事例紹介
2018.11.15

WORK LIFE RULES 〜偶然の出会いが人生を変える〜 Vol.1 終わりなき、旅のはじまり

突然ですが、あなたは10年前の自分が今の自分を想像出来たと思いますか?

恐らく、当時の自分からは全く思いもよらない人生を歩んできたのではないでしょうか。僕もそう。数回の転職を経て、現在は複業家としていくつかの企業に所属しつつ、個人としても仕事を受けていますが、これは大学生の頃の自分からは全く想像出来なかった自分です。

では、今の自分を形創ってきたものは何でしょうか。それは、たくさんの人との出会いと別れ。あの人に出会っていなければ。あの人と別れていなければ。そのひとつひとつの出会いから得た気づきとターニングポイントでの判断が今の自分に繋がっています。

これから始まる物語は筆者の学生時代から現在までの人生から得た「気づき」を生き方・働き方のルールとして、一部フィクションを交えて綴ったものです。これから社会人になる方、現在社会人として活躍している方にも、何かのきっかけになれば幸いです。

Chapter1 【before】

大学祭と音楽とモテること。それが、大学に通っている目的。僕の名前は佐藤翼。地元の一般的な私立大学に通う、ごく一般的な大学生。

受験勉強をしたくないからという理由で高校のレベルを3つ下げ、推薦で大学に行こうと中3の時に画策。その思惑通り、小論文と面接だけでこの大学に入ることができた。何となく、普通に、楽しい大学生活を3年過ごしてきた。そんな自分が向き合うことになった人生の一大イベント。

就職活動。

正直、乗り気じゃない。ずっと大学生でいたい、そんな気持ち。

僕の大学生活といえば、大学祭実行委員会とCDショップでのアルバイトがほぼ全て。学祭と音楽のことばかり考え勉強は二の次、いや五の次くらいだった。先輩から紹介での単発バイトなど、バイトの種類はたくさん経験していたので「働いてお金を稼ぐ」こと自体は理解していたが、いかんせん「正社員」っていうものがよくわかっていない。それくらいの意識だった。

いざ、就活。とは思ったものの、始めようにも右も左もわからない。高校時代、ちょっとだけバンドでボーカルをしていて、アルバイトはCDショップ。音楽大好きな僕が思いつきで目指したのは「レコード会社」。(なんて安直w)いわゆるナビサイトや学校掲示の求人票なんか一度も見ることなく、レコード会社のホームページを見て片っ端から電話した。電話が繋がらないところは直接訪問もした。後から振り返るとよくそんな判断をしたなと笑ってしまう。

でも。意外なことに「君面白いね。」とどの会社もとりあえず会ってくれ、面接もしてくれた。しかし、まずここで自分の甘さに気づくことになる。

面接の質問にまともに答えられない。

「最近見たミュージックビデオで一番印象に残っているものは?」
「入社したら何をやってみたい?」
「今後、日本のミュージックシーンはどうなると思う?」

一切業界研究も企業研究もしていなかった僕は、当然ながらどの会社でも一次面接で不採用に。

これはまずい。さすがに心を入れ替えて業界・企業研究をし直し、あらためて他の音楽業界の企業を探した。芸能事務所やイベント会社などを受けたが、全然ダメ。そんな僕が初めて最終面接まで進めたのは、東京の音楽専門CS放送局。貯めていたバイト代を全て使って5回、東京に足を運んだ。

いよいよ最終面接。当日、僕はその面接スタイルに驚いた。

「20人同時」の集団面接。

大きな会議室に学生20人が一列に座って待機。時間になり、向かいに座った面接官は10人。社長以下、全ての幹部が揃っていた。

「ここにいる20人が残っている全員です。この中から半分を採用します。」

質問はたったの3問。何せ1問ごとに20人が答えるものだから、とんでもなく時間がかかる。僕は面接の最中、あまりの緊張で頭が真っ白になっていた。

結果は、ダメだった。僕以外の19名は全て東京の有名上位大学在籍者で、バイト先も外資系のCDショップ。逆に自分がなぜ最終まで残ったのか意味がわからなかった。思いつきと行動力だけで突っ走った3ヶ月。選択肢がなくなり、お金もなくなった。

心が、折れた。

Chapter2 【逃避】

音楽業界の門を閉ざされてから約3ヶ月。雪景色だった風景はいつの間にか緑が芽吹き、桜が咲いていた。就活のことを考えたくない僕は、今まで以上にバイトに打ち込んでいた。

現実から、逃げていた。

「お前さ、いい加減合説くらい行ったら?」家に遊びに来た親友の中村が言う。合同説明会。そう言えば、一度も行ったことなかったな。「こんな会社だって、合説出てるんだぞ」。そう言ってギャンブル好きの中村が差したパソコンの画面には地元のパチンコ店のホームページが映っていた。パチンコには一切興味なかったが、他にもたくさん企業が来るのと、中村が一緒に行ってくれるというので僕は初めての合説に行くことになった。

つまらない。

来なきゃよかったと心底思った。なぜなら、どの企業に座っても同じ展開なのだ。パンフ渡される → ムービー見せられる → 選考フローの説明 → 連絡先シート渡す

これだけ。つまらない。

時間いっぱいまで幾つもの企業に座り続け、ほとんどの出展企業の話を聞いたが何も変化はなかった。無駄足だったな。そう思い帰ろうとした時、入口の真横に一社、まだ聞いていない企業があった。今回合説に来るきっかけにもなったパチンコ店。人事らしき小太りでメガネのおじさんが一人で座っているが、学生は一人もいない。そりゃ、パチンコだもの。

そう思い、通り過ぎようとしたが、なぜか、心に引っ掛かりがあった。

Chapter3 【木村さん】

まあ、きっかけにもなったし。冷やかし程度に座っておくか。そんな軽い気持ちでパチンコ店のブースに座った。…パンフを渡されない。どころかなかなか始まらない。なんかヤバいところに座ったかな、そう思いかけた時、おじさんが口を開いた。

「なんで君はここに座っているの?」

はあ?誰もいないから座りに来てやったのに、何でそんなこと言われなきゃならないんだ。ムカついた僕は正直に答えた。広告がやりたい。と。音楽業界を諦めた僕が次に目指したのは、広告関連の仕事だった。理由は「カッコいいから」。(また安直w)

「いや、だったら尚更ここじゃないだろ笑」そう鼻で笑った人事らしきおじさんは木村という総務部長だった。まあいいや、と言い木村さんは僕に話しかけてきた。

「君がやりたい広告ってのはさ、つくるほう?まわすほう?」

つくる?まわす?何を言っているのかさっぱりわからない。ただ、自分はイラストレーターなどの制作ソフトは使えないので、つくるでは無いんだろうと思った。まわすほうでしょうかね、と答えた僕に「どこ受けようと思ってる?」と木村さんは聞く。イメージだが、デザイン会社か広告代理店を受けようとしていたので、そう答えた。

「バカなの?」

耳を疑う返し。矢継ぎ早に木村さんは聞く。「就活してるんだから、当然新聞取ってるよね。新聞には何が挟まってる?」このおっさん、バカにしているのか。チラシですよね、と答えた。

…長い沈黙。

「バカなの?まだわからないの?」

キレそうになった。とても不快だったが、意味がわからないので、正直にわかりませんと答えるとため息混じりにこう言われた。

「チラシっていう広告はさ、その辺のちっちゃいスーパーでも出してるでしょ。で、君はつくる人ではなく、まわす人、つまりディレクターになりたい、と。じゃあさ、君のやりたい仕事はどんな会社にでもあるんじゃないのかな。広告をまわしている部署・人は必ずいるはずでしょ。つくれもしないのにデザイン会社とか、バカなの?って思ったの。間違ってるかな、僕。」

その通りだった。

ムカつくとかを通り越して、悔しかった。そして何より、自分の視野の狭さと頭の悪さが恥ずかしかった。結局、その後木村さんは自社のことは一切話さず、僕の就活相談に付き合ってくれた。話を終えて帰り際、「あのさ、相談料ってわけでもないけど、今度お茶でも付き合ってよ」とても大きな気づきをもらったのもあり、僕は木村さんと連絡先を交換し、初めての合説を後にした。

まあ、結果的に良い人だったけど。絶対あの会社には入らないな。パチンコだし。

この時の僕は、このあと自分が運命の出会いをし、思いもよらない人生の選択をすることになるとは知る由もなかった。

〜つづく〜

WORK LIFE RULES – NO.1

今の自分の視野を過信しない

僕らが物事を判断するとき、今自分が見えている景色や範囲の中から選択することが多い。

例えば、就活生が企業を選ぶ時、これまで過ごしてきた生活の中で知った企業の中から就職先を選ぼうとする人がいるがこれはとても浅はかで危険だ。

なぜなら、わずか20年程度の人生で出会えた企業の数なんてたかが知れているということ、そしてその視野はお客さん視点なのでBtoBの企業は恐らくいないこと、何より危ないのは「お客さんにとって優良な企業」が「社員にとって優良な企業」とイコールではないということ。

とてもきめ細やかなサービスをしてくれるお店があったとする。でもそのバックヤードでは店長が「お客様の為だったら、何でもするんだ!休みも返上しろ!」と言っていたとしたら?極端な事例ではあるが、就職するということは「中の人になる」ということ。お客さん視点だけで判断すると入社後に大後悔することになりかねない。

様々な視点から物事を見てみること、年上の人や違う視点を持った人に意見を聞くことなど、今の自分の視野を過信せず、いろいろな情報を集めて判断することを大切にしたい。

次回:Vol.2 モラトリアムからの卒業※
本ストーリーは筆者の20代〜30代の経験を基に、設定等を一部変更したフィクションです。

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