アジャイル開発を成功させるためにPMOが心がけたいこと

なぜアジャイル開発にPMOが必要なのか?
時代の変化が加速している現代においてアジャイル開発は、ソフトウェア開発の現場ではなくてはならない開発手法となっています。

しかし、実際のソフトウェア開発の現場において、アジャイル開発をプロジェクトマネジャー+エンジニアという構成だけで成功させることは容易ではありません。密なコミュニケーションとスピード感が求められるアジャイル開発において、プロジェクトマネージャーにはプロジェクトの方向性を舵取りしつつ、それを行うことが要求されるからです。つまりプロジェクトマネジャーの力量やチームメンバー間の相性で成功率は大きく変わってくるものであるといえます。

そこで必要になってくるのがPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の力。PMOは組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムのことです。ここではPMOがアジャイル開発を成功させるために心がけたいことを考えていきます。

1.アジャイル開発とPMOの親和性

1-1.アジャイル開発とは?

「アジャイルソフトウェア開発」とは、ある特定の開発手法を指すものではなく、ソフトウェアの価値を最大限に高めるために、エンジニア、マネージャ、顧客を含めて取り組むべき「考え方」や「姿勢」です。この「考え方」や「姿勢」をメンバー間で共有し、常に価値を意識し、ソフトウェア開発を改善し続けるためにも、PMOの役割は非常に重要です。

PMOとしてアジャイル開発を成功裏に導くために、まずは「アジャイルソフトウェア開発宣言」という考えは基本として抑えておきましょう。

アジャイルソフトウェア開発宣言
私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。
この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。
プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、
価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。

Kent Beck
Mike Beedle
Arie van Bennekum
Alistair Cockburn
Ward Cunningham
Martin Fowler
James Grenning
Jim Highsmith
Andrew Hunt
Ron Jeffries
Jon Kern
Brian Marick

Robert C. Martin
Steve Mellor
Ken Schwaber
Jeff Sutherland
Dave Thomas
引用:アジャイルソフトウェア開発宣言 http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html

アジャイルソフトウェア開発宣言は、何に価値を置くべきかを宣言したものであり、具体的な開発の進め方を決めたものではありません。

しかし、この基本姿勢である「何に価値を置くべきか」を抑えることはプロジェクトメンバー、強いてはステークホルダーとも密なコミュニケーションと迅速な対応力が求められる現代のソフトウェア開発においては外せないものと言えます。

1-2.アジャイル開発におけるPMOの役割とは?

先に述べたようにPMOは組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムのことです。

一般的に、PMOは以下のような3つの役割に分類されています。
(1)PMOアドミニストレーター(PMO事務)
事務担当者として、データ収集や会議のコーディネート、情報共有や書類作成、経理処理などを行う。
(2)PMOエキスパート
プロジェクトの環境やルールの策定・改善・標準化を行う。
(3)PMOマネジャー
PMOのマネージメント業務全般の役割を担う。
引用:日本PMO協会 https://www.npmo.org/pmo%E3%81%A8%E3%81%AF/

これだけ見ても分かる通り、PMOの役割は多岐にわたることがわかるでしょう。逆に言えばPMOがいないプロジェクトにおいて、これらの業務をPMをはじめとするプロジェクト目メンバーが担っているということです。
 “アジャイルソフトウェア開発宣言”において、PMOの業務はいわば“左記”にあたります。つまり右記のことがらにプロジェクトマネージャーやプロジェクトメンバーが重きを置くためにも、左記のことがらをPMOが担保していくことが肝要なのです。

2.アジャイル開発成功のためにPMOが心がけるべきこと

2-1.PMOとしての役割の意図を掴む

アジャイルソフトウェア開発宣言における“左記”のことがらを担保するために、PMOとして具体的にどんなことに留意すれば良いでしょうか。

それはズバリ、『目的を右記に捉えて、左記の業務を行うこと』です。左記の業務をただ与えられた仕事として取り組むだけでは、ただのPMのお手伝い的な役割になってしまうでしょう。

しかしPMOはプロジェクトの一メンバーです。プロジェクトを成功に導く重要な役回りであることを意識し、主体的にプロジェクトメンバーとプロジェクトに働きかけていきましょう。

 ソフトウェア開発プロジェクト宣言の言葉を借りながら例えるとするならば、次のような意識です。
・「個人と対話」をする時間を作り出すためにも、プロセスやツールの標準化を図る。
・「動くソフトウェア」をつくるためにも、包括的なドキュメントを迅速に作成し、メンバーから柔軟にフィードバックを得る。
・「顧客との協調」のために契約交渉におけるプロジェクトマネージャーと負荷を減らすようドキュメント作成やスケジュール調整、ステークホルダー間のミーティングを十汁。
・「変化への対応」が可能なように、過去の実績と現状の計画を把握し、不足の自体への対応に余裕を持たせるよう立ち回る。

このように、ただ業務を業務として捉えて行うのではなく、意図を掴んで動けるようになることでプロジェクトに対してPMOとして貢献できること、アウトプットの質は変わっていくでしょう。

2-2.成功イメージを共有する。

日本には「段取り八分」という格言があるのはご存知でしょうか。何事も十分な事前準備が必要で、きちんと段取りをしておけば八割方は終わったようなもの、という意味です。

しかし、本当の意味で「段取り八分」をうまく機能させるために、大切なことが一つあります。それが「成功イメージを共有する」ことです。

最終的な成功イメージを顧客やプロジェクトメンバー間で共有するからこそ、精度が高く、リアルな段取りが可能になります。

客観的な立場でプロジェクトを俯瞰することができるにおいて、成功イメージが顧客とプロジェクトメンバー間できちんと共有できているかを逐一確認するようにしましょう。そして何か違和感やズレがあるように感じるのであれば、Face to Faceのコミュニケーションが図れるミーティングや対話の機会を積極的に設けることです。そうすればプロジェクトの成功に着実に近づいていけるでしょう。

まとめ

アジャイル開発という手法でスピード感を持って開発を進める必要がある現代にとって、やはりPMOという存在は欠かせなくなってきていると言えます。ただPMの補佐官として言われた仕事をやるだけではなく主体的にプロジェクトに関わりましょう。上記の紹介したことを心がけることで、PMOとしての真価を発揮することができるでしょう。

参考文献
前川直也、西河誠、細谷泰夫,アジャイル開発の教科書,Softbank Creative,2013,p44-56

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