結果を出す組織を作るために『すべての組織は変えられる』からリーダーがすべきことを学ぼう

現在の企業において「ヒト」とそれによって構成される「組織」の果たす役割はどんどん重要になってきています。その背景には、「商品市場」すなわち、どのように顧客に自社の商品を選んでもらうかを競う場、において「ソフト化」と「短サイクル」が進んでいることがあります。商品がソフト化すると、今までのハード商品を生産する設備ではなく、ソフト商品を生み出す人材が肝心になります。また、商品が短サイクル化ことによって、次々にヒット商品を生み出し続けられるような組織を作ることが大事になります。しかし、世の中の組織はさまざまな問題を抱えており、多くのリーダーが解決策を必要としています。『すべての組織は変えられる』(麻野耕司 著、PHP研究所 刊)は、優れた成果を生み出す妨げになっている組織の「病気」について説明し、「病気」を治すためにリーダーがやるべきことをまとめています。

リーダーに必要なのは、資質ではなくスキル

著者は、10年以上にわたって組織改善に関わってきた経験から、多くの組織が抱えている「病気」を直視してきました。「病気」にかかっている組織では、「仕事のやりがいが感じられない」「組織のめざす方向性が見えない」「上司とうまくいっていない」など、社員が苦しんでいるといいます。では、そのような「病気」を治すためにはどうすればいいのか? それは、リーダーが変わることです。

日本企業では、プレイヤーとして優れた成果をあげた人材がリーダーとして抜擢されることが多いです。しかし、プレイヤーとリーダーでは求められるものが大きく異なります。そのため、リーダーの組織づくりに対する考え方を変えていく必要があります。リーダーとしての能力は、もともと備わった資質によると考えられがちですが、本当に必要なのはリーダーとしてのスキルであり、教育によって身につけることができます。
次の章から、あらゆる組織が抱える「7つの病気」とその解決策を解説していきます。

1. 戦略至上主義という病

インターネットが普及した情報社会においては、すべてのビジネス戦略はすぐに真似されてしまうため、差別化することが難しくなっています。そこで重要になるのが「何をやるか」ではなく「誰がやるか」です。つまり、戦略ではなく組織が差別化要因になります。

リーダーが描いた戦略をメンバーがきちんと実行するためには、一人ひとりの「感情」を考えなくてはなりません。しかし、人の感情は時代とともに複雑になってきています。ひと世代前では、物質的な豊かさが重視されていたため、「報酬」や「昇進」がモチベーションの源泉となりました。一方、物質的な豊かさが当たり前になった昨今では、仕事そのものに意味を求める人が増えてきました。例えば、「仕事にやりがいがあるか」「顧客を喜ばすことができるか」「社会の役に立つのか」など、動機となる要素はさまざまです。

リーダーは、そのような感情を考慮しつつメンバーの行動を促さなくてはなりません。著者は、心理学者のクルト・レヴィンの理論をベースにした「態度変容の3ステップ」を提唱しています。態度変容の3ステップは、「四角い氷を丸い形にするにはどうするか?」を考えます。四角い氷を丸い形にするステップは次の3ステップです。

  1. 解凍:氷を溶かして水にする
  2. 変化:溶かした水を丸い容器に入れる
  3. 再凍結:再び冷やして氷にする

これで丸い氷のできあがりです。

リーダーはしばしば「変化」から入ろうとしますが、これは四角い氷をアイスピックで丸くしようとするようなものです。思い通りに丸くすることは難しく、いささか強引です。そのため、メンバーの行動を変えるためには気持ちを溶かすことから始めるべきです。そこで重要になるのは、「理解と共感」と「感謝と謝罪」です。具体的に先ほどの3ステップに当てはめて考えてみましょう。

  1. 解凍:相互不信を解く、期待感を醸成する
  2. 変化:共感を引き出す、納得感を醸成する
  3. 再凍結:仕組み化する、変化を実感させる

この3ステップを意識してメンバーとコミュニケーションをとることで、リーダーが描いた戦略をメンバーがきちんと実行してくれるようになります。

2. 犯人探しという病

問題を抱えた組織は、問題の原因となる「誰か」を突き止めようとします。しかし、犯人を特定しても組織の問題は解決しません。犯人探しでよくある構図は、「リーダー」対「現場」です。みなさんも思い当たるふしはあると思います。ここで大事なことは、「誰が悪いか?」ではなく、立場や役割の違いに目を向けることです。

犯人探しを止めて、メンバーのモチベーションをどのように高めるかを考えてみましょう。著者は、人のモチベーションを考えるときに4つのタイプを区別することを提唱しています。4つのタイプの違いを表にまとめます。

源泉
キーワード嬉しい言葉
①アタック 達成支配欲求 勝ち負け すごい
②レシーブ 貢献調停欲求 善悪 ありがとう
③フィーリング 感性発散欲求 好き嫌い おもしろい
④シンキング 論理探求欲求 真偽確かに

リーダーは、メンバーのタイプによって話し方を変えるべきです。

自分に合わせてチームを変えようとするのではなく、チームに合わせて自分の動き方を変えていく。それも、リーダーには必須のスキルです。

3. 会議が空回りする病

みなさんは会議についてどのように考えているでしょうか? おそらく多くの人が、ほとんどの会議には意味がないと感じているのではないかと思います。昔は、会議が情報共有の場として機能していました。しかし、インターネットによりパソコンで情報を共有できる現在となっては、そのような目的の会議にはあまり意味がありません。そのため、これからの会議は、参加者全員の知識や経験、アイディアを結集して問題を解決することが必要なのではないかと、著者は指摘しています。そして、会議の役割を次のようにまとめています。

  1. 問題発見:隠れていた問題を、参加者全員で共有する
  2. 施策立案:問題の解決策を、参加者全員で考える
  3. 実行支援:決定事項を着実に実行できるようにする

一つ目の「問題発見」には、メンバーが問題をあげることを歓迎する雰囲気作りをすることが大切です。2つ目の「施策立案」では、リーダーが広い視野でメンバーに解決策をアドバイスします。3つ目の「実行支援」には、決まったことを実行する担当者(誰がやるか)と期限(いつまでにやるか)を決める必要があります。リーダーは、ここであげた会議の3つの役割をメンバーに対してきちんと伝え、共通認識として固めることが求められます。

4. 「最近の若者は……」という病

マネジメントがうまくいっていないリーダーが口にする共通のセリフに、「まったく、いまどきの若者は……」という言葉があります。しかし、「平成生まれの考えることはわからん」、そんなセリフを言ったら負けです。

もし、リーダーが若いメンバーのことを理解できなかったとしてもマネジメントすることはできます。なぜなら、マネジメントは「スキル」だからです。理解できないからといって、マネジメントを放棄するのは、リーダーの怠慢です。また、不平・不満をもらしたところで問題を解決することはできません。

いまの若い人の多くは、「承認されること」を求めています。そうとわかれば、やることは簡単です。承認すればいいのです。そのためには、「ツメる」より「褒める」、「課題」ではなく「期待」を伝えると良いでしょう。若者の世代に共通する気風が自分とは異なっていても、それを的確に読み取ってアプローチの仕方を変えていくことがリーダーには必要です。

5. 「何回同じことをいわせるの?」という病

リーダーが思っていることをメンバーが的確に実行に移してくれる。こんなケースは稀です。そして、リーダーは「何回同じことをいわせるの?」となるわけです。しかし肝に銘じることは、メンバーに理解力がないのではなく、リーダーの人材育成のやり方が間違っていることです。典型的な間違いは、「自分流の押しつけ」です。リーダーは、状況や相手に合わせて指導をしなくてはいけません。

著者は、メンバーを指導する時に次の3点が大事だといいます。

  1. 自分が受けてきたマネジメントを捨てる
  2. シチュエーション(状況)を考える
  3. 経験から学んだことを絶対視しない

リーダーは、これらを念頭に置きながら、メンバーのマネジメントをする必要があります。マネジメントの中でも、メンバーの「間違いを正す」「課題を指摘する」ことは、難しいです。あからさまにメンバーを否定しては、心を閉ざされてしまいます。

そこで重要になるのが「表層」ではなく「深層」にアプローチすることです。つまり、アクションを変えようとするのではなく、アクションの裏にあるスタンスに働きかけるということです。例えば、いつも遅刻をしてくるメンバーがいるとします。そこで「もっと早く来い」とアクションを変えさせようとするのではなく「遅刻をすると信頼を失って、最終的に損するのは自分なんだぞ」とスタンスに訴えかけることが効果的です。

6. ものさし不在という病

企業が、組織・人事の施策に本腰を入れて取り組まない理由とはなんでしょう?それは、組織・人事について効果を測る「ものさし」がないからです。例えば、事業には損益計算書(P/L)、財務には賃貸対照表(B/L)がありますが、組織・人事にはそのようなものがありません。それによって、効果が見えないことには積極的に取り組めない、となります。

一つの解決策は、「従業員満足度調査」を利用することです。著者の所属するリンクアンドモチベーションも従業員満足度調査を実施しています。その中で、重要となる軸は次の4つのようです。

  1. プロフェッション(Profession):好き嫌い
  2. フィロソフィー(Philosophy):目標
  3. ピープル(People):人
  4. プリビレッジ(Privilege):待遇

上記4つの軸を踏まえつつ、従業員満足度調査を実施することで、「ものさし不在」という問題に一石を投じることができるのではないでしょうか。

7. 決断が先送りにされる病

リーダーのもっとも大切な役割は何だと思いますか?それは、「決断」することです。しかし、よくあるケースとして、決断が先送りにされてしまいます。その理由は、リーダーが正解を選ぼうとするからだと、著者は指摘しています。そもそも、ビジネスにおける多くのことは完璧な正解が存在しない場合がほとんどです。著者によると、決断には四つの軸があります。

  1. 組織 ↔︎ 業績
  2. 長期 ↔︎ 短期
  3. 支配 ↔︎ 受容
  4. 論理 ↔︎ 感覚

これら4つの軸の対立する要素は、同時に満たすことが難しいです。そのため、リーダーはどちらに重きをおくか決断しなくてはなりません。決断する上でポイントとなるのは「速さ」と「強さ」です。まず、変化の激しい昨今においては、決断のスピードは命であるため、速さが求められます。また、一度下した決断を、困難な状況に直面しても最後までやり通す、強さも必要です。

決断は、リーダーが一人で決断すべきです。民主的に決めようとすると、責任の押し付け合いになることは火を見るより明らかです。そして、リーダーは決断に対して全責任を負わなくてはなりません。これが、リーダーの役割です。

まとめ:すべての組織は変えられる

あらゆる組織が抱えている「7つの病気」に対して、リーダーはどうするべきかについて、著者の意見をまとめてきました。「病気」を治すためには、リーダーが変わらなければいけません。繰り返し述べますが、マネジメントは資質ではなく、スキルです。リーダーの方は、変わらないことを嘆くのではなく、まずは自分から変えていきましょう。
その際に、この記事が参考になれば幸いです。

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