【7つの習慣】「影響の輪」と「関心の輪」とは?影響の輪に集中するメリットや広げ方を紹介

スティーブン・R・コヴィー氏の著書「7つの習慣」は、多くのビジネスパーソンに影響を与えている大ベストセラー。世界中で読み継がれている、まさに人生の哲学書といえる1冊です。

その中から、今回は「影響の輪」と「関心の輪」について解説します。「影響の輪」と「関心の輪」の考え方を知ることで、主体的に生きるためのヒントが得られるでしょう。

「影響の輪」「関心の輪」とは?

「7つの習慣」では、人生の成功のために身につけるべき原理原則を、以下の第1から第7の習慣に分けて定義し、第1の習慣から順にひとつずつ身につけていくように指南しています。「影響の輪」と「関心の輪」は、この中の「第1の習慣: 主体的である」に登場する言葉です。

第1の習慣: 主体的である
第2の習慣 :終わりを思い描くことから始める
第3の習慣 :最優先事項を優先する
第4の習慣: Win-Winを考える
第5の習慣 :まず理解に徹し、そして理解される
第6の習慣 :シナジーを創り出す
第7の習慣 :刃を研ぐ

私たちは日常、いろいろな出来事に興味関心を持ちながら生活をしています。これら興味関心がある全ての事柄を、コヴィー氏は「関心の輪」と定義しています。
一方「影響の輪」は、関心の輪に入っているもののうち、自分が行動することにより影響を与えたりコントロールできたりする事柄を指します。

「影響の輪」と「関心の輪」の具体例を、以下で紹介していきましょう。

「影響の輪」の具体例

前述のように「影響の輪」は、自分自身が影響を与えたりコントロールできたりするものです。例えば、以下のような事柄が影響の輪に入ります。

・夕食の献立
・健康習慣
・知識の吸収
・挨拶の習慣

今日の夕食は何を食べるか、惣菜を購入するか自炊をするか、和食にするか洋食にするかなど、自分自身で選択することができます。また、休肝日を設ける、野菜多めの食事にする、毎日ジョギングをする、1つ前の駅で下車をして歩いて帰宅する、などこれらは健康維持のために自分自身でコントロールできる事柄です。

資格取得やスキルアップを目指し、勉強を始めたり講演会に参加したりするのも、自分の意思で行うことで結果に影響を与えるでしょう。日々の習慣として、自分から挨拶を心がけることで、周囲から好感を持たれ、コミュニケーションを円滑に進めるきっかけとなるかもしれません。

「関心の輪」の具体例

「関心の輪」は、自分自身が関心を持っている事柄のうち、自分では変えたり影響を与えたりできないものが当てはまります。例えば、以下のような事柄です。

・天候
・世界情勢
・景気
・上長や家族の機嫌

明日の天気や、地震や災害の発生の有無などは、日々過ごす中で気になる事柄ですが、自分自身では変えることはできません。また、他国で起きている戦争被害に心を痛めても、どうすることもできないのが現状です。

世の中の景気の動向も自分ではコントロールができませんし、上長や家族の機嫌など、他人の内面も変えることは難しいでしょう。

「影響の輪」の外にあることと中にあること

前述のように、「影響の輪」は「関心の輪」の中にありますが、ここでは「影響の輪」の外にあることと中にあることの区分けについて、もう少し掘り下げてみましょう。

「影響の輪」の外にある変えられないこと

例えば、仕事でミスをしてしまい、上長から叱責を受けたとします。注意を怠ったことへの後悔で、しばらくはミスをしたことが頭から離れないかもしれません。しかし「あの時こうしていれば」などと思っても、過去に起きたことを変えることはできません。

また、上長がミスをフォローしてくれないどころか、なじるなどの態度をとったとしたら、「何であんな言い方をするのだろう」「フォローしてくれてもいいのに」などと不満を感じるでしょう。しかし上長の態度も変えることはできないのです。

このように、過去の出来事や他人は自分では変えることができないので、「影響の輪」の外に位置します。他にも下図にあるような事柄が、「影響の輪」の外にはあります。

過去の出来事を引きずったり他人の行動が気になったり、「影響の輪」の外にある事柄に意識を傾けていても、解決や状況が変わることはほとんどないでしょう。

それどころか、例えば相手に変わってほしいと要求をしたり、自分をわかって欲しいと訴えたりすることで、相手との関係性が悪化して信頼関係が崩れてしまう可能性さえあります。

「影響の輪」の外にある事柄に意識を集中させていると、時間を無駄に費やし、主体的な行動からは遠ざかるでしょう。

「影響の輪」の中にある変えられること

「影響の輪」の外にある事柄は、過去や他人など自分では変えることができないのに対して、「影響の輪」の中にあるのは、自分自身で変えることができる事柄です。

スキルの向上や知識の吸収、健康維持、日頃の習慣や意識の持ち方など、自分自身の心がけや行動次第で状況を変えることができます。

また、天候などの自分では変えられない事柄に対しても、例えば、「雨予報なので折りたたみ傘を携帯する」「気温が下がるので上着を持参する」など、状況に合わせて自分の行動を変えることはできるでしょう。

「影響の輪」の中にある、自分自身で変えられる事柄に意識を向けていると、仮に結果が上手くいかなかったとしても、何が原因かを前向きに考え、「次はこうしてみよう」「ここを変えたら上手くいくのでは」などと、自らが改善策を考え次の行動へと向かいます

一方、「影響の輪」の外にある事柄にばかり意識を向けている人は、結果が上手くいかなかったことを他人や環境のせいにしてしまい、自分の行動を変えようという意識は働かないでしょう。

「影響の輪」に集中するメリット

主体的に物事に取り組めるようになるには、「関心の輪」よりも「影響の輪」を意識する必要があります。コヴィー氏も、自分の意志や考えをもとに行動するには、「関心の輪」でなく「影響の輪」に集中する必要があると提唱しています。

ここでは「影響の輪」に集中するメリットを考えてみましょう。

主体的に取り組めるようになる

「影響の輪」に集中すると、意識せずとも、自分ではどうすることもできない事柄については考えなくなるでしょう。自分が影響を与えられない事柄にエネルギーを割かなくて済むので、より主体的に行動ができるようになります。

「前回は自分のここがよくなかったから、今度は違う行動をしてみよう」「食事に気をつけて、健康的に過ごそう」などと前向きに考え、物事に対して主体的に取り組めるでしょう。

自分の影響できる範囲が広がる

「影響の輪」に集中し主体的に行動をするようになると、「関心の輪」の中に占める「影響の輪」が徐々に大きくなっていきます

「影響の輪」と「関心の輪」の境目に位置する変化させるのが難しい事柄を、よい方向へ向かうように努力していると、周囲からも主体的に行動しているのが目に見えてわかります。

すると、主体的に行動しているのが評価され、今までよりも大きな仕事を任されるかもしれません。さらに主体的な行動を繰り返すたびに、自分の影響できる範囲の広がりも大きくなっていきます。

「影響の輪」の広げ方

前述のように「影響の輪」に集中すると、自分が影響できる範囲が広がっていき、「影響の輪」も広がります。つまり、自分自身の考え方や生き方、行動の仕方で「影響の輪」は広げられるのです。

私たちの身の回りで起きる問題は、「自分自身に関わること」「相手との関係に関わること」「過去や天候に関わること」の3つに分けることができます。これらの問題に対して、主体的かつ適切に対処すると「影響の輪」は広がっていきます。それぞれの対処方法を解説しましょう。

自分自身に関わること

健康やスキルアップなど自分だけで対処できる問題は、習慣を変えれば解決に近づきます
「バランスのよい食事をこころがける」「エスカレーターを使わず階段を利用する」「1日1時間はスキルアップのための勉強をする」など、自ら主体的に取り組めばよいのです。

相手との関係に関わること

上司や家族・友人など、相手が関係する問題は、相手への向き合い方や自身の態度や言動を変えることを意識しましょう。直接的に相手を変えることはできませんが、接し方や言動により相手から信頼を得ることで、状況に変化があるかもしれません。

過去や天候に関わること

前述のとおり、過去や天候などは変えられないので、問題に対する態度を改めることで対処するしかありません。穏やかな気持ちで、状況を受け入れられるように努めましょう

ビジネスにおける影響の輪の活用する際のポイント

自らが前向きな姿勢で主体的に行動する「影響の輪」は、ビジネスにおいても非常に重要です。前向きな姿勢で業務にあたっていると、周囲からの評価も高まり、信頼を得られるでしょう。

ビジネスの現場では、コーチングツールとしても「影響の輪」が活用されています。
ティーチングのようにメンバーにアドバイスを与えるのではなく、メンバー自身が気づきを得て、主体的に行動できるように促していくのです。

メンバーが環境を変えたいと悩んだり気になったりしていたら、寄り添いながら自己解決できるように導いていきます。相手の能力を信頼していることを伝え、必要な場面でのみ手助けをしながら、コーチングを行いましょう。メンバー自身が気づき、臨機応変に対応していく力を身につけられたら、自己肯定感が高まり、さらに「影響の輪」を広げる努力を行うようになるでしょう。

「影響の輪」に集中することで、周りから主体的に行動できることを評価され、大きなポジションを任される可能性もあります。その経験により、さらに自分が影響を与えられる範囲を増やし、「影響の輪」が広げられるでしょう。

まとめ

「影響の輪」を広げることは、自分の人格を磨くことでもあります。他人や過去を気にすることにエネルギーを費やすのではなく、自分自身を見つめ、「影響の輪」に集中しましょう。

自分で変えられるのは自分自身だけです。「7つの習慣」の第1の習慣でもある、主体的に行動する自立した生き方を体得して、「影響の輪」を広げていきましょう。

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