2018 4月

ゴールデンウィークにしっかり休んで生産性を向上させよう

年度始まりの4月もそろそろ終わりに近づき、日本にゴールデンウィークがやってきます。
今年のゴールデンウィークには、平日が5月1・2日と間にはさまっているので、この2日に休みを取ることができれば、土日休みの職場の場合、4月28日土曜〜6日まで9連休になる人もいることでしょう。例年、渋滞や家族サービスに忙殺されて、ゴールデンウィークを前に憂鬱な気持ちになっている人も、楽しみにしている人も、休みはすべての人に取って大切なものです。
ここでは、休暇の重要性と、休暇に入る前と終わったあとの取り組みについて紹介していきます。

休みを取ることの大切さ

そもそも長期の休暇を指すバカンスとは、フランス語のヴァカンス(仏: vacances)から日本語としても知られることとなりました。
フランスでは、数週間から、子供によっては2ヶ月にわたり、長期休暇を取るのが一般的です。ちなみに、8年程前まで筆者はフランスのメーカの日本支社に勤務していましたが、本社には、やはり長期の休みがありました。本社の休みの前に、毎年依頼すべきことの確認や進行に手間取ったこともありました。

そして、本社が長期休暇をとるために、日本支社もお盆休みには日本の一般企業よりも長めの夏休みを設定されていました(もちろん一ヶ月単位ではありませんでしたが)。そのことを昔からの日本企業や、問屋さんなどに、休みが長いと指摘されたり、からかわれたりしたことを思い出します。そして、当時の私も、休みがうれしい反面、お客さんに対して申し訳なさも感じることもありました。

しかし、8年前から比べると時代はかなり変わりました。「24時間働けますか」というCMが流行ったほどに、モーレツに、悪く言えば生産性を長時間労働で支えてきた日本企業や日本人は、休むことに対してのマイナスイメージや申し訳なさを持ちがちでしたが、いまやそんな感情は必要ありません。長時間労働になりがちな人材や企業は生産性の悪さに敬遠されるようになりました。そして、きっちりと休みを取れるビジネスパーソンは、生産性が高いことを証明する人材であるという認識が生まれてきています。
実際、休みこそ、ビジネスパーソンに必要な生産性や思考、知力、体力などを増やしてくれる大切なものなのです。

しっかり休んで生産性向上

仕事を休むことで、生産性が向上するのか不思議に思う人もいるでしょう。そんな人に、この本を紹介しましょう。『ディープ・ワーク 大事なことに集中する』の著者、カル・ニューポートは、アメリカで、人気のブログ「Study Hacks」を主宰しており、MITで博士号を取得した気鋭のコンピュータ学者でもある彼は、集中して仕事をすることで、生産性が向上することをこの本で記しています。
集中の重要性と同様に、休暇をとることの重要性についても言及しています。

 

ニューポート氏は、「就業時間が終わったら、翌朝まで仕事のことは完全に頭から追い出す」ことが、仕事の生産性、集中力を深めるための戦略に効果的であると記しています(P132)。意識的に頭脳に休息時間を与えることで、無意識的に、複雑な課題をも処理できるようになる、というのです。一時的に仕事から完全に離れると、単に仕事の処理時間が減ってしまいそうと感じますが、そうではなく、むしろ多様な業務に対応できる能力が増強します。そして、毎日の就業時間後に仕事から完全に離れるだけでではなく、自然の中で休息を取ると、さらに集中力が増す(P134)とも記しています。

これは、自然の中で歩いている方が、都会で車や子供、自転車の往来を気にしながら歩くよりも集中力を必要とせず、リラックスできることからも容易に想像できます。自然で休息を取ることは、ゴールデンウィークを過ごすのにふさわしいことです。
フランスのバカンスのように長期のバカンスを取れなくとも、ゴールデンウィークは、自然の中でゆっくり休暇をとってみましょう。

休暇前の取り組み

完全に仕事から離れることを決意したら、本当に休み中にまったく仕事に触れなくてすむように、きっちりと段取りを行ないましょう。
休み中、休み後にすべきことや、進行しているタスクなどを確認しておき、事前に準備をしておくのです。その段取りをしっかりと行うことができれば、休み中もリラックスして過ごす安心材料となります。また、会社と全く同じ休みなのではなく、会社の規定の休みと違う休み方をする場合には、受信したメールには自動返信で何日から休んで、出社はいつかを表示する設定も忘れずに。

もし、緊急に連絡が必要ならば代わりに対応してもらう同僚を決めましょう。同僚には、お互い様の精神を忘れずにし、同僚が休むときのフォローをするなどといった役割分担も行ないましょう。そして、いつもToDoに追われてゆっくり考える時間が足りないと感じている人には、休暇中に考えを深めたい仕事上の問題や、今後の見通しなどを、考えたいことのリストアップをすることもお勧めです。

休暇中にすべきこと

休暇中には、しかかりの仕事、気になっている仕事を休日返上で行なうのではなく、しっかりと休みましょう。いつもしたいと思っているのにできないことを積極的にするのです。自然のなかで、ゆっくり読みたかった本を読む、釣りを楽しむ、また自然に親しまなくとも、シリーズものでずっと見たかったドラマをすべて見る、といった過ごし方もよいかもしれません。仕事から完全に離れた環境で、考えておきたい今後の展開やビジネス上のアイディアをゆっくり考えることもおすすめです。自然のなかや、リラックスした環境でこそ、すばらしいひらめきがうまれるものです。

休暇後の調整

休暇から戻り、仕事を始めたら、非日常から日常に戻る喜びを感じましょう。人は、非日常を知ることで、日々の暮らしの尊さを感じるものです。そして、休暇中に得た英気を有効に使って、仕事に邁進していきましょう。休暇中に仕事への熟考を行ない、それががうまくいってさまざまなアイディアを手に入れられた人は、それを日々の仕事に反映させていきましょう。

休暇中にフォローをしてくれた同僚に、仕事内容の引き継ぎとあわせて、感謝も忘れずに。ランチをごちそうしてもいいかもしれませんね。きちんと休暇を得るために、同僚との良い関係構築を忘れずにしておくことも大事なことでしょう。家族や親しい人との良い休暇を過ごせる人は、同僚と良いコミュニケーションも取れるはずです。

休暇の予定を事前に決めて置く

そして最後に、休暇を取るために一番大事なことを紹介しましょう。それは、休みの予定を決めることです。例えば、仕事が一段落してから、休みを取ろうとしてしまうと、決して長めの休暇や希望通りの休みをとることはできません。きちんと、年間スケジュールを見渡してから、このタイミングならば、という日程で休みの予定を組み込んでしまうのです。望み通りの休暇を過ごすために、馬の目の前にニンジンをぶら下げる、とまでは言いませんが、休暇をご褒美にして、仕事を期日までに済ませるようにできるものです。

これまで、ゴールデンウィークのような長めの休みには、予定もたてずに日頃の疲れを取るために寝てばかり、という人がいれば、今後はぜひ、休みのかなり前から自分のしたいことをできるように予定して、きっちりと休みを取ってみてください。なんとなく、もやもやとしていた気分に、メリハリが生まれること請け合いです。

≫Next… 効率アップ!仕事がデキる人のスケジュール管理術

GWをしっかり休むために

もうゴールデンウィーク目前で、人気の旅行先はなかなか予約が難しいかもしれません。
人気の旅行先でなくとも、豊かな自然に触れて、リラックスできる場所を探して、仕事から完全に離れてゆったりとした休暇を過ごしてみましょう。家族や子供がいる人は、家族の仲も良くなるでしょうし、大切な思い出も増えることでしょう。家族がいない人も、望み通りの休暇を取ったあとには、仕事への前向きな気持ちや変化が生じ、仕事で感じていた問題への解決策やアイディアの糸口が見えてくるのではないでしょうか。
休み明けの生産性向上をめざして、仕事から離れた休暇を積極的に楽しんでみてくださいね。

烏合の衆をまとめ上げるリーダーシップ (3) 連載第8回

~新メンバーを迎え入れるにあたって – リーダーに求められる気配り 目配り 思いやり~

前回、ブルックスの法則(人月の神話)の例を用いて「同じスキルをもったメンバーを追加するよりも、先にリーダーを招聘すべき」と書きましたが、そうは言ってもメンバー本人のモチベーションやスキルが理由でメンバーを交代したり追加したりするケースもあるでしょう。今回はこうしたケースにおいて、チームリーダーがどう振る舞うべきかについていくつか論じてみたいと思います。

デスマーチが発生しているプロジェクトに新メンバーを迎えるにあたって

メンバー追加時に行なう、新メンバーへの申し送り事項

新メンバーを迎え入れるにあたり、まずリーダーは、招聘理由を正直に伝えましょう。ある程度の火消し戦歴を持つメンバーであれば素直に「鎮火お願いします」というオーダーでいろいろ察してもらえるかとは思いますが、今後チームとして取るリカバリプランを示しながら申し送りをすることで、立ち上がりが早くなります。リカバリプランについて新メンバーから質問や指摘事項があったとしても、ベテランのそれは貴重な戦訓ですので、耳を傾ける価値があるでしょう。

一方、そこまでデスマーチ経験のないエンジニアを迎え入れる場合、申し送り事項の再優先事項は「メンバーを萎縮させない」ことです。決して「ここで耐え抜いたらどこでもやっていける」「貴重な○○を習得する機会」などのように、事実を覆い隠したり事実と異なったりするようなことを言ってはいけません。

正直に「今プロジェクトが炎上中であり、メンバーを追加して遅れをリカバリしたい」を伝えるのはもちろん必要ですが、「これは、いままでのやり方が悪くて遅延したと見込んでいる」「今回からやり方を変えてプロジェクトをすすめる」「いままで高稼働だったメンバーも強制的に定時または定時後1時間程度で帰宅させる」などの対策もセットにして現状を説明し、「普段どおりのスキルを発揮してくれればよいし、既存メンバーに遠慮してつきあい残業をする必要もない」ことも合わせて伝えましょう。

新メンバーを迎え入れたことを既存メンバーに周知する

リーダーは、デスマーチが発生しているプロジェクトに新メンバーを迎え入れた際、既存メンバーへ新メンバーを紹介します。このときに絶対気をつけなければならないことは以下の3つです。

•新メンバーが銀の弾丸を持っていると思わせてはいけない
•既存メンバーの士気が下がっているときは、新メンバーが染まらないように最大限の注意をはらう
•比較的精神が安定しているメンバーを新メンバーのメンターにすること

1番目についてですが、エンジニアどうしであまり起こり得ることはないのではと思うのですけれども、既存メンバーが新メンバーを勝手に期待して勝手に失望してしまうことを厳に警戒します。チームの体制がお客様に見えている場合においては特に、過度な期待は本人にとってプレッシャーとしかならず、却って本領を発揮できなくなる場合もありますので要注意です。

2番目ですが、これはもうチームのモラル、常識、治安の問題です。ですので、リーダーは、新メンバーを迎え入れる前に、既存メンバーの士気を俯瞰的に見ておきましょう。もし、ネガティブな考えに引き入れようとする既存メンバーがいると非常によろしくないので、できるだけ彼らに染まらないよう配慮する必要があります。

こうした、本来業務で気にしなくてよいはずのプレッシャーと誘惑から新メンバーを守るのが3番目です。リーダー自らがいつも新メンバーに張り付いてメンターになるわけにもいかないので、既存メンバーから現実的な考えができ、比較的精神が安定しているメンバーを、新メンバーのメンターにするとよいでしょう。

どうして新メンバーが銀の弾丸を持っていると思わせてはいけないのか

例えば、デスマーチが発生しているプロジェクトに追加メンバーをアサインする際、大抵においてこれまで以上に、プロジェクトが求めるスキルセットにマッチしているかを重要視するでしょう。この前提において、チーム内外からは自ずと新メンバーへの期待が高まるはずです。

しかし、着任する新メンバーのスキルやモチベーションがどうあれ、既存メンバーへの過度の期待は、本人へのプレッシャーになるばかりか、場合によっては既存メンバーのモチベーションが下がることにもなりかねません。

新メンバーに対する期待が、彼の実力に伴うものであればよいのですが、極限状態や膠着状態において人は「勝手に期待して勝手に失望」しがちです。また、本来仕組みや交渉で解決しなければいけない課題を個人へ押し付けるようなことは、チームとして言語道断です。

こうした理由から、新メンバーへの過度の期待を抑止すべきなので、リーダーは新メンバーが銀の弾丸を持ってやってきたと既存メンバーへ思わせないよう、配慮が必要なのです。また、こうした配慮は、新メンバー本人ではなく、リーダーの責任において行われるべきです。あくまで新メンバーは、本来やるべきタスクに集中してもらい、コードを実装する以外の面倒ごとはリーダーが巻き取りましょう。
リーダーは、既存メンバーに対してもそうなのですが、特に新しく迎え入れたメンバーに対する期待値のコントロールは細心の注意を払うべきです。

既存メンバーの士気低下に新メンバーを染まらせない

炎上中のプロジェクトに新メンバーを迎え入れるにあたり、もっとも警戒しなければいけないのは、既存メンバーの士気低下に新メンバーを染まらせないことです。特に、既存メンバーのパフォーマンスが悪いことによるメンバー交代を行なう場合は尚の事です。

新メンバーが既存メンバーから業務の引き継ぎなどを受けているときに、顧客やプロジェクト、会社や上司、リーダーについてネガティブな話を振られるかも知れません。こうしたケースすべてを防ぐことは難しいのですが、しつこいようであればメンターに相談するような仕組みを作っておくことをおすすめします。

デスマーチが発生しているプロジェクトにおけるメンターに期待される役割

デスマーチが進行中のプロジェクトにおいて、メンターの役割は非常に重要で、いわばチームの衛生兵といった役割が期待されます。メンターとしてのスキルにフォーカスしたテーマは、いずれ深掘りし整理した上で取り上げてみたいと思いますが、今回はデスマーチ中という観点からいくつかピックアップしてみたいと思います。

メンバーの健康状態観察

まず普段から、メンバーの健康状態を観察しましょう。挨拶や執務中、休憩時の会話などから、メンバーの疲労度を推し量ります。ただし、ストレートに「疲れてる?」と聞いても正直に答えてくれるとは限らないので、見た感じ疲れていそうか、以前より疲労の色を見せていないかなどを観察しましょう。

ほかにも、今までミスのない仕事をしていたメンバーのミスが増えたなどのような兆候があるかを観察することで、負荷の少ないタスクへコンバートしたりすることができるようになります。ただし、ここでも気をつけたいのは、減点法の人事評価に繋げないことです。あくまで、メンバーの疲労度から適切にタスクを割り当てることが目的です。

メンバーの相談窓口

メンバーはデスマーチの日常において、少なからず多方面への不満や不安を抱えているものです。中には、リーダーに直接言いにくいこともあるでしょう。こうした場合にメンターはメンバーの相談窓口として機能することで、多少なりとも言いにくいことを角の立たない形でリーダーへエスカレーションすることができます。

また、先ほども述べたように、既存メンバーが新規メンバーへあらゆるネガティブな情報を吹き込むということは、仮にそれが事実であったとしても、何ら生産性に寄与しない上に、新メンバーの負荷にも繋がりかねません。ありていに言えば、こうした行為は「当たり散らす」のと何ら変わりはなく、プロとして、大人として大変に恥ずかしい行為だと言わざるを得ません。

私は、ボトムアップアプローチで何かしらの問題解決をチームへ求める際、必ずしも改善案込みの要望である必要はなく、メンターに愚痴をこぼすのはありだと思っています。むしろこうしたコミュニケーションがなく、改善か退職かという二元論というのも、いろいろな意味で勿体無いのではないでしょうか。

まとめ

•デスマーチが発生しているプロジェクトに新メンバーを招聘する際は、招聘理由を正直に伝えるとともに、単なる要員追加ではなくチームとして現状を良くしていくということもセットで伝えること。
•デスマーチが発生しているプロジェクトに新メンバーを迎え入れた際、新メンバーに過度の期待を抱かせないよう気を配ること。
•既存メンバーの士気低下に新メンバーを巻き込まないよう最大限目を配ること。
•デスマーチが発生しているプロジェクトにおいて、メンターの役割は非常に重要である。

5月病は大丈夫?「組織」とは「会社」とは何かを改めて考えてみる

ほんの少し前に桜吹雪に立ち会ったかと思っていると、はやGW直前。新緑の匂いがあちらこちらで漂うこの頃です。この季節は「木の芽どき」と呼ばれます。1年を通してもっとも気持ちが浮き立つのだと考える人も多いでしょう。
一方で、4月から新しい環境へと変わった人たちがいわゆる「5月病」と呼ばれる「不安」を抱えることも少なくありません。

「5月病」とは何かと言うと、新しい環境に変わってしばらくすると新入社員や新入生を中心に、「やる気が出ない」「気分が沈みがちになる」という傾向が見られる状態を示すもので、そもそもある疾病の名称ではありません。

そもそもこんなはずじゃなかった、という感情はおそらく誰もが経験すること。新しい環境へと勇んで飛び込んだものの、思っていた活躍ができない、想像していたよりも劣る環境に不満だ募る、、、など。あなたも過去に経験したことがあるでしょう。

とりわけ、人間関係の変化は個人が想像するよりも心身への影響が大きい、と最近では医学的にも説明されるようになっています。「うつ病」をはじめ精神疾患の医学的な進化は、近年目を見張るものがあります。

「5月病」で気分が落ち込んでしまって、一時的にうつ状態になってしまうこともあるようです。その多くはそのうちに治ってしまうことが多いため、うつ状態でも必ずしも病気とは言えないのだということです。

さて、前置きが長くなりましたが、今回は多くの新社会人にとっての「新しい環境」となった「会社」というものに焦点を絞ってみました。

あなたは、そもそも「会社」とはなにか、きちんと説明ができますか?

いま世の中にある「会社」の期限を遡れば、中世の大航海時代に至ります。
自分の持っているもので参加して富を手に入れることと、損が発生する時の危険分散(リスクヘッジ)が、まさにこの時に始まりました。

少し、「歴史」の勉強を始めましょう。

ヨーロッパから世界中の香料や宝財を求めての「大航海」へ

コロンブスのアメリカ発見(1492年)、ヴァスコダ・ガマのインド航路発見(1498年)、マゼランの世界一周(1519~1522)。

この当時の外国貿易は、「前人未到」の大西洋や東インド洋に乗り出すものなわけで、それは生命身体に危険を及ぼしかねず、失敗したら何もかも失うかもしれない、まさに命をかけた「賭け」でした。非常に魅力的な事業には感じられても、この危険な事業に自ら出て行こうとする勇気を持つことは簡単ではなかったのです。儲けたいけれども危険は避けたい。そこで、「金はあるが自らは危険な目にあいたくない」人たちと「金はないが度胸と勇気がある」人たちを結びつけることが考えられました。
つまり、「賭け」に伴う危険と資本の冒険を同時に緩和する方法として考え出されたわけですが、これをジョイント・ストック・カンパニー(Joint Stock Company 株式会社)と呼びます。株式会社の誕生です。
※ ジョイントは共同を、ストックは商品・在庫を、カンパニーは組合・会社を表す。
 

「わが国の『会社』というテクニカル・タームは、福沢諭吉が造語したイギリスの『カンパニー』(Company)の訳語である。ところが、カンパニーというタームはラテン語の『共に』を意味する『クム』と『パン』を意味する『パニス』とから造語されたということであり、『共にパンを食べる』という語義から『会社』という意味に転じたもののようである。つまり、食事を一緒にするということは、仕事の相談をする仲間ということにもなり、ついには、共同で仕事をすること自体までも意味するようになったわけである。
 したがって、『カンパニー』とは本来共同事業形態を指すものであったが、いつのまにか、共同事業を遂行する法的組織形態たる『会社』を意味するまでになったのである。このことは、会社という共同事業形態を理解するに際して、さまざまなヒントを提供する。すなわち、第一に、会社とは本来人間の共同事業組織であること、第二に、共同事業組織のうちでも、パートナーシップ(組合)とは異なり、特に『会社』とよばれる共同事業形態であること、第三に、カンパニーの本来的語義は『仲間』ということであるが、それは団体的な一体性を意味すること、等々である。フランス語のソシエテ(societe)やドイツ語のゲゼルシャフト(Gesellschaft)もほぼこれに近い語義をもつものである。
 他方、アメリカでは、株式会社を意味するタームとして、コーポレーション(corporation)が用いられることにも注目しておきたい。このタームは、人格ないし団体を意味するラテン語のコルプスを語源とし、イギリス法において次第に法人を意味するものに転化したが、その含意は『永続的承継』(パーペチュアル・サクセッション)である。つまり、コーポレーションとは、やや誇張した表現を用うれば、『永遠の生命をもつ人』なのである。
 こうしてみると、日本語の『会社』という語感からは、せいぜいのところ、『団体性』を読みとることができるにすぎないが、原語をみると、そこには『継続性』という意味がこめられていることに気がつく。それが『法人』という観念を生み出したのである」

(1994 日本評論社 奥島孝康「会社法の基礎~事件に学ぶ会社法入門」)

もう少し詳しく株式会社の誕生を振り返ってみましょう

会社とは、お金儲けのために、多くの人が自分の持っているものを出し合い協力し合うとともに、万が一の場合の危険負担を分散する人の集まりである、と説明できます。

中世、ヨーロッパからは毛織物などを船に積んでアジアに向かい、目的地アジアにおいて香辛料や絹、金銀などと交換して帰りました。目的地にはないものを持っていきその地には豊富にあるが自国にはないものと交換したため、無事帰国すれば膨大な利益を得ることができました。
しかしながら、それは計画通りに目的地に着き無事に帰国できる保証はまったくなく、命がけの商売。「サンタマリア号」でアメリカを発見したコロンブスも、その一人にすぎません。

現在の会社で言う「ステークホルダー」はどういう人達がいたのか、と言うと、

船主(現在の会社で例えると、創立者一族)

当時の国王や領主たちは、その富を利用し船を建造しオーナーとなりました。当然、彼らは生きて帰れる保証もないような航海に出るという大きな危険を冒しません。

船長・航海士(現在の会社で例えると、経営者)

言わば、その時代の知識層です。星を見て方角が判断でき、季節の違いで潮や風の方向が分かり、異国でも言葉の壁を超えてコミュニケーションができること。航海には不可欠な船を操る技術や知識、そしてなにより船員を統率できるリーダーシップが必要でした。

船員(現在の会社で例えると、社員)

船長や航海士ほどの知識や能力は持っていませんが、大海原に出て行く勇気や度胸があり、航海士の指示のもとで船を操ることができる。航海の目的を達成するには不可欠な人々。

一般市民(例えると、株主)

船を造る資金はなく、船長のような知識もなく、さらに船員のなる勇気もない一般の平凡な市民。彼らの中には、異国からの珍品を期待しつつ、なけなしのお金で、布製品やろうそくなどの日用品を用意し、船長に託す人たちがいたわけです。

そのようにして、インドなどアジアをめざした船団は、目的地で香辛料や絹織物などの貴重品や珍品を積み込み、何カ月、時には何年もかけ帰国しました。その後は、出港前に交わした契約に沿って、「戦利品」を分配したわけです。

人間の欲望にはキリがありません。「大航海」は無事帰国すれば莫大な利益をもたらしますが、命がけです。船を10隻仕立てて出発しても、無事帰国するのは1隻か2隻だったそうです。つまり、帰れないことのほうが多い。
そこで、もっと安全で確実で、しかも儲けの多い方法はないものかと考えます。すると、航海術が進歩しました。造船技術も進み、船も大きく安全率が高いものになっていきました。となれば、一般市民も乗船できるようになります。

そのタイミングで、手を上げたのは宣教師たちです。「野蛮人に神の教えを…」と。それが、「未開の土地」を植民地にすることの有益さを発見することとなりました。そうすると、いかに効率よく安価に、その運営をするかが課題となります。
1601年、植民地運営と交易を目的として最初の株式会社が誕生しました。オランダの「東インド会社」です。この会社は軍隊も持っていました。「東インド会社」、授業で習った覚えがありますね。

このようにして、「会社」は誕生しました。

日本では、坂本龍馬の「亀山社中」

(http://www.mapfan.com/)

日本では、1865年、坂本龍馬が中心となって創設した「亀山社中」が最初の会社の原型、と言われています。亀山社中の目的は薩摩・長州両藩の物資の調達と運搬でしたが、将来的には上海などの外国との交易を目標としていたようです。
なお、「亀山」とは長崎にある亀山という地名、「社中」とは同じ目的をもった仲間という意味で、現在でも伝統芸能などを伝承しているグループで「○○社中」という名前を見かけます。

日本最初の株式会社は、1873年に渋沢栄一が中心となって設立された第一銀行です。

渋沢栄一(1840-1931)は、現在の埼玉県出身。幕末にフランス留学。日本の資本主義の黎明期である明治時代に、実業界で活躍。多くの会社を興し「実業界の父」とも呼ばれています。また教育、社会事業にも尽力した人物です。現在は名称も事業内容も大きく変化していますが、彼が設立にかかわった会社や学校などは数えきれないほどです。彼の業績を振り返れば、日本の資本主義の歴史が理解できます。

今回は、株式会社の誕生を追いかけてみました。
次回は、では「会社」の役割ってなんだろう? ということを深掘っていきたいと思います。

プロジェクトマネージャーに必須な7つのソフトスキルとは?

プロジェクトを円滑に進めていくためにはさまざまなことが必要となってきます。中でもプロジェクトを管理するプロジェクマネージャーは予算の管理、スケジュールの管理、リスク管理など管理するものがたくさんあります。
また、人間関係やコミュニケーションなどといったソフトスキルも必要になってきます。今回は、人間関係を改善すべく、またプロジェクトマネージャーが円滑にプロジェクト進めるために必要なソフトスキルについて紹介していきます。

ソフトスキルについて

まずはソフトスキルとは何かについて説明をしていきます。
ビジネスで必要なスキルは主に2種類と言われていて、ハードスキルとソフトスキルに分けることができます。

ハードスキル

まずハードスキルは、プログラミング能力やデザインをする知識、文章力など持っていると活用でき、お金を生み出すことができるようなものがハードスキルと言えます。ハードスキルを磨くためには、プログラミングを例にとって説明をすると、知識をつけてから、実際に何かを作ってみることでつけることが一番効率のいい方法です。また取得までに時間がかなりかかりますが、一度自分のものになってしまえば、その後もずっと活用することは可能です。

ソフトスキル

一方ソフトスキルとは、ヒューマンスキルと言われるように、コミュニケーション能力やリーダーシップ能力など人間関係にあたるスキルは基本的にソフトスキルと言えます。ビジネスだけではなく、普段の生活にも必要なスキルと言えます。ソフトスキルを磨くためには、とにかく経験を積むことです。ソフトスキルは知識ではなく自分に染みついた能力なので、自ら主体的に人と関わるような行動をとることが必要です。

どちらが大事?

結論から言ってしまうとどちらも大事なので、どちらも持ち合わせていた方が理想的です。
ハードスキルだけを極めた場合、エンジニアを例にとって説明をすると、コードを書くこともホームページをデザインすることもできるが、ソフトスキルがあまりないということで、自分のスキルを有効活用できなかったり、人と協力して何かするということが難しくなります。
一方、ソフトスキルに偏った場合、デザインをしたことがないのにもかかわらずデザイナーを雇ったりと、どれくらいのスキルを持ち合わせているのか判断できなくなる上、無理難題を押し付けてしまう可能性もあります。なので極端にどちらかのスキルをつけようとするのではなく、両方バランスよくつけていくことが大事だといえますね。

プロジェクトマネージャのための7つのソフトスキル

ここからはプロジェクトマネージャーに必要不可欠な7つのソフトスキルについてご紹介します。

リーダーシップ

もちろんチームを管理する、引っ張ってくという上でマネージャーに求められるのはリーダーシップです。チームの特徴をつかむ・目標を決める以外にも、チームメンバーにタスクを振り分けるなどリーダーとして率先的な行動が必要になります。メンバーを引っ張っていき、いいチームを作り上げましょう。

動機付け

プロジェクトマネージャーとして必須なスキルで、他者の動機付けを行ないます。動機付けを行なうことで、他者のモチベーションUPにつながり、仕事の効率化やチーム自体の活性化を図ることができます。

コミュニケーション

コミュニケーションが円滑に取れないと、プロジェクトの方針などにズレが生じる場合がある。またコミュニケーションを上手くとることができれば、チームのメンバーからの信頼にもつながることになるので、積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。
関連記事としてはコチラ!https://teamhackers.io/ideal-team-illusion02

コンフリクトマネジメント

コンフリクトマネジメントとは、職場で発生する衝突や対立を、組織の成長や問題解決に繋げていこうとする取り組みです。衝突や対立を上手く処理することで、職場での満足度、コミュニケーションの活性化を図ることができ、プロジェクト、チームもいい方向に進んでいくでしょう。

トラストビルディング

チームの信頼がない状態では、プロジェクトを期日通りに終わらすことが難しくなるでしょう。チームの信頼を得ることが、プロジェクト成功へのカギだといえるので、信頼を得れるような行動、心構えを常に意識しましょう。

意思決定

通常の仕事や緊急の場合にも意思決定は必要なものです。意思決定があいまいな場合、プロジェクトの方向性決めやチームにも迷惑が掛かってしまうことが多くなります。一方、決断がはっきりしている人であれば、チームの信頼を得ることができ、効率よく仕事を進めることも可能になります。

組織

組織にとってはプロジェクトがどれくらい進んでいるのか、利益をもたらしているかなど毎度確認するのはとても手間がかかります。なので一人プロジェクトをまとめる人がいれば、そういった情報を聞くことが出来る上、責任の有無もはっきりしているので、組織としてはいいことづくめだと言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。プロジェクトを上手くすすめるためにはこのような7つのソフトスキルが必要になってくるといえます。7つのソフトスキルを始めから持ち合わせている人はなかなかいないので、スキルを獲得するためにも積極的にプロジェクトマネジメントの補佐役を務めたり、人とのコミュニケーションを積極的に取るようにしましょう。ツールを使って、管理しやすくするのも大事です。プロジェクト管理ツールについては(https://teamhackers.io/project-management-app-2018)を参考にしてみてください。
また、ソフトスキル、ハードスキルはエンジニア、営業のひとだけではなく、ビジネスにおいて万人に必要なスキルと言えます。どちらかに偏るのではなく、どちらも持つようにすることで、自分の価値の向上につなげていけるようにしましょう。

車好きじゃなくても、アニメ好きじゃなくても、映画「カーズ」からチームビルディングの成功法則を知る

ピクサー製作の『カーズ』は2006年に公開されたアニメーション映画です。2011年には続編『カーズ2』、2017年には3作目『カーズ/クロスロード』が公開されている人気シリーズでもあります。
男の子のお子さんがいらっしゃる親御さんは、見たことがある方も多いアニメではないでしょうか。そうでなくとも、おもちゃ売り場にずらっと並んでいるミニカー、トミカのなかに、車のフロントガラスに顔を書いて擬人化した『カーズ』のキャラクターのミニカーに触れたことがあるかもしれません。
この映画は、子供向けのアニメーションではありますが、仕事をする上でのチームの意義、チームビルディングの重要性を読み取ることもできる作品になっています。
ここでは、映画「カーズ」に見るチームビルディングへの成功法則を紹介していきます。

「カーズ」あらすじ

主人公、ライトニング・マックィーンは、最高峰のカーレース、ピストンカップで活躍する新人。史上初の新人初優勝をめざしています。これまで支えてくれたサビ止めのメーカーであるスポンサーに恩義があるにもかかわらず、自分自身が車のサビが嫌いなことから、ピストンカップでの優勝を叶えて新しいスポンサーをつけることを夢見ています。自分が勝つためにはどんな行動も辞さず、自分以外は一切信用しないタイプ。次のレースのために、移動用のトレーラーをむりやり休みなく運転させた結果、トレーラーは居眠り運転し、中で眠っていたマックィーンを夜のハイウェイに落としてしまいます。レーシングカーのマックィーンには、ヘッドライトがなかったためラジエータースプリングスというさびれた街に迷いこんでしまうことから、この映画のストーリーが始まります。彼はさびれたこの田舎町での出会いを通じて、友情や、車として走ることの純粋な喜び、愛、そして仲間とのチームワークを知り、ひとまわり大きくなってカリフォルニアでのレースに望むことになります。結局、そのレースでは勝利をしないのですが、以前から熱望していた憧れのチームとの契約をチームオーナーから持ちかけられることになります。
以前の彼ならば、すぐにでも契約をするはずでしたが、友情とは何かを知り、仲間を得たマックィーンは変化していました。以前からのスポンサーに忠誠を尽くし、新たなスポンサーを断り、代わりに初めて出来た親友の願いをスポンサーに叶えてもらうのでした。

この小さな日本に、世界に通用する車メーカーが、トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・スバル・三菱・スズキ等、これだけ存在していることは特筆すべき事実です。
日本は、車とその産業にこれまで大きな恩恵や影響を受けてきたわけですが、一方で、特に若者の間で車離れが問題になっています。地方在住であれば、車は生活と切っても切り離せないツールですが、電車や地下鉄網が張り巡らされた主要都市部では、数分おきに電車に乗れ、決まった時間に目的地に着くことができるため、車での移動よりも便利な場合があることは否めません。その他にも、車を所有する維持費や、特に都心部では駐車にかかるコストも高くつくことから、車を持たないという選択をする人が増えてきているわけです。そして、日本においては、乗用車のみならず、レースなどのモータースポーツへの人々の興味の低下は続いています。

例えば、かつてはホンダの活躍により人気を極めたF1(フォーミュラ1)は、いまやそのレースの模様は地上派で見られず、ケーブルテレビチャンネルのみで放送される、コアなファンしか見ることのできないスポーツになってきています。2017年にも、元F1レーサーである佐藤琢磨氏が、世界最速のカーレースであるアメリカのインディ500で日本人として初めて(アジア人としても初めて)優勝を果たしましたが、世界的に見れば大変名誉なことであるにもかかわらず、日本での報道や影響はその功績に反して、非常に小さなバランスであったように感じられました。

環境への悪影響という懸念もあり、環境に意識が高い日本人は車離れや、モータースポーツへの理解も興味も薄くなって久しいですが、しかしその一方で、車を運転することでの利便性や、ライフスタイルへの影響は、いまもなお無視できるものではありません。

一人では仕事ができないことを理解する

この映画『カーズ』は、自己中心的な若者の心の変化の物語でもあります。能力の高さから、周囲を信じず、自分だけの力ですべてを手に入れようとするマックィーン。彼は自分自身の能力に自信を持っているため、傲慢さも合わせ持ち、周囲からの協力の必要性も理解していません。映画冒頭のレースでは、ピットクルーの忠告を無視してタイヤをオーバーロードさせ、結果バーストしていまいます。タイヤを普通に交換していれば勝てたレースをふいにしたのはピットクルーの忠告を無視し続けたマックィーンのせいですが、それを決して認めません。あげくの果てにクルーをクビにしてしまいます。

マックィーンのその姿に、仕事は一人でもできると思っている傲慢な人材を思い浮かべられないでしょうか。または、以前の自分に、自己中心的な姿を投影できる人もいるかもしれません。仕事は自分一人でできると思っていることは誤りであり、チームや相手あってこそうまく成り立つと理解できるようになるまでに、そのタイミングが来るのを待つしかありません。例えば、自信満々で一人で進めていた仕事が失敗するとか、相手がないと成り立たない事実に自分で気づくとか、取り返しのつかない重大なミスをしてから気づくことができた、という人もいるかもしれません。人は、何かきっかけがあって初めて、一人では何も出来ないという事実に向き合うことができるのです。

自分勝手で自己中心的な若者と対峙したときにとるべき対応とは?

マックィーンは、ラジエータースプリングスに真夜中に迷い込んだため、気づかないうちに道路をでこぼこにしてしまっていました。街の医者兼判事であるドック・ハドソンに道路の舗装を強制されることになってしまいます。しぶしぶ道を補修するマックィーンでしたが、レーシングカーという自負とプライドから、舗装をまじめにやらず、道は以前よりもでこぼこになってしまいます。

そのためマックィーンは、怒った住民とドックから、ドックとのレースに勝てば、舗装は無しで街から出て行ってよいと言われ、レースをするはめに。しかし、いつものレースのような綺麗な道路ではなく、ダートでのレースであったこともあり、マックィーンは負けてしまい、道路を再度舗装させられることになりました。舗装していくうちに、周りの住民と友情や親睦を深めるマックィーン。ラジエータースプリングスの美しい自然の景色にも癒されながら、いちレースカーとしての自分にあった、本当の自然な自分の姿(車)としての自分を取り戻していきます。

才能のあまり、傲慢な若者であったマックィーンに、まじめに問題に対処させるように行動したドック・ハドソン。彼も実は以前3回ピストンカップに優勝歴のある伝説のレーサーであったというのはいかにも映画の筋書き的ではありますが、マックィーンの態度を軟化させる行動に踏み込めたのは、さすがに同じ経験を持つものの経験の賜物でしょうか。

ビジネス上でも、この映画と同じような状況に対峙するときがあるかもしれません。そのときに、真剣さと本気度をもって物事を伝えること、そして条件を提示して行動を即すことの重要さと問題解決への鍵をこの場面から汲み取ることができるのではないでしょうか。

評価/感謝を忘れない

どんな相手であっても、相手の行動に対しての評価を忘れてはなりません。マックィーンは、ドックとのダートレースに負けたため、きれいな道路舗装をすることを約束し、それを守りました。さびれていた街には、久しぶりにきれいな道路が広がることになりました。つるつるできれいな道のドライブを楽しむラジエータースプリングスの住民たち。それを見て、マックィーンも、嬉しい気持ちになっていきます。

もしここで、きれいな道路に直してくれたマックィーンはよそ者だから、と住民が喜ばないでいたら、マックィーンもがっかりし、すぐに街を出ていったことでしょう。しかし、よそ者であった若者のしてくれたことを心から喜び、評価してくれる街の人々のおおらかさと心に喜びと親しみに触れたマックィーンは、さびれてしまった街の人の心の寂しさをくみとり、様々な行動でそれを解消しようとしていきます。その姿は、清々しさやうれしさを感じるシーンです。

人は、評価を得られたときに、喜びや感謝、やりがいを感じる生き物でもあります。もし、職場において、評価しづらい相手、あるいはしたくない相手が評価すべきことを成し遂げたら、あなたはどうしますか?

周囲や状況を理解する力

ラジエータースプリングスに滞在するうちに本来の自分を取り戻したマックィーンが、街の人たちへの感謝を示すかのように、さまざまな行動をしていくシーンは、非常に印象的です。タイヤ屋さん、オーガニック燃料屋さん、どの店も、ほとんど客が来ないままに、長い年月を重ねてきたお店ばかり。そしてラジエータースプリングスという街にとっても、マックィーンは新しいお客さんのように、喜ぶべき客であったのです。マックィーンは、お店の特色や希望を理解し、彼らが喜ぶオーダーをすすめていきます。それによって、お店の店員、そして周囲の住民にも喜びを広げていくことになるのでした。ラジエータースプリングスの住民の素朴な優しさと、オープンマインドに触れたマックィーンは、これまで自分が競争社会にどっぷりと浸かるあまりに、忘れてしまっていた、他人を思いやること、他人のために何かをすることの意義を思い出し、理解できるようになっていたのです。

日々仕事をしていくうちに、ビジネスでの競争や都会に溺れてしまい、いつの間に大切なことを忘れてしまっていた自分に気づくことがあるかもしれません。社会人になりたての頃に持っていた夢、大切にしていたモットーなどはなかったでしょうか。例えば、このマックィーンのように、いつもいる状況と違う場所に自分を置いてみて、自分を客観的に観察してみましょう。客観性は、周囲や状況を理解することに役に立ちます。これまでがむしゃらに働いてきた自分が、本来の自分とかけ離れてしまっていないか確認したり、チームで働いている場合には、自分の立ち位置や方向性が間違っていないかを判断してみましょう。

若者対年長者

マックィーンは、常にドック・ハドソン=伝説のレーサー、ハドソン・ホーネットから「坊や」と呼ばれます。
いつの時代でも、どんな状況でも、私たちは、年齢の壁をお互いに意識してしまうものです。

3月に2018年シーズンの幕開けをしたF1でも、メルセデス所属、ワールドチャンピオンを4回獲得しているドライバー、33歳のルイス・ハミルトンは、次世代のチャンピオンの呼び声高いレッドブル所属、20歳のマックス・フェルスタッペンの無理なオーバーテイクに対して、毎度不平不満を述べています。ついこの前まで若手だったハミルトンも、新人には一言言いたくなるという、よくある先輩vs若者という構図に、モータースポーツいちファンとしては、興味を禁じ得ません。

ビジネスでも、常にこのような状況が起こっていることでしょう。しかし、若者の視点や考え方には、まだその業界に染まっていないゆえの斬新さや、新しい切り口で難しい状況を突破する力が備わっている可能性があります。若者だからといって、上から目線で見るのではなく、ビジネス上でのチームの一員として尊重しあうようにしていきましょう。

組織対組織の合意という、チームビルディングの賜物と言える作品

映画「カーズ」はピクサーアニメーションスタジオが製作しています。ピクサーはアニメ製作をし、配給や販売促進はディズニーによって行われていましたが、映画およびキャラクターの著作権はディズニーが有し、また、10~15%興行収入をディズニーが得る契約であったためか、ピクサーが不満を抱えることに。長らくピクサーとディズニーは不調和が続いていましたが、スティーブ・ジョブスがCEOであったピクサーを、ディズニーが完全子会社化することで、2社は合意。その合意の年に公開されたこの「カーズ」は、まさに組織対組織の合意という、チームビルディングの賜物と言える作品でもあります。

ピクサーは、作品の脚本を複数人で分担し、シーン毎に担当者を割り当てて製作進行します。それに平行して、脚本に時間をかけて推敲することでも有名で、1作品で完成まで数年かかるといわれます。世界有数のチームワークで、十分に練り上げられたこの作品。若者の成長を見てとるもよし、ビジネスでの成功法則を読み取るもよし。笑いも友情もありのこの作品をぜひ見て、さまざまな観点から学びをすくい取ってみてください!
(画像出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0151E4MNA/

タイムトラッキング(時間管理)ツールを使って効率よく仕事をしよう【2018年度新版】

皆さんはタスクを処理する際、タイムトラッキング(時間管理)を行なっていますか? 時間は全員に平等に与えられているもので、「Time is money」と言われるように時間が重要なものであることは明白です。時間管理を上手に行なえば、タスクを効率よく処理したり、自分の自由な時間も作り出すことも可能になります。
今回は時間をうまく利用することができるツールについていくつかご紹介します。

タイムトラッキング(時間管理)とは

 そもそもタイムトラッキングとは何なのか。簡単にまとめてしまうと、作業の時間を記録することで、どのタスクにどれくらい時間を使ったのかを把握し、結果的に効率化を図ることができる手段のことです。感覚としては時間の家計簿をつけるようなイメージですね。

タイムトラッキングを継続するための3つのポイント

シンプルで使いやすいデザイン

大前提としてシンプルで簡単ではないと、長続きせず飽きてしまいます。仮に操作が複雑であれば、開くのも面倒だと感じるようになるでしょう。そのため万人がつかいやすいようなモノがおススメです。

スマホを利用する

パソコンを開いて毎度管理するのはとても手間がかかります。いまの時代スマホを持っていない人はいないといってもいいほどスマホは普及しています。スマホさえあればいつでもどこでも時間管理が可能になるので、手軽に利用できます。

細かくつけすぎない

時間管理だからと言って、これは1時間、これは30分と、最初から細かく予定を立ててしまうと達成できず嫌になってしまいます。慣れるまでは大まかにつけて、自分の処理スピードを知ってから、細かく管理しましょう。

人気のタイムトラッキングツール

実際の企業で使われているツール、人気なツール、またその特徴についてご紹介します。

Teamhack(チームハック)


≪特徴≫

  • タスクやプロジェクトごとにチャット機能を搭載
  • タイムトラッキング機能がある
  • メンバーごとに納期やスピードなどの分析ができる
  • 無料でのお試しができる
  • タスク管理・プロジェクト管理も可能

Teamhackは1つのツールでプロジェクト管理から情報共有まで全て可能です。もちろんタイムトラッキング機能もついているので、簡単に時間の管理ができます。またメンバーのタスク処理のスピードや納期についても確認が可能です。また無料でのお試し版を体験することができ、容量10GBのビジネスプランでは、1ユーザーあたり、月額1200円、年間契約割引で月額1000円です。1つのツールで全てを管理したい人にはおススメなツールです。

株式会社カタリストシステム https://teamhack.io/

Timecrowd(タイムクラウド)


≪特徴≫

  • シンプルで使いやすい
  • 無料でのお試しができる
  • リアルタイムでチームの活動を把握できる
  • ほかのツールとも連携可能
  • スマホとの対応可能

シンプルで使いやすい「Timecrowd」は個人での利用も可能ですが、チームでの利用が念頭にあるそうです。スマホとも連動をしているので、手軽にタイムトラッキングが可能になっています。個人利用は完全無料となっていて、チームでの利用は2週間お試し無料、540円 ✕ チームの所属人数が利用料金(月額・税込)となっています。チーム全員で一体となり、その上個人の時間もうまく利用したい人におススメです。

タイムクラウド株式会社 https://timecrowd.net/

Wrike(ライク)

≪特徴≫

  • 機能がとにかく豊富
  • タスクの操作が簡単
  • タスクだけではなくプロジェクトにかかった時間も計測可能
  • チャットでは絵文字も使用可
  • 無料のプランがある

「Wrike」は機能がとても豊富で使いやすいツールです。指標の管理にはボード・タイムライン・リストといったように様々な形式で表示が可能です。タイムトラッキングを利用するには有料版が必要です。50GBのBusinessプランでは一ユーザー当たり$24.80となっています。Teamhackと同様に一度で全てを管理したい人におススメです。

Wrike https://www.wrike.com/ja/

Everhour

≪特徴≫

  • 幅広い外部ツールとの連携
  • タスクの時間をチームでトラッキング可能
  • 14日間のトライアル期間あり
  • リアルタイムで進捗を確認可能

「Everhour」はチームでのトラッキングが可能で、リアルタイムで進捗が可能なため、だれが仕事をしていて、していないのかもすぐに確認可能です。加えて、AsanaやSlackなど多くのツールとの連携が可能なのがとても強みだといえます。無料版はありませんが14日間のトライアル期間を設けていて、ソロで使う場合には8ドル、チームでは最低5人で35ドルとなっています。

Weavora https://everhour.com/

Clock It!(クロックイット!)

≪特徴≫

  • ストップウォッチでの時間管理
  • 作業時間の見積もりを自動計算
  • 無料プランがあり
  • わかりやすくてとてもシンプル

Clock It!https://clock-it.com/

無料で利用が可能な「Clock It!」はシンプルなため人気があるといえます。作業時間を現在のタスクの進行から見積もりを自動的に出してくれるのもとても魅力的だといえます。無料のbasicプランでも十分だが、一月あたり980円のteamプランでは人件費の分析やカレンダー機能、最近では看板ボードが加わりました。

まとめ

いかがでしたか?自分にぴったりなツールは見つかったでしょうか。上手に時間を管理できるようになり、効率よく仕事をこなせるようになれば、会社の業績にもつながり、働き方改革の面からみると自分の時間をうまく利用できるようになる「ワークライフバランス」の充実にもつながってくるのではないでしょうか。メリハリよく物事を進めていき、自分の時間を支配しましょう。

烏合の衆をまとめ上げるリーダーシップ (2) 連載第7回

前回、フリーランスが一斉に集まってプロジェクトが始まった場合のリーダーシップについて取り上げました。これは1つの成功パターンとして理想のケースに該当するのですが、世の中あまたあるプロジェクトすべてがこうなるとは限りません。
例えば、炎上中のプロジェクトに外部からPM PLが招聘されてプロジェクトを立て直すといった事例もよく聞く話であります。こうしたケースにおいて、リーダーはどうやってプロジェクトの健全性を取り戻すのか、考察してみたいと思います。

炎上プロジェクトに火消し要員を招聘する、ということ

普段から付き合いのあるフリーランス同士が集まったプロジェクトで炎上した場合、関係者一同の総意として外部からリーダーを招聘するであろう、という前提として一旦本稿では考察の対象外とし、初見のメンバーだけで始まったプロジェクトにおいて、プロジェクトオーナーが現状を見かねて外部からリーダーを招聘したケースを想定することにします。

プロジェクトの途中で人をアサインする、ということは

人月の神話でフレデリック・ブルックスはこう書いています。

遅れているソフトウェア・プロジェクトに人員を投入しても、そのプロジェクトをさらに遅らせるだけである。

いわゆるブルックスの法則として有名ですね。ということは、メンバーであれリーダーであれ、誰かしらを追加要員としてアサインすると、必ずそのプロジェクトの進捗が遅延するのでしょうか。いいえ違います。単に既存のメンバーと同じスキルセットを持ったメンバーを追加でアサインしても、プロジェクトの状況説明や仕様のインプットなど、コミュニケーションの追加コストを支払う割に進捗しにくいことは事実ですが、こうした炎上プロジェクトにおいて単なる作業者を追加するのではなく、俯瞰して状況を観察し軌道修正を図れるリーダーを招聘することで、プロジェクトの立て直しを図るのです。

プロジェクトの途中でリーダーを招聘する際にプロジェクトオーナーがすべきこと

仮に、現在炎上しているプロジェクトにおいて
•既存のメンバーは自己のアウトプット、自己の責任を全うすることにしか興味がない
•メンバー間のコミュニケーションが皆無または少なく、それぞれがバラバラに品質や納期の調整をしたがる

こうした兆候が見受けられる場合、既存メンバーと同じタスクをこなすメンバーを追加アサインしたり、メンバーを総入れ替えしたりするよりも、まず全体を統括するリーダー招聘を検討しましょう。

プロジェクトオーナーは本来、プロジェクト全体を統括する立場ですが、ビジネス上の判断を技術者へ伝えたとしても、技術者が同じ温度感、同じ優先度でそれを理解できるとは限りません。ですので、ビジネス上の課題を正しく理解し、技術者が同じく理解できるようタスクの優先順位づけをしてプロジェクトのリカバリができるリーダーを招聘するべきです。

しかし、一方でビジネス上の課題と技術上の課題がイコールであるとは限らず、必ずしもビジネス上の課題がすべてに優先するとも限りません。ですので、プロジェクトオーナーはリーダーにイエスマン的な振る舞いは絶対に求めないでください。

炎上プロジェクトにリーダーを迎え入れたら最初にすること

炎上プロジェクトにリーダーを迎え入れることになったら、プロジェクトオーナーは最初に、次の4つを実行してください。
•リーダー招聘の理由説明とともに、オーナーがこれまで持っていた権限をリーダーに移譲した、という宣言をメンバー全員に(できれば同時に対面で)する
•招聘されたリーダーはメンバー全員に対して平等に接することを宣言する
•すべての作業はリーダーが承認してから行なうようルールづけする
•すべてのチケットは全員が平等に見えるようにする
以上の4つですが、目的は「今までのやり方ではうまくいかなかったという危機感を共有する」このたった1つです。

炎上プロジェクトにアサインされたリーダーのミッションとは

リーダーはまずメンバーの面倒ごとを巻き取ることから始める

炎上プロジェクトにアサインされたリーダーは、まず「コードを書く(実装する)以外のすべての面倒ごとをメンバーから巻き取る」つもりでメンバーと接することを強くおすすめします。

プロジェクトオーナーから招聘されたリーダーは、着任するまではオーナーの主観、ビジネス上の課題と現実の戦力にギャップがあるといったネガティブな情報しかもたらされていません。また、一方でメンバーからのインプットはゼロかそれに近い状態で着任するわけですから、客観的な事実を確認するためにも、まずメンバー全員から「面倒ごとを巻き取りたいので」という持ちかけかたでヒアリングを始めましょう。

もし、メンバーから集まった面倒ごとが、本当にビジネス上の課題として置き去りにされていたのであれば、まずそこから着手すべきという判断になるでしょうし、逆に、不要な面倒ごとに対して高い優先度が割り当てられていたのであれば、プロジェクトオーナーに「チームの総意として」これを諫言し、本来やるべきタスクの優先度を上げることができるよう調整するべきなのです。

リーダーはメンバーとの接し方に細心の注意を

さて、リーダーはプロジェクトの要請で参画したのですが、正しくは「プロジェクトオーナーの要請」であって、メンバーを含めた総意で迎え入れられたとは限りません。ですので、
•最初からメンバー全員の協力が得られるとは限らない
•メンバーからは、自分たちの利益ではなくオーナーの利益のために招聘されたと思われている可能性がある

この2点を充分念頭に置いて振る舞いましょう。また、もう1つ大事な着眼点があり、それは「既存メンバーは着任したばかりのリーダーが知らない情報を山のように持っている」ということです。こうした観点を踏まえ、リーダーはメンバーとの接し方に細心の注意をはらうべきなのです。

炎上したプロジェクトにおいては、往々にしてビジネス上の要求と技術的課題の狭間で、あるいは、メンバー間などで様々な対立がおこりがちです。こうした対立はとかく主観と主観のぶつかり合いに終始する傾向にあるので、常に客観的事実で判断し、最適な着地点を探し当てることが求められます。

プロジェクト再生における取捨選択

本稿でこれまで述べた、プロジェクトオーナーや新規着任したリーダーがやるべきことは、あくまで「取捨選択」の範囲で行う優先順位付けの整理です。炎上プロジェクトを救う銀の弾丸などない、と言うのは簡単ですが、限られた納期や予算の中でプロジェクト再生を行うには、ALL or NOTHINGの発想ではなく、まず取捨選択という発想をしましょう。

もちろん、時には今まで書いたコードのほとんどを捨てる選択をしなければならないこともあるでしょう。しかし、決してコードを書いた人を責めてはいけません。何故なら、最初から書きたくて捨てられてしまうクォリティのコードを書いたわけではないからです。

人間は感情の動物です。そして、社会性をもった動物でもあります。言い換えれば、正しい動機づけさえ行われて正当な社会的評価、承認欲求が満たされればプラスの結果へ向かいます。ですので、取捨選択の理由を人の資質に求めず、先ほども述べたように「今までのやり方ではうまくいかなかったという危機感を共有する」ことを繰り返し理解してもらうしかありません。

一方で、プロジェクトオーナーは「これだけ予算と期間をかけたのに」という執着を少なからず持っています。また、プロジェクトオーナーが上司や株主や顧客に対して説明責任を持っていることも多く、こうした焦燥感や不安感から、現実解とはかけ離れた要求を(リーダーを通じて)メンバーへ行うこともあるでしょう。

つまり、先ほど述べた「人間は感情の動物」「社会性をもった動物」というのは、プロジェクトオーナーにも当てはまるのです。しかし、こうした要求が果たして正当なのかどうかを判断し、プロジェクトオーナーを諌める必要すらあるのです。また、こうした局面において、感情に感情で処理しようとすると往々にして収集がつかなくなります。まったく感情を無視してドライに処理するわけにもいきませんが、必要以上に感情論に振り回されず、プロジェクトオーナーあるいはメンバー側のどちらにも偏らず、公平で客観的な判断が常に求められることを常に意識しましょう。

本記事におけるまとめ

•炎上プロジェクトの途中でメンバーを追加するのは基本的に費用対効果が薄い、が、正しく優先順位付けをした上で軌道修正ができるリーダーを招聘するのは有効である
•炎上プロジェクトにPM PLをアサインしたプロジェクトオーナーは、メンバー全員に対して「今までのやり方ではうまくいかなかったという危機感」を共有する
•招聘されたリーダーは、メンバー全員に対して平等に接し、メンバー全員からコーディング以外の面倒ごとを巻き取るつもりでヒアリングを行なうこと
•リーダーは、メンバーとの接し方に細心の注意を払うこと
•リーダーは、プロジェクトオーナー側やメンバー側のどちらにも偏らず、感情論に振り回されず公平で客観的な判断を行なう必要がある

アルバイト求人情報サービスの定番アプリ「an」の開発の裏側を公開!

アルバイト求人情報サービス「an」の開発元であるパーソルキャリア株式会社(旧株式会社インテリジェンス)。「an」と言えば、アルバイト情報の定番ブランドでもあります。現在では、Webサイトとアプリ両方を運営されているわけですが、こちらは開発体制が大きく異なっているということで、今回はアプリ開発を担うanサイトBITAグループの地家(じけ)さんに、スクラム開発についてのお話を伺ってきました。

 

プロフィール:
地家さん:
Works事業部 プロダクト&マーケティング企画統括部
WorksBITA部 anサイトサービスBITAグループ
2014年新卒入社。A/Bテストツールやレコメンドの導入、サイト改修プロジェクトのPMを経験し、2016年12月からエンジニアとしてスマートフォンアプリの内製開発チームに参画。2018年1月から同チームスクラムマスター着任。

「an」のアプリ誕生を振り返る

 

 

 

 

大井田:

今年は「an」アプリの大幅リニューアルを行なわれたとのことですが、「an」と言えばアルバイト求人情報サービスのブランドとしては定着しているようにも思います。そんなブランドであるが故の開発の苦労なども想像できますが、まずは全体の開発体制を教えていただけますか?

地家:

全体のブランドという点からご説明しますと、「an」はWebサイトとアプリで共通の基盤を持っていますが、Webサイト側はウォーターフォール型。アプリはスクラム開発でという体制になっています。

もともと、開発において外注している範囲が広かったため、コストやスピードに大きな課題がありました。「○○を変更したい」と思っても、予算の確認をしたりと手間がかかることもあり、肝心のPDCAをスピーディーに回しにくく運用にとって致命的と感じられるようになってきました。

しかも、「an」アプリは5年前に公開された古い基盤の使い回しが続いていたので、経年劣化による品質低下やそれによるストアランキング低迷など多くの課題を抱えていました。

大井田:

5年前というと、2012年から2013年のことになりますか

地家:

その後、2016年の11月くらいに、開発経験のあるエンジニア数人でアプリのスクラム開発を始めたというのが、弊社のスクラム開発の始まりですね。

せっかくアプリが広く活用されているのに、ユーザーデータの分析基盤を構築できていなかったりして、ユーザーの動きに対する分析と対策が打てていない状態を改善していこうという気運が自社開発での勢いをつけたのだと思いますね。

大井田:

ん? その言い方は、当時はまだスクラムマスターではなかったということですか?

入社4年目、いきなり「スクラムマスター」になる

地家:

スクラムマスターになったのは、今年の1月からです。それまではメンバーとしてスクラムチームに参加していたのですが、スクラムマスターの役割を果たしていたものが退職することになって、私が手を上げたという事情です。

大井田:

それでは、改めてスクラム開発についてのお話を伺っていきたいと思います。

地家:

もともとは、プロジェクト開始から2週間おきに開発スプリントを回していました。2週間ごとにUIやバグの改善を繰り返し、随時アップデートも行なっていくという体制が基本です。

管理体制としては、Redmineにスクラムプラグインを導入したものがベースです。

大井田:

アプリの場合、公開アップデートのスケジュールも重要に思いますが

地家:

大きなアップデートは、2、3ヶ月ごとにというスケジュール感でしたね。小さな修正・改善は2週間のスプリントごとで行っていましたが、これからはもう少し短いサイクルで更新していけると思います。

大井田:

というのは

地家:

私がスクラムマスターになって、2週間スプリントだったものを1週間スプリントに変更しました。ひとつには、今回の大型アップデートでそれまで懸念していたことは大きく改善できているという考えがあることと、スプリントの期間を短くすることでスプリント計画の精度を高めたいという狙いがあります。

大井田:

もう少し詳しくお聞かせいただけますか

地家:

先ほど、自ら手を上げたとお伝えしましたが、もともとスクラムマスターはやってみたかったことです。が、予定よりも早くにスクラムマスターになってしまった、という自らの印象もあって、自分の中でスクラムマスターになるための知識や経験の絶対量が不足しているという意識もあります。

だから、スクラムマスター研修に参加したり、よりよいスクラム実践のために知識を身につける活動を意識しています。

大井田:

これまでのスクラムのやり方を変える必要があると感じるのは、例えばどんな課題感があるのでしょう

地家:

過去には、本来ならレビューで解決できることが長期のテスト期間を費やすことになってほとんどウォーターフォール型のようになってしまう、ということもありました。それはそれで、そうなってしまった原因も明確ではあるのですが、スピードと高品質の開発という点で、体制的にももっと改善すべきところがたくさんあると感じたことです。

今年3月、地味に大きなアップデートを実施したばかり

大井田:

3月には、速度改善のためのフロント側の実装方法を改善されたとか。こういった地味なアップデートは多くのユーザーが存在するサービスには欠かせないものですが、実はとても大変なのですよね

地家:

アプリのフレームワークはionicを使っていたのですが、速度改善を目的としてionicのバージョンを1から3に上げました。フロントのソースは全面的に書き直しとなる大きな改修でしたが、プロダクトの安定化に伴って開発に余裕ができてきたからこそ、いま取り組むべき、という声が挙がりました。

Ionicは、HTML5ハイブリッドモバイルアプリの制作に便利なフレームワークです。Cordova/PhoneGapでモバイルアプリを作る際もIonicの利用をおすすめします。
Ionicはモバイルアプリによく使われるコンポーネントを、再利用・改造できる形で用意しています。また、非常に使いやすいCLI(コマンドラインツール)が用意されているため、新規作成、コンパイル、実行、エクスポートが快適にできます。新しい機能も継続的に追加されて、単なるフロントエンドフレームワークの域を超えています。ネイティブアプリやレスポンシブWebアプリを制作する前の、プロトタイプ制作にもぴったりです。
https://www.webprofessional.jp/5-ionic-app-development-tips-tricks/

大井田:

少し話を戻しますが、1週間スプリントは具体的に曜日ごとのスケジュールが決まっていますか?

地家:

スクラムセレモニーは水曜日に集中して時間を取っています。

スプリントレビュー:計画した価値が生まれているかを確認する。 より良くするためにはどうしていくかを学ぶ
プロダクトバックログ・リファインメント:「いま」ではなく「次」さらに「その次」のスプリントの準備をする。継続実施することで、スプリントプランニングにおける計画精度を向上させることになる。
スプリント計画:プロダクトバックログの優先順位の高い項目について、目的や状況を話し合い、理解を共有 すること。

セレモニーを水曜にまとめることで、他の日は開発に集中できる状態にすることが理想です。

レトロスペクティブは、KPT手法を取り入れていますが、最近はPROBLEMやTRYが出てこなくなっています。プロダクトやチームが安定してきたということだと思いますが、もっと潜在的な課題を抽出できる方法を模索中です。

大井田:

ベロシティはどのようにしていますか

地家:

スクラム体制として、という前提で語ると、生産性の強度はそこまで高くはないです。Redmineで管理をしています、とお伝えしていますが、タスクを共有する際にストーリーポイントを記入するようにしています。この場合、メンバー一人ひとりのユーザーストーリをそれぞれ一覧化して確認するということをしています。

見積もりを「作業」で図るか、「時間」で図るかということも、課題として見えています。現在は、スプリント内で終わらなかったタスクを次へ先送りしてしまったり、スプリント期間の途中ですべて消化してしまった場合には小さなユーザーストーリーを追加で実施して調整をしています。

スプリント計画の段階では、絶対的な「時間」での見積もりを取り入れることで予実のブレをなくしていきたいと思っています。

大井田:

ところで、利用ツールについて、改めて確認です。Redmineは伺いました。コミュニケーションの面では、なにを使っていますか

地家:

ロケットチャットですね。実は、Slackではないんですよ。これは、会社としてのセキュリティ指針から判断されています。

「究極のオープンソースWebチャットプラットフォーム」を謳ったチャットツール
https://rocket.chat/

「an」アプリの今後は

大井田:

チームのみなさん、元からスクラム開発のメンバーだったのですか?

地家:

いえ、ほぼ全員スクラム未経験で加わってアプリ開発を始めています

大井田:

多くの企業でも同様なのですが、そうしたスクラム未経験のエンジニアに対してなにか研修などの試みはどのようにされているのでしょうか

地家:

そのあたりはスクラムマスターからの説明で補っているところですね。スクラムとしては、最初の体制がうまく回ったことで、機能はしているという実感が全員にあるのだと思っています。

実際に、今回のアップデートによる定量的な効果が出始めています。目標に掲げていたのはユーザーの応募数増加だったのですが、 結果的にリニューアル前の1.5倍ほど増加しました。

さらに、ストアへよいレビューも増えており、ストアでのアプリ検索でも上位表示されるようになりました。おかげさまで、DL数も順調に増えています。

大井田:

「an」と言えば、アルバイト求人情報サービスの老舗ブランドです。一方で、まさに「an」がそうなのですが、紙メディアからwebになり、さらにどんどんアプリ化が進んでいくサービスへの展望っていかがですか

地家:

まだまだこれから新しい価値を提供していく段階ではないかと思っています。
これからの、新しいアルバイトの探し方、マッチングのあり方を模索していき、社会への提案を進めていきたいですね。

取材を終えて

「an」と言えば、学生援護会という名前が思い浮かぶ世代です。「職業選択の自由〜♪」というCMも非常に印象的でもあり懐かしい話題です。

株式会社インテリジェンスとの合併もよく覚えているニュースでしたが、社名が変わってから「中の人」にお話を伺うのは今回が初めて。

お邪魔したビルには、多くの社員が働いておられ、かつご訪問される方々もひっきりなしで、冒頭の写真撮影も少し待って撮影をさせていただきました。紙からWebへ、そしてアプリへ。とは、多くのサービスが抱える課題でもあります。どのような未来があるのか、その答えを私たちも一緒に見つけていかなくてはならない、と改めて感じました。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

タスク管理について、新人が体験してみた学びを共有する~Trello編~

新年度を迎えるにあたり、新人の方は慣れない仕事に追われ、既存の方は新しい仕事が既存の仕事に加わり、忙しい時期を過ごしているのではないかと思います。どれから手をつければいいのか分からず、期限内に仕事を終わらせることができないという人はタスク管理をして整理してみませんか? 今回はタスク管理に対して何の知識もなかった筆者が、実際にタスク管理ツールの「Trello」を使って見て一か月経過した雑感について書いていきます。タスク管理ツールを利用したことがない人やこれから利用してみたいと思っている人はこの記事を参考にしてみてください。

タスク管理のメリット

まずはタスク管理のメリットについていくつか確認していきましょう。

頭の中の整理になる

まずはタスクを整理するために、そのとき思い浮かぶタスクをすべて書き出してみましょう。簡単なタスクでも構いません。その後、思い浮かんだタスクをカテゴリーごとに分けることで、ごちゃごちゃしたものを頭の中から離して整理することができます。

優先度の順位付け

次にカテゴリーごとに分けられたタスクを、すぐに終わるものなのか、延期するものなのかを判断することで、手をつける順番を考えることができます。期限内に仕事が終わらないことが少なくなり、結果的に効率化につながります。

チームでの進捗度確認

またツールを使ってタスク管理を行なえば、誰がどれぐらい進んでいるのかなどの進捗度の共有が可能です。もし遅れているタスクなどがあれば、管理者がタスクやプロジェクトの修正などフォローすることも可能になります。

このようにタスク管理を行なうことで、自分の頭の中の整理、加えて仕事の効率化にもつながるので、タスク管理は行なった方が良いと断言できます。
またタスクの絞り方にはこちらのGTDを参考にするとさらにいいものになるでしょう。
~getting things done という言葉を知っていますか?~

「Trello」とは


かんばん方式でタスクを視覚的に管理することができるツールです。タスクをカードに入力して、ドラック&ドロップして、作業中や完了などのリストに自由に動かすことが可能です。また一人で使うだけではなく、登録をしていれば共有してタスクを管理することも可能です。加えて、iPhoneやAndroidのアプリとして提供されているので、どこにいても使える便利なツールとなっています。

Trello:https://trello.com/

なぜ「Trello」にしたのか

数あるツールの中からなぜ「Trello」を選んだのか。
理由としては、だれが使っても使いやすいツールだったからです。自分も1か月前はタスク管理ツールどころか、そもそもタスク管理って何?という状態でした。なので早く慣れたいという思いから、Redmineやslack、Backlogといった管理ツールを試してみた結果、タスク管理ツールは「Trello」が初心者に向いていて使いやすいことがわかりました。

また、プロジェクト管理やタイムトラッキング(時間管理)については併用して「TeamHack」というツールを使っています。こちらもとてもシンプルなものとなっているので使いやすいのが特徴的です。「TeamHack」についての情報は下記のリンクを参考にしてください。
~TeamHackなら全てが1つのツールで完結~

使ってみての雑感

ここからは「Trello」を実際に使ってみた感想についてまとめてみました。良かった点、反省点、改善の方法の組み立てで書いていきます。

良かった点

良かった点としては、
1つ目はタスク管理でのメリットでもある仕事の効率化が非常に図れました。毎朝起きてから仕事や日常生活でやらなくてはいけないことをタスク化する時間を設けて、朝ごはんや通勤中に順番付けを行うことで、職場についてからすぐに仕事に取り掛かることが可能になりました。もちろん職場についてからも、ほかのタスクを見比べてどれを優先すべきかは再確認をしました。

2つ目は自分のための時間を作ることができるようになりました。家に帰ってからダラダラしてしまうことが多かった生活が、何をやればいいのかが明確化されているので、タスクを処理した後に、趣味の読書やランニングなど自分の時間がを有効活用できるようになりました。

反省点

反省点としては、
1つ目は習慣化するまでに時間がかかったことです。始めてから1週間までは継続してタスク管理をできていましたが、1週間~2週間目はタスクを吐き出し忘れたり、そもそもツールを使わないこともありました。そのため習慣化させるために、わざわざ家事をタスクに追加するなどして毎日使う癖をつけました。

2つ目はタスクを打ち出すこと自体は頭の整理になるので、あまり苦とは感じていませんでしたが、タスクのスケールが大きすぎるために処理しきれないことが多々ありました。複数のタスクをシングルタスクにすることが必要でした。シングルタスクへの置き換えは、チームハッカーズ内の記事を参考にしてみました。気になる方は下記の記事を参考にしてください。
~複数のプロジェクトを効率的に管理する方法と、マルチタスクへの向き合い方~

タスク管理する際のススメ

前述の反省点を生かして、タスク管理する際には

  • 習慣化させるために日常の作業などをタスク化して毎日使う
  • タスクを細分化してシングルタスクに置き換える

この2点を守ることをおススメします。ぜひタスク管理する際にはこの2点を意識してみてください。

まとめ

いかがでしょうか。あなたも「Trello」を使ってタスク管理に挑戦してみようと思いましたか?また「Trello」以外のタスク管理ツールを試してみたいという方はこちらの記事で紹介しているので是非参考にしてみてください。
≫「【2018年版】チームハッカーズおすすめのタスク管理ツール」はこちら


習慣化するまでが大変に感じるタスク管理ですが、慣れてしまえば、朝起きて何をするかなどのタスクを簡単に吐き出すことが簡単になります。またそのタスクの優先度などもすぐに計算することができるようになり、仕事の効率化がさらに進むことは間違いないでしょう。タスクを管理することで、いままで明確な目標を設定せずにだらだら取り組んでいたタスクに対してもメリハリをつけて処理することが可能になるのでこれからも継続して続けていきましょう。加えて、タイムトラッキングツールも併用させて、どれくらい時間がかかっているのかも計測して、自分の時間を作り出すことができればさらに良いですね。

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映画『イミテーション・ゲーム』に見るチームビルディング成功へのヒント

私たちが当たり前のように使っているパソコンや人口知能内蔵のタブレット、それらの進化が、生活にダイレクトに影響を及ぼす世の中になって久しいですが、そもそも、コンピュータという概念(チューリング・マシン)を生み出した人物をご存知でしょうか? この記事では、そのコンピュータの父であるイギリス人数学者=アラン・チューリングの人生を描いた映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』にみる、大きな目標達成へ導くチームビルディングへのヒントをご紹介していきます。

最近、こんなニュースを耳にしました。Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズなどに搭載された Alexa(アレクサ)が突然笑い出すという報告が、海外で問題にあがっているというのです。(日本での報告はまだありません)
参考URL: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180308-00000048-it_nlab-sci

Alexa は、話しかけるほどにボキャブラリーが増え、便利に使えるクラウドベースの音声アシスタント。インターネットに接続してあるテレビをつけたり、音楽をかけたりと便利に使うことができます。筆者宅には、Alexaはいませんが、かわりにアップルのiPhoneやiPadにSiriがいます。いつも子供たちはSiriに話しかけ、天気を聞いたり、算数の宿題の答えを聞いたり(!)、AIとのコミュニケーション頻度は確実に増えています。子供たちには素直に良い答えを返してくれるSiriですが、同じように筆者が話しかけても、「それは面白い質問ですね」と煙にまかれたり、うまく答えを引き出せないときもあり、完全にこちらを警戒しているような様子すら感じてしまいます。人工知能への警戒感や抵抗感(?)は、大人の方が強いのでしょうか。

それはともかく、映画『イミテーション・ゲーム』の主人公、ベネディクト・カンバーバッチ演じる数学者アラン・チューリングは、既に1950年に人工知能の問題を提起するという先見性と数学的な天才的な才能を持つ人物でした。この映画でのチューリングは、暗号解読のためのチームリーダーとしての姿が描かれています。第二次世界大戦が始まった1939年、チューリングたちのチームがナチス・ドイツの暗号機エニグマの解読を成功させ、同時にイギリス連合軍が勝利するための作戦も計算し、終戦を早めたという実話を元にしています。

絶対的な確信を本物にするための行動力

エニグマの暗号を解読するために、人海戦術的に、人の手動により暗号を解こうとするのには限界があると考えたチューリング。現在で言うコンピュータを作って解読をしようと考えます。そして彼は、その考えに絶対的な確信を持っていました。絶対的な確信を持つ彼は、同僚にどう思われるかも考えず、自分の考えを決してまげずストレートな物言いをするため、悪気がなくとも同僚からは見下した態度をとっていると思われてしまいます。

チューリングは、協調性がまったくないまま、暗号解読装置の設計を進めるのですが、同僚の評判もすこぶる悪く、上司が好むような行動も取れないことから、直属の上司から装置開発のための出資を拒否されてしまいます。しかしチューリングはめげずに、彼を飛び越え、時の首相ウィンストン・チャーチルに直訴の手紙を送り、結果、予算を手にすることに成功。しかも自分をチームの責任者にすえることも成し遂げます。

このときのチューリングは、チーム力もなく、コミュニケーションもうまくいっていません。にもかかわらず、最初にクリアすべき問題である予算の入手と、リーダーになるという働きを見せます。それは、彼自身の考え方の勝利というほかありません。もし直属の上司にNOと言われたら、その彼に直訴するというのは一般的な企業では難しく、また勇気も必要な行動ですが、チューリングには、まったく迷いがありませんでした。迷いのなさの理由は、彼が自分の考えに絶対的な確信があったことに他ならず、確信を絶対に感じられるほどに、勉強し、知識と経験があったからこそ、その確信を持てることにもなったのでしょう。

柔軟性を持つ

リーダーになったとたん、チューリングはこれまでいた2名を即クビにし、新しい人材を探します。その探し方とは、新聞に難解なクロスワードパズルを載せて、解けた人にテストをさせるという斬新なものでした。結果、沢山の人材のなかから、効率よく2名の才能ある人材を採用することとなります。うち一人の女性は、キーラ・ナイトレイ演じるジョーンでした。その頃、男性と同じ職場で働くことは一般的でない時代で、女性の知性もあまり尊重されない時代でもありました。そんななか、チューリングは、ジョーンの勤務に反対する家族を納得させ、彼女を解読任務に仲間入りさせることに成功します。

ここでは、チューリングの柔軟性を見てとることができます。当時のイギリスは21歳以上のすべての女性に選挙権が与えられるようになってから11年経っていましたが、まだまだ男性と女性の仕事は完全に分かれており、女性が解読のプロジェクトに入ることも極めて異例なことでした。しかしチューリングは、女性だからと差別することもせず、ジョーンの能力や才能を評価し、彼女を仲間に入れるのです。その姿は、現在の時代の女性からみても、彼女の存在を誇らしく思える場面です。

未だに、日本の国技のスポーツは、土俵に女性を入れることに非常に抵抗があるようです。女性だからNG、男性だからOKといった考え方が未だにある風潮のなか、第二次世界大戦中という時代に、女性の仕事への理解と、女性を採用する柔軟性を持った人物がいたことに非常に感銘をうけます。ここに、チューニングのリーダーとしての人の能力を見る目と、能力を生かすためにぶれない姿勢を感じることができます。

チームメンバーを味方にする方法

チューリングが手がける解読のためのコンピュータや、解読に興味を持ったジョーン。チューリングと同僚の関係が悪いことをすかさず見抜きます。彼女は、プロジェクトを成功させるために、チューリングとチームの仲間との関係を良くしようとし、チューリングにアドバイスや行動をとらせます。結果、彼らのチームはエニグマ解読のため結束を強めることに成功します。そして、チームで協力しあい、ついに解読のためのコンピュータが完成しますが、多大なコストにもかかわらず結果を出していないようにみえるチームにいらだつ上司はチューリングをクビにしようとします。しかし、いつしかチームの結束を深めていた同僚は、総辞職をちらつかせ、クビを阻止してくれるのです。

ジョーンがチームに入るまで、関係の悪かったチームの仲間たち。ジョーンは数少ない女性のため、嫌われないための処世術を熟知していました。コミュニケーション能力の長けた彼女を味方にできたことでチューニングのチームは一変します。チューニング自身はコミュニケーションをうまくできなくとも、かわりにジェーンの機転で「チームとうまくやっていきたい」という気持ちをチームの仲間に伝えることができたことから、チームの仲間と心が通じあい、協力体制を作ることも可能にしたのです。このシーンでは、うまくコミュニケーションができなくとも、心が伝わればチームをまとめることができるという奇跡を見ることができます。

期限を決めることの重要さ

上司から、最後のチャンスとして結果を出すまで1ヶ月という期限を出されたチューリングたちは、チームメンバーと食事や酒を飲みながら話をしているうち、たまたま耳にした女性職員の会話から、エニグマ解読のための鍵に気づきます。これまで結果を出せなかった解読コンピュータ装置が、ついに暗号の解読に成功することになります。

期限が一ヶ月と追い込まれるチューリングたち。たまたま聞いた話からヒントを得て、全世界的に不可能とされてきたエニグマの解読に成功します。期限が決まってしまったとき、私たちは、期限までに目標を達成できないのではないかという絶望的に不安な気持ちに頭を抱えてしまいがちですが、何でも時間がいくらでもあるときよりも、期限があるほうが瞬発力や集中力があがり、成し遂げられることが増える傾向にあります。これは期限だけに言えることではなく、少しのルールや制約があるほうが、大きな結果を得られると言われるビジネスモデルとも一致します。自由過ぎると、かえってすべきことが見えなくなることがありえます。限られた時間のなかで、集中し、仕事の成果を手にする醍醐味を味わえるシーンです。

なお、この暗号解読に成功したものの、チームはその後大きな「犠牲」を払う決断を強いられるのですが、その悲しい決断に至る経緯はぜひ映画を確認ください。
(つまり、暗号解読までを追いかける映画ではなかったんですね)

何と言っても、俳優ベネディクト・カンバーバッチの熱演がすばらしい

終戦後、暗号解読に関わったチームメンバーは、仕事にまつわる一切を破棄するよう命令され、同時に仕事内容を口外したり、再び会うことも禁じられます。公に成し遂げたことを口外できないことの寂しさ、つらさは想像もつきません。

チームで書類を燃やすシーンがあるのですが、それはとても美しく、印象に残ります。このシーンに、チームメンバーの、仕事を口外できなくとも、成し遂げたことへの誇りや情熱、楽しさや喜び、あらゆる感情を感じます。

そして何より、この映画の一番の魅力は俳優ベネディクト・カンバーバッチでしょう。彼の、不思議なつり上がった目と長い顔から生み出される表情が、チューリングの戦後の不幸、そして死へ向かう無念さと相まって、なんとも忘れ得ない映画です。チームビルディングの観点からも、純粋に映画としても興味深いこの映画、ぜひ見てみてください。