事例紹介
2018.10.22

バンクシーに見る当たり前を超えていく力について考察

10月5日に行われたアートの競売王手サザビーズ(Sotheby’s)でのオークションにおいて、ストリートにほどこされるステンシル作品で世界的に有名な英国のアーティスト、バンクシーのオークション作品のシュレッダー騒動がSNSを賑わせていました。それは、バンクシー(Banksy)の代表作、「少女と風船」が約100万ポンド(約1億5000万円)超で落札された直後にシュレッダーにかけられ破壊されたというものでした。
権威のあるオークションで、高値で落札価格がついた瞬間、作品がシュレッダーにかかるという、前例がなく、大胆で奇抜な出来事は、その場に居合わせた人々に大きな衝撃を与えました。そしてこのアート界での大きなハプニングは、「少女と風船」の絵の価値を元値よりも大きくすることになりました。
この記事では、バンクシーが起こしたこの行動のように、ビジネスパーソンが日頃当然と思っている物事を、違う目線で見て概念を打ち破っていくという「当たり前を超えていく力」について考察していきます。

バンクシーとは?

バンクシーはロンドンを中心に覆面で活動しているストリート芸術家です。世界の各地で作品を描き、神出鬼没なスタイルと、作品自体のもつ社会風刺的な作品から、芸術におけるテロリズム、とも称されています。

2005年、ニューヨークの美術館や大英博物館に勝手に自身の作品を展示したり、2016年にはフランスの都市にあるカレーのシリア難民キャンプにスティーブ・ジョブズの作品を描いたりと、社会への風刺や批判を感じさせられます。バンクシーの作品とは、作品自体の力というよりも、その作品がいまそこにあることの意味、作品をとりまく環境を含めて何かを訴えてくるというスタイルをとっています。

今回のシュレッダー騒動も、一介のアートが、消費や投資の対象になっていることについての痛烈な自己批判から産まれた事件ともとることができるでしょう。

「バンクシーされる」とは?

サザビーズの現代アート欧州担当責任者、アレックス・ブランクチク氏は落札された瞬間にシュレッダーにより裁断された「少女と風船」について、声明で、「私たちは『バンクシーされた』ようだ」と述べていました。
参考URL
http://www.afpbb.com/articles/-/3192432

「少女と風船」に仕込まれていたシュレッダーは、落札直後に絵の風船部分を残して途中でストップし、絵の額縁からは、シュレッダーにかかり裁断された部分がぴらぴらとたれさがっていました。その絵はバンクシーの思い通りなのか、偶然なのかはわかりませんが構図的にもいまだ美術品というにふさわしい姿を残しており、バンクシー流の「既存の価値を破壊する」という、挑発的なインスタレーションともとれる美術史の一ページに残る瞬間をつくることになったこの作品は、落札価格からさらに価値があがるだろうと言われています。

SNSの価値を知り運用する

面白いのは、バンクシーがこのシュレッダーに自身の作品が落札されてからシュレッダーにかかるまでを自分のインスタグラムに投稿していることです。 写真のキャプションは、競売人の言葉を借りて「going, going, gone(ありませんか、ありませんか、はい落札)」と書かれています。

バンクシーは、シュレッダーを何らかの手法で起動させ、SNSで拡散しようともくろんでいたのでしょうか。まんまとこの画像はインターネットで拡散され、爆発的に世界中のSNSに広がっていく事になりました。バンクシーは、以前からSNSの使用に非常に長けたアーティストであると称されています。

バンクシーは自らの作品を通じて、人々が見ないふりをしている社会問題について、ユーモアとともにシニカルでストレートなメッセージを訴えてくるアーティストです。その作品は、見る人が思わずSNSにアップしたくなるような絶妙さを持っており、バンクシーの意図通りに彼のメッセージは世の中に広がっていく、という構図です。その構図はまさに、作品を通した「コミュニケーション」であるとも言い換えられることができ、ひとつの作品から、問題についての多くを訴えるというスキルは目を見張るもがあります。

当たり前を超える

今回のバンクシー絵画シュレッダー事件のように、当たり前と思っていた物事を、見方を変えて現状を変えたという例は多くあります。


参考:https://www.sony.co.jp/Fun/design/history/product/1970/1979_tps-l2.html

例えば、ソニーが1979年から販売するポータブルオーディオプレイヤーシリーズ、ウォークマン(英: WALKMAN)は世界中で大ヒットとなった商品です。この商品は、当時会長であり、創業者の一人でもあった、盛田昭夫氏と当時名誉会長であった井深大氏がきっかけとなり、作られました。井深氏は飛行機の中で自分ひとりで使え、きれいな音で音楽が聴けるモノを作って欲しいと、当時の事業部長に依頼し、プロトタイプを入手したところ、その性能に井深氏は感動。盛田氏にも試させて、盛田氏は、すぐに商品化を命じました。

しかし、当時は大きなステレオが主流の時代。しかも録音機能もないテープレコーダーは絶対に売れないと社内から大反発を受けますが、二人はそれを押し切り開発を続行を決め、大ヒットへとつながることになったのです。

このストーリーからも、経験値から開発に大反対する「当たり前」VS「当たり前を超える」という構図を見て取る事ができるのではないでしょうか。

当たり前を超えるスキルとは?

ビジネスパーソンは、知識や経験が深まるにつれ、「当たり前」に凝り固まってしまうときがあります。もし仕事で行き詰まったり、壁を超えたいと感じるときには、当たり前を疑い、それを壊し、超えていくことを考えてみましょう。それを叶えるためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。

自分の感覚を信じるスキル

バンクシーは、とんでもない場所や、絶対に作品を書いてはならないようなところに神出鬼没的に、たとえ違法であったとしても、的確に問題提起ができる場所に作品を残します。そして、ソニーの井深氏と盛田氏も、自分たちがよいと思ったものを、周囲に反対されても作るべきという強固な意思を持っていました。彼らは、自分自身が感じた感覚を信じ、物事を進めていくスキルを持っていたともいえます。そのスキルとは、主張やすべきことを手にしたら、自分の感覚に自信を持って行動できるというスキルです。自分の感覚を信じて行動することは、簡単なことではありません。自分の感覚を信頼できるようになるには、多くの学びや努力による裏付けが必要です。自分の未来を切り開くための一番の味方であり相棒である自分自身のスキルを向上させるために常にアンテナを張って自分を磨いていきたいものです。

フォーカスするスキル

当たり前を超えていくためには、まず現状を理解する事が必要です。そのためには幅広く環境を観察することや周辺についての研究をすすめましょう。そのうえで何かをしようとするときに、あいまいな主張で問題を乗り越えようとしても、問題解決につなげていくことは難しいでしょう。主張したい、乗り越えたいと考える内容について、しっかりと的をしぼってフォーカスすることを意識して行動しましょう。ただなんとなく、何かを変えたいと思っていても何も始める事はできません。具体的に乗り越えるためのヒントについて、可能性をひとつひとつあたっていき、精査を重ねましょう。

批判を恐れない

当たり前を超えようとするとき、周囲の人々から大きな批判を受けるのではないかと恐ろしくなり、結果十分な主張ができなくなってしまうのでは新しいものを生み出すことはできません。批判を恐れずに一歩踏み出して行動しましょう。反対意見や批判を沢山受けてしまっても、自分の感覚を信じて主張をし、同時にそれに反論できるような精査や研究を行っていれば、当たり前をこわして前に進む準備はもうできているのです。

まとめ

仕事をしていて、いつの間にか自分をとりまく環境のなかでの常識にとらわれてしまっていると感じるときがありませんか?その環境は、ビジネスの成長を妨げてしまっているときがあるかも知れません。ビジネス上で、壁に阻まれたと感じたとき、バンクシー達のように、当たり前や常識を疑い、それを超えることの意義について考えてみてください。

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