2018 1月

現場と上層部の板挟みに悩むマネージャーのストレスを軽減させる8つのアイデア

マネージャーといえば責任ある重要な立場。しかし、現場と上層部の間をとりもつことが必要なマネージャーは、なかなかやりづらい立場に置かれているとも言えます。その立場上、常に上からも下からも見られているため、なかなか気を抜くことができずにストレスを抱えてしまう人も多いです。そこで今回は、マネージャーのような中間管理職が感じがちな、現場と上層部の板挟みを原因とするストレスや悩みを軽減させるアイディアについてご紹介していきます。

部下と上司に利用されていると感じるときはどんなとき?


一般的に、部下が仕事で困ったことが起きたときに、まず相談するのはマネージャーです。マネージャーよりも役職が上の部長級に直接相談することはマネージャーを飛び越してしまうことでマネージャーに失礼にあたりますし、部下に一番近い存在の上司はマネージャーなので、マネージャーがまず相談相手になるのは自然なことです。しかし、相談を受けるときに、部下にいいように責任を押し付けられたと感じたり、下に見られていると感じるときがありますか?

他方、目上の立場の上司からも、「マネージャーならこの仕事をすべきだ」などと、理不尽に面倒な仕事や細かいことを押し付けたりされることなどはないでしょうか?
自分がするべきであると納得できる業務であればかまいませんが、そうではない仕事の、目に余る押しつけを感じてしまったときに、自分がひきうけているマネージャー、中間管理職の存在意義に疑問を感じてしまわないでしょうか? そのようなことが重なると、ストレスを大きく感じてしまうことは想像にたやすいでしょう。
 
上司と部下の板挟みに悩むとき、とるべき行動とは?毎日の仕事を、仕事内容以上に、板挟み状態に悩んだり、困ったりしたときはどうすべきでしょうか?

1 部下だからといって見下さないようにしよう

部下は自分よりも劣っている存在なのでしょうか? 現時点は部下なだけで、これからの仕事人生、配置換えや昇進など、違う立場になる可能性は否めません。このご時世、歳を重ねるにつれ、納得がいかない降格人事が行われたりなどする話を聞くこともあります。部下だからといって、見下した態度をとってはいませんか? 自分よりも若い人材が、自分にはない視点や、自分が知らない情報をもっていたり、まだ開発できていない能力を備えている可能性もあります。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざにもあるように、人間も偉くなればなるほど、謙虚な姿勢で人と接することが大切であることを忘れないようにし、たとえ部下にも尊大な態度をとらず、相手を尊重してコミュニケーションを重ねるようにしましょう。

2 上司だからといって遠慮しないようにしよう

上司に対して常にイエスマンになってはいませんか? もしあなたの上司が本当に有能な人材であれば、必ずしもイエスマンを望んではいないのです。上司だから、自分よりも目上の存在だからといって、本来言うべきマイナスな事柄があったとしても、それに気づかないふりをして、意見を飲みこみ、黙っているようなことはありませんか? 上司を敬う気持ちや、マネージャー・中間管理職ならではのバランス感覚や心配りも大事ですが、くれぐれも大義を忘れないようにしましょう。

昨今、人材の入れ替わりが激しい外資系企業やベンチャー系企業などでは、上司だと思っていた人がすぐに退職してしまうということがよくあります。そのような中でも、活躍できるようになるためには、自分の意識や強みをつねに見失わずに主張できる人材になることが大切です。

3 現状を把握し俯瞰で見てみよう

今自分が置かれている状況を客観的に見つめ、俯瞰で確認してみましょう。大局的に見れば、日々の状況が自分のプラスに働いているということがわかったり、あるいは、改善すべき点があることを確認することができます。周囲の勝手さがあまりにもひどいものであれば、人事に相談したり、上司を飛び越えて社長に相談することも検討しましょう。

4 共感しすぎないようにしよう

部下や上司に相談を受けて、話を聞いているうちにひどく疲れてしまうことはありませんか? 心理学的にみると、それは共感疲労といわれ、人の苦しみや悲しさに共感しすぎて心が疲れることをいいます。共感疲労とは、通常は、災害などで被害に会った人のニュースを見ると疲労を感じてしまったりすることで、介護士、看護師、ボランティアなどといった被害者や被災者を直接支援する人に起こりやすいものだと言われています。
参考URL http://diamond.jp/articles/-/11844

マネージャーのような中間管理職も、部下や現場の悩みや、困ったことの相談を多く受け続けると、このような疲労を感じるようになると考えられます。相手の立場に立ちすぎると疲れを感じてしまうのです。それを避けるためには、相談は話として聞き、客観性を持って問題解決の糸口を探せるようにしましょう。ただ、社内の愚痴を誰かに聞いてほしいだけの場合もあるかもしれません。そのような話ひとつひとつに感情移入してしまったら、ストレスがたまる一方です。

冷たいようですが、話を聞く前に、その相談は自分のことではない、とはっきり自分に認識させてから話を聞くようにしてみましょう。その切り替えをしないまま相談を受けていた以前よりも、ストレスを減らせることができる可能性があります。

もし、そう心がけても、そういったストレスが大きくつらいものになってしまったら、同じような立場のマネージャー、中間管理職クラスの人と、差し支えない内容でそのストレスを共有してみましょう。共有することで少し心が軽くなったり、別の視点で、問題解決の糸口を発見する手助けを得られるかもしれません。

5 自分をいたわろう

毎日人との板挟みで、ストレスがたまる毎日を頑張っているマネージャー。仕事が終わったあとや、仕事がない日、できるだけ自分をいたわってあげましょう。趣味を追求したり、子供と遊んだり、ペットとふれあったり、おいしいものを食べてもいいですね。自分のご機嫌を取れる一番の人材は自分です。自由にできる時間にあわせて、自分の好きなことをする内容をリストアップしておきましょう。

6 運動しよう

勤務場所と家の往復で毎日を終わらせてはいませんか? 優秀なビジネスパーソンはエクササイズや運動を欠かしません。運動は、文字通り「運を動かす」とも言われます。ストレスで重くなってしまった毎日や運を、運動することで動かせるようにしましょう。

ストレスがたまったと感じたら、水泳やランニングなどの有酸素運動でも、ヨガなどの調整、ストレッチの運動でもよいので、体を動かしましょう。体の声を聞くことで、見えてくるものもありますし、運動に集中すれば仕事やストレスから一時的に逃避でき、気持ちや心の切り替えをすることができます。運動したあとにも、リラックスしているときに、ふとわいてくるアイディアもあると言われます。仕事に没頭するあまり、運動することを忘れてしまわないようにしましょう。

7 定時に帰宅しよう

ストレスが多い環境で長時間仕事を必要はありません。すべき仕事を時間内で行い、早く帰宅できるように、徹底的に時間管理を心がけましょう。生産性の高い勤務方法ができる人材として評価もあがりますし、長時間オフィスにいて、時間外に相談をうけたり、上司がやりたくない仕事をおしつけられたりすることもなくなります。

8 見切りをつけよう

上司と部下の板挟みに悩むマネージャーや中間管理職が一番困ること、それは自分の昇進がいつになるのか、この状態がいつまで続くのかがわからないことではないでしょうか? 板挟みに苦しむ時間が何年くらいなのか、あと数ヶ月で終わりそうなのか、それによって日々の過ごし方もまったく違ってくることでしょう。自分自身がすべきことを徹底的に行い、完璧な業績をたたき出したなら、そのあとに昇進できるのか、それとも昇進できないのか、よく見極め、自分が同じ状態で我慢できる限界値を設定しておきましょう。

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アジャイルで大規模開発を成功させるには~IBM事例~

近年、ソフトウェア開発と言えば「アジャイル型開発」が主流となってきていますが、アジャイルは小規模開発でしか実践できないなどと聞くことも多いです。しかし、実はアジャイルは大規模開発でも適用できるのです。ここでは、アジャイルの大規模開発で成功したIBMの実例を従来の「ウォーターフォール」と比較しながらご紹介したいと思います。

ウォーターフォールとアジャイルの問題点

ソフトウェア開発の手法が、従来のウォーターフォールからアジャイルへとシフトしてきている第一の理由は、ウォーターフォールでは時間とコストがかかるからです。まずは、ウォーターフォールの仕組みについて簡単にご説明します。

ウォーターフォールでは、「要求定義→設計→プログラミング→テスト→リリース→運用」という流れで開発を進めていきます。前の工程が全て完了してから次の工程に進み、要求の変更がなく後戻りがないことを前提としています。しかし実際には、ほとんどの場合で後戻りが発生し、それにより納期が遅れたり、最悪の場合プロジェクトが頓挫してしまったりします。

そこで、要求が変化したりすることに柔軟に対応できるよう開発された手法がアジャイルになります。ウォーターフォールの場合、テストで不具合が出た場合、戻りの工数が大きいですが、アジャイルの場合、1つの機能ごとに「設計→プログラミング→テスト」が繰り返されるので、不具合が生じても戻りの工数を最小限に抑えることができます。他方、変化に対応できるよう10人以下の少人数チームで行なうことがメインなため、大規模開発には向かないとされています。

IBMは「アジャイル」で大規模開発を成功へ!

では、大規模開発に向かないとされているアジャイルで、IBMはどのように大規模開発を成功させたのでしょうか。どのようなところを工夫しているのか、ウォーターフォールと比較しながらご説明します。

大規模開発を行なうことになった背景

IBMは複数の企業買収により、社内でさまざまなツールが使われるようになり、ツール間での連携が取りづらくなっていました。また、それぞれの会社で使っていたコードをそのまま使用されていたためコードの共有が困難になっていたため、理想の開発プラットフォームを構築するプロジェクトが発足しました。このプロジェクトは世界各国にある支部も含まれるので、かなり大規模な開発が予想されました。そのため通常であればウォーターフォールの手法を利用しても良いところですが、IBMはアジャイルの手法でプロジェクトを進行させることにしました。

少人数チームを複数作る!

通常、世界規模のプロジェクトをウォーターフォールで行なう際は、1つのチームを分割してそれぞれの国に配属します。そして、各チームの進捗などはすべて文書化して情報共有をはかります。一方、アジャイルでは、10人以下の少人数チームが同じ場所で作業し、問題が起こったら実際に顔を合わせて相談するというスタイルです。そのため、大規模プロジェクトには不向きだと言われています。

そこで、IBMは4~10人の少人数のチームを20個作りました。プロジェクトメンバーは7ヵ国以上、120人以上におよび、「アジャイルプラクティス」(Eclipse-way、Scrum、XP)を利用しました。また、チームはプロセスやワークアイテムなどの「コンポーネントチーム」と全体をマネジメントする「PMCチーム」の2段階で構成しました。コンポーネントチームに属している人たちは世界各国に散らばり、それぞれ「PMCチーム」の人とバディを組むことでコンポーネント間の依存防止をするなどの工夫がされました。

全チーム同じ期間で繰り返しテストを行なう

ウォーターフォールは最初に細かく全ての計画を立て、スケジュール通りに実行していくのに対して、アジャイルは短い期間のスケジュールを立て、開発、テスト、リリースをしていきます。IBMも無駄な詳細は作らず、短い期間(4週間)で、開発、テストを繰り返し行う手法を用いました。世界に分散したチームは、優先順位の高いものから開発、テスト、リリースを繰り返し行なっていましたが、どのチームも4週間という期間は変えず同じリズムで実行していました。全チーム同じリズムでプロジェクトを進めることで、各国にチームが分散していても管理しやすくなります。

コミュニケーションツール、タスクツールを充実させる

アジャイルは要求に変更が起こった時に、すぐに対処できるよう同じ場所でメンバーが作業するのが通常です。しかし、IBMのように世界規模の大きな開発の場合、このチーム間のコミュニケーションが難しくなります。そのため、IBMではチームごとに反復計画を立て、優先順位とワークロードがつくツールを使い、タスクボードでそれぞれの進捗がわかるように管理しました。また、個人単位でもToDo管理のツールで、新しく割り振られた役割、昨日やったこと、今日やること、明日以降にやることが明確にわかるようにしました。これによって、分散していても他のタスクの進捗がすぐにわかるようになりました。

チームコミュニケーションのために、世界各国に散らばっていてもミーティングができるような電話会議システムを構築しました。各チームは毎日電話会議を行い、各自が昨日やったこと、今日やること、課題の共有を図りながらプロジェクトを進めることができ、分散していても通常の「アジャイル」の朝会のように情報共有ができました。

IBMがアジャイルで大規模開発の成功を収めた要因は、チームに権限を与え、責任を持たせたこと、プロジェクトの透明性を高めたこと、分散アジャイル開発のインフラ整備を行ったことだと言えるでしょう。

≫タスク管理ツールを充実させたい人におすすめの記事「ToDo管理ツールがあなたの人生を変えるかもしれない意外な理由」

アジャイルで大規模開発を行なうためには

IBMの事例のように、大規模で世界に分散していてもアジャイルの手法でソフトウェア開発の問題を解決することができます。IBMだから成功したと思う人もいるかもしれません。しかし、IBMも既存の開発手法をそのまま取り入れたわけではなく、環境や文化に合わせてさらに変化させて取り入れたことで成功を収めました。会社によって文化や環境が違うのは当然です。それに合わせて既存の手法やツールを変化させて利用することで、企業規模でのアジャイル開発が可能になるのです。

アジャイルとウォーターフォールの違いは、計画の立て方や、テスト、リリースを行うタイミングなどありますが、ウォーターフォールでも一定期間を区切って振り返りを行うなど、アジャイルのメリットを取り入れることもできます。大規模開発だからウォーターフォールと決めつけるのではなく、そのプロジェクトの環境や文化に合うようにそれぞれのメリットをうまく組み合わせることで、プロジェクトを成功に導くことができるでしょう。

「アジャイルで大規模開発を成功に導くためには」のまとめ

ウォーターフォールとアジャイルはプロセスやマネジメントの違いのほか、根本的に全ての機能を作るか、作らないかという根本的な考え方の違いがあります。どちらにもそれぞれ、メリット、デメリットがあります。大規模開発だからアジャイルは向いていないと最初から諦めるのではなく、ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせて開発したり、アジャイルを工夫して開発したりすることで、IBMのようにプロジェクトの成功を収めることができます。既存のものをそのままではなく、環境や文化に合わせて、常に変化をさせていくことが成功の鍵になることでしょう。

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あなたのチームを「エクストリームチーム」にするには?

毎日の生活の時間の多くを割いて行なう仕事。真剣に仕事をしていれば、誰でも行き詰まりを感じたり、悩んでしまう時があります。そんなとき、一体どうすべきでしょうか? チームメンバーで解決策を検討したり、上司や外部のコンサルタントに相談してみたりと、いろいろな改善方法を求め、案を探るかもしれません。ここでは、急進的な成長率や方法論で成功をおさめている誰もが知っている企業がどのような施策を用いてチームを作っているのかを紹介します。彼らの働きかたを参考にしてみれば、解決策を探る糸口の一助になることでしょう。

あなたのチーム、モチベーションは共有できていますか?

仕事で力を発揮するために、生産性の向上を目指して日々努力を重ねているビジネスパーソン。生産性や能率、業績を上げることをモットーとし、常に処理速度をアップさせることが不可欠であると考えている人も多いことでしょう。しかし、タイトな日程で、常に重要な仕事を長期にわたって続けることにはデメリットもあります。ワーカホリックのようになったり、他に重要なことを見落としてしまったりするということもあります。モチベーションにあふれる人や、やる気がある人、仕事ができる人こそ、一度立ち止まって自分自身の働き方を考えてみることも必要です。そのモチベーション、他のチームメンバーや関係部署と共有できていますか?

チームがうまくいかない4つの問題点とは?

2017年11月に日本版が発売になって以来、ビジネス界隈で話題を呼んでいる『EXTREME TEAMS(エクストリーム・チームズ) 』(すばる舎)では、アメリカのPixar Animation Studios(ピクサー・アニメーション・スタジオ)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Netflix(ネットフリックス)などの先進的な企業における働き方やチームのあり方が経営コンサルタントのロバート・ブルース・ショーにより仔細に記されています。

本の中では、チームがうまくいかない理由として4つの問題点が紹介されています。

問題点1 チーム制がそもそも必要ないのに導入されてしまう

チーム制を導入するからには、チーム制でない仕事の進め方と比較したときにチーム制にするメリットがあるべきです。しかし、往々にして、必要ないにもかかわらずチーム制を導入し、無駄な時間を費やしてしまうことがあるそうです。

例えば、個人とトップが結びついて仕事をしたほうが効率よく仕事を進めることができる仕事内容であったのに、本部からの要望を受けて地域ごとにチームをつくってしまうようなパターンがあります。そのチームの仕事内容が地域ごとに異なる場合には、共有できる情報が乏しく、チーム同士の連携の必要性も低くなります。そのため、チームに関係していること自体が負担になったりモチベーションをさげたりしてしまう要因にもなりうるのです。

問題点2 チーム制を成功に導くボーナスを導入していない

良くできる人材だからと、様々なチームに参加をさせている人物に対して、それぞれのチームでの業績にあわせた報酬が適切に与えられているでしょうか? もしこの人物が固定報酬制、年俸制で報酬を受け取っていれば、沢山のチームにあてがわれたときに、自分の力が正当に認められているとは考えないでしょう。むしろ年が経つにつれ、チームに参加することは自分の関係ないことにも忙殺されるように感じるようになります。もし様々なチームに有能な人物を参加させようとするならば、それに見合った報酬を渡すべきです。

問題点3 組織のシステムに足をひっぱられてしまう

Microsoftでは、以前は報酬制度を相対評価でランク付けしていたそうです。その結果、良い評価枠に入れる人数が決まっていたために、有能な人材はほかの有能な人材と一緒に働くことをさけるようになってしまいました。結局、Microsoftはその評価制度をやめたそうです。このようなシステムは、本来であれば、有能な人材同士が切磋琢磨しながら働いて大きな結果を出すことを目指している企業にとってはマイナス要素になってしまいます。あなたの会社にも、このような社員のやる気や行動力をさげるようなシステムはないでしょうか?

問題点4 「フリーローダー」が出現している

フリーローダー(freeloader)とは、英語で居候や遊び人、給料泥棒といった意味を持った単語です。社会学者によれば「たかり屋」のような、仕事をしないがチームの一員となってチームの恩恵を得ている人をさす言葉です。チームは、仕事においてとても魅力的であるはずです。特定のチームメンバーとの交流や絆は、無味乾燥になりがちなビジネスにおいて、感情上のスパイスとなり、そのチームに属しているという優越感や快感や、自己満足感を得ることもできます。

ところが、チーム内にコミュニケーションに長けたフリーローダーがいると、感情的にはよい体験ができるときがあるかもしれませんが、いつのまにか仕事をまわされていたり、仕事の尻拭いをさせられてしまうかもしれません。あなたのチームにも、仕事はできないが、チームの恩恵にちゃっかり預かっている人はいないでしょうか? その人の存在が、他の優秀なチームメンバーのモチベーションを下げてしまっているかもしれません。

このような4つの問題点をクリアにし、評価システムを構築してチームのモチベーションを大きくすれば、チーム運営はうまくいくのでしょうか?この本には、こんな例が記されています。

「モチベーション」があるからこそ起きたピクサーの事件

ピクサー・アニメーション・スタジオは、トイストーリーやファインディング・ニモ、カーズなどの人気の優れたアニメを制作してきました。ピクサーは、作品に命を吹き込むアニメーターを家族のように大切にし、温かい職場作りを行っていることでも知られます。

1995年公開のアニメ「トイストーリー」をピクサーが製作していたときのこと。制作途中にできの悪さが露呈し、軌道修正を余儀なくされました。そのためにスケジュールがタイトになり、アニメーターたちは寝る間も惜しみ、休みも返上で仕事に没頭していたといいます。そんなとき、あるアニメーターの男性社員が車での出勤途中、後部座席に乗せていた子供を保育所に送っていくことを忘れ、そのうえ車に数時間置き去りにしてしまうという事件が発生しました。

幸い子供には命に別条はありませんでしたが、この事態をうけ、ピクサーは大きく認識をあらためることになったといいます。一流のアニメーターたちは、作品のためにはどんな犠牲もいとわないようなやる気を持っており、実際にこの事件が起きるまでも、自ら長時間労働を選んで仕事を続けてきたとも言えるものでした。いわば、「モチベーションがありすぎる」というわけです。モチベーションがありすぎて、自分の他の時間をすべて見失ってしまうような仕事の仕方を推進する企業であってはならないという貴重な教訓をピクサーは学んだといえます。

ピクサーのような有名人気企業では、よい作品のために全力を尽くす熱量のある人材であふれていることでしょう。だからこそ、オーバーワークにならないように、チームマネジメントが不可欠であると言えるのです。

「あなたのチームを「エクストリームチーム」にするには?」についてのまとめ

Extremeとは、非常な、先端の、と言った意味を持つ名詞です。他の企業から突き抜けた存在になるチームビルディングを行うためには何が必要でしょうか?
本記事で紹介した問題点を排除し、健全なモチベーションを持つだけでは不十分です。エクストリームチームには、一人の力よりも、チームの力によって、他者にまねできない特性が生まれ、競争性を増やすことができるという自信が必要です。
そしてチームの仕事に対して的確なフィードバックを行い、必要であればメスを入れることができるような、仕事における明確なビジョンと行動力が必要です。そして忘れてならないのは、こだわりの共通化です。同じこだわりを共有することによって、チーム力を強くできるに違いありません。

このようなビジョンを、仲間意識や思いやりをもって受け入れてみましょう。きっと良いチーム作りに一歩前進できるのではないでしょうか。ぜひこの記事を参考にしてみてください。

多くのフリーランスを含め20万以上の事業者が使う請求書発行サービス/Misocaの開発スタイル

請求書を書くという面倒な作業を「シンプルに」したことから多くの支持を集めたのが、クラウド請求管理サービス・Misoca(ミソカ)でした。株式会社Misocaのミッションステイトメントは「世の中を仕組みでシンプルに」です。
代表の豊吉さんは、「良いプロダクトを作り、良いチームを作るというのは簡単ではありません。最高のプロダクト、最高のチームを目指すことをやめることは絶対にありません」と高らかに宣言しておられます。
そんな熱いメッセージを受け取ったまま、名古屋本社にお邪魔してMisocaさんの開発スタイルについてお話を伺いました。

豊吉さん プロフィール:

株式会社Misoca 代表取締役
岐阜県生まれ。2002年に名古屋でフリーランスとしてWeb制作を始める。幾つかのWebサービスの開発や売却の実績を積み、2011年6月にスタンドファーム株式会社(現・株式会社Misoca)を設立、現在に至る。Misoca誕生のきっかけは、「ムダが嫌いで紙をなくしたいのに、どうしても紙で書き送らなければならなかった請求書という仕組みは、5年後にはなくなるだろうと思った」ところから。

プログラムを通じて無駄を省き、未来にあるべきものを自分たちで作っていきたい、が信条。マニュアルづくりも大好き。そして、ランニングファンでもある。

https://www.misoca.jp/
https://www.misoca.jp/contact

リモートメンバーもいるので、オンラインですべて集約できるようにしている

大井田:

本日はありがとうございます。豊吉さんとはあるイベントでご一緒させていただいて以来です。どうぞよろしくお願いいたします

豊吉:

よろしくお願いいたします。

大井田:

今回の目的は、プロジェクト管理の方法をお伺いすることなのですが、Misocaさんのプロジェクト管理の現在のスタイルはどのようなものですか?

豊吉:

具体的なツールを挙げると、TrelloとesaとSlackでということになりますね。Trelloを基盤として、esaでドキュメント管理をし、コミュニケーションはSlack。あと、ソースコード管理は別にGitHubを使ったりですね。

大井田:

そのスタイルに至る経緯はいかがでしょう

豊吉:

2011年の会社設立からしばらくは2、3人でなんとなくアジャイル型で開発を進めていました。当時は受託開発もしていました。それが、2013年に資金調達をしてMisoca一本でやっていくと決めて、プロジェクトも3〜4人で進めることになった際に「スクラム」を採用したのが始まりです。

最初は、ホワイトボードに付箋を貼ってかんばん管理するという方法でした。それが、リモートメンバーが増えてくると、アナログでかんばん管理するということが困難になっていきました。カメラでホワイトボードを映しながらリモートで繋ぐなんてことをしていたわけですが、それ自体がストレスになってしまいます。そこで、クラウドツールを採用することを考えて、Trelloに落ち着きました。

大井田:

リモートメンバーがいるということで気をつけておられることはありますか?

豊吉:

オフラインでのやりとりもきちんとテキストで共有するということですね。おそらく他社さんと比較すると、Trello内のやり取りなどは非常に多いと思いますし、一部の人の間だけで完結してしまったタスクや途中のやり取りなどもきちんと共有しようというルールは徹底しています。

社内のそういう空気の影響で、Trelloのエクスポートツールを独自開発したエンジニアもいるほどです。

大井田:

それは頼もしい限りですね

全員がプロジェクトの当事者になれるように、と考えているのが独自性かも

大井田:

Misocaさんが特に工夫をしている点というと

豊吉:

こだわっているのは、プロジェクトの「はじめ」と「終わり」です。どんな小さなプロジェクトでも、始まりは「インセプションデッキ」を書いてチームで共有するところからです。そして、最後は、プロジェクトの振り返りをして、知識として社内資産化します。プロジェクト管理とは、「振り返りプロセスを通して、ものごとを改善してもっとよくしていこう」という試みだと考えていますから、この最後の振り返りはもっとも重要ですね。

大井田:

インセプションデッキについて、もう少し教えていただけますか

豊吉:

プロジェクトの目的、やること・やらないこと、「品質」「スコープ」「予算」「期間」の優先順位、どれを大事にするかということを、このプロセスを通して、チームメンバー全員の意識合わせをします。

引用:
インセプションデッキとは、

インセプションデッキは10個の質問と答えから構成されます。
我われはなぜここにいるのか(Why1)
エレベーターピッチを作る(Why2)
パッケージデザインを作る(Why3)
やらないことリストを作る(Why4)
「ご近所さん」を探せ(Why5)
解決案を描く(How1)
夜も眠れなくなるような問題は何だろう(How2)
期間を見極める(How3)
何を諦めるのかをはっきりさせる(How4)
何がどれだけ必要なのか(How5)
この10個の質問は、顧客(ステークホルダー)と開発チーム間で認識を合わせるべき重要な項目といえます。
https://blog.nextscape.net/research/agile/inceptiondeck
https://agilewarrior.wordpress.com/2010/11/06/the-agile-inception-deck/

大井田:

スクラムイベント、具体的には週次のミーティングやいわゆる朝会などはどうしていますか?

豊吉:

振り返りのミーティングは、KPT法を用いています。これは、そもそもTrelloで管理できるようにしています。「Keep」「Problem」「Try」とそれぞれのリストが存在します。ミーティング時には、KPTのカードをすべて音読して共有するところから始めています。改善すべきことがあればタスク化し、その実施がどういう結果に至ったかというところまで、きちんと管理できるようにしています。

大井田:

チームメンバーの役割はいかがですか

豊吉:

ミーティング時には、ファシリテータ、タイムキーパー、議事録係を決めます。これは、特定の人がいなくてもミーティングができるようにと考えていったらそういう方向が決まったとも言えます。特徴的なのかもしれませんが、大袈裟に言うと誰もがプロジェクトを率いることができる体制を目指しています。

大井田:

その体制のための工夫もされていますか

豊吉:

はい。これも、Trelloを使っています。どのプロジェクトにも、「はじめに」というリストを作ります。ここに、プロジェクト運用に関する「マニュアル」を置いています。例えば、ドキュメントを作る際のルール、週次スクラムミーティングの進行ルール、など幾つものルールが誰でも確認できるようにまとめています。

大井田:

なるほど。それはユニークですね。カードをドキュメントとして活用されるわけですね。こうしてお話を伺っていると、Trelloを使い込んでおられる印象ですが、そもそもアナログから移行される時に困ったことはなかったですか? あるいは、物足りなさを感じられたとか

豊吉:

それはやはり、一覧性とか即時性という点でどうしても劣るな、と思っていました。オンラインツールの宿命でもありますが

Misocaらしさが失われない開発スタイルがあると思う

大井田:

他に、開発スタイルとしてMisocaさんの独自性というと

豊吉:

「ペアプログラミング」を大事にしている点ですね。いま、Misocaはエンジニアの数も約20人になっていますが、うちリモートメンバーは7名です。昨年1年間で、エンジニア数が1.5倍になっています。開発言語はRubyが主ですが、採用のときは開発スキルというよりは開発に関する文化が折り合うかということを重視しています。

ペアプログラミングに慣れていただく必要もありますし、開発以外の社内カルチャー、例えばランチでの話題に違和感がないなんていうマッチングも非常に大事だと思っています。

ペアプロを重視するがゆえ、技術的にはとても優秀なのにテキストコミュニケーションの苦手な方の採用を見送ったというケースもありました。

引用:

ペアプログラミング(ペアプロ)とは、
ペアプログラミング(英: pair programming)は、2人のプログラマが1台のワークステーションを使って共同でソフトウェア開発を行う手法である。 一方が単体テストを打ち込んでいるときに、もう一方がそのテストを通るクラスについて考えるといったように、相補的な作業をする。
https://codezine.jp/article/detail/10264
https://gist.github.com/j5ik2o/2970973

大井田:

採用については、当社もいま悩みながら前進中です

豊吉:

もう一つあげるとすると、プロジェクトについて兼任させることはほぼないですね。一人1プロジェクト体制です。

大井田:

というと、さきほど誰もがスクラムマスターになれるようにとお話がありました。ベロシティというか、生産性管理みたいなことはどうされているのでしょうか?

豊吉:

いわゆるマネージのできる人(あるいは得意な人)とまだ勉強中という人たちとの比率が、1:2くらいなんです。プロジェクトごとにその力量差がどうしても現れるので、現状ではバランスをうまくとって任せるという考えで進めています。ストーリーポイント算出もプロジェクトごとに任せており、そこは厳格に管理していないです。

大井田:

ずばり、いまMisocaさんでプロジェクト管理という視点でお悩みのことはありますか?

豊吉:

進行の可視化がもう少しうまくできれば、という点でしょうか。これは、タスクをスプレッドシートにインポートしてバーンダウンチャートを表示するなんてことをしているくらいです。

大井田:

なるほど。それは他社さんでも同様の試みをしていると伺いますね

未来志向のエンジニアへ向けて

豊吉:

開発スタイルというのは、どんどん変わる必要があると思っています。組織のあり方にもよりますし、チームの人数によっても変わるでしょう。ただし、「振り返り」がとことん大事で、それがベースだと思います。「振り返り」によって、しばらくしたら見違えるような組織になっていた、なんてこともありうることだと考えています。
Misocaも、いまでは開発についてぼくが決めていることはほとんどなくて、実際には開発に充てる人数を決めてる程度です。ですから、今回こういう機会をいただいて、多くのエンジニア仲間に伝えるとすると、「変わる」チームをたくさん作っていくこと。みんなで、そういう試みをもっと前進させていきたいですね!

大井田:

とても励みになるメッセージです。当社もそういう応援のできる会社でありたいです。
本日はどうもありがとうございました。

豊吉:

ぼくも、タスク管理は好物なので、楽しいお話でした。
もう一つ感じたのは、自分自身はプロジェクト管理について、こうしたい・ああしたいとよく考える方だと思うのですが、いざこんな機会をいただくと意外と出てこないものでした。やはり、「現場」で変えるもの、ということなのかと実感しましたね。

取材を終えて

Misoca(ミソカ)とは、データを入力してボタンをクリックするだけで簡単に請求書の作成・発行から郵送あるいはCSVエクスポートまでができるWebサービスです。現在では、なんと20万ものユーザー(2017年10月時点)を抱えておられます。
豊吉さんは、2016年2月に弥生株式会社にバイアウトしていることを「運が良かったから」とお話されていましたが、ロジカルな考え方、かつそれを実践してこられたことこそがその道を切り拓いたのだと、改めて感じ入りました。豊吉さんは、静かに熱い人物でした。
お忙しい中、時間をいただきましてありがとうございました。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

「HRテック」の登場は企業の採用活動をどのように変えていくのか?

「HRテック」という言葉を聞いたことはありますか? 人工知能などの最新技術を駆使したHRテックを人事業務に導入することで、採用のあり方、ひいては働き方全体のあり方が大きく変わるかもしれません。具体的なHRテックのサービスを紹介する前に、まずは日本の採用制度の歴史から見ていきましょう。

HRテックによって私たちの働き方が変わる

日本の採用制度の歴史

日本では学生の期間中に就職活動を行って内定をもらい、卒業後すぐに新卒として働き始めるという、いわゆる「新卒一括採用」という形で採用を行っています。この慣行は日本では戦前から行われてきたものですが、実は世界に類を見ない日本独自の採用制度です。

この日本の採用制度に変化がもたらされたのは1960年代のことです。1962年に大学新聞広告社が『企業への招待』という名前の求人情報誌を発行しました。この冊子は企業の求人広告だけで構成されているという当時からすると画期的なもので、それ以前は縁故での紹介が中心だった求職活動を、学生の側から情報を見比べることで就職先を選ぶという現在まで続く形へと転換させました。

大学新聞広告社はその後何度か名称を変えながら現在は株式会社リクルートホールディングスとして多角的なビジネスを行なっています。また、『企業への招待』にあたるサービスは、現在ではウェブサービスの「リクナビ」として知られています。

採用制度が変わると働き方が変わる

現在主流になっているリクナビやマイナビなどの求人情報サービスを通じての一括採用には、さまざまなメリットやデメリットが指摘されていますが、一つ確実に言えるのは、テクノロジー(あるいは「仕組み」)が社会に広まることによって、採用のあり方が大きく変化するということです。

そして採用のあり方が変わると、働き方もまた変わってきます。よく指摘されていることですが、新卒一括採用の制度は、終身雇用や年功序列といった他の人事制度との関わりの中で維持されてきました。つまり、新しいテクノロジーによって採用のあり方が変わると、これらの古くから続く制度に影響が与えられて、私たちの働き方全体が変わる可能性を秘めているのです。

それでは、人事業務を支援する最新技術であるHRテックの登場は、私たちの働き方にどのような影響を与えるのでしょうか?

企業の採用活動を支援するHRテック

HRテックとは何か

HRテックとは、Human Resources Technologyの略で、人事活動を支援するテクノロジーを意味します。人事支援のためのサービスは以前から存在していましたが、近年になってビッグデータの分析やディープラーニングなどの技術を簡単に利用できるようになったため、これらの技術を活用した新しい人事サービスが数多く登場してきています。

そこで、「フィンテック(金融×テクノロジー)」や「エドテック(教育×テクノロジー)」にならい、それらの新しいサービスを指して、HRテックという言葉が使われるようになりました。HRテックがカバーする領域には、採用・育成・管理などの幅広い人事業務がありますが、ここでは、採用の領域に絞ってサービスを紹介したいと思います。

採用に関するHRテックのサービスには、大きく分けて「求人支援サービス」と「採用管理サービス」の二つの領域があります。求人支援サービスは、企業の求人情報を求職者に対して届ける支援を行い、採用管理サービスでは、選考フローの中で企業の人事担当者が抱える問題に対する支援を行います。いずれかに特化しているサービスもありますが、現在では両者が統合化されている場合が多いです。

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求人支援HRテック

以前は新聞や大学の学生課などで目にしていた求人広告ですが、現在はウェブ上の求人情報サービスを介して見ることが当たり前になりました。それでも、企業の求人情報を見て、そこから気に入った企業に対して応募するというプロセスは、旧来の求人広告と変わりません。

そういった中、近年、「ソーシャルリクルーティング」という新しい採用の形が登場してきています。ソーシャルリクルーティングとは、実名で登録したソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を通じて人事担当者と求職者がやり取りをし、採用活動を行うというものです。サービスとしては米国発のLinkedInが世界最大の規模でソーシャルリクルーティングのプラットホームを提供しています。国内企業では、Wantedlyが「ビジネスSNS」として同様のサービスを展開しています。

この方法は、従来の採用と比べて応募者の個性を多角的に見ることができるので、入社後のミスマッチを防ぐことができると言われています。現在は中途採用市場での用途がほとんどですが、新卒採用でも活用される機会が増えれば、働き方全体に大きなインパクトがあるかもしれません。

採用管理HRテック

次に、人事担当者が採用フローの中で抱える問題を解決するためのHRテックを紹介します。採用管理HRテックのサービスは多数存在していますが、そこに共通するキーワードは、「一元化」「自動化」です。

①人事業務を一元化する
人事担当者は多くの応募者の経歴や評価、面接の日程などの情報を整理しなければなりません。また、複数の求人情報サイトで情報を発信したり、それをいくつものSNSと連携させたりと、非常に手間がかかります。さらには採用以外にも給与計算や勤怠管理など、人事担当者の仕事は多岐にわたります。

そこで、このような作業をすべて一元的に管理し、その上で、そこから得られたデータを分析し、「見える化」できるようにするサービスが登場しています。このようなサービスには、株式会社ビズリーチが運営するHRMOS(ハーモス)や、株式会社Donutsのジョブカン、株式会社ネオキャリアによるJinjerなどがあります。

②人事判断を自動化する
もう一つのキーワードに「自動化」があります。これは、上に述べたように応募者のデータや面接のスケジュールを自動的にまとめてくれるということ、そして、現在は人事担当者が行っている判断を、人工知能による判断に任せて自動化するということを意味しています。現段階では人事業務を完全に自動化するということは現実的ではありませんが、人工知能技術の急速な発展を考えると、非常に将来性のある領域だと言えるでしょう。

もっとも、現在でも人事的な判断は部分的に自動化されています。例えば、SPIなどの適性検査では、応募者の思考力や性格を機械的に分析し、それをもとに人事担当者が判断を行っているので、判断を部分的に機械にゆだねていると言えるでしょう。それでも今後は、人間が気づかないような事項の判断を自動化させる流れがさらに加速していくと思われます。

そのような先進的なサービスの一つに、Institution for a Global Society株式会社が提供しているGROW 360があります。GROW 360は、自分のパーソナリティーに関する自己評価や他己評価をスマホアプリで行ない、その結果を、選択肢を選ぶ際の指の動きまで含めて人工知能に分析させることで、自分自身でも気づいていないような潜在的な能力を見極めることができます。

HRテックは職場をより良い場所に変えるのか?

米国で採用管理HRテックサービスを提供しているGreenhosue社の創業者、ダニエル・チェイト(Daniel Chait)氏は、TechCrunch誌のインタビューで以下のように発言しています。

「例えば、電話越しでの技術的なスクリーニングを突破しても、いつも対面での面接になると落ちてしまう応募者がいるよね。対面の面接は電話よりもコストがかかる。そこで、私たちのサービスを使って、のちの採用フローで落ちてしまう応募者のパターンを特定し、彼らを初期の段階ではじくための方法を提案したいと思っている」

https://techcrunch.com/2015/03/11/i-have-people-skills/ (訳は筆者による)

このような未来は一見恐ろしいように思われるかもしれません。しかし、面接にたどり着く前に人工知能によって落とされる応募者は、たとえ落とされてなかったとしても、面接で人事担当者に落とされる可能性が非常に高いのです。人工知能によって事前に彼を落としていた場合には、人事担当者と応募者双方の時間が無駄になることが未然に防がれているので、これは双方にとって望ましい状況のはずです。

確かに、人工知能による判断によって自分の人生が左右されてしまうのには抵抗感があります。しかし、直感やフィーリングに頼った判断をしがちな人事担当者よりも、データに基づいた論理的な判断をする人工知能に任せたほうが、多くの人にとって充実した働き方が実現できるのかもしれません。

>>「HRテックでエンゲージメントを補強できる可能性」を読む

「「HRテック」は企業の採用活動をどのように変えていくのか?」についてのまとめ

日本の採用制度の歴史を概観した後で、テクノロジーによって働き方が変わる可能性があるということを指摘し、採用に関するHRテックを紹介してきました。

ここで紹介してきたHRテックのサービスは、いま現在では先進的なベンチャー企業よって採用されているものが多いですが、今後、同様のサービスが社会全体に広がっていくと考えられます。

社内コミュニケーションを活性化させて最高のチームを作るための5つのポイント

誰もが、最高のチームに所属し、仕事上の成功を収めたいと願っています。最高のチームをつくるためにはよいチームコミュニケーションが不可欠です。コミュニケーションは、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えることができる、大事な要素なのです。企業が、コミュニケーションに効果的な活動や行動を採用して、強いチームをつくることができれば、チーム作りを通して企業の競争力を向上させることもできます。
この記事では、コミュニケーション戦略を改善し、チームを結びつけ、意欲を高める新しい戦術を紹介していきます。この記事で紹介した内容を、最高のチームを作るためにぜひ実践してみてください。

最高のチームを作るためには?

企業が従業員を管理する上で、不足していると問題なこととはなんでしょうか? 以下の5項目が欠けていると、企業と従業員との間にエンゲージメントが得られず、よい仕事やチーム作りに支障がでるといいます。

  1. 職員と管理職とのコミュニケーション
  2. 承認と賞賛
  3. トレーニングや教育機会
  4. スケジュールの柔軟性
  5. 従業員が持つ権限

逆を言えば、上記の5項目の不足を解決できれば、よいコミュニケーションとチーム作りをすすめられると考えられます。従業員が不足を感じがちなことを、解消できるようにするためにはどうすべきでしょうか?

1. 「職員と管理職とのコミュニケーション不足」を解消するには?

仕事に取りかかる前に、まず初めに計画や立案を行おう

「良いアイディアには、それらが持つ潜在的な可能性を実現するための良い戦略が必要です」- Reid Hoffman、LinkedIn創設者

社内コミュニケーションを使ってチームとあなたの会社のために何をしたいですか? どのようにその目標に到達しますか? 今は目標に対して、どこに立っていると思いますか? 改善が必要な点がありますか? あなたは目標をどれくらい達成したいですか?

とりあえず目の前の仕事を片付けようと手を付ける前に、上記のような質問をしてみて、社内のコミュニケーション戦略や計画を作成してください。どのようにレイアウトするかは、あなた次第です。あなたが望むように、それをシンプルで、かつ精密で具体的にしてください。適切に策定された戦略を立てることができれば、あなたは戦略に必要な人材となり、社内のコミュニケーションの成功に効果的です。少なくとも、仕事を何から始めるべきかも分かります。

行動につながるコミュニケーションを心がけよう

「競争力を維持し、ビジネスを成功させ続けようと思う企業は、同僚を関与させ、動機付け、そして鼓舞する必要があります」 – Viktoria Tegard、Virgin Atlantic Airways社内コミュニケーション担当責任者

社内のコミュニケーション活動が最終的に行動に繋がるようにしましょう。ヴァージン・アトランティックのヴィクトリア・テガードが、上記の引用文で言及しているように、社内のコミュニケーションはあなたのチームを関与させ、動機付けて、鼓舞するものであるべきです。伝えるメッセージに行動を促す言葉を含めたり、モチベーションを高めるような言葉や会社のミッションを共有しましょう。そして、特定の業績に対しては個人またはチームに報酬を与えることをはっきりと伝えましょう。

2. 「承認と賞賛の不足」を解消するには?

目的と目標を公開しよう

会社、チーム、個人の目標をオンラインで公開し、目視できるようにしましょう。コミュニケーションがうまく機能していない企業の経営陣の多くは、ビジネス戦略を効果的に従業員に伝えられていません。コミュニケーション不全は、生産性を低くし、また社員に望まない動きをさせることに繋がります。目的や目標を明確にし、自分の立ち位置ややりがい、仕事の達成度を認識させやすくしましょう。チームマネジメントのための目標の定め方については、よいチームマネジメントのための目標の定め方。常に「チーム全体」で目標を達成するためににまとめています。

フィードバックとアイデアのためのチャネルを提供しよう

a-b-c-d-e-fという文字を含む最も短い英単語が「feedback」であることを知っていましたか? それはさておき、フィードバックは企業の存続と成功にとって不可欠です。これには、顧客からのフィードバックだけでなく、従業員からのフィードバックも含まれます。

思考やアイデアの表現が足りないところがありませんか? チームが現場、製品、将来の潜在的な製品、または会社全体についてのフィードバックを提供し、アイデアを共有するためのチャネルを提供できるようにしてください。チャネルはオフィス内のホワイトボードでも、社内の掲示板やチャットあってもかまいません。これらのチャネルを持つことで、素晴らしいアイデアや有益な批判を知ることが可能になるのです。フィードバックのためのポイントは、現代のチームに「刺さる」フィードバックをするための3つのポイントとはに詳しく書いてあります。

内部コミュニケーションを使用して、成功を認識し、賞賛する

ごくわずかでも賞賛でも、社員に対して長期にわたる効果を持ちます。米国心理学会の2012年の調査によると、自らの価値が高いと感じている従業員は、関与、満足度、動機づけのレベルが高いことが分かりました。社内ニュースレターやチャットアプリケーションなどを通じて、個人やチーム、部門の成功を発表し、表彰を行いましょう。従業員の士気をあげることは、企業の生産性や成長にとって有益なことになります。

3. 「トレーニングや教育機会の不足」を解消するには?

従業員のトレーニングを促進しよう

会社は、社員に対してどのような福利厚生や社内資源を利用できるかを伝える必要があります。これには、基本的な健康保険や企業が主催するセミナー、社外で受けるトレーニングの機会、およびキャリア構築のワークショップまでのすべてを含めます。メールやチャット、社内ブログ、または個人のチームミーティングを組み合わせて情報を伝えて、これらの利用を促しましょう。社員が会社を通じて、個人的な教育、専門的分野でトレーニングを行うことによって、長期的には誰もが利益を得ることができます。

ビジュアル化した情報でトレーニングをしてみよう

「ビジュアルはアイデアをかみ砕いて表現してくれる」- Kim Garst、Boom SocialのCEO

よく引用されている統計によると、人口の65%が一般的な学習よりも視覚のほうがより深い理解をすると考えられています。そのため、ビジュアル化された情報や教育は、テキストよりも情報を強い印象で与えることができます。伝えたい内容やトレーニング内容を印刷するのではなく、デジタル化しましょう。テレビをオフィスに設置し、ビジュアルメッセージを表示してもよいでしょう。ビジュアルで行うトレーニングや教育は、きっと強い効果を与えてくれるはずです。

4. 「スケジュールの柔軟性の欠如」を解消するには?

適切なツールを使用しよう

「私はコミュニケーションを促すためのどんなツールも、どのように人々がお互いから学びあうのかという点で大きな影響力を持っていると信じています」- Bill Gates

チームはいつも忙しいので、無駄な摩擦をたくさんひき起こす内部通信システムに煩わされたくはないでしょう。大きな会社ほど、ログインに時間をかけすぎさせられたり、イントラネットに侵入するのに手間取ったりすることもあるでしょう。

そのため、使いやすいチャット専用のアプリケーションを使用したり、可能な限りGoogleドライブなどのクラウドを使用したり、メールやカレンダー、ドキュメントを1つのプラットフォームに統合するなどして、イントラネットに時間をかけすぎないですむように簡潔化をすすめましょう。そのようなツールを使い、時間の使いかたを有効にし、効率化と生産性を向上させていけば、スケジュール調整もうまく機能するようになり、柔軟性も生まれることでしょう。

会議の代わりにオンラインツールを使用しよう

不必要なミーティングは、時間のロスを引き起こす犯人の一つです。不必要なミーティングを減らすために、オンラインチャットを使用したり、クラウドデータ共有などでチーム内の情報伝達や更新、レポートを確認しあいましょう。

働き方の多様性が叫ばれている今日、リモートワーカー、在宅勤務者とも円滑なコミュニケーションを保つ努力が必要です。チーム内にリモート勤務者がいれば、なおいっそうオンラインツールを駆使して、会議を減らし、情報共有を心がけましょう。コミュニケーションを改善していく努力は、リモートワーカーの生産性を向上させることにもつながります。

定期的なプロセスを確立しよう

ひと月に一度、大きな会議で情報共有することが望まれる時代は過ぎ去りつつあります。社員は、一昔よりも時間が早く過ぎていくと感じており、そのため、仕事内容に必要な情報は常にリアルタイムでアップデートしたいと望んでいます。
リモートワークの制度があるなど働き方に多様性のある職場では特に、コミュニケーションをしやすい方法で毎週行うべきでしょう。

可能な限り進捗状況を把握し共有しよう

「計測し、監視しているものはすべて成長する」- Bob Parsons、GoDaddy創設者

企業の業績を定量化し、どのように評価しているかを知ることができれば、社員にも役立ちます。従業員に現在や過去の業績、業績動向、達成目標、およびその目標達成の進捗状況を伝えましょう。企業、異なる部門、さらには個人の目標までの道程を提示することによって、異なるレベルでチームを動機づけすることができます。

5. 「従業員が持つ権限の不足」を解消するには?

部門間のコミュニケーションとコラボレーションを促進しよう

「個人間、グループ間、グループ内、組織内、あるいは組織外のレベルのいずれにおいても、効果的なコミュニケーションはビジネスの成功に欠かせない要素です」- Mike Myatt、N2Growth創設者兼会長

異なる部署間のQ&Aセッションや特別なミーティングを開催し、コミュニケーション、コラボレーション、洞察力の共有を実現しましょう。そうすれば、学んだ内容に加えて、部門が互いに孤立していると感じることを防いでくれます。ほか、他部門を知ればその分、大きな視点を得ることにもなり、権限不足などを感じる前に問題解決できるような助けにもなることでしょう。

また社内コミュニケーションを促進化するヒントが欲しいと思っている人は、あわせてこちらも読んでみて下さい。
よいチームマネジメントのための目標の定め方。常に「チーム全体」で目標を達成するために

ソーシャルメディアの企業関連利用を奨励しよう

私たちは、もうソーシャルメディアの存在を無視することはできません。FacebookやTwitter、Instagramなどで、社員が仕事をしたり楽しんだりしている様子を公式ページに投稿してみましょう。それによって従業員のエンゲージメントや士気を高めることに繋がります。

まとめ

社内コミュニケーションが不足して、社員のモチベーションがさがったり、チーム内でのコミュニケーション不全に陥りそうな問題に直面したら、上記のことをためしてみてください。そしてそのあとで、下記のふたつの考えを理解し、試してみることをおすすめします。

仕事自体も、仕事周辺のことも楽しむ

「楽しみは私がビジネスをしたいと思うことの中核であり、やってきたすべてのことにとって当初から重要だった」- Richard Branson

仕事は楽しいものではないと考えられています。2013年の調査によれば、ミレニアルズの88%が「楽しい職場環境」で仕事をしたいと考えています。仕事は楽しいものであるべきなのです。そのために、仕事内容にも、コミュニケーションにも楽しみを感じられたらよいでしょう。

例えば、チャットアプリケーション内に、特定のチャンネルをつくり、チームメンバーが不気味なニュース記事、面白いYouTubeビデオ、面白いと感じるものを共有したりして親睦を深めている会社もあります。働きながら、仲間意識を築き、楽しみや息抜きをできる新しい方法です。

大義を見失わないようにしよう

「より高い目的に訴えれば、皆が一体感をもって働くことができる」- Fran Maier、Match.com創設者

具体的な目標を共有し、それを伝えることは素晴らしいことですが、それはあなたの会社の重要な目標、使命、その他の文化要素を忘れさせてしまう可能性も有しています。従業員に日々のことに加えて、忘れてほしくない大義やスローガンを積極的につたえましょう。電子メール、デジタルディスプレイ、または社内ニュースレターにそれらを示し、会社が持っている本来の目的や夢、大義を社員に浸透させましょう。

この記事は下記2記事を翻訳、加筆したものです。
https://blog.enplug.com/internal-communications-best-practices-2017
https://www.inc.com/graham-winfrey/10-ways-to-improve-internal-communication.html

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アジャイル開発を導入する前に経営者・リーダーが読んでおくべき一冊は?

アジャイル開発とは、短い開発期間単位を採用し、リスクを最小化した開発方法のことで、その名の通り「アジャイル=素早く、俊敏な」ソフトウェア開発を可能にしました。近年このアジャイル開発の導入を進める企業が多く見られますが、うまく機能しないという声も聞かれます。それはなぜなのでしょうか。
今回はこのアジャイル開発の導入を検討している方に、実際にその取り組みをスタートする前に読んでほしいおすすめの本をご紹介したいと思います。

1. アジャイル開発とは?

アジャイル開発は米国で生まれ、従来の計画駆動型の重量級な開発手法(ウォーターフォール開発手法など)から脱した画期的な手法として欧米を中心に広まりました。2001年にIT業界において著名な人々が集まり、「アジャイルソフトウェア開発宣言」をまとめたことがきっかけで広まったと言われています。その宣言には以下のようなことが書かれています。

「私たちは、ソフトウェア開発の実践あるいは実践を手助けをする活動を通じて、よりよい開発方法を見つけだそうとしている。この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。プロセスやツールよりも個人と対話を、包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、契約交渉よりも顧客との協調を、計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。」
アジャイルソフトウェア開発宣言(http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html)より

そして、このアジャイル開発は、従来のウォーターフォール開発と比較して、約3倍の成功率を誇ることがアメリカの調査結果で発表されています(CHAOS REPORT 2011)。あくまでこれはアメリカでの調査ではありますが、変化を受け入れないウォーターフォール型よりも、変化を受け入れるアジャイル型のほうが高い成功率をおさめることができるということが実証されています。

2. アジャイル開発はなぜうまく機能しないのか

このようにアメリカでは数多くの成功事例のあるアジャイル開発ですが、日系企業においてはなかなかうまく機能しないという意見が多くあるのはどうしてでしょうか。

Scrum.Inc トレーニング&オペレーション担当バイスプレジデントのAvi Schneier(アヴィ・シュナイアー)氏によると、日本の「礼儀」や「組織の階層」が邪魔をして、自由にものを言いにくくしていたり、階層が多いためにアジャイル開発本来のスピードが出せず、行動が遅くなっているからだそうです。そのうえで、アジャイル開発によるイノベーションを起こすためには、米国企業のような階層の少ないフラットな組織が適していると言っています。

また「変化を恐れる勢力」が障壁となり、アジャイル開発本来の目的である「結果を出すこと」よりも、レポートを出すことが目的になりやすいという原因もあります。したがって、アジャイル開発の効果を十分に発揮するためには、ただ単純にこの手法を取り入れるだけではなく、手法を活かすための組織・フレームワーク全体の改革が必須であると言えるのです。

≫「アジャイルで大規模開発を成功させたIBMの事例」はこちら

3. アジャイル開発を導入する前に読んでおきたいおすすめの本

それでは実際にアジャイル開発を導入した日系企業は、どのような壁にぶつかり、改革を進めていったのでしょうか。

アジャイル開発に関連する書籍には翻訳本が多い中で、今回ご紹介するのは、日本におけるアジャイル開発の第一人者、平鍋健児氏と、世界的な経営学者でありスクラムの提唱者、野中郁次郎氏による、日本の企業経営者・リーダーのための良書です。スクラムとはアジャイル開発の手法の中の1つで、技術的な要素ではなく、チーム一体となってプロジェクトを進めることに重きを置いた手法のことで、アジャイル開発の手法の中でも主流のものとなっています。

『アジャイル開発とスクラム~顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント』平鍋健児氏・野中郁次郎氏著

構成は大きく分けて3つのパートに分かれています。

第1部「アジャイル開発とは何か、スクラムとは何か」

アジャイル開発、スクラムの定義、なぜ今この手法が必要とされているのかについての背景など、体系的に説明されています。

第2部「アジャイル開発とスクラムを実践する」

ここでは実際にアジャイル開発・スクラムを導入した企業の例が書かれています。業界をリードする日系3社「リクルートテクノロジーズ」、「楽天」、「富士通ソフトウェアテクノロジーズ」における事例が紹介され、実際に彼らが経験した困難や挑戦について知ることができます。

第3部「アジャイル開発とスクラムを考える」

ここでは、アジャイル開発とスクラムについて更に掘り下げた内容が書かれていて、スクラムを提唱したJeff Sutherland(ジェフ・サザーランド)氏のインタビュー記事も含まれています。また、スクラムを実践する、新しいリーダーシップ像についても触れられています。

翻訳本とは異なり、日本の企業文化を考慮した視点で書かれているため、より具体的にアジャイル開発の導入イメージを得ることができる著書です。実際の導入をスタートする前に、まずは意義や考え方、日系企業の導入例について知っておきたいという方にまず一番におすすめしたい本なのです。

「【経営層・リーダー向け】アジャイル開発を導入する前に読んでおきたいおすすめ本」についてのまとめ

アメリカでは主流となったアジャイル開発ですが、その手法をそのまま日本の企業にあてはめようとしても、企業文化やプロセスの違いからあてはまらないことがあります。したがって、導入を検討する際には、まずはアジャイル開発の特性をつかみ、なるべく日系企業の事例を収集して、自社への導入時の想定をすることが大切です。今回ご紹介した本もその内の1つとして、参考にしていただければと思います。

参考サイト

NECソリューションイノベータ:(http://www.nec-solutioninnovators.co.jp/column/01_agile.html)
アジャイルソフトウェア開発宣言:(http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html)
野村総合研究所: (https://www.nri.com/jp/journal/2017/10/20171025/)
株式会社ライジングサン・システムコンサルティング(https://risingsun-system.biz/why-agile-method/)
Yahoo Japanニュース「Scrum Inc.に聞く、アジャイル開発がうまくいかない理由と、イノベーションを起こすために必要なこと」(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171121-00000007-zdn_ait-sci)
Amazon.co.jp: (https://www.amazon.co.jp/gp/product/4798129704/ref=as_li_tl?ie=UTF8&tag=ctoforgood09-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4798129704&linkId=41888f5a8f5a1baa4fbe83ce226e38f8)
SE Book: (http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798129709)

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身の回りの小さな変化に敏感になってチャンスをつかむための方法

変化に柔軟に適応していくことは、ビジネスパーソンにもっとも重要な能力の一つといっても過言ではありません。では、どうすれば変化を敏感に捉えることができるのでしょうか?
そのためには考え方を少し変える必要があります。本稿では、その方法を紹介するとともに、時代の変化をマクロな視点で考えるきっかけを提示していきます。

これから30年の時代の変化をみてみよう

「変化」に敏感になる方法をご紹介する前に、まずは頭の体操として、これから30年にわたる時代の変化いわゆるメガトレンドについて俯瞰してみましょう。これによって、既存のあり方が大きく変容しうるということを直感的にイメージできるようになるはずです。

① 加速する人口増加

国際連合の「世界人口予測2017年改訂版」によると、現在76億人の世界人口は、2030年に86億人、2050年には98億人に達すると予測されています。また、2050年までの世界人口増の半数は、インド・ナイジェリア・コンゴ民主共和国・パキスタン・エチオピア・タンザニア・アメリカ・ウガンダ・インドネシア、の9カ国の人口増によるとされています。主にアフリカ地域における人口増が顕著ですね。アフリカ市場は未開拓な部分も多いため、今後の経済成長を牽引する地域になるとしても、おかしくはありません。

② 枯渇する自然資源

WWFの”Living Planet report 2010″では、「2050年までに人々が今の生活を続けた場合、地球2個分の自然資源が必要」と発表されています。これは衝撃的な予測だと思いませんか? 当然、地球は1つしかありませんので、何らかの対策を講じることが不可欠でしょう。これを放っておくと、世界中で、食料・水・エネルギーが枯渇します。

③ 高齢化する社会

国際連合の調査によると、2015年には8.3%だった65歳以上人口比率が、2060年には18.1%になると予測されています。なお、対象を先進地域に狭めると2060年には27.4%の人が65歳以上になるとされています。これによって、先進国では、社会保障費の増加・世代間格差・労働人口減少が深刻な問題になります。ちなみに日本はその高齢化レースのトップを走っている国になります。

いかがでしょうか? ここで紹介した3つの例だけでも大きな時代の変化を感じることができたかと思います。頭の体操ができたところで、次の章に進んでいきましょう。

木を見て森を知る

「木を見て森を見ず」という言葉があります。これは、細かいことばかりに気を留めて、大きな視野で物事を見ないことに対して警鐘を鳴らしていることわざですが、現代では、「木を見て森を知る」ことが重要になってきているのかもしれません。

一体どういうことでしょうか? この言葉は、些細な変化の兆しから、大局の推移を概観するということを意味しています。どんなに大きな変化であっても、その兆候は些細な変化であることが多いです。例えば、近頃、コンビニや飲食店などで外国人が多く働くようになりました。この変化は、もしかしたら見逃してしまうかもしれない些細なものですが、それを大きな変化の兆しとみて考えるならば、その背景に、少子高齢化による労働人口減少で人手不足が慢性的に起きており、そのマンパワーを補うためにコンビニや飲食店は、外国人留学生の雇用を強化しているということが潜んでいることに思い当たることができます。

これがまさに、「木を見て森を知る」ことです。ここでは一例を紹介しただけですが、普段から些細な変化に気づいて、時代の推移を知ることが癖になれば、学びを習慣化することができます。本稿の読者には、ぜひとも実践していただきたい方法です。

変化に敏感になることによってもたらされるメリット

ここでは、変化に敏感になると、どのようなベネフィットを享受することができるかについて説明します。大きく分けて、3つのメリットがあります。順番に説明していきます。

① チャンスを掴める

まず、1つ目のメリットは、「チャンスを掴める」ことです。世の中やビジネスにおける変化に人より早く気づくことで、将来を見据えた打ち手をとることができます。現在のビジネスシーンにおいては、市場が成熟するのを待ってから製品やサービスを生み出すのでは、到底利益を掴むことができません。変化の兆しにいち早く気づけば、大きな先行者利益を得ることができます。すなわち、チャンスを掴むことができるのです。

② リスクを回避できる

次に、2つ目のメリットは、「リスクを回避できる」ことです。これは、データや設備等の異常に気づくことで、大きなトラブルを回避することができるということです。一方、変化に鈍感な人は、危険信号が出ているにも関わらず、それをキャッチすることができず、大きな不利益を被ってしまいます。こうならないためにも、変化には敏感でいなくてはいけません。

③ 成長できる

最後に、3つ目のメリットは「成長できる」ことです。これは、成長する主体が組織の場合は、前述したチャンスとリスクに正しく対応することで利益を得て、不利益を回避することができるため、大きな成長が期待できます。また、成長する主体が個人である場合にもメリットがあります。それは、行動を通じて自分自身が変化していることに気づくことで、自分の成長を実感することができ、そこから新たなモチベーションを得て更に、成長を続けるという好循環に身を置くことができるからです。組織にとっても個人にとっても、変化に敏感であることには、成長を促す効果があるのです。

どうすれば小さな変化に気づけるようになるのか

ここまで変化に敏感になるメリットなどを説明してきました。それでは、実際に、変化に敏感になるためには、どのような方法をとれば良いのでしょうか? ここではポイントを3つにまとめました。

① 意識の幅を広げる―カラーバス効果―

変化に敏感になるためには、意識の幅を広げなくてはなりません。ここで「カラーバス効果」について考えてみましょう。カラーバス効果は心理学の用語の一つです。簡単に説明すると、意識していることほど関係する情報が自分のところに舞い込んでくるという現象です。例えば、今日のラッキーカラーは「赤」といわれれば、街を歩いている時に、赤色のものにばかり目がいくようになります。カラーバス効果からもわかるように、意識していることほど、変化に敏感になります。そのため、小さな変化に気づくためには、意識の幅を広げることがとても大切なのです。

② 異なる角度で「見る」「聞く」

いつも何気なく見聞きしていることを、異なる角度で見たり、聞いたりしてみましょう。そうすることで、今までは感じることのなかった微細な変化に気づくことがあります。

例えば、通勤電車に乗っている時に、いつもであれば自分のスマホやタブレットをいじっていて、周りに注意がいくことは多くないと思います。ここで、違った角度で車内の様子を見てみましょう。そうすると、ほとんどの人がスマホをいじっていることに気づくはずです。これは、ここ最近の時代の変化ですが、テクノロジーの進化を実感することができるでしょう。

このように、何気ない日常を、異なる角度で「見る」「聞く」ことで、今までは認識することのなかった変化に敏感になることができます。

③ 思い込みをなくす

思い込みはいつでも創造的な思考を妨げます。なぜなら、新しい気づきを得るためには、既存の価値観に囚われないように想像することが大切だからです。大きな変化であってもその兆候は始めのうちは些細なものです。思い込みを持ったまま、その兆候を見ても、その後にやってくる大きな変化を見抜くことはできません。その理由は、「○○は○○である」と頭から決めつけてしまっているからです。そのため「○○が××になりうる」という可能性に気づくことができないのです。変化に敏感になるためには、まず、思い込みをなくすことから始めてもいいかもしれません。

「身の回りの小さな変化に敏感になってチャンスをつかむための方法」についてのまとめ

本稿では、「変化に敏感になる」ことをテーマとして考察してきました。変化に敏感になるためには、考え方を少し工夫する必要があります。ただ、そのちょっとした工夫をすることで、変化に敏感になることができれば、大きなメリットを享受することができるため、挑戦する価値はあると思います。

<参考>
http://learnbydoing.jp/2012/02/08/megatrend/

 

ミレニアル世代は惹かれてしまう アジャイル開発を導入するメリットとは?

職場で存在感を増しつつあるミレニアル世代。彼らは育ってきた環境がそれまでの世代とは大きく異なっているため、ライフスタイルや働き方における点で、多くの異なった価値観を持っています。その一つに「アジャイルな文化」を好むというものがあります。ここでは、なぜミレニアル世代がアジャイルに惹かれるのかを紹介していきます。

①ミレニアル世代の特徴から考えるアジャイル文化

ミレニアル世代とは、1980年代から2000年前後にかけての時期に生まれた世代で、パソコンやインターネットを使いこなし、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への依存度が高い、いわゆるデジタルネイティブの世代です。

車やマイホーム、海外旅行など、それまでの世代が憧れていたものに興味を持たず、さらには恋愛にも興味がないということが指摘されており、日本では「さとり世代」とも言われているミレニアル世代ですが、働き方に関しても独特の価値観を持っています。

それは例えば「仕事に目的を求める」「仕事の成果を実感したがる」「チームワークを好む」などです。これらの価値観がなぜアジャイルな文化と親和性が高いのかを見ていきましょう。

アジャイル文化

アジャイル開発は、1980年代に、ソフトウェア開発の現場から生まれた新しい開発手法です。アジャイル文化を理解するために、ここでは、従来から用いられているウォーターフォール型の開発手法と対比して説明してみます。

ウォーターフォール型開発


ウォーターフォール型の開発では、製品を開発するまえに、製品の仕様や開発にかかるコストや日数などを詳細に議論し、決定します。そして、その計画に基づいて工程を細分化し、一つひとつ工程をこなしていくことで製品を開発していきます。

この手法には、ガントチャートなどを使って工程の進捗管理を行いやすいなどのメリットがあります。その反面、詳細な計画を事前に作成するので、開発途中での突然の仕様変更や誤作動(バグ)などの予想外の事態に対応することが難しいといった欠点があります。

そして、まさにそのような事態が多発していたのが、ソフトウェア開発の現場でした。そのため、従来のやり方にとらわれない、全く新しい開発の手法がソフトウェア開発者たちによって考案されることになりました。それが「アジャイル開発」です。

アジャイル開発


アジャイル開発では、事前に完成までの詳細な計画を作成するのではなく、2週間程度で終わらせることのできる計画を立て、その短期間の単位(これ「イテレーション」、あるいは「スプリント」と呼びます)を何度も繰り返すことで開発を行います。製品の仕様は各イテレーションの初めにステークホルダーと議論することで決められます。

一つ一つのイテレーションの中でPDCAサイクルを回すため、製品の仕様はイテレーションごとに更新されていきます。そのため、最終的な成果物は、当初の仕様とは大きく異なっているということもありますが、それこそがクライアントが本来求めていたものなのだと捉えるのです。
なおPDCAサイクルについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。
仕事を効率よく終わらせよう!PDCAの回し方と事例とは?

このようなアジャイル開発はソフトウェア開発の手法として考案されたものですが、ソフトウェア開発に限らない多くの分野で活用することができると言われています。

それでは、アジャイルの手法はなぜミレニアル世代を魅了するのでしょうか?

②ミレニアル世代がアジャイルに惹かれる理由

目的意識を感じることができる

従来のウォーターフォール型の開発では、開発者は、初めに決定された計画に基づいて細分化された作業に従事することになります。そのため、「何のためにこの作業をしているのか」という目的意識を感じることができず、機械の歯車になったかのように感じてしまいがちです。

ミレニアル世代は目的を求めます。高い給与や上司からの命令といった外部的な要因よりも、「何のために自分がこの仕事をしているのか」という内的な目的意識に対してモチベーションを感じるのです。アジャイル開発では、イテレーションごとに目標が設定されるので、目的意識を感じて仕事に取り組むことができます。

成果を感じることができる

前述の目的と共通しますが、アジャイル開発では短いイテレーションの中で目標が設定されるために、目的意識を持ちやすいだけでなく、目標を完了した時の達成感も感じやすくなっています。

その際、達成感を短いスパンで感じることができるということが重要になります。それは、ミレニアル世代はチャットやインスタントメッセージなどの速報性の高い情報のやり取りに慣れているため、仕事でも頻繁なフィードバックを受けることを重視しているからです。

チームで働くことができる

ミレニアル世代は、個人間の競争よりも、チームワークで仕事をすることを重視しています。この点で、ウォーターフォール型の開発では、役割別に個人的に別々の仕事をすることが一般的であるのに対して、アジャイルでは、クライアントも巻き込んでチーム一丸となって開発に臨みます。

アジャイル開発の手法の一つが、ラグビーの陣形から取って「スクラム」と名付けられたことからも、アジャイルがチームワークを重視していることが感じられると思います。スクラム開発では「デイリースクラム」と呼ばれる毎朝のミーティングが設定されており、チームの一体感を感じやすくなっています。

以上、3つの観点からなぜミレニアル世代がアジャイル文化を好むのかということを説明しました。最後に、企業はミレニアル世代の好みをかなえる必要があるのかということについて述べたいと思います。

③企業はアジャイル文化を取り入れるべきなのか

確かにミレニアル世代がアジャイル文化を好ましいと感じているということはわかりました。それでは、企業は彼らの好みを聞き入れて、アジャイルな開発手法を取り入れるべきなのでしょうか? これに関しては、もちろん一概に言うことはできないのですが、業界を問わず、多くの企業が取り入れるべきであると思います。それには2つの理由があります。

人材の獲得

優秀な若い人材を獲得するためには、企業が変わる必要があります。今までに見たように、ミレニアル世代は高い給与だけでは引き付けることは難しくなってきています。さらに、この世代は転職に対して抵抗感がありません。そのため、彼らの願いを聞き入れなければ、他社に優秀な人材をとられてしまうことになります。

世界はよりIT化していく

アジャイル開発はソフトウェア開発の現場から生まれました。なので、非IT企業これを積極的に取り入れる理由はないように思えます。しかし、今後、ビジネスの世界はますますIT化していきます。現在はITとは直接のかかわりのない業務を行なっていたとしても、いずれはソフトウェアの開発などに携わっていく必要性が出てくるでしょう。その際に、変化に素早くスムーズに対応するためにも、部分的にでもアジャイルの手法を取り入れるべきだと思います。

「新しい人材を獲得するためにアジャイル開発を導入するべき理由」についてのまとめ

ミレニアル世代は「仕事に目的を求める」「仕事の成果を実感したがる」「チームワークを好む」という価値観を持っているということを確認し、アジャイル開発がこれらの価値観と親和性が高いということを説明しました。

アジャイル開発は今後より重要性を増していくと思われるため、すぐに取り入れる必要がなかったとしても、今後のためにリサーチを行なう必要があるでしょう。

Web制作会社の危機感から模索する新しいプロジェクト管理の方法とは〜独自のプロジェクト開発スタイル

Web制作会社H2O spaceを率いる谷口允(たにぐちまこと)さん。「Web制作現場は、いま大きな変革期にさしかかってきている」と。Webサイトは、企業にとって「おまけ」にすぎなくなってきたので、クライアント自身がいかに楽に更新や作成できるようにするかが、これからの制作会社にとっての価値なのではないか。そのためのお手伝いができるようになりたい、と熱く語られます。WordPressやkintoneそしてWIXと、自分でWebサイトやアプリを作れる便利なツールも複数生まれており、Web制作会社の次のステージを模索する動きも少なくありません。その実践者として、たにぐちさんが取り組まれているさまざまな知恵のカタチを開陳していただきました。

たにぐちさん プロフィール

「ちゃんとWeb」をコーポレートテーマに、「ちゃんと」作ることを目指したWeb制作会社H2O space(エイチツーオー・スペース)の代表取締役。
WordPressを利用したサイト制作や、スマートデバイス向けサイトの制作、PHPやJavaScriptによる開発を得意とする。また、CSS Niteや Word Campでの講演や著書などを通じ、クリエイターの育成にも力を入れている。主な著書に『動画で学ぶWordPressの学校』(KADOKAWA刊)、『よくわかるPHPの教科書』(マイナビ刊)など。kintoneエバンジェリストとしての顔も持つ。

Web:https://h2o-space.com/

開発スタイルを振り返るという視点でキャリアを伝えると

大井田:

本日はよろしくお願い致します。まずは開発スタイルを振り返るという視点でご経歴をお話いただけますか?

たにぐち:

学生時代はゲームクリエイターを目指していました。けれどもゲーム開発会社への就職はうまくいかず、システム開発会社に入社。具体的には富士ゼロックス常駐案件で大規模なウォーターフォール型の開発を経験しています。その後、インターネットプロバイダーのSo-netに転職しました。そこでは、メールマーケティング関連の開発を任されました。主担当一人とデザイナー一人みたいな小規模開発で、いまで言うアジャイルに近い感覚ではありましたね。そのころは、「アジャイル開発」という言葉もあまり知られてはいませんでしたし、ただ「このプロジェクトではウォーターフォールの方法は使えないな」くらいの感覚でした。だから、自ずと自分たちなりに工夫をして開発を進めていくことになりましたね。独立前にはC++やPerl、ASPのスキルを蓄えることになりましたが、独立後はPHPを中心に受託開発を行なっています。それも、「こうあるべき」というカタチがあったわけではなく、受託いただく企業のルールに従ったり、「もっといい方法がないかな」と試行錯誤しながら自分たちのスタイルを決めていくという感じです。いまに至るまでそこは変わっていないですね。

大井田:

独立されたのは、お若いですよね?

たにぐち:

24歳で独立しました。いまもWebサイト制作の仕事が全体の9割です。WordPressを使ったWeb制作会社として、主に大学や中小企業のWebサイト開発・更新などで慌ただしく過ごさせていただいています。制作と並行して、クリエイターの教育にも力を入れており、講演や著作など手がけてきました。数年前からWebサイト構築の仕事の潮目が変わっていくのがまざまざと見せつけられるように進んでいくのをきっかけに、もう1つの事業軸としてシステム開発に取り組みその一つの答えとしてkintoneを選択しました。WordPressとkintoneのあわせ技で、中小企業にとってのベストな解を導き出せるようにと積極的に取り組んでいます。

そして、現在の「プロジェクト管理」体制は

大井田:

kintoneのお話もたっぷりお聞きしたいところですが、今日の目的は「プロジェクト管理」でもあるので、まずはそのお話をと思います。

たにぐち:

当社の場合ですと、主役になるのはBacklogになります。これ、もうそろそろ10年くらい使い続けていることになります。Backlogを基幹に、GitHubやチャットツールと組み合せて管理をしています。ただ、チャットのやり取りなどは、コピペで転記していますから運用はなんとアナログ(!)で済ませています。Backlogを使い続けているのですが、実は何度も他のツールを試しています。浮気をするのだけど、結局戻っちゃう。

大井田:

Backlogの使いやすさってどんなところですか?

たにぐち:

ぼくの場合は、もうこれに慣れちゃってるというところが一番なのかもしれないです。コミュニケーションの部分はSlackに劣るし、ソース管理はGitHubにはかなわない、だからそもそも足し算をする前提でツールを選ぶとするなら、慣れているBacklogでいいか、となっちゃいます。これらを一括でまかなえるツールがあるといいのに、とはよく思うんですよ。もちろん、もっといい方法があるのじゃないか、とも考えますし。いまの自分たちの方法がベストだなんて思っていないですしね。

大井田:

いま、ぱっと浮かぶ「こうできたらいいのに」ってどんなことですか?

たにぐち:

Backlogはスレッド型のツールですから、以前よく比較検討したのはTrelloに代表されるかんばん型のツールとのインターフェイスの違い。インターフェイスの、と言いますが、要はプロジェクトをどう管理・運用するかという方法論の違いであるとも言える。Backlogの場合だと、タスクの整理や分類にどうしても使いづらさやわかりにくさが目立つなと感じます。期限を過ぎて、アラートが出ててもそれを無視し続けることになっていく、なんのためかわからないアラートって、Backlogのあるあるじゃないかな。

大井田:

それは、PMやPMOの管理能力にプロジェクトの成功がかかっているよ、というお話ですよね

たにぐち:

そうですね、まさに。当社でも、自分を含め2名のディレクターがBacklogの「そうじ」をきめ細かく行なうことでその解決を図るようにしています。ツールによる自動化とはまだまだ距離がある話です。もちろん、タスク登録のルールや管理上の約束事は決めていますし、新規タスク登録もそれぞれの担当者に任せられるようにしていますが、ディレクターが管理してないと、ツールだけではうまく回っていかないことは何度も実証済みですね。うまく回らないということは、そもそもツールを使う意味が無いという逆転現象も発生します。

大井田:

スタッフさんはリモートが中心だと伺っています。ミーティングなどはどうされていますか?

たにぐち:

定期的に、週次で行なったりということはしていないですが、プロジェクトごとに、マイルストーンごとにとか随時ネットミーティングを開催しています。外部のクリエーターさんとのコミュニケーションには、気をつけています。社内でやるべきところは社内だけで済ませられるように。

大井田:

Backlogだと、バーンダウンチャートの表現がきれいなのが気になるわけですが、活用できていますか?

たにぐち:

ああ(笑)、一時期使おうとしたことがあるのですが、調整ができないと使えないので。いまはまったく使っていません。どうしてもチャートで確認したいときは、むしろスプレッドシートに転載して、そちらで表示させて確認するなんてこともしてますね。ガントチャート機能だけだと、MSプロジェクトを試したこともありました。いろいろ試したい性格なんですよ。

「プロジェクト管理ツール」に関する記事はこちら

Backlogを使うにあたっての小さいけれど効果抜群の独自ルール

大井田:

では、ここからは、具体的に工夫なさっているポイントを紹介いただけますか?

たにぐち:

Backlogへのプロジェクトを登録する際には、「クライアントさんが参加するもの」「クライアントさんが参加されないもの」の2つを登録します。クライアントさんのリクエストに対して、ディレクターがそのリクエストを「参加されていない」スレッドにコピーして転載するなんてプロセスを加えています。この目的は、実作業するクリエイターとクライアントさんとの齟齬を回避すること。
もう一つは、各プロジェクトに「連絡板」というタスクを必ず加えるようにしていること。クライアントさんに適切な課題に書き込んでもらったりを強制するのが難しいと解ったので、とりあえず「連絡板」に何でも書いてもらえたら、ディレクターが適切に処理しますよと言う仕組みです。クライアントさんのリクエストはわかりやすくなるし、この方法でプロジェクトの停滞を防ぐことになりました。

大井田:

シンプルな考え方ですけど、さすがな工夫ですね

たにぐち:

また、ウチではBacklogのドキュメント機能はあまり使いません。Google ドライブで代替しているので参照先を記述していく方法にしていますね。
さらに、kintoneももちろん使っているので、各プロジェクトを登録する際にkintone側でも同様な登録をします。kintoneでは原価計算をできるようにしています。
だから、無くてはならないものを挙げると、Backlog、kintone、Messengerということになります。
余談ですけれども、チャットワークはあまり積極的に使わないたちでして。Slackも同様です。ぼくの場合は、Gmailなどメールがまだまだ重要なんです。

大井田:

たにぐちさんのところだと、プロジェクトメンバーは最大で何人規模にまでになるのですか?

たにぐち:

案件として、200万円くらいまでものをという志向もあるので、20人規模というものは手掛けないですし、ディレクター、デザイナー、エディター、コーダーなどで4、5人が当社の標準的なプロジェクト規模です。

Web制作会社としての社会的な価値発揮を考え続けること

大井田:

開発スタイルとしての完成形ってどんな展望ですか

たにぐち:

Web制作会社としての社会的な価値発揮ということを考え続けています。実際に、優秀なフリーランスさんが減ってきたという感覚もありますし、Web制作会社としての仕事の領域も変わっていかなくてはならないだろうと思うのです。だから、開発のスタイルそのものももっと変わっていいのだろうなと。
クライアントさん自らがどんどん自分たちでできるようになっていって、その良きアドバイザーになることができないかという考えがあります。

というのも、もともとkintoneに魅力を感じたのもそうした思考からです。kintoneはただのデータベース。カスタマイズの自由さがとても面白い。もともと当社では個人情報を扱うような開発案件はお断りする傾向にあったのですが、kintoneに取り組むようになったことで、kintoneに格納するのであればセキュリティ面でも安心できるので案件としてご提案できるようにもなりました。

いま、WIXの研究をしているんですよ。このツールで、クライアントさん自身がデザインとインターフェイスを自ら完成に導けるのではないかと思っています。これにkintoneを組み合わせて、データを扱えるように提案したいですね。

取材を終えて

取材の過程で驚いたのは、たにぐちさんは非常にたくさんのツールの経験者だということでした。プロジェクト管理についても、記事では紹介していないですが、asanaとかJIRAとかの名前もあがりました。kintoneに進まれる際にも、セールスフォースやファイルメーカーと比較検討されたそうです。

「Web制作会社として働くのは、もうぎりぎり」という言葉も飛び出しましたが、既に新しい方向性に進み始めておられます。谷口さんのアイデア満載の開発スタイルは、同じ制作パーソンには勇気を与えるものになるのではないかと思います。今回は必ずしもスクラム開発そのものではありませんが、Web開発プロジェクトに悩む方々のなかには、たにぐちさんに似た携わり方をされている人たちも多いのではないでしょうか。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。