事例紹介
2018.07.27

人工知能(AI)やビッグデータはどんな世界を作るか?|ビジネスモデルにみる組織のあり方 Vol.5

この記事は「ビジネスモデルにみる組織のあり方」連載の最終回です。
>>まだ連載の4回目を読んでない人はこちら
連載Vol.4では、情報化の進展に伴ってアップデートされつつある現代のビジネスモデルについてみてきました。

今回は、昨今話題のITや人工知能(AI)、ビッグデータなどの情報に関する産業のビジネスモデルを中心にみていきたいと思います。

ビッグデータがビジネスモデルを変える!?

ビッグデータとは、文字通り巨大なデータのことです。21世紀を代表する企業であるアマゾンやグーグル、フェイスブックなどはビッグデータを使った新しいビジネスモデルを構築しています。

たとえば、アマゾンでは購買履歴などのデータをもとに、個人ごとに異なるおすすめ商品を表示しています。また、グーグルでは、検索とGメールを通じて蓄積した膨大な個人データをもとに広告を行っています。ほかにも、フェイスブックなどのSNSは会員データを基盤として、広告などで収益を上げています。これらにはすべてビッグデータが活用されています。

4種類のビッグデータ

総務省の情報通信白書によるとビッグデータは以下の4つの種類に分かれます。

政府:国や地方公共団体が提供する「オープンデータ」
「オープンデータ」は、ビッグデータとして先行している分野であり、政府や地方公共団体などが保有する公共情報について、データとしてオープン化を強力に推進するもの。

企業:暗黙知(ノウハウ)をデジタル化・構造化したデータ(「知のデジタル化」と呼ぶ)
「知のデジタル化」とは、農業やインフラ管理からビジネス等に至る産業や企業が持ちうるパーソナルデータ以外のデータとして捉えられる。今後、多様な分野・産業、あるいは身の回りに存在する人間のあらゆる知に迫る、様々なノウハウや蓄積がデジタル化されることが想定される。

企業:M2M(Machine to Machine)から吐き出されるストリーミングデータ(「M2Mデータ」と呼ぶ)
M2Mデータは、例えば工場等の生産現場におけるIoT機器から収集されるデータ、橋梁に設置されたIoT機器からのセンシングデータ(歪み、振動、通行車両の形式・重量など)等が挙げられる。

個人:個人の属性に係る「パーソナルデータ」
「パーソナルデータ」は、個人の属性情報、移動・行動・購買履歴、ウェアラブル機器から収集された個人情報を含む。

参考:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc121100.html

このようにビッグデータには、収集のためのデータから、個人の購買行動やウェブサイト上での行動履歴のデータ、そして企業が持つノウハウ等の非常に多種多様なデータが含まれることがわかります。
今後こうしたデータを組み合わせることで、これまでは想像できなかった新しい産業やビジネスモデルが実現する可能性が十分にあります。

ITとビッグデータ活用の事例

ITとビッグデータは、世界中のいたるところで活用され、それぞれの産業に変化を起こしています。

Googleの事例

たとえば、グーグルについてみてみましょう。グーグルは新しいビジネスモデルである検索連動型広告やグーグルアドセンスで成功しました。グーグルは、ITを利用し、これまで実現することのなかった新しいサービスを提供することで、広告とメディアの姿を大きく変化させました。
※Googleアドセンスとは、自分のWebサイトに広告を掲載することで収益を得ることができる、Googleが提供するサイト運営者向けの広告配信サービスのこと。

テレビのCMにみられるようなマス型の広告は、主に一般向けなので、特定の人に対する広告効果としてはどうしても薄くなりがちです。しかし、グーグルの方式では、個人にターゲットを絞った広告を設置することが可能です。これができるのは、グーグルが検索やGメールを介して入手した個人情報を利用できるからです。このように広告はITやビッグデータを利用することで、メディアからインターネットへと移行しつつあります。

ITを利用した業務改善の事例

現在、AIによるサービスが多くの企業から展開されたことにより、企業においてITを利用した業務の効率化が図られています。今後もあらゆる場面において、人工知能によるデータ解析や業務の自動化などが期待されます。

FRONTEOという企業では、独自に開発した人工知能「KIBIT」をもちいて自動FAQシステムを提供しています。このサービスでは、独自のアルゴリズムで人間の経験や判断に基づく「暗黙知」を再現し、質問や回答による問題解決に応用しています。AIをうまく利用し、社内の無駄を省くことで業務の効率化を図ることができます。
>>プロジェクト成功のために必要な「暗黙知」と「形式知」

このように人工知能のサービスが今後さらに発展していき、精度が高くなるにつれ、業務時間の削減ができるので、これまで以上に生産性をアップさせることができます。

コンビニの事例

コンビニ業界でもビッグデータの活用がみられます。おなじみローソンは、7000万人が利用する「Pontaカード」から得られるデータをマーケティングに使っています。
これまではPOSシステムのデータから売り上げを把握し、在庫管理や納品管理などにデータを用いていましたが、これだけでは、どの商品をだれが買ったかというような詳細な購買データは得られませんでした。
それに対してポイントカードでは、年齢や住所などの個人情報を登録するので、個人を特定することができます。これにより、だれがいつ何を買って、どんな商品を好むのかといった詳細なデータを取得することができるようになりました。このような対応は、もちろんビッグデータがあって初めて可能になったものです。

これらの例以外にも、大手携帯会社がビッグデータを利用してユーザーのターゲティングにより広告で成果を上げた事例や、損害保険会社が契約者の運転状況を詳細に把握し、それぞれにあった保険料利率で保険を提供するサービスを開発していたりと、例を挙げればきりがありません。

このようにビッグデータは様々な分野のビジネスモデルに大きな影響を与えています。

歴史に学び組織の未来を考える

本連載では、ローマ帝国や江戸時代という過去を振り返りながら、組織のあり方について考えてきました。昔流行したファッションが30年後にまた流行るように、社会のトレンドは長い時間をかけて循環します。現在の社会の変化を歴史の中に見出すことができれば、将来をより明確に見通すことができます。

たとえば、現代では、働き方改革にみられるように組織や個人の所属や結びつきが分散化していて、ネット上でも個人を主とした小さなコミュニティができています。ライブストリーミングサービスであるSHOWROOMが流行ったのは、このようなトレンドに乗ったことが大きいかもしれません。このような分散化と同じような傾向を江戸時代の藩制度にみることができます(詳しくは連載3へ)。
また、他人と同じであることを求められていた産業化の時代と違い、年齢、人種や国籍、障害の有無、信仰や価値観の違いといった様々な属性は、ダイバーシティとして社会に受け入れられてきています。近年は、性的マイノリティであるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々がカミングアウトしやすい環境を整え、能力を生かせる職場にすることも、企業の間で課題となっていますね。

このようにして歴史に学ぶことができれば、今後の組織のあり方について明確に見通すことができるのではないでしょうか。

連載の最後に

いかがでしたか?本連載では、5回にわたってビジネスモデルに見る組織のあり方というテーマで記事を書いてきました。連載の後半は、組織のあり方というよりは、IT社会におけるビジネスモデルの変化や今後の未来についてフォーカスしました。

社会は日々変化しています。ビッグデータの例にみられるように、私たちの知らないところで様々な情報が蓄積され、社会の仕組みがアップデートされています。このように変化する社会の中で、私たちの行動や考え方も変化し、組織のあり方も日々変化しています。どのような組織に属するのがいいとか、悪いとか、そういう話ではなく、様々なところで変化が起きているという事実を知ることが大切です。

読者の皆様にとって、本連載が、今後の社会について興味を持つきっかけになれば幸いです。(完)

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