WORK LIFE RULES 〜偶然の出会いが人生を変える〜 Vol.3 社会の洗礼

  • 2018年12月10日
  • 2019年8月14日
  • その他
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〜あらすじ〜
主人公・佐藤翼は地元の一般的な私立大学に通う、ごく一般的な大学生。大学生活も佳境を迎え、就職活動と向き合うことになった翼は偶然の繋がりからパチンコ企業創賀の総務部長木村と知り合う。後日、木村とお茶をした際にお願いとして自社の会社説明会に来るよう頼まれた翼。パチンコ店には興味がなかったが、就職相談などでお世話になった手前、断ることもできず渋々参加することに。当日、会場いっぱいに集まった学生たちに驚くのと同時に、自ら会社説明と想いを語った進藤社長の話に引き込まれる。広告の仕事をしたかった翼だが、木村から広告部署を立ち上げて欲しいというプッシュもあり、迷った結果社長面接を受けることを決意。

社長面接で自身の考え・視野の狭さをあらためて思い知らされたものの、結果的に内定をもらえた翼は家族に創賀に入る旨を伝えた。すると家族は全員大反対。パチンコの持つ社会的イメージの現実を知ったが、諦められない翼は家族を説得。ついに両親に了解をもらい、社会人としてデビューすることになった。

(本物語は筆者の学生時代から現在までの人生から得た「気づき」を生き方・働き方のルールとして、一部フィクションを交えて綴ったものです。)

※Vol.2はこちら → https://teamhackers.io/work-life-rules-002

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Chapter1 【初出勤】

僕は北海道地元のパチンコ企業、株式会社創賀に入社することになった。入社式を経て、配属先の発表。進藤社長との約束通り、現場の店舗だった。勤務場所は大町店。創賀が創業してまだ先代社長が経営していた頃、かれこれ30年ほど前に3店舗目として出店した老舗だ。

「うわぁ…これは…」

初めての出勤日。初日は遅番勤務ということで夕方からの出勤だった。店舗に着いた僕はその外観に不安を覚えた。昔ながらのパチンコ店、屋上から伸びる大きな立て看板にはネオンで「パチンコ」とでっかく表示されていた。

パチンコ店での仕事は何をするのか、パチンコをしないので事前に本社の木村に聞いてみた。そんなに難しいことはない、普通の接客業だよ。木村はそう言っていたが正直あまりイメージできていなかった。

前に創賀の一番新しい店に両親を連れていった時、パチンコ玉を運んでいた人がいたのと、ほかの人はみんな笑顔で歩いていたな。お客さんはみんな機械に向かっているんだろうし、確かに難しいことはなさそう。上司となる店長は須賀という20代半ばの男性。僕と同じ新卒入社で入社4年目にして店長に抜擢されたやり手らしい。寡黙だけど笑顔が優しい素敵な人だよと木村からは聞いている。

誰にでもできる接客業で、上司の店長も優しくて素敵な人、しかも同じ新卒出身。お店は古いけどなんか良い環境で働けそうだな。僕は安易にそう考えていた。この考えは数時間後にあっさりと覆されることになるのだが。

Chapter2 【鉄火場】

裏側の従業員入口から入ると、2Fがスタッフのスペースになっていた。階段を上がると事務所の前で経理の星見さんが立っていた。強面、黒縁メガネの男性。経理と言われてもまったくそんな風には見えない。

「おお、お前が今日から入る新卒ね。ほらよ」

突然大きな袋が飛んできた。「それが制服一式。クリーニングは自分でやって。ロッカーはそっち。鍵ないから盗まれるものは入れないこと」

何のためのロッカーなんだ…心の中でそう思ったが、口に出さないほうが良さそうだったので黙っていた。

「とりあえず着替えてさ、適当なところで待ってなよ」星見はそう言うと事務所に戻っていった。ちゃんとした企業…なんだよな。創賀って。社長はトップセミナーでそう言っていたけど。不安だ。

制服に着替え、食堂兼休憩所で待っていると先輩たちが続々と出勤してきた。「おはようございます!」先輩が休憩所に入ってくるたびに挨拶を投げかけるも誰も返してくれない。なんでだ。

10分後、休憩室には7人ほどの先輩がいたが誰も僕に目もくれずTVを見たり、談笑している。

「あ、あの僕今日から…」

勇気を出して一番先輩と思しき50代くらいの男性に声をかけると目の前に手をかざされた。
「にいちゃん、まあそんな焦んなよ。どうせこの後夕礼でお互い挨拶するんだし」田垣と名乗った先輩はそう言い、TVに視線を戻した。

はぁ、何なんだ。これ。

モヤモヤしていると横から女性の先輩が僕に声をかけてくれた。

「こんにちは!今日からなんだって?まあ、いつものことだから気にしないで」佐々木さん。20代後半くらいに見える化粧映えのする綺麗な女性だ。

「ありがとうございます。なんか、この雰囲気に緊張してしまって」

僕がそう答えると。スッと佐々木さんの顔がすぐ横に。

「嫌な雰囲気でしょ。こうやって新人に圧をかけるの、いつも。今日だけだから、我慢してね」彼女は僕の耳元に顔を寄せ小声で言った。

良い香り。

何を浮かれているんだ。僕はそう思いながらもちょっとホッとしていた。

「さ、時間よ。行きましょう。」佐々木さんに促され、「夕礼」が行なわれる1Fの休憩室に向かうことに。休憩室はお客さんが遊んでいるホールを通過してバックヤードにあるとのことで、2Fから階段を降りた。

パチンコホール。まさか自分がここで働くとはなぁー。そう思いながら僕はホールへの扉を開く。目の前が真っ白になった。

「何だ、これ?」

けたたましい音と店内中に充満するタバコの煙。

「◯なわ△な◯だろ!! ◯ぁあ!!」ドン!ドン!ドン!

驚いてそちらを見ると、よく聴き取れない言葉を叫びながら怒鳴る男性客。声を荒げながらパチンコ台を殴っている人がそこら中にいる。先日両親を連れていった創賀の最新店舗とのあまりの違いに僕は唖然とした。

まったくタバコの煙は感じなかったし、叫んだり怒鳴ったりしている人もいなかったのに。それなのに。何だろう、ここは。ヤクザ映画の世界かよ。

Chapter3 【夕礼の衝撃】

ただただ驚きながら煙たいホールを通過しバックヤードの休憩室にたどり着くと一人の男性が立っていた。

「遅いぞ!早く一列に並べ!」

色黒、強面でガッチリとした体型、パンチパーマ。この人、店員なのか?次から次へと起きる入社前に思い描いていたイメージとのギャップに頭の中で処理が追いつかない。

言われるがままに一列に並ぶと夕礼が始まった。朝礼・夕礼は始業前にその日の連絡事項などを共有する場。パンチパーマで怖い顔の男性は原西さん。この日の遅番のリーダーだ。

「今日から新卒が入ったぞ。ほら、自己紹介して」原西さんに促され、僕は自己紹介をした。まばらな拍手。

「私は佐々木梨沙。入社してまだ1年くらいで、この中では一番新人です。後輩が出来て嬉しい。よろしくね」佐々木さんだけは笑顔で自己紹介してくれたが、あとの先輩はみんな適当でやる気のない感じだった。

「まあ、そういうことだ。じゃあ、小野。お前が佐藤に教えてやれ」原西さんはそういって長身の男性を指名した。

「えー、また俺っすか。この前の人もすぐ辞めてさー、どーせまたやるんでしょ」

最後の一言がとても気になった。が、どうやらこの小野さんが僕の教育係になるらしい。

その他いくつかの連絡事項が共有された。「じゃあ、最後、いつものやつ。」原西さんが声を掛ける。

ん、いつもの?何だろう?僕が周りをキョロキョロしていると…

「株式会社創賀社訓!!事を前にしては〜」さっきまでダラダラしていた先輩たち全員が気を付けをし、大声で社訓を唱和し出した。社訓があるのは知っていたし、プリントでもらっていたけど、何だこれ??

まるで軍隊だ。

「〜すべし!!以上!!」先輩たちは全十条にわたる社訓を全員暗記しており、一糸乱れず唱和しきった。

「おい、佐藤!お前社訓覚えてこいって言われてないのか! 今日はいいけど、明日からはお前も言うんだぞ!」原西さんが怒鳴る。

これは、僕はとんでもないところに入ってしまったのでは…状況を正確に掴めていない中、僕は入社初日にして後悔し始めていた。

Chapter4 【究極の選択】

夕礼を終えた僕は小野さんの後ろについてまわりながらホールに出ることになった。

平日にも関わらず店内は満席、空いている台を探し回るお客さんでごった返していた。小野さんの動きはとても機敏で、あちらこちらへ次々と動き回りお客様の台で何かをしている。ランプを見ている。ボタンを押している。玉を下ろしている。台を開けて何かをしている。

耳元にインカムをつけているが、みんなが何を会話しているのか聴き取れない。一つひとつ何をしているのか、説明もないまま僕はただ彼の後ろをついて回るだけだった。

「もう少ししたら落ち着くから」小野さんは一瞬振り返って僕に一声かけ、ランプが光っている方に走っていった。僕はというと玉運びの仕方だけは教えてもらい、あちらこちらで玉を運びまくっていた。ホールに出て2時間。少しお客さんの数が減ってきた。

「よし。じゃあ、話そうか」ホールの端に僕を呼び、小野さんは話し始めた。まずビックリしたのは、小野さんは大学生のアルバイトだということ。ただ、大学1年から働き始めて今5年生(?)ということで、キャリアが4年もあるのでこのお店ではかなりの古株らしい。現場の基礎は全て分かっているので、新人が入るたびに教育係に当てられるんだそう。

「年齢的にはタメだから、タメ口でいいよ。俺は司(つかさ)、よろしく」司くんは言う。

「ありがとう!あのさ、さっきの。どーせまたやるんでしょ、って気になったんだけど…」

僕がそう聞くと、「ああ、アレね。翼と明日も会えたら教えてあげるよ。そろそろ始まるだろうから…」

何だ、それ。またよくわからないことを。そう思っていたら、耳元のインカムから声がした。

「◯△う!□ら△こい!!」原西さんの声だと言うことはわかるけど、何を言っているのかわからない。

「翼、呼ばれたよ、裏に来いってさ」

司くんが教えてくれた。僕が呼ばれているようだ。バックヤードの休憩室へ向かう。

「おお、来たか。ちょっとこっち来い」そこには原西さんがいた。呼ばれた通り近づくと、

!!?

原西さんは突然僕の胸ぐらを掴んで持ち上げ、壁に押し付けた。

「ちょ、ちょっと原西さん! 何するんですか!」僕は慌てて抵抗したが、力強くて抗えない。

「いいか、よく聞けよ。今から俺が言う2つの選択肢、どっちか選べ」原西さんは僕を持ち上げたまま、ドスの効いた声で言った。

「1、今日から俺に服従すると誓う。2、今すぐ辞める。どっちだ。…ほら、選べよ」

何を言っているんだこの人は? 意味がわからない。吊り上げられたままで辛い。よく頭が回っていなかった僕が反射的に口に出した言葉は

「どっちも選びません」

「ああ!?お前何言ってんだ!?」原西さんは激昂し、さらに力を込める。

僕は続けた。「僕は、みんなと仲良く仕事したいんです。ただそれだけです。ダメですか。」

…。

原西さんは僕を下ろした。

「お前…、面白いな!気に入った!」

そう言って笑い出すと僕の肩を引き寄せバンバン叩く。

「よし、お前の歓迎会をしてやる!今日終わったらツボ九行くぞ!奢ってやるから!」
あまりの豹変に事態が飲み込めないが、どうやら危機は脱したらしい笑

こうしてあまりにも濃過ぎる僕の社会人デビュー初日が終わった。

遅番後、司くんや佐々木さん、田垣さんなど何人かの先輩と原西さんが僕の歓迎会を近所の居酒屋さんで開いてくれた。田垣さんもあんなに無愛想だったのに、歓迎会では満面の笑みでお酒を飲みながら、僕にいろいろ興味を持って話してくれた。話を聞くと田垣さんや他の先輩も、歓迎会に来てくれたのはみんな中途採用で入社した人たちだった。

「いやあ、本当にさっきは悪かったな。お前みたいなやつは新卒で初めてだわ。」

原西さんはそう言い、僕にある問題について話し始めた。

「実は俺、大卒新卒が大っ嫌いなんだわ」

それは創賀社内での中途採用組と新卒採用組の関係性だった。

〜つづく〜

WORK LIFE RULES – NO.3

先入観や偏見を持たない

人間は他人の印象を初めて会った時の2、3秒で決めているという。なんか怖そう、暗そう、明るくて元気そう、頑固そう、などなど。また、過去の経験やネットの情報などから大きな塊について全体的な印象を持つことも多い。

地方の学生はおとなしい、関西人はお金にうるさい、東京の人は冷たい、など。

こういった「先入観」や「偏見」を持つことは人とのコミュニケーションにおいて、本質を見誤ったり、機会損失に繋がったりするリスクがあるんです。

実際、こんな経験はないでしょうか。顔は怖そうだけど話してみると良い人だった、元気そうに見えるけど繊細だった、といった印象のギャップ。

会ってもいないのにその人の印象を決めるのは早計だし、人の行動には背景や何らかの意図があるもので、それを理解せず表面的な部分だけを見て決めつけるのも避けたいところ。

仕事の場面でも、初見の方と会うときにはネット上での印象や他人からの噂に振り回されることなく、相手としっかり向き合った上で自分が感じ取った印象を大切にしたいですね。

次回:Vol.4 社内派閥

※本ストーリーは筆者の20代〜30代の経験を基に、設定等を一部変更したフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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