チームワークやチーム力、チームビルディングなど、「チーム」はビジネスシーンで頻繁に聞く言葉の1つです。
チームとは、簡単にいえば「個人の集まり」です。しかし、単なる「個人の集まり」はチームと呼びません。
本稿では、チームとは何かを掘り下げて解説します。チームと混同しやすい「グループ」との意味の違いやそれぞれのメリット・デメリット、チーム運営のポイントについても解説します。
「チーム」と「グループ」の違いとは?
チームと似た言葉に、グループがあります。どちらも「集団」を意味する言葉ではありますが、明確な違いがあるため正しく理解しておきましょう。
では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、チームとグループ、2つの言葉の定義や特徴、メリット・デメリットを解説します。
チームとは
チームとは、共通の目標を達成するという意思のもとに集まった、または集められた人の集団を指す言葉です。
チームとは何かを考える際には、ビジネスにおける「プロジェクトチーム」をイメージすると良いでしょう。
プロジェクトのために結成されたチームでは、異なるスキルや知識を持つメンバーが協力し合い、プロジェクトの完遂を目指します。チームのリーダーは、自らも業務を担いながら、目標を達成するためにチーム全体を束ねます。
共通の目的を達成するために、互いに協力し合い、時に相互補完しながら作業を行う集団がチームなのです。
チームの定義と特徴
チームとは、「ある目的のために協力して行動するグループ」と定義されています。主に、スポーツや共同作業について使用される言葉です。
チームの具体例として、野球チームや医療チームなどが挙げられます。野球チームとは、勝利という共通の目標を目指す集団です。医療チームは異なる専門スキルを持つメンバーが連携し、適切な医療の提供を目指す集団です。
このように、チームの特徴は共通の目標があることだといえます。
チームのメリット・デメリット
チームの主なメリットは、以下の通りです。
・生産性向上が図れる
・問題解決の迅速化
チームの最大のメリットは、業務の効率化が図れることです。
個人はそれぞれ、弱みや強みが異なります。その個人が集まって結成したチームでは、弱みを補い合い、強みを活かし合うことが可能です。相乗効果によって、1+1が3にも4にもなり、生産性の向上を実現しやすくなります。
問題やトラブルが発生した場合には、各メンバーの異なる視点を組み合わせ、より効果的な解決策を見出せるのもチームのメリットです。
一方、チームには以下のデメリットもあります。
・ミスコミュニケーションの発生
・意思決定の遅れ
チーム内のコミュニケーションは、必ずしも円滑とは限りません。時に意見がぶつかり、対立することもあるでしょう。ミスコミュニケーションの発生は、異なるスキルや知識を持つ個人が集まったチームならではのデメリットです。
チームは、規模が大きくなればなるほど、意見をまとめるのが困難となります。その結果、意思決定の遅れが生じることも、チームのデメリットといえるでしょう。
グループとは
グループとは、同じ場所にいる個人の集まりを指します。
グループには、チームのような共通の目的や目標はなく、協力や相互補完も必要ありません。共通の目的のために集まった集団というよりも、共通の性質によって分類された集団です。
グループとは何かを考える際には、共通の趣味を持った友人の集まりや学校のクラスなどをイメージすると良いでしょう。個人が集まる集団ではあるものの、共通の目標はないケースがほとんどです。
グループにもリーダーは存在します。しかし、集団を束ねる役目ではなく、集団の代表者という意味合いが強く、リーダーシップは求められません。
互いに協力し合うよりも、個人に重きを置いている集団がグループです。
グループの定義と特徴
グループとは、「仲間・集団」と定義されています。主に、共通または類似した性質で分類した人や物に使用される言葉です。
共通の趣味や興味、年齢などによって分類されたグループは、協力し合うことも比較的容易です。しかし、グループの目標はあくまでも個人単位であり、責任を負う対象も個人です。
一丸となって目指す共通目標がないことは、グループの特徴であり、チームとの大きな違いといえるでしょう。
グループのメリット・デメリット
グループのメリットは、以下の通りです。
・作業効率化が図れる
・個人の成長を促せる
グループでは、個人単位で目標を持ちます。その目標達成に向かう際に共同作業は必要なく、単独で行動できるため、作業効率は向上します。
単独で行動するグループでは、個人の成長を実感しやすいこともメリットです。成長を実感できることは、モチベーションの維持につながり、さらなる成長も目指せるでしょう。
一方、グループには以下のデメリットがあります。
・個人が孤立しやすい
・一体感に欠ける
グループには、チームのような共通の目標がないため、相互補完や協力が必要ありません。そのため、個人の集まりであるものの、それぞれが孤立しやすい傾向にあります。
また、責任も評価も個人単位となるため、個人主義の考えを持つメンバーが多く、グループの一体感に欠ける点もデメリットといえるでしょう。
チームがうまく機能しない原因は?
チームには、生産性向上や問題解決の迅速化が図れるメリットがあります。しかし、チーム自体が機能していなければ、それらのメリットは得られません。
チームがうまく機能していない場合、どのようなことが原因となっているのでしょうか。
ここでは、チームがうまく機能しない主な原因を5つ紹介します。
チームとしての目標が全体に共有されていない
チームとは、共通の目標に向かって行動する集団です。その目標を一部のメンバーしか把握していない場合、メンバーの足並みは揃わず、チームはうまく機能しません。
たとえチームの目標が全体に共有されていたとしても、メンバーの理解や納得を得られていない場合は、チームとしてうまく機能しないでしょう。
チームメンバーそれぞれの役割が曖昧になっている
チームメンバーそれぞれの役割を定めることは、チームを機能させるうえで、非常に重要です。
チームメンバーの役割が決まっていない場合、「この業務は自分の担当ではない」「誰かがやっていると思っていた」といった他人任せの状態に陥ります。メンバー間の相乗効果を発揮できないどころか、業務の漏れや遅れの発生にもつながります。
コミュニケーションギャップ
チームのデメリットでもあるコミュニケーションギャップが発生している場合も、チームは機能しません。
コミュニケーションをとっているつもりでも、認識のズレが生じることは往々にしてあります。コミュニケーションギャップを生まないためには、話し手は正確かつ簡潔な情報伝達を心がけると良いでしょう。チーム内で共通言語を作ることも有効です。
信頼の欠如
信頼が欠如しているチームは、メンバー間で弱みを見せ合えません。遠慮や無用な駆け引きが発生し、効率的な共同作業は期待できないでしょう。
チーム内では、お互いが信頼し合い、自然体で意見や行動ができるよう、心理的安全性が高く保たれていなければなりません。
意思決定権が特定のメンバーに偏っている
複数人の意見をまとめるには、意思決定する人が必要です。しかし、常に同じメンバーが意思決定を行っていては、チーム内のパワーバランスに偏りが生じます。
次第に、無意識のうちに周囲の意見や多数派に従う、同調行動をとるメンバーが現れるでしょう。適度な同調行動は良い効果をもたらすケースもありますが、過度な同調行動は重要な意見を潰してしまい、チームの損失につながる可能性があります。
良いチームを運営するポイント
スキルや知識、年齢、役職など、さまざまな個性を持ったメンバーで結成されているのがチームです。メンバーそれぞれの個性を活かし、チームとして大きな成果を挙げるためには、押さえておくべきポイントがあります。
ここでは、良いチームを運営するポイントを7つ紹介します。
チームの目的・目標を明示する
良いチームを運営するためには、共有する目的や目標を設定し、メンバー全員にはっきり示すことが重要です。
チームとして目指すゴールが明確となると、全員が同じ方向を向き、計画的な行動がとれます。メンバー同士が協力し合うことで結束力が生まれ、生産性の最大化も期待できます。
チームの目的や目標は、ただ明示するのではなく、メンバー全員が理解し、納得を得られる内容に設定しましょう。
課題を明確にする
チームが目的や目標を達成するためには、どのような課題があるのかも明確にしましょう。
現状の問題点を見つけ、深く掘り下げることで、おのずと解決すべき課題が見えてくるでしょう。互いにサポートし合い、多方面からアプローチできるため、問題解決の迅速化が図れます。
目標までのプロセスを共有させる
チーム一丸となって頑張っていても、そのプロセスが間違っていては、いつまでたっても目標達成は叶いません。成果を出せない状態が続くと、チーム内のモチベーションが低下する恐れがあります。
目標達成は、決して容易ではありません。しかし、適切なプロセスを実行することで、確実に目標に近づくことができます。プロセスを一つ一つ実行することで、目標に近づいているという実感が得られるため、メンバーのモチベーションも維持できるでしょう。
マニュアルを作る
メンバーの経験値や能力はそれぞれ異なるため、同じ作業を行っても成果にムラが生じるのは当然です。しかし、メンバーによって成果に差が出ることは、業務の偏りや属人化につながる可能性があります。
誰が行っても同じ成果を出すためには、マニュアルを作成すると良いでしょう。一定の業務の標準化が図れると、メンバーの能力に関係なく、業務がスムーズに遂行できます。
イレギュラーケースが多い業務についても、大まかなガイドラインを作成することで、業務の統一化が図れます。
コミュニケーションの機会を増やす
良好な人間関係なくしては、良いチーム運営は実現しません。
メンバー同士が相互理解を深めるためにも、コミュニケーションの機会は意識的に増やしましょう。具体的には、食事会や社内リクレーションなどが有効です。
業務に関係のない雑談を通し、互いの共通点が見つかることもあるでしょう。年齢や役職が異なるメンバーでも身近な存在に感じることができ、良好な人間関係を構築できます。
メンバーが業務に集中できる環境作り
メンバーがコア業務に集中できる環境を作ることも、より良いチーム運営につながります。
集中できる環境作りとは、オフィスを清潔にしたり、デスクを適切な位置に配置したりといった、物理的なものだけではありません。
メンバーが集中してコア業務をこなせるよう、チームの役割を明確にしたり、マルチタスクを減らしたりなど、心理的に集中できる環境作りも行いましょう。
適宜情報共有を行う
より良いチーム運営を行うためには、いかに円滑な情報共有ができるかも意識しましょう。とはいえ、情報共有に多くの時間を割いてしまっては、コア業務に支障をきたす恐れがあります。
必要な情報共有を適宜行うためには、必要な情報をオンライン上に集約・一元管理できるツールの導入がおすすめです。情報の更新と確認をリアルタイムで行えるため、効率的な情報共有が行えます。
まとめ
チームとは、共通の目的を達成するために、互いに協力し合い、相互補完しながら作業を行う集団です。
チームには、生産性向上や問題解決の迅速化といったメリットがあります。そのため、ビジネスでは、いかに良いチームを作るかが重要視されています。
より良いチーム運営を行うためにも、目的や課題、プロセスを共有し、コミュニケーションの機会や集中できる環境作りが重要です。情報共有がスムーズに行えるツールも活用しながら、良いチームを目指しましょう。