転職で失敗しない現役人事に刺さる「ブレない軸」の作り方

新卒社員の3人に1人が仕事を辞めるといわれる昨今、厚生労働省による平成30年雇用動向調査によると正社員全体の離職率は年間約11%という数値があります。毎年10人に1人以上が離職しているという事実から、転職活動は多くの人が経験するものだということがわかります。

転職活動の「正解」とは、何なのでしょうか。好景気といわれる今、転職サイトや転職エージェントを利用し十分な時間をかければ転職は難しいことではありません。しかし、転職活動をおこなったすべての人が、満足のいく転職ができているわけではないはずです。

今回は現役で人事の仕事をしている私が、転職活動で失敗しない秘訣をお話したいと思います。今転職活動をしている方、これから転職活動をしようとしている方は参考にしてみてください。

転職活動が長引くと妥協が生まれる

転職活動は一般的に3カ月から半年、長ければ1年という時間をかけておこなうものです。そして、その間に活動がうまくいかなければ、私たちは意識的にも無意識的にも少しずつ妥協していくことになります。

はじめは絶対に譲れないと思っていた給与面について「お金よりやりがいじゃないのか?」と思えてきたり。

120日という年間休日の希望について、「今より増えるなら120日なくてもいいのでは?」と思えてきたり。

もっとスケールの大きな仕事をするために大手に行きたいと思っていたのに「別に大手でなくてもいいのでは?」と思えてきたり。

結果がでない期間が長引けば長引くほど、だんだんと選べる選択肢で満足する気持ちが生まれてきます。しかし、それは冷静な判断ではありません。転職活動は現状を変えるためにおこなうものであり、もともとは転職を通じて解決したい具体的な希望があったはずです。

それなのに繰り返し採用を見送られ、自分が想定していた期限が迫るうちに妥協が生まれるのです。もちろん転職活動をおこなうなかで新しい考えが生まれ、基準が変わっていくことは必ずしも悪いことでありません。

しかし、変えてしまったなかには「本当は変えてはいけなかったもの」も含まれていることが多いのです。そして多くの場合、転職活動中はそのことに気づけなくなります。

結果として「内定が決まっていざ入社」という段階になってから、違和感を覚えて辞退してしまったり、入社後に起こったミスマッチによって短期間で退職したりすることになるのです。

このような事態に陥ってしまっては転職活動をした意味がありませんし、むしろ状況を悪くしてしまいます。そうならないために、転職活動をおこなう際には「ブレない軸」を決めることが大切です。

はじめに「ブレない軸」を決める

「ブレない軸」とは、自分にとっての取捨選択を明確にするものです。すべての希望をかなえられない状況になったとして「これだけは譲れない」というポイントと、「これは切り捨ててもいい」というポイントをあらかじめ決めておくということです。

冷静な状態であらかじめ軸を作る

「ブレない軸」は人によって1つずつかもしれませんし、それぞれ2つ以上あるかもしれません。大切なのは、はじめに冷静な判断ができる状態で決めておくということです。転職活動が始まり難航しだしてから「せめてこれだけは」と考えはじめたのでは意味がありません。

なぜならそれはその時点ですでに追い込まれた思考であり、ブレが生じているものだからです。転職活動で失敗しないために重要なのは、冷静な状態であらかじめ決めるということ。このことを忘れてはいけません。

もしもこの「ブレない軸」がなければどうなってしまうのか。私が人事として見た、ある事例をご紹介したいと思います。

軸のない転職活動の結果

その人は私が所属する会社にデザイナーとして応募してきた求職者でした。私は人事担当として1次面接をおこない「通過」という判断で最終選考に推薦しながらも、どこかひっかかる部分があり事前に面談の場を設けました。

そこで確認したのは「本当にこの会社でいいのか」ということです。その人は1次面接で話を聞く限り、これまでの経験面でもコミュニケーション能力の面でも優秀な人でした。

一方で私は「この人が転職によってかなえたい希望は、この会社ではかなえられないのでは」と感じていました。そのように感じた理由は、下記のような希望に対して、実情との食い違いが発生することが予想できたからです。

<希望1>

前の会社で長時間の通勤が苦痛だったので、30分以内に通勤できる職場に移りたい。

→ 見込み通勤時間は50分。希望にそぐわない。

<希望2>

デザインの仕事に集中できる環境で働きたい。

→ 社長直下のチームなので雑務も多い。業務中、手が止まる場面も多い職場。

<希望3>

常に案件に追われるのが嫌だった。自分で計画を立て、無理なく仕事をしたい。

→ 差し込み案件が多い。インハウスのデザイナーだが「今日中」などの特急オーダーもある。

私は面談で本人の希望をかなえられないかもしれないことを1つひとつ説明しました。でその応募者は「初めはいろいろ思っていましたが、自分の希望をすべてかなえられる場所はないと思います。御社の話を聞いて、ぜひ働きたいと思えたので問題ありません」と答えました。

このように言われてしまうと人事としては選考を止める理由はありません。その人は予定どおり最終面接に進み、人物面・スキル面ともに申し分なしとして内定が決まって、その後入社することになりました。しかし、入社半年後、退職の申し出があったのです。

具体的な退職理由は、次のとおりでした。

  • 行き帰り50分の通勤時間が無駄に思える。
  • 急ぎの差し込み案件やデザイン以外の雑務が多く、計画どおりに仕事を進められないことにストレスを感じる。

私はこの理由を聞いて「やはり」という気持ちと申し訳ない気持ちを抱き、引き留めることなくその退職意向を受理しました。この事態は予想されたものだったからです。

この結果を予期していながら、くい止められなかったのは人事である自分の責任であることと、転職活動の難しさを痛感したのでした。

転職ではない道も検討する

それでは転職活動を通じて、どうしても自分の希望をかなえられないとなった場合どうすればいいのか。私は転職にこだわる必要はないと考えています。

たとえば、給与に不満があるなら、今の仕事を続けながら副業を始めるという方法があります。また、もっとプライベートを優先できる環境を求めているなら、フリーランスとして独立するという方法もあるでしょう。

最近は「個人がより柔軟に働ける就業形態」が増えつつあります。必ずしも企業に所属するという方法に固執することはありません。まず自分にとって譲れない部分が何なのかをあらかじめ決めてから、柔軟な視点で考えることが大切なのです。

転職という方法に行き詰まりそうになったら、転職という選択肢にとらわれることなく自分にあったスタイルを見つけてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は転職活動で失敗しない方法として「ブレない軸」を作るというポイントを紹介しました。転職活動は簡単なことではありませんが、新しい出会いや自分の可能性を広げるチャンスでもあります。

譲れないものを決めたあとには、新しい会社・仕事との出会いを楽しみながら、積極的に活動していきましょう。自分のために、今より良い場所を見つける気持ちを抱き続けられれば、きっといい結果に結びつくはずです。

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