プロジェクト管理を任された人、これからプロジェクトマネージャーを目指す人のインプットには本がおすすめです。忙しい毎日に読書の時間を組み込み、スキルアップを志してはいかがでしょうか?
本を読む余裕がなかったら、空き時間にさっとスマートフォンでも読める電子書籍や耳だけ傾けられるオーディオブックが便利です。
今回はプロジェクトマネジメントにおすすめの本を18冊ピックアップしました。
プロジェクトマネジメントとはどのような仕事か?
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの成功に向けて管理を行うことです。人的リソースやコスト、進捗状況、品質など、プロジェクトに関係するさまざまな要素の管理を行います。
一般的に、プロジェクトは複数人がチームとなり、メンバーごとに作業範囲を分割して業務に取り組み、プロジェクトの成功を目指します。しかし、それぞれが好き勝手に仕事を行っていては、納期が守れなかったり予算以上のコストがかかってしまったりと、プロジェクトが失敗してしまう恐れがあります。
そこで必要となるのが、プロジェクトを管理するプロジェクトマネジメントなのです。プロジェクトの成功には、プロジェクトマネジメントの存在が必要不可欠であるといえるでしょう。
プロジェクトマネジメントのベストセラー本
プロジェクトマネジメントについて知識を深めたい場合、本を読んでみてはいかがでしょうか。プロジェクトマネジメントに関する本は数多くあり、切り口や焦点をあてるポイントはそれぞれ異なります。
まずは、この先も読み継がれるであろう、プロジェクトマネジメントに関するベストセラー本をご紹介します。
だから僕たちは、組織を変えていける
著者 斉藤 徹
読者が選ぶビジネス書グランプリ2023マネジメント部門第1位、総合第3位を獲得した、チームづくりの新バイブルともいえる一冊です。
現状に違和感を持ち、組織やチームを変えたいと思う人に向けて、これからの時代にふさわしい組織像と実践的な変革メソッドがわかりやすく紹介されています。この本で重視しているのは、「関係性の質」です。
管理職やリーダーといったプロジェクトマネジメントを担う人だけでなく、一般社員としてでもチームをリードして組織を変えていくための知見と技術を学べるでしょう。
マネジメント エッセンシャル版
著者 ピーター・F・ドラッカー
2009年に発売された「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」で、一躍有名となった作品です。実際に読んだことはなくとも、タイトルは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
この本は、ドラッカーの大著「マネジメントー課題・責任・実践」から、ポイントとなる箇所を抽出したもので、ドラッカー経営学の集大成が凝縮された本格的入門書です。
ドラッカーは、マネジメントの仕事とは実践であり、成果を出すことであると明言し、マネジメントが果たすべき使命や役割、中長期的に考えるべき戦略が具体的に解説されています。
プロジェクトマネジメントを覚えたい初心者におすすめの本7選
プロジェクトマネジメントを覚えたい初心者にとって、自分にあった本を見つけるのは難しいものです。専門的すぎる内容では参考にならないこともあるでしょう。
ここでは、これからプロジェクトマネジメントを覚えたい初心者におすすめの本を紹介します。プロジェクトマネジメントの基本を身につけ、実践に役立てましょう。
これ以上やさしく書けない プロジェクトマネジメントのトリセツ
著者 西村 克己
巨大国際企業から官公庁まで、プロジェクトを100%成功させてきたカリスマ経営コンサルタントが教える、「プロジェクトマネジメント入門」の決定版ともいえる一冊です。
知識だけを覚えても、それらを現場で使えなければ意味がありません。この本は、プロジェクトマネジメントに必要な知識よりも、実際の現場でのマネジメント方法に焦点を当てています。
まずはストーリー部分でプロジェクトの大まかな流れを紹介し、次のレクチャー部分で具体例を解説します。小説仕立てになっているため、知識がない人でも理解しやすく、スムーズに読み進めることができるでしょう。
マンガでわかるプロジェクトマネジメント
著者 広兼 修
近年では受験勉強などにおける暗記科目はマンガで学習すると良いといわれていますが、ビジネスにおけるインプットでも同様に効果が期待できます。
この本はプロジェクトマネジメントとPMBOK(プロジェクトマネジメントのノウハウや手法を体系立ててまとめたもの)を、マンガで読みやすくわかりやすく解説している本です。物語の始まりはプロジェクトの立ち上げ。プロジェクトを達成するまでのストーリーにあわせ、プロジェクト管理に対するノウハウを学ぶことができます。
PMBOKの基本的な用語の説明も盛り込まれているので、プロジェクトマネジメントを初めて行う人も気軽に読み進めることができるはずです。
はじめてのプロジェクトマネジメント
著者 近藤 哲生
プロジェクトを失敗させないために、「いつ」「何を考え」「何を実行すればよいのか」を解説する入門書です。プロジェクトマネージャーとして、数多くのプロジェクト立て直しを経験した著者が見出した成功のための独自の方法論を、順を追って丁寧に解説しています。
ほとんどの人がプロジェクトの成功を目指し、できれば失敗は避けたいと思うものです。プロジェクトマネジメントに取り組む前に、起こりうる困難やつまずきやすいポイントを把握しておくことで、効率よくマネジメントが行え、プロジェクトの成功も目指せるようになるでしょう。
世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント
著者 G・マイケル・キャンベル
世界中のプロジェクトマネージャーから推薦を受けている、プロジェクトマネジメント入門書の決定版「Idiot’s Guides, Project Management」の日本語訳版です。
プロジェクトマネジメントをフェーズごとに分類した上で、各フェーズで想定されるリスクと乗り越える手段、成功に導くための具体的なノウハウやツールが紹介されています。
具体的なエピソードを通してプロジェクトマネジメントの進め方が記述されているので、未経験でも全体像をイメージしやすくなります。プロジェクトマネジメント本の王道ともいえる一冊です。
この1冊ですべてわかる プロジェクトマネジメントの基本
著者 好川 哲人
プロジェクトマネジメントについて、右も左もわからない人におすすめしたい一冊です。「なぜプロジェクトにするのか」「どのような体制で実行するのか」「プロジェクトマネージャーに求められるもの」など、プロジェクトマネジメントの基本が記されています。
さらに、実際に行われた製品開発や新規事業、経営革新などのリアルな活用事例も豊富に紹介されています。起こり得るトラブルの乗り越え方やヒントも盛り込まれているため、プロジェクトマネジメントの本質を掴むことができるでしょう。
担当になったら知っておきたい「プロジェクトマネジメント」実践講座
著者 伊藤 大輔
プロジェクトマネジメントの具体的な知識とツールを、「目標設定」「計画」「実行」という3つの視点を中心に解説しています。プロジェクトの進捗に沿った豊富な図を使用しているため、視覚的にも理解することができるでしょう。
著者の会社は、約2000名のプロジェクトマネージャーを育てた実績があることから、リアルな現場の声も反映されています。
プロジェクトマネジメントの初心者をはじめ、すべてのビジネスマンがためになる一冊です。タイトルにもあるように、プロジェクトマネジメントの担当になった際に、手にとってみてはいかがでしょうか。
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント
著者 山口 周
ビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞(書籍部門)を受賞し、ベストセラーとなった「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」の著者による一冊。
電通でのファーストキャリアやその後20年を外資系コンサルとして経験を積んだ著者の現場で得た生きたナレッジを、学術的な根拠や歴史などを踏まえて、すみずみまで解説しています。
外資系トップコンサルとなった著者が実践したプロジェクト管理。そのプロの技術や秘訣を徹底的に吸収できるでしょう。
クライアントの無茶振り、メンバーのモチベーション維持、ステークホルダーとの調整など、プロジェクトマネージャーの悩みは尽きません。成功するプロジェクトを率いるリーダーとは? その答えは、この本で得ることができるかもしれません。
スキルアップしたいプロジェクトマネージャー経験者におすすめの本9選
すでにプロジェクトマネージャーを務めている人も、さまざまな本からノウハウを得ることで、さらなるスキルアップを目指せます。プロジェクトマネージャーは、責任が重いポジションでもあるため、学びと実践を繰り返しましょう。
ここでは、スキルアップしたいプロジェクトマネージャー経験者におすすめの本を9冊紹介します。
PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント
著者 飯田 剛弘
プロジェクトマネジメントに関する知識を体系的にまとめたPMBOKは、プロジェクトマネジメントの基本であるものの、複雑で難しく、理解できないまま挫折してしまう人も少なくありません。そんな人にぜひ手にとっていただきたいのが「PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント」です。
この本では、「3匹の子ブタ」「桃太郎」といった童話を通じてPMBOKを解説しています。童話自体が現実社会の学びのたとえ話であり、社会や組織で上手くいく方法を学べます。親しみある童話なら、難解と感じたPMBOKもスラスラ理解できるでしょう。
クリティカル・チェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
著者 エリヤフ・ゴールドラット
ゴリゴリのノウハウ本やビジネス書とは一味違うビジネス小説が「クリティカル・チェーン」です。TOC(制約条件の理論)によるプロジェクト管理をテーマにしています。
小説の主人公とプロジェクト・リーダーたちが問題に直面した時、どのように解決するのか? それまでに繰り広げられた議論や結論を小説という具体例を用いた切り口で描いており、読みやすさや理解のしやすさに定評があります。
プロジェクトが計画通りに進まない理由を人間の心理的特性を元に考え、いかにTOCをプロジェクトマネジメントの現場に導入するか、まるで謎解きのように紐解いています。
プロジェクトマネジメントの基本
著者 好川哲人
タイトル通り、プロジェクト管理の基本のき。プロジェクト管理の本質をおさえるのにぴったりの本です。著者の好川哲人氏がプロジェクトマネージャーに向けて配信しているメールマガジン「プロジェクトマネージャー養成マガジン」を購読している人もいるのではないでしょうか。
この本を読めば、プロジェクト管理をするにあたって「現場でやること」のすべてがわかるはず。実在するプロジェクトにおける製品開発・新規事業・経営革新の現場で行われたプロジェクト管理をリアルに提示し、トラブルやエラーを乗り越える方法を教えています。
プロジェクト管理の教科書、入門編といってもいいでしょう。
ソフトウェア見積り 人月の暗黙知を解き明かす
著者 スティーブ・マコネル
期日や工数、コスト、品質の見積もりを概算するものの、想定した通りに進むことがほとんどないのがプロジェクト管理の難しいところ。それでも見積もりは避けて通ることができません。しかも、クラウド環境の整備や働き方改革が大きく影響し、正確な見積もりを出すには高いスキルを必要とするようになりました。
「ソフトウェア見積り」では、見積もりの位置付けや解釈を明確にまとめています。
見積もりの基本はもちろん、「見積もりの誤差が出る要因とその対策」や「多すぎる見積もりと少なすぎる見積もりならどちらがいいか」といった話題は、気になるテーマではないでしょうか。
それらのやや難しそうなテーマがすっぱりと知的に解説され、見積もりの本質に迫るおもしろさがあります。
人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない
著者 フレデリック・P・ブルックス,Jr.
古典と称してもいいほど、長年プロジェクト管理の参考書のように読み継がれた有名な本です。原書が出版されたのは50年近く遡る1975年で、日本では岡山から博多間に新幹線が走るようになり、「およげ!たいやきくん」が流行していました。そんな昔に出版されたにもかかわらず、その内容は現在でも依然として古さを感じさせません。
「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけだ」という「ブルックスの法則」を唱えたフレデリック・P・ブルックス,Jr.の著書です。
著者のブルックスは、自身のOSオペレーティングシステム開発マネージャーの経験から、開発する過程で起こった困難をどうやって乗り越えたのか、エンジニアやプロジェクトマネージャーの立場に立ち、ストレートに言及しています。
ブルックスがこの本で記すプロジェクト管理の課題と解決策は、2023年の今でも読む価値のある内容なのです。
ピープルウエア第3版 ヤル気こそプロジェクト成功の鍵
著者 トム・デマルコ、 ティモシー・リスター
ピープルウエアとは、ソフトウェア開発や使用する際のマンパワーを意味する言葉です。1987年に初版が発行され、それ以来、多くのソフトウェア・エンジニアの共感を巻き起こした一冊。プロジェクトにおけるリーダーシップに迷ったら選んで欲しい本です。
さらに、現在購入できる第3版には、「リーダーシップについて話そう」、「他者とうまくやっていく」、「幼年期の終わり」、「リスクとダンスを」、「会議、ひとりごと、対話」、「E(悪い)メール」といった、プロジェクト管理にまつわる6章が追加されています。だからといって、過去に書かれた章の内容が古ぼけているということは一切ありません。未だ色褪せることなくビジネスマンに読み継がれているのです。
プロジェクトにおいて最も大切なものは「人間」であり、人を尊重したプロジェクトマネジメントがいかに重要か、ということをユーモアたっぷりに語っています。
失敗の本質―日本軍の組織論的研究
著者 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎
コロナ禍で再び注目を集めている「失敗の本質」は、一説によると日本経済が不安定になると求められるの本なのだそう。なぜ日本の組織は失敗するのか? 世界大戦の日本軍の失敗を例に分析しています。 失敗の本質について深く考えさせられるでしょう。
天災や未知のウイルスなど、経済に莫大な影響を与える想定外の出来事が立て続けに起こる近年、日本と日本的組織が繰り返す失敗を明らかにし、再発を防止できる能力を身につけねばなりません。これはプロジェクト管理の現場でも同様です。
ただし、この本には「なぜ日本の組織は失敗するのか? 」という問いに対する安易な答えは書かれていません。どんな危機にも耐えうる組織やチームを作るために必要な「自己革新組織」の原則や失敗から得た教訓が書かれているのです。
アート・オブ・プロジェクトマネジメント―マイクロソフトで培われた実践手法
著者 Scott Berkun
全米ベストセラーにもなったこの本。著者は黄金期のマイクロソフトに籍を置き、いくつものビッグプロジェクトを成功させたScott Berkunです。I T業界のマネジメントを元に書かれていますが、どの業界のプロジェクトマネジメントにも共通した内容です。
著者の築き上げたレベルの高い経験やスキル、ノウハウがこの一冊にぎゅっと詰め込まれています。
本の裏表紙に書かれているように、この本の視点は極めて実用的。「ものごとを成し遂げるためには何を行う(あるいは行わない)べきか」という考えの元、ものごとを成し遂げるための考え方やヒントを、スケジュールやビジョン、意思決定、コミュニケーション、リーダーシップ、そして政治力学まで、多角的に考察しています。
またこの本では、言及しているさまざまな手法に対する、有益な書籍や映画、著名人の名言などを厳選し紹介しています。興味のある分野や解決すべき課題に関連する情報収集や、さらに理解を深めるための次なる一手として参考にしてはいかがでしょうか。
「プロジェクトマネジメント」実践講座
著者 伊藤 大輔
わかりやすい図やイラストを入れることで視覚的な理解も促しつつ、プロジェクトマネージャーが持っておきたい具体的な知識や手段を解説しています。
プロジェクト管理を解説するにあたり、経験という観点では汎用性が低く、かといって知識や技術の観点のみになると、汎用性はあるものの、行動にうつしにくいことが考えられますが、この本は、基本・目標設定・計画・実行・思考といったプロジェクト管理のプロセスを、知識と経験の両面からバランス良くまとめています。
また、本を読んだ時は深く理解した気でいても、時間と共に記憶の片隅に追いやられ、いずれ忘れてしまった経験がある人も少なくないはずです。しかし、実践型の構成を持つこの本だからこそ、最後の章に仕掛けがあります。
それがインプットした知識をすぐに活用できる、複数のケーススタディです。読むだけで終わりにせず、実際に課題に取り組むことで、学んだ知識をすぐに活用できるようになるのです。
まとめ
優秀な本はたくさんあれど、インプットした知識を頭の中にとどめてしまってはプロジェクトの成功はありません。また、本は複数回読むことでやっと自分の知識になるという説もあるように、忘れてしまわないように時々読み返すのもいいでしょう。
そしてここから先はインプットしたものをアウトプットし、いかにプロジェクトを進めるかにかかっています。実践あるのみ! 本で得た知識を落とし込んでいきましょう。