リモートワーク(テレワーク)事例から紐解く災害時のワークスタイル

2019年9月9日、台風15号で甚大な被害を受けた関東地方。特に、長引く停電で日常生活が脅かされている千葉エリアの状況を目にするたびに、どれほどにすごい台風だったのかが分かり、胸が締め付けられる思いがしました。関東地方にここまでの被害をもたらした災害は、2011年の東日本大震災以来でしょうか。

災害国の日本において、決して軽視できないこの問題。リモートワーク(テレワーク)を事例とともに考えていきたいと思います。

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リモートワーク(テレワーク)経験がない人が約9割という事実

2020年の東京五輪開催期間中の交通混乱の対策として、2017年からテレワーク・デイズが開催されるようになりました。年々、参加企業は増え続け、盛り上がりも増していたようです。

一方で、総合転職エージェントの2019年度のワークポートの調査(※)によると、テレワークをしたことがあるかという質問に、87.9%が「いいえ」と回答したといいます。約9割がテレワークの経験なしということです。国も、企業も進めているテレワーク。それでもなおこの数字だというのが現実です。

とはいえ、台風15号で起きた通勤の混乱の様子を思い出すと納得することも。大型の台風が来るとあれだけ報道され、JRは翌朝8時ごろまでは運休すると発表していたにも関わらず、多くの会社員や学生はいつも通り通勤・通学に向かい、公共交通が大混乱になりました。津田沼駅前に長蛇の列をなしている人たちの報道には驚きが隠せませんでした。なんの驚きかというと、「こんな状況でも会社に行く人がこんなにいるんだ」ということです。通勤や通学で影響を受けたのは約300万人とも言われています。

出典:https://twitter.com/kanamex0818/status/1170887517391900673

あの日、昼過ぎまでも駅前で並んでいた人は、おそらく夕方に差し掛かるような時間に会社に着いて、何時に帰宅したのでしょうか。会社で2〜3時間働くために、5〜6時間かけて出勤したなんていう人もいたかもしれません。もちろんお客様との大事な約束や打ち合わせなど、絶対に行かなければいけない理由があったのかもしれません。そのような人は別として、通勤に費やした5〜6時間を家で仕事にあてられれば…。そんな風に感じてしまう出来事でした。

参考:https://www.workport.co.jp/corporate/news/detail/693.html

出勤型ワークスタイルのリスクを痛感する日本災害

この日の状況を見ながら、2011年3月11日の東日本大震災を思い出しました。当時はまだ働き方改革前でリモートワーク(テレワーク)なんて、ほとんど浸透していなかったように思います。私の勤める会社でも在宅勤務などをしている人はほぼいませんでした。

そんな中で起きた大震災。平日の昼間に発生した地震で、余震がひどく、交通機関は完全にストップし、タクシーもつかまらない。みんなひたすら歩いて家に帰ったのでした。もちろん、私も。翌日から交通機関はある程度回復したものの、福島原発の問題で地方の実家に一時的に帰る人や家から出ない人など、通常通りの生活になるまでしばらく時間がかかったように思います。

当時、私が勤めていた会社は、この震災をきっかけに一気にリモートワーク(在宅ワーク)の制度が整備されました。それまで、数少ないワーキングマザーや役員など、ごくごく一部の人しか利用していなかったリモートでの作業が、多くの社員に認められ、自宅でも作業ができるようになったのです。思えば、全会社員が問題なく通勤できるようになるまで事業をストップさせるより、自宅ででも作業をすれば、通常営業ほどではなくともマシだろう、と経営が判断したのでしょう。この判断は大正解だと思います。

その後、台風や地震などがあるたびに、無理せず在宅作業に変更しても良いといったアナウンスが人事より発令され、この台風15号の時も前日の日曜日に「明日は出勤の必要なし」の連絡が入ったといいます。このように、良くも悪くもですが、災害国であるがゆえに、災害をきっかけにワークスタイルを一気に転換する会社もあるようです。災害は、「同じ釜の飯」カルチャーが根強い通勤型ワークスタイルの日本人を変えさせる力があるのかもしれません。

リモートワーク(テレワーク)か、通勤か、の二者択一ではない

とはいえ、冒頭に紹介した通り、リモートワーク(テレワーク)経験者はまだ全体の10%ほど。なぜ日本はそんなにも通勤型ワークスタイルを守るのか―。

リモートワーク(テレワーク)が進めば進むほど、よく聞くのが「リモートワークは便利。でも顔を見合わせて働く価値や意義がある」という意見。確かに、物理的な距離は不便です。横にいればすぐ話しかけられるし、忙しいかどうか見ればわかるのに。顔を合わせて話せば5分もかからないのに、何文字もの文章にして伝えるなんて効率が悪い…。通勤型、または集合型とも言える、このワークスタイルの価値は無限大です。リアルに会って働くって素晴らしい。だから、一概にフルリモートにすべし! という意見は反対となるのは分かります。通勤型、または集合型の働き方を否定するなんてことはできません。

とはいえ、大事なのは柔軟さなのではないでしょうか。通勤型しかないワークスタイルだと、いざ災害で交通機関が麻痺するとどうにもならず、生産性があっという間にゼロになります。しかも、災害国なので、台風も地震も決して珍しいことではなく、かなりの頻度で被害に遭う可能性があります。

そんな時は、リモートワークに切り替えられる、また、そんな非常時にスムーズにリモートワークに切り替えられるよう、事前の準備や練習をしておくことが、今後、企業に必要な対策なのではないでしょうか?

絶対に顔を合わせて働くべき! でもない。絶対にリモートで働くべき! でもない。状況に応じて、より効率よく働けるスタイルをその時その時で選択できることが理想。とはいえ、一社員が勝手に決められることではないのが、もどかしいところですね。

まとめ

2012年のロンドン五輪の時は、政府の呼びかけでロンドン市内の企業の約8割がリモートワーク(テレワーク)を取り入れていたそうです。それに習って、日本も数年前からテレワーク・デイズなる取り組みが実施されたわけですが、実際の東京五輪時はどうなっているでしょうか。朝の通勤ラッシュを見ると、このまま外国人の五輪目当ての観光客が増えたらどうなってしまうのだろうかと心配になってしまいます。五輪は災害ではありませんが、非常時という意味では災害時にも似た、普段とは大きく違う環境変化。一企業の意思など関係ない、変えようのない環境変化です。

技術的にはリモート(在宅)でも多くの職種の人が働ける時代にはなっていると思います。パソコンとネットワークさえあれば。なかなか進まないのは、「顔を合わせて働くのが当たり前。その方が良い」と考える人の意識が大きいのかなと個人的には思っています。その意識を上回る、リモート(在宅)ワークを始める必要性や、非常時でも生産性が確保される根拠があれば、導入が加速されるでしょう。五輪という大きな環境変化がそのきっかけになって、人や企業の意識、そしてワークスタイルがさらに進歩するのは間違いないと思います。そして、今後はさらに進むことは世界のトレンドを考えると自然な成り行きです。そんな時代がくることを前提にとらえ、自分の働き方と企業の在り方を考えるきっかけにしてみてください。

災害大国の日本、働き方にも防災対策を。
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