プロジェクトが行き詰まったときに知っておきたい、目標変更において必要ないくつかの事項

システム開発プロジェクトにおいては、最初にクライアントと「目的」「目標」「ゴール」を設定、さらには共有し、プロジェクトを遂行する流れが一般的といわれています。しかし、当初の計画通りに完遂するプロジェクトはかなり少ないものです。 プロジェクトの最中に、想定外の事態やトラブルを経験したことがある開発経験者も多いのではないのでしょうか。大きなトラブルが生じたときには仕様、ひいては目標自体を変更することもありえます。 当初に決めていた目標を変更するとなると、プロジェクトの方向性も変わってくるため十分な注意が必要です。目標変更の際に気を付けるべき点を確認していきましょう。

▼目次

  1. 目的と目標の違いとは何か
  2. 目標を変更したプロジェクトの事例
  3. 目標を変更するときに大切なこと
  4. プロジェクト体制によって目標設定も変わる

1.目的と目標の違いとは何か

システム開発において「目的」「目標」を明確に分けて考えるのは必要なことです。このふたつが曖昧なプロジェクトは失敗に終わる傾向にあります。 「目的」とは「どのような課題があってシステム開発を行うのか?」という疑問に対しての回答といえるでしょう。例えば「老朽化したシステムを使っているため、業務に時間がかかり、効率が悪い」という課題があれば、「業務効率化を目指して新しいシステムを導入する」というのが目的になります。 一方、「目標」とは目的を達成するために定められた明確な指標のことを指します。先ほどの例えで言えば「システムを導入することで、業務時間を半分に短縮する」というのが、具体的な目標です。 ただ目標を達成すれば必ずしも目的が果たされるとは限りません。目標の達成ばかりを意識して、目的が置いてけぼりにならないように、両者に気を配ることがシステム開発を行う上で必要とされています。

1-1.目標にもさまざまなタイプがある

目標を変更する理由はさまざまですが、「品質」「コスト」「生産性」「スケジュール」「顧客満足」「ROI(投資収益率)」のいずれかに当てはまる場合が多いのではないのでしょうか。 目標を確実に把握しなければ、対処方法も見えてきません。目的を達成するためにどのような目標を再設定すべきかをじっくり考える必要があります。

2.目標を変更したプロジェクトの事例

ある製造業クライアントのもとで、老朽化した現行システムにかわって新しい生産管理システムを導入したプロジェクト事例を紹介しましょう。この事例では、当初BPRを兼ねた抜本的な業務効率化を目的としていました。 しかし、テスト局面の段階で、当初の想定よりもデータ量が多く、外部システム側と上手くデータ連携できないことが判明。帳簿関連出力のタイミングが予定通りにいかず、やむなく仕様を変更する事態となりました。 受発注業務において、帳票出力タイミングも含めた工程着手から完成までに要するLT(リードタイム)の短縮によって業務効率化を目指し、具体的な目標数値も掲げていました。しかし、いざ始めてみたところ実現が厳しいものとわかったため、やむなく目標を変更する事態になりました。

2-1.目標を変更した経過と原因

問題が発覚した当初は、帳票出力を担当していたシステム開発メンバーがプログラムの見直しやチューニング、ハード面を再考するなどして、開発側の視点で解決策を見出そうとしていました。 さまざまな手段を施しましたが、外部システム側の制約もあったことで、当初目標としていたタイミングでの帳票出力はできないことが判明しました。

2-2.目標の見直し方と見直した結果

システム開発メンバーだけではなく、プロジェクトチーム全体で前段階の業務フローを一旦見直し、それに合わせて他チーム側でデータ改修を行ったことで、帳票出力のタイミングの遅れを最小限に留めることができました。 さらに、後続の業務自体の効率化を図ったことで、プロジェクト全体の受注から納入までのLT(リードタイム)の効率化を十分満たせることも判明しました。 帳票出力の視点で見ると仕様変更は大きな課題であり、バグにも思えますが、この事例では仕様を変更したことで、結果的に業務効率化という本来の目的を果たすことに成功しています。

3.目標を変更するときに大切なこと

ここで紹介した事例のように、プロジェクトで問題が発生した際、ついつい目の前にある「目標」を解決することに目が行ってしまいがちですが、「目標」は本来「目的」の手段にすぎません。 一見マイナスに思える「目標を変更する」という行為も、全体を通してみると、変更することが全体を最適化するきっかけになりうるのです。目標の変更を悪と決めつけずに、広い視野を持って、時と場合に応じて柔軟に対応する姿勢が大切といえます。 しかし、闇雲に目標をコロコロ変更してしまうのは大変危険なことです。実際に目標を変更することになった場合、どんなところに気をつければいいのか、ひとつずつ確認していきましょう。

①変更後の目標を具体的に設定する

目標を変更する際、本来の目的に見合った目標の再設計を行うことは言うまでもなく必要です。このときに、プロジェクト全体で目標だけがひとり歩きしてしまうことがないように、「目標変更の理由」や「目標を変更することによる影響度」、さらには「新たな目標の具体的な指標値やチェック」、「プロジェクト全体で評価を共有する仕組みづくり」を意識する必要があります。 この点を見誤ると、プロジェクトの方向性を見失ってしまうので、プロジェクトチーム全体でじっくり考えるようにしましょう。

②プロジェクト全体で情報を共有する

今回紹介した事例では、変更した目標を達成するために、システム開発側のアプローチによる解決を試みました。メンバーが最善を尽くすことはもちろんですが、それでも時と場合によっては思うような結果に至らないこともままあります。 また、目標の解決だけに意識を集中しすぎてしまうと、進捗やプロジェクト全体の遅延の原因になりうるのです。 目標を変更する場合はひとつのチームに固執するのではなく、プロジェクト全体で常に情報を共有し、目標変更時には業務やシステム側を含めて何ができるか、ベストな方向性を検討することが重要といえます。 情報を共有することによって、さまざまなメンバーから多様な意見が集まるでしょう。

③影響が及ぶ範囲を明確化する

目標の変更を見直した結果、システム側で改修をすることになった場合、影響範囲がシステムチームだけではなく、他のチームや外部システムにも及ぶことが少なくはありません。 プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、ひとりのメンバーだけでは影響度を把握しきれないものです。 ひとつのチームだけで判断するのではなく、業務側や他チームと十分に情報連携を行った上で、影響が及ぶ範囲を明確にして、全体で目標を検討する必要があります。

4.プロジェクト体制によって目標設定も変わる

ソフトウェア開発の一般的な手法には、「ウォーターフォール型」「アジャイル開発型」のふたつが挙げられます。 「ウォーターフォール型」は「設計」「開発」「テスト」「運用」などの段階ごとにトップダウンで分割する手法で、今回紹介したプロジェクト事例に採用されたものです。 原則的に前の工程が終わらなければ次に進めない「ウォーターフォール型」のプロジェクトは、当初クライアントと設定した目的や目標を変更しない、という意識で進行されていました。 下流工程で生じた変更はシステム側のみで対処しようとしていましたが、上手くいかずに、結果的にプロジェクト全体の目標を変更することになりました。目標を変更することで、結果的により高い目標を達成できたケースです。 「アジャイル開発型」は短い開発期間単位を採用することでリスクを最小に抑える手法です。工程ごとに納品を繰り返していくアジャイル開発型は、より柔軟に目標を見直すことができるため、近年注目されています。 プロジェクトの規模やシステムの特性に応じて、ウォーターフォール型やアジャイル開発型などの開発手法を十分に検討することも目標を設定する上で非常に重要です。

~アジャイル・ウォーターフォール型についての関連記事~
・アジャイル開発とは?~アジャイル開発の歴史と現状~
・事例紹介:アジャイル・ウォーターフォールの違いとは?

「プロジェクトが行き詰ったときに知っておきたい、目標変更において必要ないくつかの事項」についてのまとめ

「目的」や「目標」を常に意識しながらプロジェクトを進めることは、大変重要です。しかしながら、「目標」とは「目的」を達成するための手段であり、目の前の「目標」にあまりに捕らわれすぎると本来の目的を見失いがちです。 特に大規模プロジェクトやチーム数の多いプロジェクトの場合は、「目的」や「目標」をメンバー全員が常日ごろから意識し続けることは、よほど意識しなければ難しいといえます。 目標を意識するためには、プロジェクトリーダーやマネジメント層が常に「ゴール」を意識し、チーム全体をまとめ上げていく必要があります。 また、さまざまな局面において、ときには目標を見直すといった柔軟な判断も重要です。従来の目的を見失わなければ、結果的に最善のゴールを導き出せるのではないのでしょうか。

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