厚生労働省による2018年度人口動態統計で発表された出生率が過去最低を更新し、人材不足がますます懸念される日本。加えて、20年以上に渡り労働生産性が先進7か国で最下位という状態が続いています。業績に貢献する人材確保はもちろんですが、不足する人材のなかで稼働率を上げていく業務効率化が最重要課題となっています。
業務効率を上げるには、
- 業務を可視化する
- 優先度の低い業務を簡略化する
- ルーティンワークを自動化する
などの対策が挙げられます。
そんななか、手軽に業務効率やチーム力をアップし、労働生産性の向上に貢献してくれるツールや、それらを開発する企業が注目を集めています。今回はそれらのなかから3つのシステムをご紹介しましょう。
1. 業務を見える化する働き方改革アプリ「cyzen(サイゼン)」
業務効率アップを促進するうえで重要な「業務の可視化」に貢献し、かつ社内コミュニケーションの促進にも役立つアプリです。
レッドフォックス株式会社
h会議をなくし、リモートワークも積極的に取り入れて、従業員の多様な働き方を実現している「レッドフォックス株式会社」。同社が提供するのが、働くことが楽しいと思える世界の実現を目指し、効率的で生産性の高い働き方を創造するアプリ「cyzen(サイゼン)」です。
社外勤務を可視化・データ化
1300社以上の企業が導入している「cyzen」は、位置情報を活用して業務効率をアップするアプリです。営業やメンテナンス職などの外回り業務を見える化し、帰社後に日報などを記入する手間なく、行動を正確に記録できます。また外回り中の空き時間にスマートフォンから報告書などを提出できるようなカスタマイズも可能です。
本来の業務に支障をきたす社内業務をスキマ時間でこなすことができるため、業務効率化の大幅アップが期待されます。
社員同士のコミュニケーションを促進しチーム力アップ
また、2019年末には社内コミュニケーションを促進する「パフォーマンス機能」も追加。各々の成果や投稿に、社員同士でコメントや「いいね」などのアクションを伝えることもできるようになりました。
そういった感謝や称賛の数をランキング表示したり、訪問件数や売り上げなどのデータを集計してランキング形式で共有したりすることで、チーム力を高めつつ社員のモチベーションアップも図れるという画期的なアプリです。
2. スマホで承認申請をスムーズに「サスケWorks」
スマートフォンでどこからでも場所にとらわれない働き方を支援、社内業務を簡略化することで業務効率アップに貢献します。
株式会社インターパーク
hオリジナルクラウドシステムやオーダーメイドWebシステム開発を手掛ける「株式会社インターパーク」。顧客管理システムを基盤とし、あらゆる業務を効率化する「クラウドサービスサスケ」を国内で1500社以上に提供している企業です。
2019年末に提供開始されたのは、オリジナルビジネスアプリが作成できるツール「サスケWorks」のモバイル版。
業務ニーズに合ったアプリで作業を簡略化
サスケWorksは、専門知識なく目的に応じたオリジナルアプリをドラッグ&ドロップで簡単に作成できるツール。業務の進捗や情報をWeb上でリアルタイムに共有できるので、外勤・内勤問わず従業員の手間や面倒を軽減し、生産性の改善を期待できます。
スマートフォンで稟議の承認申請などをスムーズに
また、サスケWorksには、稟議などの各種申請を可視化し、出先でも確認や承認ができる「承認申請機能」があります。モバイル版の提供によって、決裁者の外出・出張などで滞りがちな申請・確認・承認の進捗の把握や、次の段階へのアクションがスムーズになるのもメリットのひとつです。
3. 取引明細書や請求書情報などのデータを振込みに添付
業務効率改善を目指すうえで、自動化できる業務を実際に自動化することは、大変有効です。
「全銀EDIシステム・ZEDI(ゼディ)」
一般社団法人全国銀行協会(全銀協)・一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が2018年末より稼働させたプラットフォーム「全銀EDIシステム(ZEDI)」は、売掛金や買掛金など、企業間の決済事務を自動化することで、経理業務の効率の飛躍的な向上に貢献します。
企業にとって負担が大きい入金消し込み業務を自動化
企業間の支払い・受け取りは金融機関を通じて振込みでおこなわれることが一般的です。受け取り側は締め日を基準に請求データを作成しますが、決済時に支払い側が複数の請求を一度に処理し、振り込み額と受け取り側が想定していた金額が合致しないのはよくあることです。
このように決済事務を滞らせる業務の煩雑さをなくすため、取引に関わる明細情報や請求書情報などのデータ(金融EDI情報)を電子的に交換・共有し、売掛金消し込みなどの決済事務を自動化できるシステムが、このZEDIなのです。
振込み手数料を差し引かれたり、他部署や複数月の請求を合算されたりと「請求額と異なる振込み」の照合や企業間の連絡といった手間が削減されることで、決済事務の大幅な効率アップが期待できます。
2019年8月現在、全国90以上の銀行と220以上の信用金庫で利用可能。今後はますます多くの金融機関への展開が想定されています。
金融EDI情報を簡易作成するためのツールも無償で提供
ZEDIを利用するためには、振込みデータへの添付を可能にするためXMLファイルを作成する必要がありますが、XMLファイル作成が難しい企業のために全銀ネットでは「S‐ZEDI(エス-ゼディ)」というツールを無償で提供しています。
このツールでは、Webブラウザ画面に振り込みに必要な情報等を入力するだけで、XMLファイルを簡単に作成できます。そのため、専用ソフトの購入や会計システムの改修などが必要なく、ZEDI導入費用が軽減されるのです。
企業間連携することで、相互の決済事務効率の大幅アップが期待できるシステムです。ぜひ、導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
日本人の労働生産性が低いのは、無駄な業務や優先度の低い業務に割く時間が多く、それぞれが所属する部署の「本来の業務」に専念できていないという実情が大いに関係していると思われます。
企業が利益を労働者に正しく分配し、賃金を底上げしない限り、景気回復も少子化問題も解決されないのは明らかです。それらを改善するためには業務効率アップが最重要課題といえます。
そのためには効率アップできるツールを利用することもひとつの方法です。
業務を可視化して無駄を省き、日々の雑務を簡略化、ルーティンワークを自動化することは、業務効率化において大変有効です。
こういったツールを利用し、労働者が自分の業務に専念できる環境を整えることができれば、業務効率が改善され、各々が本来の業務に専念できるようになります。そうなれば、仕事へのモチベーションも向上し、次第に労働生産性が改善されるかもしれません。