特徴を紹介します。
信頼関係とは?
ビジネスにおける信頼関係とは「信じて頼り合える関係性」を意味します。信頼関係があると「力を貸してほしい」「話を聞いてほしい」と言い合えるので、個人で行動するよりも大きなことを成し遂げられるようになります。
信頼関係は、人と人との関わり合いになくてはならないものと言えます。仕事を任せる側からすると、逐一業務の理解度や進捗を確認せずとも業務が進むので、安心感はもちろん生産性向上が期待できます。
また、仕事を任される側からみても、自分が尊重されているという自信を持て、安心して業務に取り組めるでしょう。
信頼関係を築くメリット
信頼できる人がいるというのは、とても心強いことです。効率がアップしたりピンチを乗り越えられたりすることも多くあるでしょう。信頼関係の構築にはメリットばかりです。詳しくみてみましょう。
情報共有が活発になる
信頼関係が構築された組織では、会話や情報共有が活発です。相手のためになる情報を教えたり、素直に相談したりできるので、相互の業務への理解が深まります。
すると、アイディアが生まれやすく、目標の達成やトラブルの早期解決が期待できる組織になるでしょう。
相談や質問がしやすくなる
多くの仕事はひとりでは完結できず、相談や質問をして進めるでしょう。そこで必要とされるのが、気軽に相談や質問ができる環境です。
信頼関係があればさまざまなスキルや知識を借りながら、仕事を進めることができるのです。
仕事が円滑に進み生産性が向上する・成果が出やすくなる
組織で最も重要とされるのがチームワークです。信頼関係がある組織なら、チームワークは格段に向上します。
信頼のもとチームが団結していると、モチベーションが高まり、コミュニケーションも活発になります。すると、仕事は円滑に進み、生産性アップや目標の達成につながるのです。
人間関係のトラブルを減らせる
信頼関係ができていると、相手から誤解されたり悪く思われたりすることが減り、人間関係のトラブルが回避できるでしょう。
人間関係のトラブルが少ないほど、組織の離職率は下がり、仕事をスムーズに進められるようになります。
周りの人からのサポートを受けられる
信頼関係が築けていると、助け合う文化が生まれます。 相手が困っていたらサポートし、自分が助けを必要とする時にはサポートを申し出てもらえ、自身も素直に受け入れることができるでしょう。
信頼関係を築くのが上手い人の特徴
では信頼関係を築くのが上手い人はどんな人でしょう。彼らの特徴には、信頼関係を築くためのヒントが隠されています。
約束を守る
「期日を守る」「決められたことを必ずやる」など、些細な約束でもきっちりと守る人は、信頼関係を築くのが上手い人です。行動を見せることで信頼を得るのです。
何気ない会話を大事にする
肩肘張らない何気ない会話や雑談は、信頼関係構築になくてはならないもの。雑談の中から、相手の考えや置かれている状況を知り、業務上でのアプローチを考えられるようになります。
相手の気持ちや感情に配慮できる
信頼関係を築くのが上手い人は、相手の気持ちや環境に配慮できる人が多いでしょう。相手に興味関心を持ち理解しようとするため、細やかな気配りのある行動ができます。
立場や権力だけで人を動かすことはせず、相手の気持ちを汲んだ上でのアプローチをすることで、人は信頼関係を構築できるのです。
行動と発言が常に一致している
自分の発言に責任を持ち、最後までやり遂げる力を持っている人は信頼されます。言っていることとやっていることが一致しているので、嘘偽りのない人と見なされるのです。
無理なことは素直に断る
信頼関係を構築するためには、言われたことをすべて引き受けるべき、と考えている人もいるかもしれません。断って信頼を失うことを恐れる人もいるでしょう。
しかし安請け合いをしてミスをしたり、最後まで全うできず相手に迷惑をかけてしまったりすることの方が、よほど信頼を失います。できないことはできないと断るのも、一種の誠意なのです。
周囲への感謝を口にしている
謙虚な気持ちは常に持っておくべきです。目標を達成した時に手柄を総取りにするような人は信頼されません。「みんなの頑張りのおかげ」と感謝の気持ちを持つことが必要です。
もちろん感謝の気持ちは口に出さなければ伝わりません。例え仕事であっても、やってもらえることは当たり前ではない、という意識をもち、感謝の言葉を口にする習慣を作りましょう。
素直に謝ることができる
ミスを指摘された時や失敗してしまった時は、それを素直に受け入れて、誠実に謝ることが必要です。信頼関係は信用の上に成り立つもの。素直で誠実な振る舞いは、非常に大切な要素と言えます。
言い訳をしない
信頼関係を構築するためには、どんな状況下においても言い訳をしないことです。ミスや遅延などを起こしてしまった時は自身の非を認め、その原因を追究し、解決策を提示するようにしましょう。
すると誠実さが伝わり、相手からの信頼を得ることにつながるでしょう。
他人の悪口を言ったり噂話をしない
悪口や噂話は聞いている人を不快な気持ちにさせます。自分も言われているのではないかと勘ぐってしまい、信頼関係の構築どころか、信頼を失ってしまいます。
嘘や隠し事をしない
信頼関係を構築できる人は、嘘や隠し事をしません。嘘や隠し事があると、探り合いをするような関係性になってしまいます。
組織においてはオープンにできないことももちろんありますが、普段から共有できるものは開示し、透明性の高い関係を構築しましょう。
信頼関係を築けないことで生じるリスク
信頼していない人に仕事を任せる場合、作業内容を細かく指示し、逐一進捗をチェックしないと安心できません。また逆も然り、信頼していない人から仕事を任される場合、作業を進めるたびに細かな確認を行って、認識に相違がないかを確かめながら進めるでしょう。
結果として、必要以上のコミュニケーションが発生したり、チェック作業に追われたりし、生産性は低下するでしょう。
また、信頼関係を築けないと、組織の人間関係が悪化し、トラブルも多発する傾向にあります。
例えば、信頼関係を構築できていない人からの注意は、すんなり受け入れられず、感情的に反論してしまいがちです。ミスなどが発生しても、正直に報告できず、隠したり誤魔化したりする風土になってしまう恐れすらあるでしょう。
信頼関係を築くポイント
信頼関係を築くためには、どんなことを心がければよいのでしょうか。9つのポイントに分けて解説します。
有言実行を心がける
信頼関係を築くためにも、言ったことは責任を持って実行しましょう。信頼関係はその積み重ねです。
できない約束はしない、大口を叩かないなど、信頼を失うようなことは避けるようにしましょう。
約束を守る
信頼関係を築くために、約束を守ることは必須と言えます。どんな些細な内容であっても、約束を破るような相手を信頼するのは困難です。
約束を一つひとつ守り、信頼関係を構築しましょう。
信頼される人格を磨く
そもそも自分は信頼に値する人間か、信頼される行動をとっているかを見直してみましょう。もし足りないところがあるなら、信頼される人格になれるように、自身を磨く必要があります。
人格を磨いていけば、自ずと周囲からの信頼を得られるはずです。
自分が相手を信頼する
自分を信頼してほしいと思うなら、まず自分が相手のことを信頼すべきです。相手を信じて任せたり、心を開いたりすることで、相手も返してくれるはずです。
とはいえ、なんの確証もなく信じることはできないかもしれません。そういう時は、まず相手に関心を持ち、理解を深めることからはじめてみましょう。
人の話に関心を持ってしっかり聞く
信頼関係を築くためには、相手に関心を持つことが大切です。相手も、自分に関心を持っていると分かれば、心を開いてくれ、互いの理解も深まるはずです。
どんな相手にも興味関心を持って、話を最後まで聞くよう心がけましょう。
ポジティブな姿勢を持つ
どんな状況でもポジティブな姿勢を持っている人は信頼されると言っていいでしょう。ポジティブな人は、周囲の人を惹きつけ、ついていきたいと思わせることができます。
相手の立場を考えて行動する
どんな時でも、相手の立場や状況を考慮して行動することを忘れてはなりません。何も考えずに行動すると、悪気はなくても相手の反感を買ったり悲しい気持ちにさせたりしてしまうでしょう。
喜ぶ言葉をかける
信頼関係を築くためには、相手の喜ぶ言葉をかけることも大切です。関わる相手が気分よく仕事ができるように、相手の良いところや良い実績は積極的に褒めるようにしましょう。
そのためには、普段からメンバーに対する関心を持ち、良いところを見つける必要があります。
リアクションを1.5倍にすることを意識する
話をしている時に聞き手のリアクションが薄いと、相手は不安になってしまいます。信頼関係を築くためには、相手の話をちゃんと聞き、1.5倍のリアクションを心がけましょう。
リアクションの有無で、相手に与える印象が大きく異なります。オンラインでは特に、リアクションが伝わりにくいと言われています。普段よりも大きく頷いたり、気持ちが伝わるようなリアクションを取ることを意識しましょう。
組織内の信頼関係を高めるための方法・施策
最後に、組織の信頼関係を高めるために実践すべきことを5つ挙げてみました。これらは決して難しいことではありません。試しに取り入れてみてはいかがでしょうか。
コミュニケーションを取る時間を設ける
信頼関係を高めるためには、コミュニケーションを取る時間を積極的に設けるようにしましょう。近年ではリモートワークの普及によってメンバーが顔を合わせる機会が減っています。会話する機会があっても、業務のことを簡潔にやりとりするだけで、雑談によってお互いのことを知る時間がほとんどありません。
コミュニケーションの積み重ねによって、相互の理解が深まり、信頼関係を高めるのです。
組織や個人のゴールと課題を明確にする
組織や個人のゴールと課題を明確に共有することも、信頼関係を高めるためには大切です。同じ組織に属していても、ゴールや課題は各々異なりますが、互いに共有することで、一体感が芽生えたり切磋琢磨したりする雰囲気が作られ、信頼し合える関係性を築くことができます。
職場環境アンケートを実施する
メンバーの声を聞き、必要に応じて組織に反映することも、組織のメンバーとの信頼関係を築くために必要です。誰でも気軽に、そして小さな意見でも提案しやすいように、職場環境アンケートを実施するといいでしょう。
結果のフィードバックを行う
メンバーから吸い上げた意見は社内で議題に上げ、結果は必ずフィードバックを行いましょう。結果のフィードバックを怠ると、無視されたように感じて、かえって信頼を失いかねません。
どんな結果になっても誠意を持って回答し、決定のプロセスを明確にすることが大切です。
称賛する風土を作る
メンバー同士が称賛し合える風土を作ることも、組織の信頼関係を高めるために必要だと言えます。頻繁に成果を褒め称えたり感謝の言葉を交わしたりする環境が作られると、組織の雰囲気が良くなり、信頼関係が築きやすくなるのです。
まとめ
信頼関係を築くためにすべきことは、どれも至極当たり前のことばかりです。まずは、当たり前のことを当たり前にやることからはじめてみてはいかがでしょうか。
また、信頼関係は一朝一夕で構築できるものではありません。信頼関係の構築に焦り、強引な態度を取ったり、あざとく持ち上げたりするような態度を見せるのは、逆効果と言えます。
時間をかけて構築するものであることを理解し、小さなことから積み重ねるようにしましょう。