プロジェクト管理のプロが住宅購入の手続きで使った3つのテクニック

先日、念願の住宅を購入することができました。

住宅購入に関する手続きは想像以上に煩雑でしたが、不動産仲介会社の方から最後に「契約手続きが進めやすかった」という言葉をもらいました。

それはもしかすると、私のプロジェクトマネジメントスキルが無意識のうちに発揮されたからではないかと内心思っています。

住宅の購入手続きはシステム開発と比べれば小さなプロジェクトです。しかし、スムーズに進めるために行ったいくつかの取り組みは、システム開発においても役立つのではと思いました。

そこで、本記事では住宅購入への取り組みを例に、プロジェクトマネジメントの考え方をご紹介したいと思います。

打合せごとに増えるタスクを「4象限」管理で華麗にさばく

住宅購入に限らずシステム開発においてもタスク管理は悩みの種です。

システム開発は、新しいサービスを生み出すことや、手作業で行なう業務を自動化するといったソリューションの創造です。そのため「どのようなタスクがいつ必要になるか」はプロジェクトを進めてみながら管理していくものです。

それに対して住宅購入は、多くの人が経験していることであるため、タスク管理は単純なものになるだろうと予想していました。

しかし、実際に手続きを進めてみると、住宅購入でもタスク管理はきっちりと行なう必要がありました。

住宅購入では、その都度購入者が何かしらを選択する場面があります。たとえば、オプション工事をするか、電気の契約先の切り替えをするか、保険は何を選ぶかなどです。また、引き渡し前の内装点検といった住宅購入においてチェックすべきポイントや、税法についてなど、事前に自ら学習することも必要でした。

そこで私は、面談ごとに増え続けるタスクを管理するためにタスク管理ツールを利用することを試みました。加えて、タスクを「4象限」でグルーピングすることで対応漏れのないスムーズなタスク消化を目指すことにしました。その4つの象限は以下のとおりです。

  • いますぐ取り掛かれる/自分だけで作業できる
  • いますぐ取り掛かれる/誰かにお願い(作業依頼、申し込み)する
  • 何かの条件がそろったら開始できる/自分だけで作業できる
  • 何かの条件がそろったら開始できる/誰かにお願い(作業依頼、申し込み)する

具体的には、タスク管理ツールでタスクを入力するときに、それがどの象限に当てはまるかを示すことにしました。今回は、タスク名に対して次のルールに則ってプレフィックス(接頭辞)を付加しました。

  • 「いますぐ取り掛かれる」タスクはプレフィックスなし
  • 「何かの条件がそろったら開始できる」タスクは[条]を付加
  • 「自分だけで作業できる」タスクはプレフィックスなし
  • 「誰かにお願いする」タスクは[願]を付加

たとえば電気の契約先の変更を申し込むタスクを考えます。当該タスクでは、その時点の申し込みはできず、引き渡し日が決まってからとなっていたため、管理ツールに登録するタスク名を「[条][願]電気の契約先変更の申し込み」と付けました。

この4象限管理によってタスク管理がとてもシンプルになる

「誰かにお願いするタスク」というものは、「自分だけで作業するタスク」に比べて優先度を上げて対応する必要があります。なぜなら、自分だけで作業するタスクは期限ギリギリでも努力によって間に合わせることができますが、誰かに作業依頼する場合は早めしておかないと期限に間に合わなくなる可能性があるからです。
また、何かの条件がそろったら開始できるかどうかはタスクの作業順序に影響します。いますぐ取り掛かれるタスクを消化しながら、ほかのタスクに付いた条件を解除することで取り掛かることのできるタスクを増やします。作業順序を意識してタスクを完了していくことがプロジェクトをうまく前に進めるコツです。

バラバラの情報をまとめながらコミュニケーションを取る

あるとき不動産仲介会社から、面談時の持参物と面談日程についてバラバラに連絡がありました。最初のメールで持参物リストが書かれており、2通目で持参物に追加が発生、3通目のメールで面談日程が書かれているという分かりづらいものでした。

こういったケースでは各メールに対して回答するのではなく、返信するメールにサマリーを書くとスムーズです。具体的には、メールの3通目に「面談日程は何月何日の何時で承知しました」ということと、「持参物のリスト」を追記する形で返信するということです。

バラバラの情報をまとめながらコミュニケーションすることにはメリットが3つあります。

1.要望の漏れを防げること

システム開発プロジェクトにおいても、お客様に要望を五月雨式に言われることにより、システム要件から漏れてしまったという経験はないでしょうか。コミュニケーションのたびに要望をサマリーして、漏れがないことを確認します。

2.認識齟齬を失くせること

要望の漏れではなく、そもそも要望を認識していなかったといったことを防ぐことができます。メールひとつひとつが新規で作成されていれば取りこぼすことは少ないのですが、返信する形で複数メールが連続して送られたとき、使っている電子メールソフトによってはメールの切れ目が分かりにくいことがあります。

3.コミュニケーションコストを減らせること

たとえば、持参物リストを整理してメールを返信すれば、お互いの認識に食い違いがないことを確認でき安心できます。もし先方が「認識齟齬があるのではないか」と心配になれば、あらためてメールや架電があるでしょう。

たとえば、システム開発プロジェクトに置き換えて設計書作成のやりとりを考えてみましょう。
発注元の情報システム部とシステム開発を請け負っているエンジニアが、異なるロケーションでやりとりしながら設計書の一部を修正する場面です。メールによってコミュニケーションし、設計書のうち議論している箇所だけを抜粋したドキュメントを送り合っているとします。システムエンジニアが抜粋した設計書だけを送り続けてきたら、情報システム部の担当者は「最新の設計書は今どうなっているのだろう」と心配になりますよね。

対面で常に会話できる状況にないとき、相手を不安にさせるコミュニケーションをすると経験上コミュニケーションコストが大きく膨れ上がります。自分の作業負荷を減らすために小さな手間を惜しまないようにしましょう。

相手の立場を考えながら自分の立ち位置に合わせて発言をする

住宅購入では多くの人とやりとりをすることになります。不動産仲介会社とのやりとりが中心になりますが、事前に担当者について知ることにより、相手の立場を考えながら自分の立ち位置に合わせて発言することを心がけていました。

取引の基本はお互い納得した状態でのWin – Winです。頭ではわかっていても、住宅購入は人生の中でも大きな買い物なので自分が得することに意識が集中しがちになり、どうしても視野が狭くなります。

たとえば、仲介手数料は決して安くなく、できればカットしたいと思う方もいるのではないでしょうか。そのような心持ちでいると自然と態度に出てしまい、不動産仲介会社の担当者も気持ちよく仕事ができなくなってしまいます。その結果、中途半端なサービスを受けることに繋がりかねません。

自身が注意深く行動し、相手の立場も尊重していれば、よりよいサービスを受けることができるかもしれません。

今回の住宅購入では、関わったのが幸運にもよい人ばかりだったというのもありますが、それに加え、自らも学びきちんとした発言をする努力をしたことが、よいサービス・よいコミュニケーションにつながったのではないかと考えます。

システム開発プロジェクトにおいて、発注元・協業先・業務委託先とのコミュニケーションでもまったく同じことが言えるのではないでしょうか。
システム開発プロジェクトに関わっている担当者が、そのプロジェクトで何を成し遂げることでプラス評価されるかご存知でしょうか。自身にとってのメリットだけでコミュニケーションをするのではなく、相手のメリットを踏まえてコミュニケーションすることは、プロジェクトにとって有効な推進力になると私は考えています。

まとめ

私は常々、プロジェクトマネージャーとして自身のもつスキルをチームメンバーにどのように伝えればよいのか頭を悩ませています。プロジェクトマネジメントを学ぶことの本質は、テクニックの使い方を学ぶことではなく、思考や考え方を学ぶことととらえています。思考や考え方は目に見える成果が出にくく、伝えづらさを感じていました。

テクニックの切り口からプロジェクトマネジメントの考え方をお伝えするのに、住宅購入を教材としてご紹介しました。プロジェクト管理において少しでもお役に立てれば幸いです。

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