会社員もフリーランスも使えるAEONとセブンに学ぶ強者と弱者の戦略

組織の中で働く会社員と個人事業主のフリーランスでは同じ仕事をするにしてもできることが違います。それなりに規模がある企業だからこそできることもあればフリーランスだからこそできる立ち回り方もあります。それぞれの立場にそれぞれできることや有利な戦略があります。自分の立ち位置を理解して自分の強みや立場を生かした働き方をしていくべきです。
私の実家のある石川県は最近AEONとセブンイレブンだらけになっています。しかもドラッグストアもスーパーと同じようなラインナップで商品を販売していて田舎の小売業は他人事ながらオーバーストア状態で心配になってしまうほど競争が激しくなっています。 AEONもセブンイレブンもそれぞれの店舗の特性を生かして価値を提供しています。同じ小売業でも販売の仕方はまるで違います。AEONは大規模な強者の戦略、セブンイレブンは小回りのきく弱者の戦略をとっています。ここでいう強者は大規模、弱者は単にひとつひとつが小規模という意味です。強者と弱者のそれぞれがとる戦略を学びましょう。

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地方の小売店は激しい競争? 石川県がAEONとセブンイレブンだらけになった

私の地元の石川県はAEONとセブンイレブンだらけです。AEON系列の店舗だけで24店舗もあります。セブンイレブンも133軒まで増えました。ちなみに石川県にセブンイレブンが進出してきたのは2009年。約10年で100軒以上もできました。

空港のある小松市には北陸最大級のAEONモールができました。駐車場を歩いていると隣県の福井ナンバーの車も多数。北陸では店舗が少ないファストファッションのH &MやZARAの店舗も入っており、ドライブついでに来るにはちょうど良い感じになっているようです。さらにドラッグストアもたくさんも進出してきていまや石川県内は小売店だらけです。

私は一消費者なので、たくさん店舗がある方が便利で選択肢も増えるのでありがたいのですが、こんな田舎にAEONやセブンイレブンが進出しても大丈夫なのだろうかと心配になってしまいます。

「強者」のAEONの3つの特徴

大規模モールのAEONは「強者」の戦略をとっています。大規模だからこそできることがあります。例えば、大きな資本があるから全国展開もできますし大規模な店舗を運営することもできます。
そして大きいからこそ沢山の雇用も生み出せます。強者AEONの3つの特徴をそれぞれ見ていきましょう。

商品が安い。見切り品のお惣菜も半額に!

AEONは少なくともコンビニに比べると商品が安いのが特徴です。普段AEONモールとセブンイレブンを徘徊してお惣菜の価格やおにぎりの値段を日々、眺めているので大筋では間違いないと思います。ちなみに、私はAEONシネマで夜に映画を観て帰りに食料品を買いに行くのですが閉店間際のAEONの見切り品の安さにいつも感動しています。2000円近くするお寿司のパックが半額以下の900円代になっています。30%オフや50%オフのシールが貼られたお惣菜で売り場が埋め尽くされています。

AEONは日本有数の大規模小売店です。1店舗ごとの規模も大きいからこそAEONはスケールメリットを生かして大量に仕入れ、価格をおさえて安く販売することができます。

豊富な品揃え。なんでも揃う田舎のイオン

田舎の大規模AEONは侮れません。なかなかの豊富な品揃えをしています。石川県のAEONは、東京のLUMINEのようなファッションビルの形態の店舗まであります。食品、映画館、ペットショップ、輸入雑貨、100円ショップ、本、衣類、家電、家具、ゲーム機、鞄、スポーツ用品、・・・ないものを探す方が難しいのではないかと思うぐらい豊富な品揃えです。

東京や大阪などにしかないブランドなどももちろんあるのですが、そういったブランドにこだわらなければ何でも揃ってしまいます。

広域から人を集める広告の力。隣の県からやってくる!

私の実家の近所にできた北陸最大級の店舗の駐車場には石川県の隣の福井ナンバーの車もたくさん止まっています。巨大AEONは隣県にも広告を出しており広域から人を集めています。店舗そのものの規模と広告の力でわざわざ遠くからお客さんの足を運ばせることができるのも規模の大きい強者の強みを生かしているといえます。

「弱者」のセブンイレブンがとる3つの特徴

「弱者」というのはここではひとつひとつの店舗が小規模という意味です。セブンイレブン全体でみるとコンビニ業界のトップを走るリーディングカンパニーです。セブンイレブンはAEONとは異なりひとつひとつの店舗の規模は大きくありません。しかしセブンイレブンは「弱者」の戦略をとって石川県の生活に約10年ですっかり根づきました。

エリアごとにいきなり大量出店

セブンイレブンはエリアごとに大量出店するドミナント戦略を得意としています。ドミナント戦略とはエリアを絞りこんで経営資源を一点集中させる方法です。石川県にセブンイレブンが出店した時は金沢市内に8店舗を同時オープンさせました。

これは限られた経営資源を一点集中させることで、そのエリアの中での認知度の拡大や近隣に店舗を配置することによる配送コストの削減の効果があります。

厳選された品揃えでセブンプレミアムも人気

セブンイレブンは1つひとつの店舗がそれほど大きくはありません。その分、商品のラインナップが厳選されています。AEONが売り場面積の広さを生かし多品目・多品種で揃えているのに対してセブンイレブンの商品数は1店舗あたりでかなり絞られています。しかしセブンプレミアムなどのプライベートブランドなどを育て品目は少ないながらも多くの客層から支持を集めています。

便利なところに多数、出店する

強者のAEONは広域から人を集めるのに対して弱者の戦略をとるセブンイレブンは消費者が多く見込めるところに出店します。生活圏内までもセブンイレブンの店舗は多数、進出しています。AEONが広いエリアから人を集めるのに対してセブンイレブンは人のいるエリアに積極的に進出しています。

会社員にもフリーランスにも応用できるランチェスター戦略

ランチェスターの法則という有名な理論があります。元々は戦争における戦闘員の減少度を数理モデルに基づいて記述した法則です。この理論を販売戦略に応用したのがランチェスター戦略です。ランチェスター戦略では規模が大きい「強者」と小さい「弱者」が、それぞれどのような戦略をとると勝ちやすいのかが提言されています。AEONのとっている強者の戦略もセブンイレブンの弱者の戦略もランチェスター戦略の視点から見たものです。

強者の会社員や組織が得意な3つの強み

会社員は大きな組織に所属するので個人事業主やフリーランスには難しい「強者」の戦い方をすることができます。少なくとも「強者」の一員としてスケールメリットを生かしたことが可能です。
例えば大きな会社の営業マンならば個人では難しい提案もバックにある会社のリソースを使えます。組織だからこそできることがあるのが会社員の強みです。

広域戦:強者は全国に展開できる

大きな会社なら広域でビジネスを展開することができます。例えば飲食店なら個人では1店舗を運営するだけで精一杯かもしれません。しかし資本体力のあるチェーン店ならば全国に店舗を展開することで多くの地域から同時に集客することも可能になります。

総合力:強者はいろいろなことができる

大きな組織ならば一人ではできないさまざまなことができます。例えば金融とITと総務、さらには営業、デザインまでもすべて専門領域まで深めている人材はそれほど多くはないでしょう。しかし、たくさん人がいれば金融の専門家、ITの専門家、総務の専門家、さらには営業、デザインに強い人が協力することで一人では難しいさまざまなことを組み合わせて行なうことができます。

金融の専門家だけでもITの技術者だけでもFinTechのサービスをつくるのは難しいのではないでしょうか。しかし他分野の専門家や人材が集まることとで一人では難しいなことをいくつも提供できるようになります。

遠隔戦:強者は遠い分野にも参入できる

大きな組織なら大きなマーケットにも新規で参入しやすいのです。例えば、AEONは小売業で有名ですが金融のような利益を出しやすい業界にも資金力や持っているリソースを生かして参入することができています。総合商社がチキン屋からハイテク軍事産業まで儲かりそうな分野があればその資本力とリソースを生かして参入できます。

弱者のフリーランスや個人が得意な3つの強み

大きな組織を背景に仕事ができる会社員とは異なり小規模なフリーランスは弱者の戦略をとる方が一般的に有利です。大きな組織はスケールメリットがある分、組織全体を動かす意思決定に時間がかかってしまいます。またバックオフィスなどの直接、利益を生み出さない部門の分の利益も他の事業で出さなければ従業員全体を養える売上・利益を出すことができません。

局地戦:弱者は一点突破で小さいエリアで戦う

ある程度、大きな組織はそれなりに大きな仕事をしなければ経営を続けるだけの収益をあげることは困難です。しかし、個人のフリーランスなら局地戦でも十分に、一人で食べていけるだけの稼ぎを得ることができます。例えば大きな企業がわざわざ営業しないような個人経営のラーメン屋や接骨院などにもフリーランスなら積極的に営業することができます。大きな企業だと十分な利益ならない規模の仕事でもフリーランス一人食べていく程度ならば十分な報酬を得ることもできるからです。

得意技:弱者は特技に一点集中して戦う

人ひとりができることは限られています。だからこそ一点集中することで弱者は差別化して戦うのが定石です。例えば、カレー屋ならばチェーン店では真似ができない手間と暇がかかった量産できないこだわりのカレーを出すことで差別化ができます。一点集中と差別化で大規模な事業者が真似しづらいことをして戦う方が弱者でも勝ち目があります。大企業が手薄になるような専門性があればフリーランスは仕事がとりやすいでしょう。これからどうなるかは分かりませんが日本企業の多くはメンバーシップ型の雇用をしています。そのためジョブローテーションでさまざまな部署や地域に配属されるためゼネラリストは生まれやすいのですがスペシャリストが育ちにくい環境にあります。

例えば、東南アジアなどの企業では2〜3年で転勤する駐在員よりも現地採用のローカルスタッフの方が実務や現地の事情に詳しいということも珍しくありません。大きな組織では構造上、育てるのが難しかったり手薄になるような人材になればフリーランスとして生き残るために必要なのではないでしょうか。

接近戦:弱者は身近な大企業が入らないマーケットに参戦できる

フリーランスや個人事業主なら大企業があえて参入しない小さなマーケットにも参戦できます。いわゆるロングテールのニッチの世界です。例えば、宿泊施設の運営ならば大規模なホテルは、それなりに大きな都市、場所に施設を構えなければいけませんが個人なら路地裏で小さなゲストハウスをはじめても小規模なら小さなバランスシートでうまくやりくりできます。大きなラグジュアリーホテルは小さな路地裏にあえて進出しません。しかし個人経営なら小さな規模でも十分にビジネスとして成り立たせることもできるのです。

強者も弱者も両方とも体験してみることでそれぞれの良さがわかる

私は長い間、会社だったり公的な期間だったりからお給料をもらって働いてきました。自分一人で何かを作ったりサービスを提供したりしてお金を稼いだことも長い間ありませんでした。強者の中にいた頃は自分一人ではできないだろうなということもたくさん経験できました。

例えば、タイの国立大学に所属していれば学生をリクルートしたい日系企業の人に会うこともできました。とある財団法人に在籍した時は私、一人では入れないであろう大手企業の本社に行って役員レベルの人と話をすることや日本の大学の人と仕事上、話すこともできました。それはやはり企業や組織の名前があったからできたことです。

しかし、組織を離れ弱者のフリーランスとして働いていますが、それはそれで弱者の小回りのきくメリットや意思決定の速さ、自分で自分のことを全て決められる裁量の大きさは面白いなと感じています。私は機会があれば人は強者にも弱者も両方とも経験してみることで価値観や視野が広がると思っています。大きな組織の中にいるからできることも不自由なこともあります。

フリーランスなら自由に動ける代わりに大きな組織ではないとできないことの多さも感じます。色々な働き方を行き来することで強者の良さもも弱者の良さも分かる人材になれるはずです。

まとめ

AEONは大規模店ならではの強者の戦略をとりスケールメリットを生かした販売戦略を展開しています。一方で小規模な店舗のセブンイレブンは弱者の戦略をとり大規模店にはできない一点突破型の戦略をすることで拡大しています。会社員はスケールメリットを生かした強者の強み、フリーランスは規模が小さいからこそできる弱者の強みがあります。どちらの立場にもそれぞれの良さがあり行き来することができれば価値観やできることも広がっていくのではないでしょうか。

7/5 に追記:

7月4日にキャッシュレス決済の流行に乗りセブンイレブンは自前のモバイル決済サービス「7pay」をリリースしました。しかし、セキュリティが甘く不正利用が続出。新規登録と現金を含むチャージを中止することを発表しました。4日間で被害にあった方は約900人、約5500万円の被害です。

謝罪会見では小林社長が「二段階認証」すら知らなかったのではという指摘もされました。二段階認証とはIDやパスワードに加えてスマートフォンにSMSを送る、セキュリティコードを認証システムを通じて行うなど二回に分けて認証を行なう仕組みのことです。

セブンイレブンは、コンビニ業界では王者として君臨してきましたがIT・フィンテックに関しては専門外です。ドミナント戦略やプライベートブランドなど小売業の世界での成功体験はあったものの自前でIT・フィンテック分野を体制が整わないまま、見切り発車したことが大きな失態につながりました。スピード感にまかせて質の担保ができていないサービスを展開したことが今回の失態の原因でしょう。仕事をするうえで質の担保できていない見切り発車は時として社会的な信用の失墜につながります。これは会社員・フリーランスどちらの立場でも改めて仕事をするうえでの教訓としなければいけないのではないでしょうか。

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