「エコビジネスの第2波か」大手企業がこぞって参画するSDGsとは?

2019年5月27日、関西の鉄道会社、阪急阪神ホールディングス株式会社がSDGsを啓発するラッピング電車の運行をスタートしました。今、多くの企業がSDGsに注目しています。SDGsとはなにか、このムーブメントに対して、企業・個人はどう対応していくべきなのでしょうか。今回はビジネスとしてのSDGsについて考えていきたいと思います。

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1.SDGsとは

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標です。

2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)に続く流れとして、2016年から2030年までの目標として定められました。

SDGsは持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。

(出典:外務省 JAPAN SDGs Action Platform

これまでの開発目標と異なるのは、先進国が途上国を支援するのではなく、先進国自身が取り組むものであることが明記されている点です。SDGsとは、美しい地球を次の世代につなぐために、すべての人が共有・協力すべき目標なのです。

2.それぞれの集団によって意味が変わるSDGs

17のゴールに分類されるSDGsには、取り組む集団(企業・団体・チーム)によって優先課題が異なるという特徴があります。このことについて、先日あるSDGsコンサルタントから話を聞く機会がありました。そのコンサルタントは次のように語ったのです。

「企業でSDGsについての研修を行うとき、いつも最後に『どのゴールが自社にとって、最も重要だと思いますか』という問いかけをします。研修に参加している個人に思い思いのゴールを選んでもらうことで、各集団の特色が出るのです。

たとえば、以前あるメーカーでは『9 産業と技術革新の基盤をつくろう』に票が集まりました。こういった本業に関わる部分のゴールを選ぶ社員が多いというのは、自社の製品や技術に自信と責任を感じていることへのあらわれです。

また、ある商社で多く選ばれたのは『12 つくる責任 使う責任』でした。研修参加者の1人にインタビューしたところ、『使う責任という言葉に対して、流通させる立場から無責任ではいられない』という回答があり、関心の高さを感じたことを覚えています。

SDGsの取り組み一覧。

もちろん、ひとつの企業のなかでも、いくつかのゴールに票が分かれたところもありました。それもそれでいいのです。集団によって重要視するポイントが違い、それぞれが大事だと思う部分から始められるのがSDGsのおもしろく、親しみやすいところだと思いますね」。

このように語る人がSDGsを社会に浸透させようとするのであれば、SDGsという言葉に対する抵抗感は少しずつ薄れていくことでしょう。

また、このコンサルタントの研修を実際に受けた、あるビジネスパーソンは「ゴールが17個あるので、必ず自分が勤務している企業につながる課題がある。だから、だれもが自分事として捉えられるのでは」と振り返りました。

3.CSRではなくビジネスとしてのSDGs

上記で説明したように、SDGsは一時的なボランティアのようなCSRとしてではなく、本業のビジネスと結びついていると捉えるほうが、真剣に取り組めます。これは企業が最も時間とお金をかけて社会に影響をもたらすのが、CSRの部分ではなく本業の部分だからです。

また、社会においてなにかを変えていく必要があるということは、そこにはビジネスチャンスがあるということです。SDGsという新たな視点で本業を見直そうとする企業こそ、次なるビジネスチャンスをつかむことができるでしょう。

ここからはSDGsの観点でビジネスとして提供している、サービスの形を変えた企業を紹介します。

引っ越しで使用するトラックと段ボールがあります。

アート引越センターの梱包材

同社はこれまで1回1回使い捨てだった引越の梱包材を、リユースできる素材に変えました。引越ごとの廃棄物を減らすこの取り組みは、SDGsで定める「15 緑の豊かさを守ろう」をはじめ、複数のゴールに当てはまります。

そして忘れてはならないのがビジネスにおける効果です。この取り組みにより同社はコスト削減を行い、利益率の向上を実現することができました。

佐川急便の貨客混載

同社が行ったのは電車内で空きがある乗客用スペースに荷物を載せ、荷物運搬用の車に乗客を乗せるという新たな取り組みでした。これまで荷物は荷物、人は人と分けて運んでいたものを合わせることで無駄をなくし、輸送にかかるコストと時間を削減したのです。

SDGsの観点では輸送時の排気ガスを削減し、「13 気候変動に具体的な対策を」というゴールを実現させるもの。さらには採算の面で運営が難しい地方の公共交通機関を維持する観点で、「11 住み続けられるまちづくりを」というゴールにもつながる取り組みです。

このように、SDGsの考え方は環境に配慮するだけでなく、事業自体の形を変え、新しい利益やサービスを生み出すきっかけを秘めています。企業は「事業の利益を割くもの」ではなく、「利益を生み出すことそのもの」として、SDGsを推進することができるのです。

4.個人としてどう関わればよいのか

ここまででSDGsは、各国が賛同し、国連で採択された大きなムーブメントであり、企業にとって取り組む価値のあるものだということを説明してきました。では私たち個人はこのSDGsとどのように関わっていけばよいのでしょうか。

なにも最初から、具体的なアクションを起こさなければならないわけではありません。大切なのは共感し、選択することで、このムーブメントを推進することです。まずは、SDGsの17のゴールの1つひとつを知り、共感できるものを探すところからはじめるようにしてください。

共感できるようになれば、自分の仕事でSDGsに近い方法を取れないかどうかを工夫してみることができます。また、日々の生活の中でSDGsへの意識が感じられるサービスを選べるようになるでしょう。

3.で紹介した「アート引越センターの梱包材」や「佐川急便の貨客混載」はあくまで一例にすぎません。興味を持って学び、共感・選択することで、個人としてもSDGsと価値のある関わり方ができるはずです。

まとめ

SDGsで重要なのは、関わるすべての国・集団・個人がムーブメントを自分ごとと捉え、自分に近いところから取り組む意識を持つことです。最初はほんの少しの興味からでかまいません。少しずつ関心の幅を広げ、なにかを選ぶ基準を変えていきましょう。

SDGsは既存産業の成長を制限するものではありませんし、日々の生活を不自由にするものでもありません。新たな視点でビジネスを見直し、生活習慣を変えることができるチャンスなのです。

多くの人が興味を持って学び、行動を起こすことができれば、SDGsはこれまでのエコビジネスとは違う形で世の中に浸透していくはずです。そしてその取り組みは、持続可能な社会につながっていくことでしょう。

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