WORK LIFE RULES 〜偶然の出会いが人生を変える〜 Vol.4 社内派閥

  • 2018年12月27日
  • 2019年8月14日
  • その他
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〜あらすじ〜主人公・佐藤翼は地元の一般的な私立大学を卒業し、地元企業に就職した社会人一年生。就職先は地元大手のパチンコ企業、株式会社創賀。緊張の出勤初日を迎えた翼に就職前には思いもしなかった社会の現実が次々と降りかかる。

古い店舗、無愛想な先輩たち、タバコの煙だらけの職場…そんな中、先輩女性社員の佐々木梨沙は唯一、翼をあたたかく迎えてくれた。

梨沙の優しさに癒されたのもつかの間、始業前の夕礼では軍隊のような社訓の唱和、現場では息つく間もない忙しさが待っていた。教育係の司は大学生のアルバイトで同じ歳。そんな彼にこれまで感じた違和感の理由を聞こうとすると、

「翼と明日も会えたら教えてあげるよ」

と意味深な答え。

その直後、バックヤードで待っていたのは遅番責任者原西からの洗礼だった。ある意味何も考えずに純粋な気持ちを伝えた結果、メンバーにあたたかく迎え入れられた翼は勤務後の懇親会で中途入社の先輩たちから気になる話題を聞くことに。

「実は俺、大卒新卒が大っ嫌いなんだわ」

(本物語は筆者の学生時代から現在までの人生から得た「気づき」を生き方・働き方のルールとして、フィクションを交えて綴ったものです。)
※Vol.3はこちら → https://teamhackers.io/work-life-rules-003

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Chapter1 【違和感】

衝撃の入社初日から一週間後。僕は少しずつ現場の仕事に慣れ始めていた。パチンコ店での現場の仕事とは主にこうだ。

  • パチンコ玉やコインを床に下ろす(大当たりで玉やコインがいっぱいになったお客様に呼ばれる)
  • 機械のトラブルを修理する(球が詰まった・コインを補充するなど)
  • 帰るお客様の玉やコインを係数機まで運び、計数する
  • 景品の交換手続き
  • 清掃

など。僕が働く大町店はかなり老朽化が進んでいるものの、毎日朝から夜までお客様で溢れる繁盛店なため、ひたすら玉を下ろし、運び、また下ろしとやっているうちにあっという間に1日が終わる。ほとんどが単純作業ではあるが、暇な現場よりはよっぽどマシだと思っていた。

入社初日の一件以来、中途採用組の先輩たちからはすごく可愛がってもらっている。その日の昼休憩、憧れの佐々木さんと同じ時間でお昼に入れることになった。僕はウキウキで休憩室へ向かう。

「どう、少しは慣れた?」先に休憩に入っていた佐々木さんの向かいに腰掛けると、僕を気遣う一言。

「ありがとうございます。みなさん仲良くしてくださって、仕事にも慣れてきました。何よりも初日に佐々木さんが最初に話しかけてくれたの、本当に助かりました」

僕は先輩たちが全員無視を決め込んだ中で唯一佐々木さんが話しかけてくれたことへの感謝を伝えた。

「よかった。初日で辛くなっちゃう人が多くて。なんかね、気になっちゃって話しかけてみたの。でもまさか佐藤くんがあの原西さんに初日で気に入られるなんて、ビックリしちゃった」

佐々木さんは笑顔で答えると、続けて僕に会社の事情を教えてくれた。

「新卒さんが入社前何を聞いているかはわからないけど、この会社は今内輪揉めみたいなことが起きていてね。今いるスタッフはほとんど中途入社なんだけど、数年前から社長が大卒新卒採用を始めて。今各店の店長・副店長はみんな新卒に変わったの。」

そうなのか。僕は入社前から感じていた違和感について、佐々木さんに聞いてみた。

「このお店も店長の須賀さんと副店長の西岡さんと僕だけが新卒ですよね。おふたりともそう僕と年齢は離れていなくて。でも原西さんとかの方が、キャリア長いんじゃないんですか?」

佐々木さんはうなづきながら、

「そう。実は原西さんはついこの前まで副店長だったの。店長も1年前まで中途入社の人だったけど、突然いなくなっちゃって。須賀さんが抜擢っていう形で店長になったの。要は、会社は新卒中心にしたいってことよね」

僕は驚いた。

確かに進藤社長は社員の家族も誇れる会社にする為に新卒採用に力を入れている、とは言っていたけど。だからと言って中途採用の人たちが降格になっているなんて。

「だから、原西さんは大卒新卒が嫌いだって言っていたんですね」
「うん、原西さんだけじゃないわ。たくさんの中途入社組がこの1、2年でどんどん降格や退職してる。大卒新卒組と入れ替わる形で。だから、」

突然、佐々木さんは顔を近づけ小声で言った。

「気をつけた方がいいわよ。佐藤くん、ちょっと浮いてるから。私たちにとってはいい意味だけど、ね」
「佐々木さん、それはどういうことですか。」
「ああ、梨沙、でいいわよ。何かよそよそしいから。私も翼くん、でいいかな」
「はい、もちろん。」

下の名前で呼んでいいと言われたことに舞い上がりつつ、気になる話題の先を聞いた。

「何か、感じない?店長、副店長の視線とか。」

みんなと仲良くしているつもりだった僕はあまり意識していなかったが、言われてみれば確かに店長と副店長はあまり僕に話しかけてくれないかも…

Chapter2 【敵、味方】

4月半ば。僕ら新入社員の為に新卒の先輩たちが歓迎会を開いてくれた。大町店での新卒は僕ひとりだが、近くの十二軒店には3人新卒同期がおり、2店舗合同での歓迎会だった。大町店からは須賀店長と西岡副店長、十二軒店からは森尾店長と小原副店長と同期たちが参加していた。

「かんぱーい!」

森尾店長の掛け声とともに宴会がスタート。僕は入社式以来となる同期との近況報告を楽しんでいた。店長たちは最近の営業状況や業界の裏話など、飲み会だけど仕事の話に夢中といった感じ。盛り上がりつつしばらく飲んでいると、

「そういえば」

西岡副店長が声をあげた。

「ウチの原西、あいつ相変わらず使えなくてさー。頭悪いから数字のこともよくわからんし、よく副店長なんてやってたもんだよ」
「あー、あの人ウチの店に居た時からそうだったからな。何も変わってないんだな、ニッシーも大変だね」

小原副店長が続く。二人は新卒同期入社らしい。そこから店長たちも混ざってメンバーの問題点や悪口の話が始まった。

何だこれ…

話に上がっているのは全て中途入社の先輩たちだった。同期たちは店長たちと一緒に爆笑しているが、僕は黙ったままうつむいていた。

「どうした佐藤、お前も思うところがあるだろ、いいんだぞ、今日は新卒しかいないんだから!あいつらみたいな会社の成長を妨げる敵を俺たちが排除する、それが俺たち新卒のミッショーン!」

酔っ払った西岡さんが煽る。盛り上がる一同。

僕は表現し難いモヤモヤが心に広がって、この場所から一刻も早く離れたい、と思ってしまった。

「すみません!何か、久しぶりに飲んだからか、気持ち悪くなってしまって…上がらせてもらっていいでしょうか」

一言断ると、僕はすぐに店を後にした。その日は、寝られなかった。

Chapter3 【警告】

翌日。遅番で出社すると、休憩室に西岡副店長がいた。今日の遅番責任者は西岡さんのようだ。何となく話したくなかったので、僕が見なかったフリをして更衣室へ行こうとすると。

「おお、佐藤。お前、体調は大丈夫か」
「はい、おはようございます!昨日はありがとうございました!」

声をかけられたので、僕は一礼とともに定型文で返すと足早に休憩室へと向かった。夕礼を終え、いつも通りホールで働く。昨日のモヤモヤを心に抱えながら。閉店まであと2時間、その時だった。

「あー、佐藤、モニタールームに来てもらえるか」

インカムから西岡副店長の声。モニタールームとはパチンコ店のバックヤードにある事務所のような場所で、店内の全ての監視カメラ映像がずらっとモニターで並んでいることからそう呼ばれている。普段は時間帯責任者が常駐し、店内のスタッフの動きを見ながら都度インカムで指示を出している。

「この時間に呼び出し?何だろう」

僕はホールを離れ、モニタールームに向かった。部屋に入ると西岡副店長が座っており、向かいの椅子に腰掛けるように促された。

「副店長、何かございましたでしょうか」

僕は西岡さんに聞く。西岡さんは、ふぅ、という溜息と共に僕に話し始めた。

「ほどほどにしておいたほうがいい」

?? 何のことだろう。僕がわからない顔をしていると西岡さんは続けた。

「中途の連中とつるんでるだろ、お前。将来のマネジメントの為にやってるんだと思うが、あまり見栄えは良くないぞ。勘違いする人も出るかもしれない。そうなれば、出世にも響く。店長も心配してたぞ」

将来のマネジメントのため?
見栄え?勘違い?
出世に響く?

訳がわからなかった。

「何だお前、もしかして何も考えなしにあいつらと仲良くしてるのか!?だったら今すぐ距離を置け。諸星みたいになるぞ」
「諸星、さん、ですか?」

僕が聞くと、

「十二軒で働いている諸星だよ。あいつ、機械修理のプロ、みたいに持ち上げられて中途の連中から好かれているけど新卒入社だからな」

思い出した。そういえば原西さんたちと飲んだ時に、翼は諸星みたいだなー、俺たちの仲間だ。って言われた。

「諸星は中途の連中と仲良くなって、俺たちと距離を置いた。結果、干されたんだよ。出世コースから外れた。そんなことしなければ今頃副店長くらいにはなっていただろうに。仕事はできるからな、あいつ」

西岡さんはため息交じりにそう言うと、まっすぐ僕を見て一言。

「いいか。警告はしたぞ。距離を置くんだ」

僕は仕事に戻りながらも、はっきり確信した。こんなの、おかしい。

Chapter4 【直訴】

週末、僕は本社事務所を訪れていた。月に一度の社長訪問。

入社前、僕は最終面接で進藤社長に「毎月社長室に遊びに行っていいですか」とお願いをした。社長は喜んでOKしてくれ、毎月本社の社長室に会いに行けることになった。今日はその初回。

伝えなきゃ。

入社からこれまで現場で働いて感じたこと。社内で起きている新卒組と中途組の派閥争いのこと。僕は社長に直接伝えようと考えていた。応接室で待ちながら、妙な使命感に燃えていた。

「入れ」

進藤社長の声。社長室に入ると進藤社長は応接ソファに腰掛けながら出迎えてくれた。

「おお、翼。本当に来たか。いやぁ、ほんとお前は変わってる。ウチの会社じゃあ、みんな俺が怖くて出来れば会いたくないって思ってるんだぞ。わざわざ自分から来るのはお前くらいだ」

そう言って笑いながら、向かいのソファに座るように促す。今日はすごく上機嫌のようだ。

社長は最近あった出来事、来年の採用のことなど今考えていることを楽しそうに僕に話してくれた。ひとしきり話したいことを話したのか、今度は僕に問いかけてきた。

「で、入社してみてどうだ、現場は」

僕はパチンコに興味がなかったけど、入ってみるとパチンコ店が近隣の高齢者の方々のコミュニティ代わりになっていることやなぜみんながパチンコにハマるのか理由がわかったことなど、入社後に価値観が変わった話をした。

「おお、それはいい話だな。今度新卒採用の説明会でも話してもらいたい。他は?」

現場の話が新鮮だったのか、社長は僕にもっと話すように促した。

言わないと。

僕は今日話したかった、本題を話し始めた。

「社長、とても気になったことがあります。」
「ん、何だ。」
「それは、新卒と中途の関係性です。」

僕はこれまで自分が感じた現場の雰囲気や、新卒組と中途組が互いに敵対視していることなどを伝えた。

「社長、これではこの会社の目指す、社員の家族も誇れるような…」

僕が続けようとすると、

ドンっ!!

進藤社長が突然デスクを叩いた。僕はビックリして固まってしまった。

「黙れ。お前の感想は聞いてない。もっと詳しく話せ。」

さっきまで楽しそうだった進藤社長の表情からは笑みが消え、鬼のような形相で僕に話せと促した。僕は、言われるがままに起きたこと、聞いたことを全て社長に話した。

話が終わると、今日は帰れ、と言われ部屋を出された。

この僕の小さな正義感がのちに大変な事態に発展することなど、この時の僕には想像がつかなかった。

〜つづく〜

WORK LIFE RULES – NO.4

影響力を見極める

人は他人と関わらずには生きていけない。それは会社員でもフリーランスでも同じことです。

一人で最初から最後まで完結出来る仕事なんてそんなにはなく、大きな仕事になればなるほどたくさんの人とのやりとりが必要となります。そこで大切になるのは、誰がどの程度の影響力を持っているのかを見極めること。

自分は正しいことを言ったのに、周囲に認めてもらえなかった。そんな経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

実際世の中、何を言ったかよりも、誰が言ったかに重きを置く人が多いのが現実です。仕事で何かを実現したい、そんな時も自分の想いだけでは叶わず、決裁者の承認が必要となります。どんなに良い企画でも権限を持った人に認められなければ、その企画が日の目を見ることはありません。

では、どうすれば良いのでしょうか。

それは、影響力を持つ人を味方につける、もしくは自身が影響力を持つ、のどちらかしかありません。

自身が出世する、実績をつくる、SNS上などでフォロワーが増えるなど影響力を持てるまでは他人の影響力をうまく使う必要があるため、誰が影響力を持っているかを見極めることは重要です。

正直、素直は大切ですが、時にはうまく立ち回ることも必要ということですね。

次回:Vol.5 絶対王者

※本ストーリーは筆者の20代〜30代の経験を基に、設定等を変更したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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