今年のGWは10連休 しかし祝日が国民を休ませることにならない理由とは

今年のGWは、5月1日の新天皇の即位に伴い、例年よりも長い連休になります。先日、新元号である「令和」も発表され、みなさんもそろそろ元号が変わることに実感が湧いてきた頃ではないでしょうか。大手旅行会社によると、今年のGWは昨年の同時期と比べ、海外旅行の予約が約2倍ほどと好調のようです。しかし、サービス業では人手不足が深刻です。働き方改革が騒がれているいま、祝日による連休は本当に国民を休ませることができているのでしょうか。海外の事例と比較して考えていきます。

実は年間祝日日数が多い日本

1年間の祝日の数
インド 18日
コロンビア 18日
タイ 16日
レバノン 16日
韓国 16日
日本 16日
アルゼンチン 15日
チリ 15日
フィンランド 15日
トルコ 14.5日


https://www.telegraph.co.uk/travel/maps-and-graphics/mapped-the-countries-that-have-the-most-bank-holidays/

「日本人は働きすぎ」とよく言われますが、実は海外と比べても日本の年間祝日日数はトップクラスです。ほかの欧州諸国と比べてみると、その日数がずば抜けていることがわかると思います。これだけ見れば、日本人はちゃんと休めているように思えます。しかし、本当にそうでしょうか。

ここで一度、GWのような祝日による大型連休が、世間にもたらす影響について考えてみましょう。
祝日による大型連休の最大のメリットは、観光事業の活性化でしょう。しかし、反対に問題点として、人手不足、交通機関の混雑・価格高騰、保育所・医療機関の休み、銀行の窓口の長期閉鎖といったものがよく挙げられます。特に、「人手不足」に関していえば、イベントやサービス業において多くの社員が休暇を取る可能性があるのにもかかわらず、消費する側は確実に増えるため、とても深刻な問題となっています。そのため、人手不足に悩まされるサービス業の人々はその恩恵を受けられないどころか、さらに仕事に追われることになります。

したがって、祝日による休日は「働きすぎ」な問題の抜本的な解決にはなりません。

欧米の国は、祝日が少ない代わりに有給休暇を取得しやすい

各国の有給取得率 取得日数/支給日数
ブラジル…100%(30日/30日)
フランス…100%(30日/30日)
スペイン…100%(30日/30日)
ドイツ…100%(30日/30日)
オーストリア…100%(25日/25日)
香港…100%(14日/14日)
シンガポール…93%(14日/15日)
メキシコ…86%(12日/14日)
アメリカ…80%(12日/15日)
イタリア…75%(21日/28日)
インド…75%(15日/20日)
韓国…67%(10日/15日)
日本…50%(10日/20日)

https://welove.expedia.co.jp/press/40915/

欧州諸国は祝日こそ少ないものの、上記でも示している通り、有給取得率が日本に比べて非常に高いことがわかります。特に、フランスでは有給支給数、取得数とも30日で100%消化されています。一方、日本は20日支給されているにもかかわらず、半分の10日しか取得されていません。

なぜ、海外の国々は有給休暇を消化できるのでしょうか。国別にまとめてみました。

フランス

フランスでは、すべての労働者に対し、年間30日(フルタイム勤務の場合の法定日数)の年休が、法律で保障されています。これには「観光収益をアップさせたい」という政府のもくろみも存在します。

フランス人はその年休をほぼ100%使い切ります。その理由は、一つは労働者が権利を自ら放棄しないから、もう一つには社会全体が年休やバカンスは必要という共通認識の下、それを前提に会社の経営が回っているためです。
そのため、フランス人は「人生の一部として仕事があり、仕事=人生ではない」と考える人がほとんどです。

ドイツ

ドイツでは、1963年に施行された連邦休暇法で長期休暇が規定されています。そこでは、最低24日の年休が設定されており、多くの企業は30日の有給休暇を規定しています。

ドイツ人にとって「休暇」が定着していったのは、1933年、ナチスが労働者余暇のための組織「喜びを通しての力」を作ったのがきかっけです。特別列車で安価な旅が実現され、国民車「フォルクスワーゲン」もこの中で普及していきました。
またドイツ人は、19世紀末に始まった産業化によって地縁血縁といったしがらみから離れ、「自己決定」の人生観が広がったことが有給休暇を取得するという行為につながっていったとも考えられます。

シンガポール

上記の2つの国に比べて、少し変わった有給休暇の使い方をするのがシンガポールです。シンガポールには年次有給休暇と有給病欠(MC)という制度の2つが存在します。この病気休暇制度は他国にもみられる制度ですが、シンガポールはこのMCが取りやすいのが特徴です。その理由は、医師の対応が柔軟で、申請するのに必要な診断書を、日数も調整しながら1000円ほどで出してくれるためです。したがって、シンガポールの大半の人々は、まずMCを使ってから有給休暇をバカンスのために取得するという使い方をします。

そのためシンガポールでは、日本人のように風邪なのに無理して会社に行ったり、病気に備えて有給休暇を貯めておくという発想がありません。

海外は連続で取るのが普通

ここまで3か国の有給休暇の事例をご紹介しましたが、これらの共通点は有給休暇を長期で消化していることです。

なぜ、長期で休暇をとることが広まったのでしょうか。これには、「労働者はまとめて休む必要があるから、有給休暇という制度が誕生した」という歴史的背景があります。
さかのぼること20世紀初頭、欧州の労働組合は「精神的かつ知的な休息は、労働者の健康のために不可欠である」との理由から、週休とは異なる連続休暇をを取ることが労働者の権利だとする考えを持っていました。そして1935年には、欧州のほとんどの企業が労働者に有給休暇を与えていたそうです。

そのような中で、1936年、ILO(国際労働機関)は「1年以上継続して働く全ての労働者は、連続した最低6労働日の有給休暇を享受する」とした条約(第52号条約)を定め、「この最低基準を超えるものに関してのみ、特別に有給休暇の分割を認める」としました。

そして、現在の条約は以下のようなものとなっています。(以下抜粋)国際労働機関(ILO)による条約

  • 労働者は1年間の勤務につき3労働週(5日制なら15日、6日制なら18日)の年次有給休暇の権利をもつ
  • 休暇は原則として継続したものだが、事情により分割も可
  • ただし、分割された一部は連続2労働週を下回ってはならない
  • 祝日や慣習上の休日は年次有給休暇の一部として数えてはならない

つまり、有給休暇は連続して使われなければなりません。しかし、日本は先進国の中でも珍しく、ILOの条約の批准率は平均よりも低くなっています。そして、残念ながら、これらの批准していない条約のうち、この「年次有給休暇」も含まれているのです。日本人の夏休みがせいぜい1週間にもかかわらず、欧州の国の人々が1か月以上バカンスを過ごすことができるのはこのためです。

連続で休暇をとりづらい日本の事情

日本では海外のように、長期休暇をとってバカンスを過ごす習慣があまりありません。なぜ日本人は有給休暇によって長期間休もうとしないのでしょうか。

戦後復興のためにも休むわけにはいかなかった

まず、日本が分割で有給休暇をとることになった理由がこれです。
日本が「労働基準法」を制定した背景には、「まだ貧しく休んでいる暇はないが、欧州のように労働者の権利を作り上げ、世界に追いつきたい」という願いが込められていました。しかし、「まとめて取るのが大原則」とする年次有給休暇を、敗戦の焼け野原で戦後復興中の日本がそのまま受け入れるのは難しい状態でした。そこで年次有給休暇については、やむにやまれぬ事情で、1日単位の分割取得というおかしな制度をあえて導入したのです。

したがって、戦後復興がされたいま、日本はそのおかしな制度をおかしくない制度にする必要があるのです。

祝日が多すぎるから

日本が世界でも祝日が多いことは先ほど述べた通りですが、実はこれが日本人が有給休暇を取りづらくしている原因にもなっています。
欧州の人々は祝日と土日の間の曜日を有給休暇にあてますが、これと同じことを日本がやろうとすると、例えば、木曜日が祝日で休みの場合は金曜日に有休をとって、木曜~日曜まで4連休をとろうとすると、2015年の暦では5月と9月で9連休がとれるようになってしまいます。それに加え、お盆休みの5日間、お正月休みの5日間を加えると、1月、5月、8月、9月、12月で大型連休がとれるということになります。この限られた期間で沢山の人が仕事を休んでしまうと、ほとんどの会社で仕事が回らなくなってしまいます。したがって、この期間に有給休暇をとることのできる人は限られてしまいます。

結局、連休どころか休みすらとりづらい日本

日本人がなぜ連休をとれないのかを見てきましたが、実際は連休どころか、たった1日でも有給休暇を使いづらいのが現状です。なぜこんなにも休みづらいのか、2つの観点から述べていきます。

病気休暇がない

まず、日本人が有給休暇を使わない理由としてよく挙がるのが「緊急時のためにとっておきたいから」という考えです。日本人は体調不良のとき、有給休暇を利用する傾向があります。しかし、日本はシンガポールのように病気休暇制度が存在しておらず、それを採用している企業も少ないのです。たしかに、他人に迷惑をかけることに罪悪感を感じやすい日本人にとっては、そのような選択も仕方がないのかもしれません。

空気を読みすぎる

日本人には「空気を読む」という国民性があります。職場のような集団生活の中では、このようなことがよく求められます。そのため、上司といった同僚が有給休暇を使っていなければ当然部下も取りづらくなってしまいます。
もし、何かの理由で有給休暇を使ったとしても、「みんなが働いているのに自分だけ休んでいていいのか」という罪悪感を感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

有給取得率を見直すには

ここまでのことを簡潔にまとめると、日本の祝日制度は、国が国民を「休ませる」システムなのに対して、フランスやドイツは、国民が自主的に必要なタイミングで「休む」システムだということです。
上でも述べた通り、祝日によって国民を強制的に休ませるシステムは人手不足の問題が深刻になっていますし、土日出勤の人は連休における恩恵を受けられません。したがって、欧州のような柔軟な働き方が求められるべきです。そのために、国でなくても企業まずできそうなことを2つご紹介します。

病気休暇を採用する

まずは、シンガポールのような病気休暇を採用することです。
実は、「病気で休むときは有給休暇を使うのが当たり前」ではない国が世界には145か国も存在します。しかし、日本では「体調管理は社会人として当たり前」という考えが根底にある会社が多いのではないでしょうか。驚くことに、世界からみたらそれは「非常識」に映るそうです。

海外に目を向けると、先ほどのシンガポール以外にも、病気で会社を休むことに対して、さまざまな対応がとられていることがわかります。例えば、フィンランドは9日以内の病欠には給与の全額を支払うことを雇用主に義務付けており、ドイツでは6週間までの有給病気休暇が認められています。さらにオーストラリアでは、従業員本人だけでなくその家族の看病や緊急事態に対する有給病気休暇まで用意されています。

これらと比べると、日本で1年間で与えられる有給休暇が平均20日だとすると、とても先進的であることがわかると思います。しかし、日本では労働基準法によって女性の生理休暇規定は定められていますが病気休暇の規定はありません。もちろん、国でこのような病気休暇を定めることがベストですが、それまでに企業でこのような制度を作っておくことも大切ではないでしょうか。

有給休暇をとってもいいという雰囲気を作る

もう一つは会社の雰囲気作りについてです。
日本人には「周りの空気を読もうとする国民性」があるがゆえに、、自主的に休もうとするシステムの構築は難しいでしょう。実際に、有給休暇を取ろうとしない理由に「同僚が休んでいないから」という声が聞かれます。

したがって、有給休暇を気兼ねなくとれるようにするためにも「有給休暇をとってもいい」という雰囲気作りが重要になってきます。つまり、有給休暇を取得をしたら上司が渋るような会社文化を一掃し、従業員から有給取得の申請が出たら喜ぶ文化に変える、ということです。

そのためには、まず部下を持つような会社での地位の高い人が率先して有給休暇をとる必要があります。企業が大きくなればなるほど、このような上からの改革が必要になってくるでしょう。

まとめ

ここまで、有給休暇が生まれた背景を述べた上で、日本ではなぜ取りづらいのかを述べていきました。とくに、欧州では、「疲労を解消するためには一定期間休む必要がある」という考えが100年ほど前から存在していたのにもかかわらず、いまだに日本で実践されていないことを考えると、日本はとても遅れていることがわかります。
しかし、有給休暇をとるということは、仕事をする時間も減ることになりますし、よってタスクが溜まってしまうと考える方も多いでしょう。せっかく取得したとしても、タスクが終わっていなければ、休んでしまったことに罪悪感を感じてしまうと思います。これらの問題を解決するには、普段から仕事の生産性を意識することが重要です。
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出典
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1808/10/news013.html
https://jp.active-connector.com/featured-articles/hr-trend/1320

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