事例紹介
2018.12.18

働き方改革と生産性という2つのキーワードから2018年を振り返る

2018年「働き方改革」という言葉が瞬く間に日本中へ広がりました。もはや「働き方改革」という言葉を知らない人は日本にいないのではないでしょうか。

少子高齢化による人口減少や労働力の急速な低下、そして他の先進国と比較した際の日本の労働生産性の低さが浮き彫りになり、女性や高齢者、障害者を含めた「労働人口の確保」と、限られた労働時間の中でいかに効率よく生産性を高められるか、という「生産性の向上」が求められてきました。

2018年は、このような背景を踏まえて様々な企業が働き方改革の実現へ向けた取り組みをはじめ、フレキシブルな働き方が広まり、生産性向上に関連する多くのサービスやツールが生まれた年でした。

今回は、チームハッカーズ年末企画ということで、働き方改革と生産性の2つのワードを軸に、2018年を振り返ってみたいと思います。

働き方改革とはどんなもので、何を目指したものだったのか


※画像は首相官邸HPより引用(https://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201609/02kunji.html

働き方改革は、2016年9月に安倍首相が内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、働き方改革への取り組みを提唱したことから始まりました。

働き方改革とは、一言でいうと、老若男女誰しもが活躍できる社会の実現を目指した改革のことです。働き方改革の目的を示す際にしばしば使われる「一億人総活躍社会」という言葉は、新聞やニュースなどで見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

企業において労働力不足が想像以上に加速している現代において、この問題をを解決する方法として以下の二つのような対応策が考えられます。

①女性や高齢者、外国人も含めて働き手を増やす
②労働生産性を上げる

上記はあくまでも労働力不足を解決するための一つの案ですが、既存の制度や慣習に縛られず、再度総点検し、国民の総力を挙げて人口減社会に対応できる改革を進める必要があります。

ちなみに、日本の労働生産性は、OECD 加盟国の全35か国の中で22位となっており、主要7ヵ国の中で最下位です。かなり低いですね。今後も人口減少は避けられないと考えると、一人当たりの生産性を高めることが必須の課題となってきます。

以上が「働き方改革」の簡単な概要となります。

大手3企業の働き方改革の取り組み事例

働き方改革が声高に叫ばれ始めてから数年が経ち、多様な働き方を認めながら業務効率の向上に向けて取り組みを始める企業が多く見られてきました。以下では、実際に働き方改革に取り組んでいる大手3企業の例をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

カシオ

電卓で有名なカシオは、「仕事は定時で終えるべき」というメッセージのもと、従来から実施していた時間外ゼロ運動を発展させた取り組みや時間単位制度の導入などを進めています。また、介護の充実化にも取り組んでいます。
具体的には、①適正評価の実現と②仕事効率の向上などに全社一斉に取り組んでいます。

日本では、仕事がデキる人ほど損をするような組織構造になっている企業が多く存在します。そうなると当然、優秀な人材は、もっと自分を評価してくれるところに行こうと考えます。こうした実情を踏まえて、カシオでは、残業をしなくても結果を出す人が評価される仕組みの必要性を考え、評価の見直しを図っています。

また、企業でありがちな「上司・先輩よりも先に帰りづらい」「残業は夜にするものだ」という常識を変えることが重要であるとの考えから、チャイムや音楽を流して帰宅するきっかけづくりをしたり、時間外就労の場合は、業務効率低下を避けるために早朝時間帯での勤務を推奨したりといったように、働き方改革を進めています。

これらの取り組みにより、一ヶ月あたりの平均時間外労働時間19.3時間、年次有給休暇取得数65.5%→71.1%(増加)といったような効果が表れています。

参考URL:https://www.keidanren.or.jp/policy/2016/079/11331.pdf

ZOZO

ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するZOZO社は、昼休みをとらずに働いて15時退社目指す「ろくじろう」という制度を導入してます。
具体的な制度内容としては、朝9時から15時までの6時間でチームの業務が終わっていれば、帰宅してもよいというものです。

6時間という時間設定があることが「ろくじろう」制度の肝になっています。時間の目安を設けることで「時間以内に終わらせるにはどうすべきか」を一人一人が自主的に考えるようになり、ZOZO社では、無駄なメールの削減など業務効率が改善されました。「ろくじろう」制度の導入後、制度開始前と比較して社員当たりの生産性が25%向上したという効果が表れています。

ZOZO社では「ろくじろう」以外にも独自の報酬制度など、多様な働き方や、チームワークを意識した評価制度などの結果、離職率は28%から4%まで低下したそうです。

参考URL:https://www.fujixerox.co.jp/solution/smartworkhacks/article/26.html

富士ゼロックス

富士ゼロックスは働き方改革を多様なアプローチで推進し、特に営業部門において組織横断型の連携で営業プロセス変革活動に取り組んでいます。働き方改革のポイントとしては①意識・風土改革②業務重点化・プロセス改革③勤務制度の刷新・定着などが挙げられます。

具体的には、まず、労働生産性の向上に向けて、会議の際に「幹部が多くの資料を求めない」などトップからの意識改革を実行しました。また、営業部門の働き方改革を中心とした業務プロセスの改革として、各種申請業務の無駄を削減したり、スマートフォンなどのモバイルワークの広がりに合わせて、各書類の電子化や情報の共有環境を整えたり、と様々な施策を導入しています。

参考URL:https://koyoukanri.mhlw.go.jp/example/pdf/file_80.pdf

組織4.0というワードから2018年を振り返って

チームハッカーズでは以前「ティール組織」の話題を取り上げました(まだ読んでいない方はこちら)。「ティール組織」とは、一言で表すと、上司の指示がなくても組織の目的の実現に向けて能動的に動くことができるユニークな組織のことです。

働く人の価値観が大きく変化していることや、時代が変化する中で多くの人が従来型の組織形態の中で疲弊していること、そして、市場の変化に従来型の組織では対応できないといったことを背景に、「組織4.0」と表される組織のアップデートが始まり、ティール組織のような新しいカタチの組織モデルに注目が集まっています。

同様に「ホラクラシー型組織」というキーワードも注目されました。(コチラで取り上げています。)
ホラクラシー型組織は、ティール組織の中のモデルの一つです。具体的には、社内に役職や階級がなく、全員がフラットな関係性を築いており、プロジェクトによって責任や権限が分散される組織形態のことを指します。

たとえば、昔は、製鉄業など、社員一人一人が決められたことを決められた順序でミスなくこなすことが最大収益につながるという「ピラミッド型の組織形態」が最も生産性が高く、収益を出すにも最適なモデルでした。しかし、20世紀以降はインターネットが普及し、個人でビジネスをすることが可能になりました。

こうした時代においては、個人の生産性を高めることが付加価値につながり、企業全体の生産性を高めることになるのです。

働く環境を整えることが組織の維持につながる

生産性を高めることはもちろん大切ですが、組織を維持していくためには「働く人の環境を整える」ということがとても重要です。

例えば、Googleでは「心理的安全性」という言葉が使われます。これは何かと言いますと、優秀な人材(1人でも稼げるような人)に対して、チームで仕事を達成する面白さや、持続的な価値を提供するという「企業の環境」に着目した表現です。心理的安全性の高い企業は、離職率の低さはもちろん、労働生産性も高い傾向にあります。チーム内で気軽に発言ができる、自分をさらけ出して仕事ができる、このような環境が整っているということは、組織を維持し、生産性を高めるための最大の条件です。

また、かの有名なピーター・ドラッカーは「文化が戦略を食す」という言葉を残しています。これは、組織の戦略よりも、働く人々が何を信じ、どこを目指していて、どのような価値観を持っているかということの方が、大切であるという意味です。ドラッカーの言葉を参考にすれば、これからの組織をマネジメントする立場にいる人は、チームメンバーが大切にしていることは何かを常に把握し、より良い組織へとマネジメントしていく必要があるということがわかります。

これからのビジネスパーソンに向けて

これまで編集部では、働き方改革に関する記事をいくつも書いてきました。その中でまとまった意見としては組織のあり方にこれといった正解はないということです。それぞれの企業が持つ価値観や文化のようなものをベースとして、働きやすく生産性の高い仕組みをつくっていくことが重要です。

個人ができることとしては、常にアンテナを高く張り、変化を恐れないチャレンジャーでいることです。自分の市場価値を高めるために学び、チャレンジを続けていくことが重要です。少しの意識の変化と努力次第で、誰でも変化に対応し、新たな道を切り開いていくことが可能です。
また、組織という観点から言えば、組織をマネジメントする立場にいる人は、常に時代の波を意識して、その波に乗り続けられるように舵を取ることが重要です。

まとめると、組織も個人も、変化をおそれず上手く時代の波に乗れたものだけが、これからの時代を生き抜いていくことができます。

あなたは、2019年どのような道を選んでいきますか?

まとめ

いかがでしたか?
冒頭にも申し上げましたが2018年は「働き方改革」というワードが大きなトレンドになりました。働き方改革に様々な企業が取り組んだ結果、どのように改革を進めていけばいいのか、取り組みを進めるうえで重要なポイントはどこか、などが少しずつ明らかになってきたのではないかと思います。
今後も、働き方、生産性といったワードは様々なところで見聞きするでしょうし、あなたにとって必要になる時が来るかもしれません。今後の働き方や組織の未来を考える際に、本記事が何かのヒントになれば幸いです。

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